この槍使いに祝福を!   作:シンセイカツ

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影島奈々の記録(13)

五十三日目

 

 今日でバイトが終わった。4日間という中途半端に短い期間ではあったが、結構濃い経験を積むことができたと思う。毎日セクハラしてくる人とかね。前も書いたけどこんな低身長で出るとこ出てない筋肉質な女にセクハラして何が楽しいんだろうか。書いてて空しくなってくるけども。やっぱり特殊な性癖をもっているんだろうか。常に命の危険に晒されている冒険者ともなるとそういった私には理解できない方向に思考が飛んだりするのだろう。この条件だと私も引っかかるな。この説は無かったということで。

 

 明日からはまた冒険者として働くことになる。強敵を一撃粉砕!とかは臨場感も無いし転生者として貰った力をフルに活用するのは気が引けるのでいつも通りメイン武器は剣にしよう。最近ゲイ・ボルグを使う機会が減っているが、腕は落とさないように定期的に使っていこうと思う。かれこれ1週間くらいは使ってない気がするしね。メイン武器が長剣になりかけているのは転生特典に武器を貰った身としてはどうなんだろう。やっぱり他の転生者は武器とかをフル活用してるのかな?

 

 

五十四日目

 

 バイト終了直後にカズマ君たちは見事にやってくれた。また揉め事ですよ。

 

 今回はダストが一方的に絡んできただけなので私たちは被害者なのだが、カズマ君が煽られた時にキレた。琴線に触れたのはダストの台詞の内のほとんどだと思う。最弱職と馬鹿にされ、上級職におんぶにだっこ、しかも美人が多いとなるとダストが絡んできた理由もなんとなく察することができるが、最後の俺と代われ発言でカズマ君が全面的な肯定をしたため場が混乱した。

 

 カズマ君から見れば上級職と呼ばれる私達4人のリーダーをするというのはかなり心労の溜まる仕事だ。なにせ駄女神、爆裂狂、被虐騎士、戦闘狂と言う構成だしね。アクア達はかなりの美人だけど各自の性能が見た目を掻き消すくらいのインパクトがあるせいで全く活かせてない。

 

 カズマ君はダストの「いい女」発言に対して「お前の目についてるのは目玉じゃなくてビー玉かなんかなのか?」と言っており、アクア達はこの発言に多少のショックを受けていたようだった。私は始終笑ってたけど。

 

 結局カズマ君はキレたままの勢いで無理矢理ダストと自分の交換を成立させ、今日1日は別行動することになった。カズマ君が羨ましく感じた。ダストはこの街で散々クズだのなんだのと言われているが、カズマ君というツッコミのいないパーティーではもはや癒し成分と言ってもよかった。全員がぶっ飛んだ発言を素でするから質が悪い。

 

 カズマ君とダストの入れ替えということで、ダストにはカズマ君の役割であるリーダーを押し付けた。ダストはカズマ君がリーダーだったということに驚いていたが、些細なことなので気にしてはいけない。

 

 請けるクエストのことでいつものパーティーメンバーの意見の食い違いが起きていたが、ダストはこれを何とかまとめ、無難な討伐依頼を請けて草原に出た。その時点でもう日は高くなっていたが。

 

 ダストはまず私たちが使えるスキルについて質問してきたが、私は以前同じパーティーで依頼に行ったことがあるということで新たに追加されたスキル以外は伝えなかった。多分ダストも分かってたと思う。追加で、今回私は相当ヤバい状況にならないと介入しないことを告げておいた。ダストの頬が引きつったように見えたたけど、気のせいだね。

 

 私がこんな感じで言った理由は、まぁ普段のカズマ君の大変さを理解してもらうというのが目的の一つ。あとはそもそも私がカズマ君たちと行動ずることが少ないからなのだが、これで実質めぐみんとダスト以外有効な攻撃手段を持っていないことになる。頑張って欲しい。

 

 持っているスキルの紹介のときにもちろん事件は起きる。まずはめぐみんが初手で爆裂魔法の無駄撃ち。流石は爆裂狂と感心していると、爆音を聞きつけた初心者殺しが出てきた。ただの初心者殺しなのでこの時点では手出しをしない。

 

 初心者殺しを視認したダクネスは反射に近い反応速度で鎧も着ずに特攻。めぐみんは魔力切れで倒れているし、アクアは「初心者殺しを倒してカズマに私たちの実力を知らしめる」とか言ってこれまた特攻。ダストは一度にいろんなことが起きすぎて混乱していたが、何とか正気に戻り撤退の指示を出した。逃げれる人とかいないんだけどね。

 

 ダクネスとアクアがそれぞれ拳と杖で初心者殺しに突貫し、ダクネスが気絶、アクアが頭から齧りつかれており、めぐみんは行動不能、ダストは戦意喪失という阿鼻叫喚。

 

 流石にダクネス以外は初心者殺しに敵わないと思ったので、速攻で断頭。ダクネスは攻撃した初心者殺しが痛そうにしてたから死なないだろうけど、ダクネス以外の防御力は人並みなので全滅もありえたね。

 

 草原に出て2時間も経過していないのにパーティーが壊滅状態になったのでギルドへの帰還を決意。行動不能になっためぐみんをダストが抱え、気絶したダクネスは噛み跡が残ってるアクアに背負ってもらった。私は討伐対象だったイノシシを探して討伐しておいた。

 

 イノシシは日本でも猟師さんとか罠師さんが捕まえてるくらいなので説明はいらないと思う。突撃して来たところをステップで避けて腹側から斬りつけることで無力化と討伐は楽にできた。もしパーティーでイノシシ討伐まで辿り着けていたらダクネスが引きつけてダストとが攻撃、めぐみんは乱入してきたモンスターに魔法。アクアはバフと回復役だったろうに。

 

 この世界のイノシシの肉は獣臭がすごく、毛皮もあんまり人気が無いらしいので解体は断念してそのまま燃やした。イノシシ肉は日本にいた時に1度だけ食べたことがあるけど、歯ごたえとか結構好きだった。獣臭は結構あった。

 

 私がイノシシを討伐、焼却して街に戻ることにはかなり暗くなってしまっていた。移動時間がかなり長かったのが原因かな。ギルドではダストがカズマ君に縋りついていた。話の内容としてはダストが朝のことを全面的に謝罪し、元のパーティーに戻してほしいと懇願しているところだった。

 

 今回はカズマ君の重要度がよく分かる日でした。

 

 

五十五日目

 

 カズマ君が首ちょんぱされたという日から1週間。カズマ君が激しい運動ができるくらいには回復したそうなので明日はダンジョンに行くそうだ。ダンジョン内で爆裂魔法を使おうものなら崩壊するということで実質戦力外通告されためぐみんは猛反対したが、仲間になるときにその辺の事は伝えてあるので異議は受け付けられなかった。

 

 今回はカズマ君1人でダンジョンに潜るらしい。その間待機組の私たちが入り口で危険なモンスターの処理を行うと。暇になる未来しか見えない。本でも持っていこうかな。

 

 カズマ君がこんなことを言い始めたのはやっぱり私たちの負っている借金が原因だった。これまで何度も依頼を請け、その何割かをギルドが天引きする形で支払ってきているが、冬になると私以外は討伐依頼を受けにくくなるのでモンスターの生態があまり変わらないダンジョンで一攫千金を狙うらしい。

 

 こちらとしては待っている間暇と言うこと以外に反対意見もないので了承。今は日記を書く合間にゲイ・ボルグの手入れをしている所だ。なんか久しぶりに持ったらゲイ・ボルグが喜んでるような気がしたんだけど、やっぱり疲れてるのかな。今日は討伐依頼とかは受けずにゆっくりしてたんだけど、おかしいな。

 

 もしゲイ・ボルグに感情があるとして考えられるのは元々意思があるか後天的に、つまり付喪神的な感じでなんかが宿ったかなんだけど、神器、もしくは宝具に付喪神がついてたとしたら大変ですよ。これ以上のチート武器が強化されてたら使う機会とか本気でなくなりそう。

 

 明日は待機組としてダンジョンの前にいるように言われたので、適当な本を持っていくことにした。この世界のモンスターの生態とかがまとめられてる本なんだけど、ぱっとにではモンスターハンターシリーズのハンターノートのモンスターの絵見たいな感じかな?ドットではないけど、なんかドットぽいっていうか?日本でモンスターハンターシリーズをしてた人には結構懐かしい代物だと思うから見る機会があったら見てみることを推奨。ギルドで貸し出ししてるから買う必要もないしね。

 

 カズマ君に内緒でこっそりダンジョンに潜るっていうのも面白そうな気がする。

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