この槍使いに祝福を!   作:シンセイカツ

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影島奈々の記録(14)

五十六日目

 

 

 結局カズマ君に黙ってダンジョン侵入はしなかった。キールのダンジョンと言うおとぎ話にも登場する有名な初心者用ダンジョンだったからね。冒険者になってまだ2ヵ月も経過していない私は長年冒険者をやってい人から見ると十分新米の域だと思うけど、それでも私が入るには難易度が低すぎるので止めた。

 

 ダンジョン入り口の前でずっと待つことになるのかと出発直後は思っていたけど、なんと近くに立派な造りのログハウスが建ててあった。これはダンジョンに朝一で入る人たちが寝泊まりする用の避難所と言う名目で造られてるみたいだね。流石初心者用ダンジョン。待遇が結構いいね。わたしの初ダンジョンではクリスとダクネスと一緒に野宿だったのを思い出して少し懐かしい気持ちになった。せっかくなので、と待機はこのログハウスでさせてもらうことにした。

 

 ただ待機するのも暇だったので最近やっていなかったギルドカードの更新をすることにした。確か最後に確認したのはレベル28だった時だったけど、今のレベルは32になっていた。いろんなモンスターを狩ってきたから多少レベルが上がりにくくなってる?確か同じ転生者のミツルギ君が初対面の時にこれに近いレベルだった気がする。もう少し上だったかな?その後のデュラハンの印象が強すぎてよく覚えてないなぁ。

 

 スキルレベルがかなり余っていたので、加護のルーン、硬化のルーン(アルギス)遠見のルーン(ケーナズ)退去のルーン(エイワズ)を習得した。まぁ基本的に見た通りの効果だから説明とか不要だよね。退去ってのは分かりにくいけど、確か術ニキが正義の味方の矢を無力化してたからそんな感じで使えるんだろうね。多分。その辺から考えていくと相手にかかってるバフ効果とかを無効化するんじゃないかな?試してみないと分からないけど。

 

 これで私が使用できるルーンは探索のルーン(ベルカナ)火のルーン(アンサス)、加護のルーン、硬化のルーン(アルギス)遠見のルーン(ケーナズ)退去のルーン(エイワズ)の6種類だね。槍ニキを目指す以上ルーンとして使われてたのは全部習得したいけど、効果がよく分からないから手を出しにくいんだよね。

 

 とりあえず今回習得したルーンはすぐに試すことにした。硬化のルーンは鎧の金属部分の内側に、加護のルーンは服のちょうど隠れるぐらいの所にそれぞれ刻んでおいた。加護って基本神様に貰えるものだと勝手に思ってるんだけど、この世界だとどの神様に加護を貰えるんだろうね?邪神以外だったら誰でもいいんだけど。

 

 遠見のルーンは使ってみたところ目算で3~5キロくらい先がはっきり見えるくらいには拡大されたし、効果の強弱もできるみたいだから大助かり。これで偵察とかも近づかないでできるようになったからかなり便利。

 

 退去のルーンは特に使用する対象もいないから試せてない。予想が正しいならこの前攻めてきたデュラハンの鎧にかかってたとかいう加護も無効化できてたかもしれないと。多分レベル差のせいで抵抗されるだろうけど、試してみたかったなぁ。

 

 と、ここまでスキルの習得、試行、考察とやってみたけど、ログハウスでやったのは習得だけだったのでとんでもなく暇になった。カズマとアンデッド対策で一緒に入っていったアクアがダンジョンに入って1時間も経ってなかったと思う。しかも、持っていった本はすでに何度か読んで内容を大体覚えている物だった。寝て過ごそうにも生活リズムを崩したくないから寝れない。残った仲間と話そうとしたけど爆裂狂とドMしかいない上に2人とも忙しそうにしていたからこれも無理だった。流石にトリッパーに声をかける勇気は私にはない。ダクネスの被虐性癖にも爆裂魔法をいかにかっこいい姿勢で撃つかという爆裂道にも興味はなかったからしょうがない。

 

 というわけで狩りに出ることにした。ルーンの熟練度上げとレベル上げも兼ねて。何時間走り続けたかは定かではないけど、初めてみるモンスターはそんなにいなかった。少し新鮮だったのは白狼の群れに追いかけられたせいで鬼ごっこが始まってしまったことかな。最近初心者殺しとの鬼ごっこでは能力値の上昇がみられなくなったため初心者殺しよりも早く、数も多いモンスターとの鬼ごっこは燃えた。今度から定期的に白狼との鬼ごっこで速度強化スキルの熟練度上げでもしようかな?

 

 太陽が真上に上がってきたような気がしたので最初と比べて倍増した白狼の群れの殲滅に目的を切り替え、ケーナズでログハウスの位置を確認しながら帰ると、ちょうどカズマ君とアクアがログハウスに入っていくところだった。カズマ君の何をしていたのかという質問には新しいスキルを習得したので練習をしてきたと答えた。嘘ではない。

 

 カズマ君の後ろには泣いているアクアがいたので、何とか話を聞いて行くと、ダンジョンの中にはキールというこのダンジョンの創設者であるリッチーとその婚約者がおり、婚約者の方は未練の欠片もなく成仏していたらしい。それと、アクアの生命力が高すぎてアンデッドモンスターが生の気配に釣られて寄ってくることが分かったらしい。そういえばデュラハンの時もものすごい勢いで追いかけられてたものね。

 

 魔術師との逃避行はお嬢様の婚約者にとって幸せだったのかという私の何気ない呟きに反応したダクネスの言葉がやけに引っかかった気がした。魔術士キールの物語でも好きだったのか、そういう展開に憧れでもあるのか…。後者ならダクネスの以外に乙女な一面が分かって面白い気もする。前者はどうでもいい。

 

 

五十七日目

 

 

 いろいろ、複雑な過程を踏んではいるが、ついに、家を持つことができた。と言っても何かしら問題がある上、ほとんどがカズマ君の活躍で、私は金銭面の援助をしただけである。

 

 カズマ君がウィズさんの店に行って新しいスキルを教えてもらうと言っていたので、アクアの暴走を止める役として同行させてもらった。というか自制もできないって女神として結構やばいラインにいるよね?

 

 それはともかく、もはや行きつけの店になりかけているウィズさんの魔法具店に行くことになった。ちなみに私がいつも購入しているのはもちろん爆発ポーショーンシリーズの空気に触れたら爆発する系だ。結構いい値段だけど、モンスターの口に叩き込んだら効果抜群だからぜひ皆さんにも推奨したい。一番いいのは胃の中に入れることだけどね。

 

 ウィズさんを視認した途端に襲い掛かろうとするアクアを引っ掴んで制止すると、今度はお茶の催促をしたりとふてぶてしい女神をどうにかするのはそれなりに大変だった。

 

 カズマ君がウィズさんに教えてもらったスキルはドレインタッチ。触れた相手の魔力を吸い取る、吸い取った魔力を人に渡すなどの結構有用なスキルだった。アクアの膨大な魔力を吸い取ってめぐみんに渡せば爆裂魔法の2発や3発用意に撃てるようになる個もしれないというのだから凄いものだ。めぐみんからしたら連続で爆裂させるよりは大量の魔力を1度で消費して破壊力を上げる方がいいんだと思う。

 

あと、会話の自然な流れでウィズさんが魔王軍幹部であることが判明。かなり重要な情報なのにばらしてしまうウィズさんであったが、実は名前だけのなんちゃって幹部であるらしく、魔王から結界の維持に魔力を回してもらえれば商業でもなんでもしてもいいと言われたそうだ。魔王軍がホワイトっぽいね。この前街に苦情を言いに来たデュラハンとの面識は一応あるらしく、スカートの真下に首を転がしてくる程度の仲だったそうだ。騎士としても人間としてもアンデッドとしても最低である。多分男としても下の方にいるだろう。

 

 ちなみにウィズさんにぶっちゃけあのデュラハンなら本気出せば勝てるでしょ?という趣旨の質問をしたら無言で顔を逸らされた。勝てるんだろうなぁ…。

 

 話が逸れていってる。ドレインタッチの実演の対象として私が魔力を吸われることになったが、自分の中の活力的な物がじんわりと吸われていってる感じがした。採血で血を抜かれている感じと言ったら分かるだろうか。多分魔力所持量の少ない私のために気遣ってくれたのだろう。天使かな?アンデッドか。

 

 ドレインタッチをカズマ君が習得したところで、街の不動産屋さんがウィズさんに相談に来た。その相談というのが、屋敷に棲む悪霊の浄化である。聞けば少し前から空き家となっていた屋敷にどこから来たのか、大量の悪霊が住みつくようになり、浄化依頼を出してもキリがないそうだ。ここに浄化・除霊のスペシャリストであるアクアがいる私たちが浄化の依頼を代わりに受注。不動産屋さんがかなり良い人らしく、浄化が終わったら報酬として家無しの私たちに格安で屋敷を売るようにしてくれるそうだ。

 

 私たちは実質何もしないでいいようなものなので、あとはアクアに任せ■■■■■■(字が乱れていて解読不可)

 

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