この槍使いに祝福を!   作:シンセイカツ

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影島奈々の記録(4)

十七日目

 

 筋力は上げたくないが、仕事をしないと生活が不安定になるわけで…幸いまだ目立って筋肉が出てるわけでもないし、太るよりはましと考えることにした。

 

 今日請けた依頼は一撃熊の討伐。修行の最中に戦っているので戦い方は分かってはいるが、今回は長剣での討伐に挑戦した。危なそうだったら一旦逃げて奇襲気味に頭上から襲いかかって討伐、という案もあったが、さほど苦戦する事もなく倒せたのでボツ。ただ、戦闘中に熊の爪に引っかかって革鎧の肩の部分が飛ばされたのは自分でも油断しすぎだと思った。

 

 私の剣の腕がまだ未熟なせいで討伐に時間こそかかったが、予備動作などの観察は槍での戦闘の時にやっておいたので比較的簡単に倒せた。やはり脅威を感じる爪や腕に関しては筋を早急に斬ってから討伐するのが一番手っ取り早いだろう。うん、しっかりと考えて狩りができてる。ただ破壊するだけじゃもう脳筋だからね、しっかり頭も使わないと。

 

 そう考えると一撃必殺の日本人のチート武器ってどうなんだろう。武器の力に振り回されたらそのうち自分が最強だとか思い始めてしまうんじゃないだろうか。特に私の持ってるゲイ・ボルグなんて既に当たったという結果を残してから投擲する因果逆転の槍だし。なんというか、投げた、勝った。だとダメだと思うんだよね。うまく表せないけど。

 

 それはともかく、新しくデコイというスキルを習得した。文字通りの囮になるスキル。必要ポイントが少ない割に役立ちそうだったからこれから役立ててみようと思う。

 

 確かダクネスも同じスキルを習得していたらしいから、ナイト系の職業の人はみんな習得できるんだろう。ダクネスは自分を囮にして隙を作るというより自分が叩きのめされたいから習得したって感じだと思う。ドMだし。

 

 私がデコイを習得してから想定した使い方としては、いざパーティーを組んで冒険することになったときに相手を引き付ける役が必要になったら使うとか。私は重い鎧を付けるのは嫌だから俗に言う回避盾って言うのを目指そうかな。モンスターの注意を引き付けられるのは一対多の戦闘の練習になるかもというのが最初に思ったことだけど。

 

 ダクネスが私がデコイのスキルを取ったことを知ったときに同士を見る目を向けてきていたが、大変遺憾なのでやめてほしい。私はどちらかというと攻(乱雑に塗りつぶされて読めない)

 

 

十八日目

 

 今日は昨日の依頼中に破損した革鎧を武器屋さんに修理してもらうことにした。今は別の依頼が入っているので明後日になるらしいが、特に問題はない。当たらないようにすればいいだけだ。よく考えたら武器屋さんなのに装備の修復が出来るのはどういうことなんだろう。今度から武具屋さんとでも呼んだ方がいいのだろうか。…どうでもいいか。

 

 今日はいつかやったように観光をして時間をつぶした。前に見ることのできなかった店を探すのには苦労したので、面白そうな店は1軒しか見つけれなかった。

 

 ウィズ魔法具店という店で、若干顔色の悪いウィズという名前の女性が経営している魔法具専門の店だった。品揃は本当に商品を売る気があるのかと不安になるものだったが。冒険初心者の街で10万単位のポーションなど誰が買うのだろうか。爆発系統は扱いを間違えなければ便利そうではあるが。それにしても便利そうな効果に比例するようにデメリットがあるのはどうなんだろう。多分ウィズさんが回復ポーションとかの作り方を覚えて自分で作った方がいいと思う。

 

 ちなみにこの店が目についた理由は、一見産廃揃いの品の中に当たりがあることがあるからだ。さっきの爆発系のポーションなんてその最たる例だと思う。しっかり保存して、しかるべき時に使えば何とかなるんじゃないだろうか。

 

 ウィズさんと話をしていて分かったことだが、ウィズさんは以前魔法使いとして冒険者活動をしていたらしく、魔法の扱いは一流らしい。ただあくまでもアークウィザードとしての活動だったらしく、私の使うルーン魔術についてはよく分からないとのことだった。残念。

 

 なぜかルーン魔術の評価について気になってしまい、同じく魔法使いのリーンに意見を求めに行ってしまった。いきなり聞きに行ったので多分迷惑だったと思う。ごめんなさい。評価についてはよく分からないとのこと。若干分かってたことではあるけれど、ルーン魔術は浸透してないんだなって。効果とか結構万能な感じだし、詠唱がいらないから相手にどんな攻撃をするかも知られないんだけど、そもそも対人戦の方が少ないか。

 

 夜にギルドでジャイアントトードの唐揚げを食べながら思ったことだけど、カズマ君が冒険者というより土木工事のおじさんたちの生活に染まってる気がする。女神様もなにやってるんですか。まぁ異世界の暮らし方は自由だから口出しはしないけど…あとカズマ君ほんとゲーム強すぎ。勝てない。

 

 

十九日目

 

 今日からカズマ君達が討伐依頼に挑戦するらしい。なんでも今まで何の疑問も抱かずに労働していたらしい。とりあえず困ったことがあったら力になると言っておいた。苦笑いされたけど。やはり背か!背で年下と見られているのか!いいじゃない、身長147cmの19歳がいても!家が貧乏だったんです!

 

 じゃなかった。カズマ君はジャージにギルド支給の短剣装備、女神様は来た時の格好でジャイアントトードに挑んだらしい。結果は……。初心者殺しを討伐してきた帰りに通りかかった平原で、ジャイアントトードの粘液でヌルヌルの女神様と肩で息をするカズマ君を見つけた時の心境は文字に書き起こせないとだけ。

 

 近くに他のモンスターがいなかったのでそのまま一緒に帰る事にしたが、近くにジャイアントトードがいた上で私たちに気が付いていたらゲイ・ボルグの使用も考えていたと思う。なんというか、それほどまでにいたたまれなかった。

 

 ちなみに初心者殺しの長剣での討伐はすぐに終わった。どこかの亡霊の如き暗殺者、ぶっちゃけキングハサンのように首を断たせてもらった。長剣の扱いの練習もしたかったのだけど、最近なぜか初心者殺しの動きが遅く感じるようになってしまったのでそこまで回避、受け流しの練習ができなかった。今度からは速度アップ系のスキルの熟練度上げに付き合ってもらうとしよう。流石にまだ並走できるほどの速さは無いので、鬼ごっこ形式で競争しようと思う。私が追いかける方になるか追いかけられることになるかはまだ分からないが。

 

 話が脱線してしまった。カズマ君にお手伝いを頼まれたので、明日パーティーメンバーの募集の張り紙を出して貰うことにした。その時に正式にパーティーとして頑張ろうと思う。ただ私は面白そうな依頼があったらそれに行くと思うので、ずっと手伝うことはできないと言っておいた。というか救援要請がかなり速かった気がする。私の予想では1週間から2週間後くらいになると思っていたのだけど、まさか言ったその日になるとは…。

 

 カズマ君はどちらかというと司令官ポジションだと思うけど、女神様が予想以上にポンコツなので前線で働かないといけないらしい。まぁ、女神様がヌルヌルな時点で察したが、案の定ジャイアントトードに突撃をかましたらしい。素手で。流石に私も笑ってしまった。ジャイアントトードの肉はとんでもなく柔らかく、打撃攻撃は大体が受け流されてしまうのは周知の事実だと思っていたが、日本から来た上今までバイト漬けだったカズマ君が知らないのはともかくとして、女神様は知らなかったのかな?

 

 明日はカズマ君とパーティーを組んでの討伐になる。他にも人が来るかもしれないのであまり順序立てては行動できないけど、できる限りはカズマ君の技術を育てる感じでやろうと思う。ソースはヒャッハー師匠。




作者「何とか三千字越え」
友人「野菜収穫とかネタ提供してやったのに使わないとか…」
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