二十一日目
もうこの世界の常識についてツッコミを入れるのは止めようと思う。頭がおかしくなりそうな気しかしないから。というか単純にツッコミが追い付かない。
今日はカズマ君たちと予定を合わせるため、朝の討伐には出ずにギルドで昼食を摂った。今までが依頼漬けの生活だったせいで何もしていない時間がとてつもなく暇だった。この年でワーカーホリックにはなりたくないかな。というか単純に筋力の値が上がらないから願ったり叶ったり。最近、筋力の値が全体で二番目に高い知力の値に追いつきそうになっているのが本気でこわい。
食事の合間にカズマ君にスキルの習得の仕方を教えていると、ダクネスとクリスが声をかけてきた。クリスはダクネスの付き添いついでにスキルを教えに来たらしく、盗賊のスキルをオススメしていた。ダクネスは昨日の予想通り、パーティー加入希望だった。
冒険者という職業は相手にスキルを教えてもらう時に実演してもらう必要があるらしく、カズマ君とクリスは冒険者ギルドの裏に連れ立っていった。ダクネスはなぜかついて行ってた。帰ってくる間は暇だったが、アクアの披露する花鳥風月というスキルを鑑賞して楽しんだ。おひねりを断らなかったらかなり稼げると思う。もしやアクアは宴会芸の神様、もしくは大道芸の神様なんじゃないかな。
カズマ君は十分くらいで帰ってきた。無事?にスキルの習得ができたらしく、敵感知、潜伏、窃盗スキルを習得できたみたい。ただ、窃盗のスキルを使用した結果は幸運の値に左右されるらしく、カズマ君はなぜかクリスのパンツ下着を剥ぎ取ったらしい。なんでやねん。
めぐみんの「無事にスキルは覚えられたのですか?」という質問に答えるようにめぐみんにスキルを発動した結果、黒い下着を剥ぎ取う結果となった。めぐみんって、基本、服は赤と黒なんだね、下着も含めて。というか、見た目に似合わず大人っぽい下着でこっちが恥ずかしくなった。
下着を剥ぎ取ったカズマ君に対して憤慨する女性、を装うダクネスにアクアとめぐみんの興味の目が向き、ギルド内のテーブルで会議的なものが開かれた。ダクネスの職業がクルセイダーであることを確認したアクアとめぐみんはダクネスの加入に賛成意見を出したが、まぁ、ダクネスだし。ダクネスに唯一危機感を感じていたカズマ君によって今後の予定、魔王軍の討伐に挑戦するという演説が行われた。めぐみんとダクネスにプレッシャーを与えてみたところ、両方の琴線に触れる話題だったらしく、両方余計に張り切った。とりあえず、なぜ魔王にエロい目に遭わされるのが女騎士という相場が何故定まっているんだろうか。
この会議中、街中に緊急クエストの発令が宣言された。この緊急クエストが今日の疲労の9割を占めている。最悪。
クエストの内容はキャベツの収穫。この世界のキャベツは、収穫の時期になると食べられてたまるかと飛行するようになるらしい。というかキャベツに関わらず、この世界のすべての野菜は飛ぶ。さらに、キャベツを捕獲しようとする冒険者が近づくと、全力で抵抗する。というか、この生物(?)も一応敵対してるから何とか攻略方法を見つけようとしてしまった。これ職業病?
不本意ではあるけど、キャベツの対処法も書いておこうと思う。
キャベツの攻撃方法は体当たりしかないので、1個1個の動きをよく見て、なぜかあるゴマのような目の直線状に立たなければ普通に対処できる。ただ、キャベツの収穫になると、冒険者もキャベツも相当な数いるので、混戦になる。もうキャベツの群れに正面から飛び込んでいって適当に剣を振り回すのが一番数を稼げると思う。正直、キャベツの攻撃法、攻略法を考えるとか馬鹿馬鹿しすぎて頭痛くなる。
今年のキャベツは栄養価が高いらしく、1個1万エリスという値が付くらしい。普段はいくらなのかは知らないけど、周りの冒険者の様子を見る限りだと、かなりいい感じらしい。とりあえず、ゲイ・ボルグの投擲をしたら破裂→被害拡大という展開が目に見えたので、メイン武器になりかけている長剣を使ってキャベツの群れと踊ってきた。回収が面倒だったけど、戦っている最中は意識だけを意図的に飛ばして無意識状態で戦っていたので肉体的な疲労だけで済んだ。回収の時にキャベツの断面だらけでビックリしたのは内緒。
この収穫時にダクネスが奮闘していたらしく、流れでダクネスが仲間になることになった。カズマ君が物凄い顔をしていたけど、一応フォローいれておいた。
ダクネスの長所は強固さ。短所は極端なマゾヒズム、不器用。初めて会った時に遠慮なく盾役にしてくれて構わないと言っていたし、全力で盾になってもらおうと思う。本人が喜んでるし、いいよね。そういえばダクネスみたいな人のことをメイン盾っていうのかな?よく知らないけど。
二十二日
今日も一段と濃い日だった。カズマ君のパーティーに入ってから1日の疲労が辛いレベルになってきた。その分楽しいし、夜がぐっすり寝れるから別にいいんだけどね。
今日、というか昨日の出来事はそれなりに平和だった。日本から来たばっかりの頃だとそうは思わなかっただろうけど。もう慣れた。この世界の常識は私たちの非常識。
今日はカズマ君がイメチェンした。私は朝の鬼ごっこ~初心者殺し編~を昼時までやっていたので詳しい話の流れはよく分からないんだけど、どうやらカズマ君のレベルがキャベツを使った食事で上がったので、スキル習得と一緒に装備も買ったらしい。確かに、いつまでもジャージ姿だとファンタジー感ぶち壊しもいいところだろうしね。カズマ君は比較的軽装備にしたようだ。習得したスキルは片手剣と初級魔法。魔法を使う人の中で今までまともに役に立ってくれたのはリーンくらいの者だから、カズマ君には初級魔法である程度の活躍を期待したいと思いたい。初級魔法なら日常生活に役に立つ簡単な魔法が使えるんだったかな?
これでカスマ君が遊撃、アクアが回復、私とダクネスが前衛で壁。めぐみんが…とどめ?という結構いい感じのパーティーになった。私は遊撃も後衛もできるから臨機応変に対応できると思う。多分その辺は打合せしなくても大体が分かってくれると思う。アクア以外。カズマ君には是非ともアクアの保護者的な役割を期待しよう。
今日請けた依頼はアンデッドモンスターの討伐。なぜか共同墓地に出没するアンデッドモンスターを討伐して欲しいとのことだったが、結果的に失敗した。私の依頼達成率が100%にならなかったのは残念だけど、正直これはしょうがないと思う。
アンデッドモンスターの種類はゾンビ。戦っていないので対処法は分からないが、動きが遅いのでさっさと四肢を無力化して頭を破壊して浄化すればいいと思う。適当に書いているけど、とんでもなく眠いからだ。もう朝近いし。
墓地にいたモンスターはゾンビとリッチー、というかウィズさん。リッチーという種族は魔法が存在する世界ではかなり有名なモンスターだと思うので戦いたくは無かったけど、幸いウィズさんはかなりの人格者で、戦闘を好まないタイプだったので交渉の結果でなんとかなった。
詳細は眠いので省くけど、未練が残っている死者の魂を昇天させるために墓地に定期的に来ていたのだけど、ウィズさんの豊富な、豊富すぎる魔力に反応して形に残っている死体が這い出てくるそうな。なんで死体に未練が残ったまま、というか悪霊みたいな状態で埋葬するのかというと、この街のプリースト系の人たちは拝金主義。金を貰って仕事をする神官としてはどうなんだという感じの人が多いらしく、金が足りないから頼めない。みたいな人が仕方なくこの共同墓地に埋葬されているそうだ。悪霊滅ぼすべしみたいな人たちの集団、アクシズ教の元締めであるアクアをガン見した私は悪くないと思う。
というかもう朝日が昇り始めた。反比例して瞼が降り始(字が乱れていて読めない)