BLEACH✕プリキュアドリームスターズ〜 光の戦士と闇の魂魄〜 作:鈴木遥
・その日、浦原商店は珍しく定刻通りにオープンした。
「珍しいですな店長。お客様もいないのに早起きなど……。」
「テッサイさん、『その箱』、いつからそこにありました?」
浦原は、側にあった桃色の箱を指さした。
天辺は三角屋根に似たデザインで、どことなく少女玩具のドリームハウスを彷彿とさせる。
「はて?確か昨日棚卸しした時は、そんなモノなかった様な……。」
ここの住人は、浦原とテッサイ、ジン太と
「どなたかの忘れ物ですかな。しかしまた、なぜそんなモノに?」
浦原は返事をする前に、例のドリームハウスに近づいた。 なぜ、それほどまでにその箱を意識したのかと問われれば、答えるのは難しいだろう。
だが、何かを感じたことだけは間違いない。霊圧とも、ホロウの気配とも違う、何かを感じた。
「……っ!?」
浦原は突然顔を離した。
壁に尻もちを突いた。
少しのことでは物怖じしないはずの浦原が、このリアクションを見せたことで、その箱がただのオモチャではないことを示すのには十分だった。むしろ危険物であることを示していた。
「テッサイさん、悪いけど……それ、靜霊廷に届けといて下さい。」
所変わって尺魂界。
ある春の日のこと。涅マユリの研究室に、隊士が一人飛び込んできた。
「何かネ。 私は今忙しいのだがネ……?」
「恐れながら涅隊長! 浦原殿より、お荷物が……。」
「ちっ……あの男!分かった分かった。 後で見ておくから、そこに置いておいてさっさと行き給えヨ……。」
兵士が出て行ったあと、 マユリは助手を呼び出した。
「眠八號……ちょっとそれをいじってみろヨ。」
黒髪の少女、眠八號は、 何の疑いもなく、箱をいじり始める。
「マユリ様……コレ……」
そのとたん、眠八号が消えた。
声はもちろん、霊圧も、物理的な気配も消えてしまったのだ。
「コレがどうしたのかネ?最後まで……」
「!?」
マユリが振り返った。そしてその刹那、彼は足廷地蔵を抜くことになる。
時を同じくして、靜霊廷のトップ、京楽春水のもとに、 尸魂界始まって以来の珍客があった。
「それで、僕に用があるのかい?」
「はっ! 総隊長の激務の最中に大変恐縮ですが、尸魂界も巻き込みかねん凶事ゆえ、 参上仕りましたジャバ。」
「そう固くならず、のみなよ。結構イケるよ?」
「では、失敬して……。」
いちご山の妖精たちの長老は 人間体に戻ると 恐る恐る杯を手に取り ぐいっと一息に仰いだ。
「それで、状況は?」
「 現場にいる若い衆の話ですが、空座町といちご坂が 部分的に混同していると。そして地形的なつながりにのみならず いちご坂に虚が紛れ込んでいるとか……。」
「なるほど、上手くないねぇ。こちらとしても 隊長格をみんな出してあげたいんだけど……何分霊王の件で騒ぎがあってね。 あまり人手を裂けない状態なんだよね」
「 承知しておりますジャバ。こちらにも有能な戦士がおりますゆえ、虚の倒し方を教えていただければ、何より助かりますジャバ。」
「とはいっても…… あの化け物を女子中学生6人に任せるのは気が引けるな。手始めにルキアちゃんと旦那をいかせるから、少しでも助けになればね。霊王の件が片付いたら、隊長格を寄越すからさ。」
長老はふかぶかと頭を下げ、瀞霊廷を去っていった。
屋上に出た京楽は、まるでいちご坂の凶事を伝えるかのような、不穏な風を肌で感じとっていた。
「ユーハバッハの件が終わって、ようやく楽できると思ったのになあ……まだまだそっちに行けそうにないよ、浮竹……。」