なんかチート能力を持った三人がFT世界に殴りこむ話 作:アイソー
「痛ぇ……」
激痛と共に目を覚ますと、俺は森の中にいた。
服装も自分がさっきまで着ていたものとは違い、自分の体にも違和感を覚える。どうやら体も前世のものとは変わってしまったようだ。地味に背も縮んでいるし。鏡がないので顔は分からないが。
周りを見渡すと、あとの二人の姿は見当たらない。他の場所にいるのだろうか。
ともかくまずは自分の能力とやらを試してみようか。
「ザケル!」
俺が呪文を唱えると、手から雷が出て目の前にあった木を倒す。
おお、何か感動する。
威力はファウードで覚醒する前のガッシュくらいだが、放出方法はゼオンと一緒だ。呪文を唱えるたびに一瞬気絶するのは地味に厄介なので、こっちの方が助かる。
「ギコル!」
別の呪文を唱えると今度は手から氷の塊が発射される。これも原作では口から放出されていた筈だが、どうやら全て手からに変わっているようだ。
「ラシルド!」
「ジゲルド!」
「ザケルガ!」
「ラウザルク! ……ん?」
その後次々と呪文を試していくが、ラウザルクだけ発動しなかった。身体強化系だからだろうか?
「ドルク!」
試しに他の身体強化系の呪文を唱えるが、問題なく発動できた。発動した状態で木を殴ると、簡単に木が折れた。
ならば、呪文の威力の問題かもしれない。
「ギガノレイス!」
ドルクを解除し、別の中級呪文を唱えるが、これも発動しない。どうやら俺はまだ全魔物の初級レベルの呪文しか使えないようだ。
あと呪文を唱えると何かを消費するようだ。唱えただけなのに体が妙に疲れる。原作ではパートナーの心の力を使って魔物は呪文を発動していたが、俺も何かを消費している。FAIRY TAILの世界だし、魔力だろうか。
「ふーん。貴方は金色のガッシュの能力ってわけね」
いろいろと能力について試していると後ろから声をかけられた。
「ま、貴方三日前に読んでいたし、それに影響されたのかしら」
振り向くと一人の少女が立っていた。青の長い髪に長い袖の前が全開のコート。足裏と膝に棘がついた装備。
そしてなによりも、股間についている前貼りのような下着。てかほぼ丸出し。てか痴女。
「てかメルトリリス?」
俺の目の前にはFateシリーズのキャラクターのメルトリリスが立っていた。
FAIRY TAILには存在しないキャラなのでつまりは、そういう事なのだろう。
「ええ。確かにメルトリリスは私の好きなキャラだったけど、まさか私自身がなるなんてね……。確かに七万も使ったけど、まさかTSするなんて……」
このメルトリリスの中身は俺の友人だ。流石に公共の場でサーヴァント召喚の呪文を唱えられるような奴でも、TSしたのはメンタルに来たらしい。
「まぁいいわ。こんな完璧な体に生まれ変われたのだもの。感謝こそしても、不満なんか言っては罰が当たるわ」
しかしすぐに切り替えられたようだ。
口調といい、なんだかメルトリリスに引っ張られている印象を受ける。
「なぁ……なんかお前メルトリリスに引っ張られてないか? 女言葉も不自然なく使うし」
「そうね……正直『俺』だった部分が少ないような気がわ。実は『俺』の名前も貴方の名前も思い出せないし、今は『私』の方がしっくりきている。『俺』の記憶はわりと思い出せるのだけどもね」
どうやらこの友人は相当キャラクターに引っ張られてしまっているようだ。
しかしそこで俺も自分の名前も友人達の名前も思い出せない事に気が付いた。
「あら、どうやらあなたも引っ張られているようね。高嶺清麿に」
どうやら俺は金色のガッシュの主人公の一人、高嶺清麿になっているようだ。
思えばこんな異様事態でも冷静に能力を確認しているあたり、俺も清麿に引っ張られているようだ。
「まぁ貴方は元からツッコミ担当だし、顔芸もよくするからあんまり変わりないわね」
「いやいや、あんなレベルの顔芸した事ないから。それより後はあいつだけ――」
「どうやら待たせてしまったようだな」
再び後ろから声をかけられ、二人で声した方を向く。
そこには学ランのようなものを着た大男が立っていた。
「てか空条承太郎?」
完全にジョジョの奇妙な冒険の三部の主人公、空条承太郎だ。
これまた中身は友人なのだろう。きっとキャラクターに引っ張られてはいるだろうが。
「またあんまり前と変わらないわね……私なんか性別も変わっているのに」
「そこは運だろう。ちなみに俺の能力は全スタンド能力だ。まだ全部使えるわけではないがな……」
友人――承太郎の前にスタンド、スタープラチナが出現する。
どうやらスタンドはスタンド使い以外でも見えるようだ。てか全スタンドってチート過ぎない?
「私はFateキャラの全スキルと宝具の使用。ただ制約は私がFGOで持っていたサーヴァントだけっていう縛りね。おまけにまだ全員は使えないみたい」
そのまま友人――メルトリリスが自分の能力の説明を始める。
これまたえぐいチートだな。なんか自分の能力がちっぽけに思えてきた。
「俺は金色のガッシュ!! の魔物の全呪文だ。しかもまだ初級ぐらいしか使えない。なんか二人と比べると見劣りが凄いな」
「……答えを出す者(アンサートーカー)の能力は? 高嶺清麿は持っていたはずだが……」
「ないんじゃないか? 最低でも今は使えない」
ちなみに答えを出す者(アンサートーカー)は高嶺清麿が持っていた能力で、どのような状況、どのような問題に対しても答えが出せるという能力だ。問題を見れば頭に答えが浮かぶという、全国の受験生が欲しい能力だ
。
「ともかく今は方針を決めよう。まず名前なんだが、誰も思い出せないなら各自のキャラクターの名前を使おうと思うのだけど、どうだろ」
とりあえず、三人そろったので、これからの話を進めていく。
「そうね。それにこの体でメルトリリス以外を名乗りたくないわ」
「俺も異論はない。出来ればジョジョで頼む。次FAIRY TALEをきちんと読んだこと――」
こういった流れで話し合いは行われた。結果として決まった事、分かった事は以下の通りになった。
・誰もFAIRY TALEをきちんと読んだ事はない。しかもうろ覚え。
・妖精の尻尾に入るかは保留。
・自身の能力を鍛える事が必要。
・情報の入手が必要。原作の開始は784年?
・何より金が要る。
こうしてひとまずの方針が決まり、森を抜けて街に向かおうという話になった。
ちなみにジョジョのエアロスミスを先行させている。エアロスミスのレーダーなら人の密集している場所も近づけば分かる。
「そんな訳で街に向かっているのだが……メルト、足のやつどうにか出来ないか? 街だと目立つと思うんだけど」
「それもそうね」
半場諦め気味で言ったのだが、どうにか出来る手があったようで、メルトの足周辺が光り、光が収まると普通の足が現れた。靴もきちんと履いている。
「この世界でいう換装って魔法らしいわ。異空間からの武具を取り出したりしまったりする魔法で、使いたい英霊の宝具もこの魔法で取り出すの」
「確か原作ではエルザ・スカーレットが使っていたな……」
「へぇー、王の財宝みたいな感じか」
何気ない発言だったが、メルトは嫌そうに顔をしかめた。
「まぁそうね。……あの金ぴかと同じってそれはそれで嫌ね」
こいつは元々ギルガメッシュ結構好きだった筈だが、メルトの影響が相当強いようだ。性転換しているというのも影響が大きいのかもしれない。
「結局ガチャも当たってないし」
あ、根本はまだ平気そうだ。
「それにしても歩くだけって暇ね。何かハプニングでも起きないかしら……」
「平和でいいじゃないか。変な問題が起きたら面倒くさいぞ」
「それもそうなんだげど――」
「二人とも止まれ」
メルトと何気なく話していると、ジョジョから静止をくらった。
「エアロスミスのレーダーに反応があった。人が十五人この先で固まっている」
ジョジョがプロペラで浮いているスカウターのような装置を確認しながら話す。あれにはエアロスミスのレーダーで捉えた人の位置情報がのっている。
しかし十五人とはまた微妙な数だ。
「街や村ってわけではなさそうね。商隊かしら?」
「分からないが行ってみよう。何にせよ、人と話せる」
「おお? 何だ、ガキが三人もいるぞ?」
「アジトを見られて生きて返す訳にはいかねぇな」
「ヒヒ、運がないねぇ……この黒槌盗賊団のアジトを見ちまうなんてよぉ」
人の集団は盗賊団でした。剣やら槍やらで武装している薄汚れた男達が、掘立小屋からぞろぞろ出てくる。
「何と言うか……」
「テンプレだな」
なんというか、こんな絵に書いたような盗賊たちが実際にいるんだな。
「ま、こうなったら戦闘ね。まずは私にやらせて」
そう言ってメルトが前にでる。すると盗賊たちは一斉に笑い声を上げた。
「おじょうちゃん、なんだその恰好は! 痴女かよ!」
「色仕掛けするならもうちょい胸が欲しいな!」
「そんなんじゃ変態のおっさんしか喜ばねぇよ」
言われたい放題だな。流石に怒るかと思ったが、メルトは可哀想な物を見る目薄く笑う。
「あら、これは貞淑に隠しているのよ。美的感覚のないも愚図には分からないでしょうけど」
いや、俺らから見ても痴女だと思う。
そのままメルトはその場でクルクルと回転を始める。
すると先程のようにまた光が集まり始めた。
「換装:『貴方のためのプリマ(メルトリリス)』」
光が消えると、再び鋼鉄の棘が生えた具足を身に着けていた。
「臓腑を灼くセイレーン!」
そのまま近くにいた盗賊の飛び膝蹴りを食らわせる。盗賊は棘に貫かれ、そのまま吹き飛ばされた。
周りの盗賊たちは何が起こったか分からず茫然としていた。
「ふふふっ……アッハッハッハ!」
「な、何なんだこいつ!」
そのままメルトは笑い声を上げながら盗賊を蹴り、刻んでいく。戦闘というか、蹂躙だ。
「オラァ!」
「ガロン!」
「うぎゃぁ!」
更に遠距離からメルトを攻撃しようとする奴はジョジョのスタープラチナと俺に潰される。
盗賊十五人は、五分たらずで全滅した。
「お、覚えてろよ……ボスが帰ってくればお前らなんか――」
「あら、まだ喋れたの。じゃあいろいろ喋ってもらおうかしら。この国の名前は?」
「は? 何でそんなぎゃああああ!」
「質問の答えと悲鳴以外で口を開かないでちょうだい。……動けない相手を徹底的に甚振る……堪らないわね……」
「よし、ジョジョ。話を聞くのはメルトに任せて俺達は建物に何かないか探そう」
「……了解した」
ジョジョはメルトの所業に何か何か言いたげだが、あれには触れない方がいい。死ね事もないだろうし、相手も悪人だ。
……完全にあいつはメルトリリスになってしまったな。今やガチャが好きなメルトリリスって感じだ。
「汚いな」
小屋の中は非常に汚かった。酒の空き瓶はそこら中に転がっているし、武具も床に散乱している。
「あまり整理をしていないようだな……盗品も無造作に置かれている」
何やら金貨やらが入った箱が蓋が空きっぱなしで放置されていた。流石に無防備すぎる。
「とりあえず、何か情報がありそなものを探そう。新聞とか――」
「二人とも! 今すぐ小屋を離れなさい!」
外からメルトの声が響く。
入口も遠かったので、二人で壁を壊して外に出る。
そして小屋が吹き飛んだ。
「くそ、一体なんだ」
悪態をつきながら、小屋があった場所の前方を見ると、メルトと見知らぬ男が対峙していた。
「何者よ、あんた」
メルトの刺すような視線にも男はブレる事なく、不敵な笑みを浮かべる。
「ギヒッ。俺は鉄竜のガジルだ」
金色のガッシュ!! で「~ルク」とつくのは基本的に身体強化系です。
ガッシュの呪文はルールがきちんと決まっていて凄いです。