なんかチート能力を持った三人がFT世界に殴りこむ話   作:アイソー

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話はきちんと聞かないと後で痛い目を見る

「鉄竜の……ガジル……?」

 

 粉砕された小屋の破片がパラパラと落ちる中、俺達三人鉄竜のガジルと名乗った男と向かい合った。

 いきなり攻撃されこちらは警戒し、向こうはただニヤニヤと笑う。次に何が起きるか分からない状況だ。

 

 

 

 

 

 

 

「……何かこいつ見た事あるんだけど……原作キャラか?」

 

 緊迫した空気ではあったが、俺にはどうもこいつに見覚えがあった。小声で二人にだけ聞こえるように確認する。

 

 

「さあ? 私原作キャラは可愛いキャラしかまともに覚えてないもの。多分貴方の方がちゃんと読んでいるわよ」

 

「俺もちゃんと読んだっていうか、アニメで見たのは呪われた島とかの辺りまでだからなぁ……」

 

 メルトはなんなら原作をもともに知らないようだ。

 俺も途中までしか見てないのであまり知らない。こいつに見覚えがあるのも、本屋の置いてある表紙でこんな奴いたかな、ぐらいの認識だ。

 

 

「使えないわね……それでもオタク?」

 

「自分も分かってなかったじゃねぇか」

 

「私は可愛い女の子愛でれればそれで良かったから」

 

「その恰好で言うと、なんか変態度が増すな……」

 

 

 

「鉄竜のガジル……確か妖精の尻尾に入っている、物語の主要キャラだ。主人公と同じ種類の魔法、滅竜魔法が使える」

 

 俺とメルトでグダグダな話をしていると、ジョジョが解説を入れてくれた。一番原作を読んでいたので頼りになる。曖昧な部分も多らしいが、俺とメルトよりマシだ。

 

 

「超メインキャラじゃない。どうするの? ここで戦うの?」

 

「……向こうは逃がしてくれそうな雰囲気はないがな……」

 

 ジョジョの言葉で改めて見ると、ガジルは好戦的な目でこちらを見ていて、一挙一同にも反応している。

 多分逃げるそぶりを見せれば、すぐさまに攻撃が来る。

 

 

「鉄竜のガジルって言ったか……何で俺達を攻撃する? お前もこの盗賊団の仲間か?」

 

 とりあえずガジルの事は知らないという事で話を進める。それにしても俺達の会話良く待っててくれたな。

 

 

「あ? 違ぇよ。俺はただギルドでこの盗賊団を潰す依頼を受けてきただけだ。それでここのボスをシメてアジトの場所を聞いて来ただけだ。てかお前らが盗賊なんじゃねぇのか?」

 

 話を聞く限り、どうやら誤解があったようだ。ガジルは俺達が盗賊団の一味だと思っているらしい。

 こらなら話し合いで解決できる。

 

 

「それなら俺達は戦う――」

 

「まぁお前らが盗賊だろうとそうでなかろうとどうでもいいんだよ、この際」

 

「いや、でも――」

 

「さっき戦った盗賊のボスが雑魚過ぎて消化不良なんだよ」

 

 あれ? なんか不穏な空気。

 説明を何も聞いて貰えない。しかもガジルの目がどんどんギラギラしてきてる。

 

 え? もしかして戦闘狂よりな人?

 

 

 

「だから遊ぼうぜ。鉄竜棍!」

 

 案の定、ガジルは俺達を攻撃してきた。

 腕を鉄の棒に変え、こちらに猛スピードで突っ込んでくる。

 

「セウシル!」

 

 咄嗟に防御呪文を唱えると、俺達の周囲を光のドームが包み込んだ。

 セウシルはそれなりの防御力はあるし、周囲全体を防げる良い防御呪文だ。

 

 

「ギヒッ」

 

「ウソだろ!」

 

 しかしガジルの攻撃が当たると、一瞬拮抗したがすぐにセウシルが砕けた。

 ガジルの攻撃力は相当なもののようだ。食らうのはマズい。

 

 

「まかせろ」

 

 一瞬拮抗した間に、ジョジョが前に出る。そしてガジルの目の前に立ちはだかった。

 

「20th センチュリー・ボーイ」

 

 ガジルの攻撃が当たる瞬間、ジョジョはマスクと肩当が一体化したようなスタンドをかぶる。

 

「あ?」

 

 そのままガジルの攻撃が当たるが、ジョジョは微動だにしない。

 

 確かあれは完全防御のスタンドだ。かぶっている間は衝撃を地面に伝え、一切のダメージを負わなくなる。ただデメリットとして身動きがとれなくなるが、仲間がいる今なら問題ない。

 

 

「ザケルガ!」

 

「踵の名は魔剣ジゼル!」

 

 俺が少し強めの電撃を放ち、メルトも足から衝撃波を飛ばして遠距離から攻撃する。

 

「ラドム!」

 

 最後に俺が爆発する光弾を放ち、爆炎が起こった隙に距離をとる。ジョジョもスタンドを解除して離れたようだ。

 

 

 しかし、この程度でやられたら、世話はないだろう。

 

「鋼鉄の鱗は全ての攻撃を無力化する」

 

 煙が晴れると、全身が鉄の鱗に覆われたガジルが現れた。今の攻撃でも傷一つない。

 

 

「面白い魔法使うが……威力が足らねぇな。まるで蠅みてぇだ」

 

 やはり初級呪文では圧倒的に火力が立ちない。せめて中級呪文が使えればいいのだが。

 

 

 ……いや、一つあいつに有効な呪文があった。

 

 

「そんなに痛い一撃が欲しいなら、くれてやるわよ」

 

 挑発に乗ったメルトが、不機嫌そうにその場で回転し、また光が集まる。

 

 

「換装:『恋を知った少女(パッションリップ)』」

 

 足の具足が消え、今度は両手に巨大なかぎ爪が現れた。その巨大さは人を軽く包み込める程だ。

 今メルトはかぎ爪で体を支える状態で、足は完全に宙に浮いている。

 

 これはメルトリリスの姉妹、パッションリップの装備だ。強力な怪力とZカップ越えの胸を持つ怪物みたいな少女。

 メルト自身の姿は変わっていないので、使いたい英雄の装備だけを身に着けるらしい。

 

 

 確かにこの装備なら、ガジルにダメージを食らわせる事が出来るだろう。

 スピードが遅い事が欠点だが、それなら俺の有効な呪文が役に立つ。

 

 

「凄い武器だがそれだけデカいのをちゃんと当てられるのか?」

 

「それは俺がカバーする。ジケルド!」

 

 呪文を唱えるとスピードの遅い光球が手から発射された。

 

「あ? こんなの当たる訳ないだろが。くだらねぇ」

 

 ガジルはジケルドをを簡単に避ける。

 だがこの呪文は対象に当てる必要がない。ジケルドの光球は萎み、とうとう消えた。

 

「は? な、何だこれは?!」

 

 そしてその瞬間、ガジルが宙に浮いた。そして引き寄せられるように急速にメルトに向かっていく。

 

 

「あれって……対象を磁石に変える呪文だっけ?」

 

「そうだ。今はメルトを磁石に変えたから、鉄の皮膚のあいつは何もしないでもこっちに突っ込んでくる」

 

「チッ! なら皮膚を解除するだけ――出来ない!?」

 

会話を聞いていたガジルが鉄の皮膚を解除しようとしているが、出来ないようだ。正確に出来てはいるのだが、解除した側からすぐに鉄の皮膚に戻っている。

 

「スタンド、メタリカ……鉄を操れるのはお前だけではない」

 

ナイス、ジョジョ。

そのままガジルはメルトの射程圏まで近づいた。

 

 

「吹き飛びなさい! ヨカナーンを籠に!」

 

「グハッ!」

 

メルトのかぎ爪に凪ぎ払われ、ガジルが吹き飛んでいく。そのままいくつも木を折りながら、ガジルは森の奥に消えた。

鉄の皮膚があるので死にはしないだろうが、大ダメージは免れない筈だ。

 

 

 

「しかし、原作キャラに手を出してしまったけど、大丈夫か? 面倒な事に巻き困らないといいんだが……」

 

確か妖精の尻尾って仲間意識が強いから、下手に手を出すと危なかったような気がしたんだよな。

そしたらあっちから手を出したって本当の事を伝えて、なんとか納得してもらうしか――。

 

「まぁ、成るようにしか成らないわよ。考えすぎても……あら? 雨かしら?」

 

ごちゃごちゃ考えていると、メルトにそう締め括られた。確かに考えすぎもよくないが、行き当たりばったりも危ないと思う。

 

しかし、急に雨が降りだした。

さっきまで晴れだったのだが、わりと本降りの雨が降っている。ちょっと不自然だ。

 

 

 

 

 

「しんしんと……」

 

急な雨に驚いていると、ガジルの吹っ飛ばされた方から一人の女性が歩いてきた。

 

傘と青いロシア系の服を着て、胸にはてるてる坊主が付いている。これまた見覚えがあるような、ないような……。

 

 

「ジュビアね。彼女も原作の主要キャラで、妖精の尻尾よ。確か水の魔法を使ってた気がするわ。ちなみにヤンデレ系よ」

 

「本当に女子は結構覚えてるんだな……」

 

女子の情報はガンガン出るな、メルトは。

 

それにしてもこの場にいるという事は、ガジルと一緒に依頼を受けていたのだろうか。だとするとガジルを倒した事で、このままジュビアに誤解を与える可能性がある。

最悪、このまま連戦になりかねない。

 

 

「ジュビアは雨女。貴方達ね? ガジル君にあれだけダメージを与えたのは」

 

早速突っ込んできた。しかし感情が読み取りにくい目をしているな。

怒っているかも判別が出来ない。

 

「そうなんだが、実は――」

 

「言わなくても分かるわ。大方、ガジル君が貴方達に喧嘩を吹っ掛けて、返り討ちにあったのでしょう? 同じギルドのメンバーとして彼の蛮行を謝るわ」

 

こいつ、一部始終を見ていたのだろうか。状況の把握が完璧過ぎだろ。

いや、ガジルがいつも同じような事をするから、簡単に予測が出来たのか。

 

 

「その通りよ。それで貴方は私達をどうするつもりなのかしら? あの鉄臭い男の仇討ちでもする?」

 

メルト。挑発止めて。

 

メルトの言葉にジュビアは眉がピクリと動いたが、特に攻撃はされなかった。良かった、冷静な子で。

 

 

「……いえ、そのつもりはないわ。ガジル君の場合は自業自得だろうし、それに彼は頑丈だもの。それよりジュビアとしては一つ言っておかないといけない事があるわ」

 

「言っておく事?」

 

 

 

 

「貴方達、三人、私達のギルドに入らないかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュビアが言うには、ギルドのマスターが今強い魔導師を探しているらしい。それで仕事に行くギルドメンバーは全員強い魔導師がいたら声をかける事が義務づけられているとの事だ。

 

そういった事で、三人がかりとはいえギルドでも相当高い実力を持っているガジルを倒した俺たちに声をかけたらしい。

 

ちなみにガジルはダメージを負ってはいたが、ピンピンしていた。怪物かあいつは。

 

 

それで勧誘を受けた俺達だが相談の結果、妖精の尻尾に入る事にした。

どうせなら物語を間近で体感したいし、何よりも生きていくには金がいる。

 

ギルドなんて簡単に入れないだろうし、この勧誘は渡りに舟だ。メルトは原作の女子に会えると喜んでいたが。

 

 

 

という訳でガジルとジュビアに案内され、ギルドに向かう。意外と近いかったようで、半日もしないでついた。

途中ガジルからは睨まれ、メルトも挑発し、いつ喧嘩が起こってもおかしくなかったが、なんとかギルドが視認出来る距離まで近づいた。

 

 

しかし、いざ目で見ると、ギルドが思っていたよりもデカイ。まるで城のようだ。

ジョジョも何か違和感を感じているらしく、何かジュビアと話している。

「……知っているギルドの外装と違うのだが、こんな形だったか?」

 

「ここは支部。貴方が言っているのはおそらく本部」

 

 

そんな違和感を残しながら、五人でギルドまで向かう。

 

 

 

 

そしてギルドの入口まで行った時、その違和感の正体に気がついた。正確には、入口の看板を見て気がついた、

 

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「? どうしたのかしら、三人とも。急に口を開けて固まって」

 

「なぁジュビア……聞き忘れていたが、お前達のギルドの名前って……」

 

「……そういえばまだ言ってなかったわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『幽鬼の支配』よ。ようこそ」

 

 

看板には『FAIRY TAIL』ではなく、『PHANTOM LORD』と書かれていた。




ジュビア→ファントムは有名で、ジュビア、ガジル共に名前が知れているので、質問もないので分かっていると思ってた。

三人→誰もファントム編読んでおらず、ジュビア、ガジルが妖精の尻尾という情報だけ知っていた。

\(^o^)/
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