最低系ちうたん魔改造物   作:hotice

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2話

 バイブの口から衝撃的な話が飛び出て1時間が過ぎた。

 そもそもバイブが話すことが衝撃的なんだが、まあそこは気にしちゃいけない。気にするだけ無駄という奴だ。私は直ぐに察した。

 とにかくこいつからはポロポロと核爆発級の事実が飛び出してくるので、一時間前の私は処理することを諦めたのだ。そして今の私は突っ込むことを諦めた。

 

 「で、お前の話を纏めるとだな。

 まずそもそもこの世界には魔法とかそういった超常の能力を使う奴がいる。そんでそいつらは一般人にはばれない様に暮らしている」

 「うんそうだよ。特にこの麻帆良はその魔法使いの為の都市だしね」

 

 初っ端でこれである。

 そして、麻帆良の魔法使い達は一つの大きな魔法をこの麻帆良という土地にかけているのだ。

 それこそが、認識誤認の魔法。科学知識から、常識からはみ出た超常の力を見ても疑問に思わなくなる魔法。

 私はたまたまその魔法の影響を受けなかった。おかしな物をおかしいと認識することが出来てしまった。

 そのせいで私は数年間苦しむことになった。

 まあでも魔法使いを責めることも出来ない。魔法使いが十全にその力を振るうには確かに認識誤認の魔法は必要なのだろうし、魔法という力を公にするべきものでないのも理解できる。

 そうして生まれた魔法使いの多数存在する学術研究都市という価値は、とても大きいのだと素人の自分にでも分かる。実際麻帆良の技術とかは明らかに外より進んだものがあるというのは事実なのだ。

 

 しかし私の数年の悩みは一体何だったのか。

 まあ私の常識は間違っていなかったというのは一つ喜ばしいことなのだが、あまりにもあっさりと真相が分かって拍子抜けといった感じがする。

 

 これだけでもう疲れてベッドに倒れ込みたい気分なのだが、悲しいことにこれはまだ序の口なのだ。

 

 「あ、そうだ。ご主人、一つ言い忘れてたんだけど」

 「ご主人はやめろ。バイブにご主人って呼ばれるとか死にたくなるわ。

 で、言い忘れた事ってのは?」

 「いやさっき言った認識誤認の魔法なんですけどね?

 あれの効果は有り得ない物事を見ても疑問に思わないっていう効果なんですよ。だから物理法則的に起こりうると思った物事には効かないんですよね。

 

 つまり何が言いたいかっていうと、外で露出オ○ニーしたら普通に痴女扱いされるので気を付けてくださいね?するなら僕に言っていただければきちんと認識阻害の方の魔法を張らせてもr・・・」

 「しないって言ってんだろうがぁ!!!!」

 

 バイブを掴んで投げ飛ばす。勿論全力でだ。

 壁に当たって大きな音を立てるが、どうやらこの部屋は多少の物音なら外には聞こえないようになっているらしいので大丈夫だ。無駄に高度な技術が使われてるけれども、そもそもこいつが凄まじい無駄な技術の塊なのでスルーする。

 なまじ麻帆良で磨いたスルー力は伊達ではないのだ。麻帆良もこいつもいちいち気にしていたら胃が持たない。

 

 「で、でも結構人気だったんですよ?認識阻害露出オ○ニーって。

 特に普段大人しめで、家とか周囲から抑圧されてる様な子とか一回やるとそりゃあもうすんごいプレイをだね・・・・」

 「詳しく話してんじゃねーよ!やんねーからな!」

 

 こいつ女子中学生になんちゅー話を吹っ掛けてきやがる・・・・!

 やめろ、なんかそういう話を聞くと同級生の宮崎とかそういう目で見ちゃうだろ!

 

 いや、別に決して宮崎をむっつりだと思っている訳ではない。・・・・ないんだけどな?

 ただ普段大人しいのに、何かしらの一線を越えると覚醒しそうなタイプだと傍目から見て勝手に思っているだけだ。

 

 「おい、とりあえずそんなことはどうでもいいんだ。話の続きだ、続き。

 そんでもって全人類を夢に引き摺り込んで救済しようとする如何にもなラスボス野郎。未来からやってきて全世界に魔法の存在を周知させた結果世界大戦を勃発させる迷惑野郎。

 さらに国一つに匹敵する程の化け物を召喚して操ろうとするテロリスト野郎の3つが特に厄介なクソ野郎ども、と」

 「少なくとも近い世界線を何百個か観測してみたけれど、世界かあるいは日本が滅びるのは大体その3つが原因だね」

 

 バイブがさらりと溢す絶望的な言葉に、思わずため息をつきながらベッドに倒れ込む。

 本当にどうしたらいいのだろうか、これは。ただの女子中学生にどうにか出来るとは全くもって思えないのだが。

 

 「おい、お前超高性能ならなんとか出来ないのかよ」

 

 正直忌々しいが、私の希望の目はこいつしかいない。

 何やらさっきからワードだけでやばそうな能力をぽろぽろ溢してるのだ。なんとかなるのではないだろうか、いやなんとかしろ。

 そんな思いを込めてバイブを見つめると、予想外の言葉が返ってきた。

 

 「出来ますよ?」

 「何!?なら問題ないじゃねーか!」

 

 思わずベッドから起き上がる。なんだよこいつ、ビビらせやがって。

 

 けれど飄々とそいつは話し続ける。

 

 「まああなた一人を別世界に送り込んだり、ある程度の土地を完全に世界から隔離する程度なら余裕ですからねー。

 少なくともあなたの万全とオ○ニーを保証するという意味でならやり方はいくらでもあります」

 「っ・・・・・!」

 

 自身とこいつとの「なんとかなる」という状況の差に言葉を失う。

 確かに私一人ならばなんとかなるのだろう。少なくとも自分一人が逃れるだけならばハードルはぐっと下がる。

 でもそれは嫌だ。地元には大好きな家族がいる。同級生の奴だって好きではないけれど、でも死んでもいいと思うほど見殺しに出来る程嫌いじゃあない。

 それに犠牲は出来るだけ少ない方がいいだろう。私にもそれくらいの良心はある。

 

 「いや、そうじゃなくて事件の解決っていうのは出来ないのか?」

 「う~ん、そうだね。程度によるとしか言えないね。

 ぶっちゃけると僕個人でも後の二人は解決できるんですよね。二つ目は未来人のアドバンテージがあるだけで所詮個人、最後も組織の内乱でしかないからね。

 その上で僕に匹敵する程の戦闘力も持ってない。特に問題はないんです。

 

 けれど最初の奴に関してはちょっときついかなぁというのが本音です。まず単純に"造物主"っていう黒幕が強い。まあ一対一でなら勝率は2,3割ってとこなんだけど。

 でもあいつは自身で生み出した人形による勢力があるんだよね。それを考えると最終的には勝率は1割を切るだろうね」

 「1割・・・・・」 

 「まあ僕個人でならという話ですがね」

 「・・・何か味方でもいるのか?」

 「いませんけど?」 

 

 まあバイブに味方なんている訳ないわな。

 いても精々ローターとかそんなんだろうし。うん、いない方がいいな。

 そんなことになったらその内部屋が喋るあれな玩具で埋まりそうだ。発狂物である。

 

 「・・・・・で。どうしたらいいんだよ、これ」

 

 現実逃避をしても結果は変わらない。

 けれどさらに恐ろしい言葉が聞こえてくる。 

 

 「まあもし仮に勝ったとしても10年後には世界大戦は起こるんですよねぇ」

 「は・・・・?」

 「いや、さっきの"造物主"も未来人も事件を起こす原因は、火星の魔力枯渇による魔法世界の崩壊とそれによる魔法世界と現実世界の世界間大戦なんですよね。

 ぶっちゃけ二人を倒してもその辺の問題は残ったままですから。それこそ数十億人が生き残るためにどんだけ犠牲が出ても終わらない地獄の戦争の始まりです。

 終わる頃には人口が元の2割を切るくらいには世界中ぼろぼろになりますからね。残念ながら日本も巻き込まれちゃいます」

 

 余りにもな言葉に頭の中が真っ白に染まる。言葉をかみ砕こうとして、余りの苦さに吐き出したくなる。

 手が震え、目の焦点が定まらない。心臓はバクバクと音を立てて血液を送っているのに、体はドンドンと冷たくなっていく。

 

 なんだよ、それ。そんなの、本当にどうしろっていうんだよ。どうあがいても戦争は起こるのかよ!

 もはやそんなもの、どうしようもないではないか!!

 ただの一介の中学生にどうにか出来る範囲などとうに超えてしまっている。 

 

 「まあまあ落ち着いてくださいって」

 

 卑猥物の声が頭の中にスルっと入ってくる。それと同時に体が謎の光に包まれ、思考が冷静になっていく。

 これは精神を安定させる魔法だろうか。

 

 「確かにバイブでありながら、安心快適のオ○ニーライフを提供できないことはとても恥ずかしいです。

 けれども、別にどうにも出来ない訳じゃないんですよ。

 

 実はこの問題を解決できる可能性を持った人がいるんです。まあこの世界線周辺だと失敗する訳なんですが、いくつかの要点さえ越えてしまえばまず8,9割世界救えるんで」

 「ほ、本当か!?」

 「ええ。その為には千雨さんにも多少の協力をお願いせざるを得ないのが心苦しい所なんですけれど」

 「それくらい構わねえよ!

 正直ただの中学生に出来ることなんてたかが知れてるけどな。それでも世界を救えるのなら何だってやってやるさ」

 「いえいえ、結構千雨さんは重要なんですよ。

 なんたって、世界を救うその人物は今年の3学期からやってくるあなたのクラスの担任なんですから」

 「え?」

 「あ、後ちなみにその子10歳です」

 

 「・・・・・・は?」

 




ネタの少ない説明回になって申し訳ないゾ。

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