最低系ちうたん魔改造物   作:hotice

6 / 9
前回の予告通り今回かなり最低だゾ。
ついにちうたん魔改造編です。


6話

 期末試験を一週間後に控えた今、クラスは阿鼻叫喚とした状況になって・・・はいなかった。

 そもそもエスカレーター式で高校に上がれるここでそこまで本気で勉強しようとする奴はまずいない。それでも少しばかりテンションは低くはなっているが。

 

 そうした中でネギにお願いがあるとの事で一人呼び出されたのだ。

 どうやら親父さん関係の事らしい。この間の武道会辺りから何か色々と悩んでいたっぽいが一つ決心はついたってことか。

 

 放課後待ち合わせの屋上に行くとネギは既にそこにいた。

 言葉を掛けようとした時ネギと視線が交差する。その目の色に、思わず背筋に痺れが走った。

 覚悟の色だった。自身の生涯、たった10年でしかなくともそれを重しにした決意。

 多分これはネギの一生を決めうる問題なのだった。

 

 そういうシリアスなのは苦手なんだけどなぁ。

 

 「千雨さん。わざわざ来ていただいてありがとうございます。

 本当ならばこんなことを相談するのは筋違いなのかもしれないんですけれど、でも千雨さんには話しておきたくて。きっとそうじゃなかったら僕は未だにどこか迷っていましたから。

 

 お願いします。千雨さん。どうか僕と一緒に魔法世界に来てくれませんか?そこで父親を捜したいのです。

 勿論父親に会いたいという気持ちもあります。恐らく血のつながった唯一の家族ですから。憧れの前に寂しいという気持ちがあったのだと今の僕ならば分かります。

 

 でも、決してそれだけじゃないんです。僕が、ネギ・スプリングフィールドが前に進むためにはもう一度だけお父さんに会って話をしなければならないんです。

 あの雪の日の決着をつけないといけないんです。僕の原点はどうしようもなくあの日なんです。

 そして僕はこの心に抱いた憧れをきちんと形にすることもしなければならない。漠然としたままじゃ()()()()()()()()()()()()()

 

 そう言ってネギはにやりと笑った。目は未だに鋼色の光を放っていて、笑う顔はどこか野生らしさを感じさせる。

 いつものほんわかしたネギからは全く想像のつかない姿がそこにはあった。

 

 そして、それ以上にネギの言葉が耳に残る。

 父親を超える。恐らく今までのネギならばそんな言葉は決して口にはしなかっただろう。

 あれ程必死に父親の背中を追っていたのに。まるで迷子になった子供がなんとか遠くに親の姿を見つけた時のようにだ。

 

 ネギも自覚はあるのだろうか。私の戸惑いに気付いたように苦笑いする。

 

 「あはは、まあ似合ってないのは分かってるんですけどね。でも間違いのない本心なんです。

 あんまりこう言うことを話すのは恥ずかしいんですけど、多分僕が父さんに憧れていた一番の理由は皆が僕を父さんの息子として見ていたからなんです。

 だから認められたくて僕は必死に父さんみたいになろうとしていました。

 

 でもそれはもういいんです。この前千雨さんが僕を叱ってくれた時に、僕以上に僕の為に怒ってくれた時に、ああ自分は自分でいいんだと思えました。

 自分には3-Aの皆が居るんだと言われたときに、僕は寂しさを手放すことが出来ました。

 あなたがあの日のことを自分のせいじゃないと言ってくれた時、僕は自分の闇を見つめなおすことが出来ました。

 

 

 僕はもう大丈夫なんです、千雨さん。あなたがいて、そして3-Aの皆さんがいてくれるのなら。

 だから今度は僕が認めさせてやるんです。皆が父さんの息子として見るのならば、父さんを超えてしまえばいいんです。

 ナギ・スプリングフィールドではなく、ネギ・スプリングフィールドだと言うことを示してやりますから。

 村の皆もいつか治して見せます。そうじゃなきゃお父さんを超えられませんから。

 

 だからどうかお願いします。僕と一緒に父さんを探す事に、そして父さんを超える事に協力してください!」

 

 ネギが深々と頭を下げる。

 そっか、父さんを超えるのか。世界を一つ救った英雄を超えるのか。

 全く、それを超えようと思ったら現実世界と魔法世界、この二つを救わないといけないぞ?

 

 しかもお前そんなことに協力したら私の平凡で平穏な人生がめちゃくちゃになるだろうが。私は省エネな人生を送るつもりだったんだがなぁ。

 はあ、全く・・・。

 

 「しょうがねぇな・・・。最後まできちんと見届けてやるよ、ネギ」

 

 

 

 「で、話ってなんだ?このクソバイブ」

 

 部屋に帰ってきて早々同じくバイブからも話があると言われてしまった。

 今日は色々と疲れたし、ゆっくりゲームしたいんだが?

 

 「あの、千雨さん。ネギ君と僕とでちょっと態度の差が酷すぎないですか?」

 

 うるせぇ、お前相手なんてこんなもんで十分だろうが。

 いいからとっとと要件を話せ。要件を。

 

 「ひ、ひどい。千雨さん修学旅行辺りからほんとに対応が適当になってますよ。

 最早前回なんて僕のセクハラ発言全カットじゃないですか。スルーならまだしもカットって。描写すら存在しないなんて。

 おかげで前回の僕普通の便利なお役立ちグッズですよ。僕のキャラの全否定ですよ」

 

 黙れ、何いきなりメタっぽい事言ってんだよ。

 大体お前がセクハラ発言しかしないのが悪いんだよ。お前スケベ親父でももうちょいまともな会話するわ。

 そんなに連呼されればいやでも慣れるし、反応返すのも面倒くさくなるんだよ。

 

 「うう、ご主人が図太くなってしまったことを喜ぶべきなのか悲しむべきなのか・・・・。

 こんなにも私めが尽くしているというのに。この塩対応・・・」

 

 バイブがよよよと泣き崩れるがスルーする。

 無駄に涙を流すな。どこから出てんだその涙。

 

 大体お前そんなに大して働いて・・・・あれ?

 ・・・・・・・働いてるな。

 正直かなり働いてくれてるわ。

 毎日の美容魔法であったり、いざという時のボディガードであったり、世界滅亡の阻止だったり・・・。

 

 あれ?そんなバイブに対して自分何か返したっけ?

 一応こいつセクハラはするけど言うことは大体きちんと聞いてくれるし、自分が気にしてることに陰ながら手を回してくれたりもするんだよな。

 なんだかんだと世話にもなってる。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・。

 

 「バイブ、正直すまんかった。お前の言う通り確かに色々と尽くしてくれてるわ」

 「ぐすん、いいんですよ。私道具ですから使っていただけるならそれで」

 

 おい白々しくしてんじゃねえぞ、バイブの癖に。

 なんか私が一方的にこき使ったブラック上司みたいじゃねえか。

 間違っては無いのが癪だな。

 

 「まあもし千雨さんが気になさるのであれば、こう本来の使い方をして頂ければそれで満足ですので」

 「っ・・・・それは/////」

 

 いきなりの直球ストレートに久しぶりに顔が真っ赤になる。

 いや、本来の使い方ってお前さ。つまりそういうことだろ?

 さすがに恥ずかしいというか・・・・/////

 

 「う~ん、僕としては強くお勧めしますけどね。

 ネギさんと魔法世界に行くんでしょう?あれテロに巻き込まれて大変になりますよ?

 そうすると魔法世界でそのインドアひょろひょろボディだと色々苦労します。

 しかし僕を使えばそれだけで麻帆良武闘派レベルの身体性能が!」

 

 お前がテロを防ぐのは駄目なのか?そうすれば何も問題はないだろ。

 がんばれ、バイブ。いけるぞ、バイブ。

 

 「いや~、まあ止めるだけならばそんなに問題でもないんですけどね?

 それがこれ造物主によるテロなんでここで防ぐと最終決戦がどうなるかが予測しづらいんですよね~。

 下手な展開になるとバタフライエフェクトでかなり悲惨なことになるので、ぶっちゃけあまり手を出さない方がいいというか。ここ結構な分岐点なんで。

 逆にテロに巻き込まれても、クラスメイトが誰一人死なずに世界を救えるルートが大半なので正直手出しする意味の方がないというか」

 

 つまり、テロを防がずに巻き込まれた方が安全ってことか?

 なんというかすごい本末転倒な結果だが、それなら仕方ないか。

 

 で、魔法世界ではドキドキワクワクファンタジーが開催されるのか・・・。

 やっぱその辺はオタクとして興味があるのは否定できないし、ちょっと楽しみだな。

 けどわざわざお前を本番使用する必要があるのか?

 

 え、魔法によって皆バラバラに飛ばされる?私はジャングルの中に放り出される?

 おま、超ハードじゃねぇか。私はドラクエ世界を観光したいのであって、マインクラフトとかしたくもないんだけど。

 あ、ネギが助けに来てくれんのね。

 くっそ・・・。そうなるとネギと会うまではお前がなんとかしてくれるんだろうけど、そっからはお前使うと絶対バレるよな。

 

 うわ、面倒くせぇ。インドア派の私を殺そうとする世界の殺意が見えそうだ。

 

 ちくしょう・・・。恥を取るかしんどいのを取るかか。

 ・・・・・・・・・おいクソバイブ。

 こうなったら腹くくってやる。分かったよ、使ってやんよ。

 お前にはかなり世話になったからなぁ!

 

 だけどてめぇ、これで勝ったと思うなよおおおお!!!!

 

 

 

 ・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 「ふ~、どうでした千雨さん?中々すごいでしょう?

 これぞわが研鑽、数千年に及ぶデータを元にした女神ですら昇天させる神技ですよ。

 いや~、久しぶりに本来の仕事ですよ。やっぱ堪りませんね~。

 

 ついでに身体能力向上、免疫向上、魔法の潜在能力向上等もろもろ支障が出ない程度には色々と上げておきました。

 他にもいざという時の保険も掛けておきましたし、これで魔法世界も安心ですよ」

 

 負けました。負け、ました・・・・。

 ぐうの音も出ない程に負けました。

 

 冷静に考えれば実戦経験なんて一つもない新兵の私が熟練の専門家に敵う訳とかないじゃないか。

 くそぅ、めちゃくちゃ良かったのがとても悔しい。強がりでもこのバイブのドヤ顔を否定できないのがとてもとても悔しい。

 

 てかお前これ癖になったらどうすんだよ。やばいじゃんかよ、これ。

 

 なんかネギの奴、エヴァから闇の魔法とかいうヤバそうな魔法を習得してるらしいが今の私なら使える自信があるぞ。

 心が闇に閉ざされそうだ。闇落ち展開不可避だわ。

 

 これもう私変態じゃん。変態さんじゃん・・・・。

 

 やばい。やばすぎる。

 特に何がやばいって、全くやめられる気がしないのがやばい。

 

 ああ、ごめんよ、ネギ。どうやらお姉ちゃんは汚れてしまったようだ。ぐふっ・・・・。

 

 

 ちなみに次の日、エヴァにあったら一発でバレた。

 ニヤニヤした顔で「使ったのか?」なんて聞いてきやがったのだ。

 

 

 ああああああああああああああああ!!!!!

 死にてぇ!!!誰か私を殺してくれぇ! 

 そんなニヤニヤした顔で変態を連呼するんじゃねぇ!!

 やめろぉ、私は変態じゃない、違うんだぁ!!

 ああああああああああああああ!!!!!

 ああああああああああ!!!!!!!

 

 




ちなみにネギ君魔法世界突入する頃には多分ラカンにお遊び抜きの本気出させるくらいには強くなります。

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