ようこそ実力至上主義の教室へーIn this deceitful world, even bigger lieー   作:lOOSPH

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Warme Innovation


Ich werde gehen, mein Mann und der mittlere Test!

中間テスト前日の放課後

 

ホームルームを終えて茶柱先生が退室すると

いよいよ櫛田が行動を起こす

 

「みんなごめんね

 

 帰る前に私の話を少し聞いてもらってもいいかな?」

 

櫛田の呼びかけにその場にいた一同が彼女を見る

 

その様子を事情の知っている綾小路と堀北が静かに見守る

 

「明日の中間テストに備えて、少し力になれることがあるの

 

 それで今からプリントを配るね」

 

櫛田はそう言ってクラス全員にプリントをいきわたらせる

 

「テストの・・・問題?

 

 もしかして櫛田さんが作ったの?」

 

クラスの女子の一人が驚いた様子で聞き返す

 

「じつはこれは過去問なんだ

 

 昨日の夜堀北さんと一緒に

 三年の先輩に教えてもらったのをわかりやすく直したの」

 

「過去問?

 

 え、え?

 

 これ、もしかして結構使える問題?」

 

「うん

 

 実はその先輩が一昨年に受けた中間テスト

 これとほぼ同じ問題だったんだ、だからこれで勉強すれば

 きっと明日の本番で役に立つと思うの」

 

「うおお!

 

 マジかよ!

 

 櫛田ちゃん、堀北ちゃんサンキュー!」

 

感激して過去問用紙を抱きしめる池

 

「なんだよ、こんなんがあるなら無理して勉強する必要なかったんじゃん」

 

山内がそうこぼす

 

「はい、須藤君もこれで勉強頑張ってね」

 

「おう

 

 助かったぜ」

 

須藤もうれしそうに過去問を受け取る

 

「ようし、このことはほかのクラスには内緒だぜ!

 

 全員で高得点とってびびらせようぜ!」

 

池が調子のいいことを叫ぶ

 

「櫛田さんのおかげでどうにかうまくいきそうね」

 

櫛田が堀北のもとに来た際に堀北がそう声をかけた

 

「でも一番は綾小路君のおかげだよ」

 

「そうね、さすがの私も過去問を利用するなんて考え方はなかった

 

 それをまさかこうにも導き出していくなんてね」

 

と二人はこの陰の功労者である堀北の隣の席の人物をちらりと見つめる

 

「でもこれでどうにか乗り切れそうだね」

 

「そうね、最初は前日なんて大丈夫かなって思ったけど

 彼らの反応を見てもあなたの判断は正解だったと思うわ」

 

「あとの問題は明日があの過去問とおんなじ問題がたくさん出てきたら

 

 みんなきっとすっごい点をとっちゃうね」

 

「まあ全く出てこない可能性も捨てきれないけれど

 

 そういう意味ではこの二週間は無駄ではなかったはずよ」

 

そう言って三バカを見つめる二人

 

「大変だったけど楽しかったよね」

 

「まああの三人が楽しかったのは

 櫛田と一緒に勉強できたって点だけだろうね・・・・」

 

そういうのはこの功績の陰の功労者たる綾小路だ

机に座っているのは不気味な雰囲気の綾小路である

 

「テスト本番で頭が真っ白にならないことを祈るだけね」

 

「まあそればっかりは彼らの今夜の頑張り次第だね・・・・

 

 あの過去問だって使い方次第でうまく使えれば逆だってあり得るさ・・・・」

 

そう言って周りを見つめる不気味な雰囲気の綾小路

 

「それじゃあ私はそろそろ戻らせてもらおうか・・・・

 

 私だって何もしないってわけにはいかないからね・・・・」

 

そう言って立ち上がって家路に着こうとする不気味な雰囲気の綾小路

 

すると

 

「待って綾小路君」

 

「うん?」

 

「本当に今日までありがとう

 

 貴方がいなければ、きっとこのテスト期間は乗り切れなかった」

 

「そのお礼は私じゃなくて櫛田に言うべきだね・・・・

 

 私はあくまで私の都合で動かせてもらっただけさ

 君にお礼を言われる筋合いなんてどこにもないよ・・・・

 

 まあ私もそれなりに楽しめたよ・・・・

 

 そういう意味では私も君たちにお礼を言わせてもらうよ・・・・

 

 感謝する・・・・」

 

そう言って堀北に後ろ手に手を振ると櫛田の方に来ると

今度は動物的な雰囲気の綾小路が入れ替わるように現れた

 

「さて、俺はお前にぜひとも聞いておきたいことがある・・・・」

 

「何かな?

 

 綾小路君」

 

「お前が俺のことをどう思っていようが別にどうでもいいが

 それでもやっぱり一つだけすっきりさせておきたいことがあんだけどよ」

 

そう言って櫛田を睨むように櫛田のまぶしい笑顔を見つめて聞いた

 

「お前は堀北が嫌いなのか?」

 

「え・・・!?」

 

突然の問いに堀北は思わず二人の方を見る

 

「それを聞いてどうするの?」

 

「さっきも言ったろ、俺は疑問をすっきりさせておきたいだけだ

 

 それに別に難しいことじゃねえ、ただはいかいいえで答えればいいだけだしな」

 

「・・・うーん、まいったな」

 

櫛田はアハハと笑い、しばらく間を置くと答えた

 

「答えは・・・はいだよ

 

 私は堀北さんのことが大っ嫌い」

 

そう堀北の方を向けて答えるのであった

 

「やっぱりね、薄々感じていたわ・・・」

 

「どう?

 

 私のこと突き放す?」

 

「・・・・いいえ、逆にすっきりしたわ

 

 むしろこれでやっとあなたと気兼ねなく付き合っていけそうね」

 

堀北は面と向かって大嫌いと言われたにも関わらず

その反応は意外にもすがすがしいものであったという

 

・一・

 

そして運命のテスト当日が来た

 

「欠席者はなし、ちゃんと全員そろっているみたいだな」

 

茶柱先生が不敵な笑みを浮かべながら教室に入ってきた

 

「さあお前たちにとっても最初の関門やってきたわけだが、何か質問はあるか?」

 

「何もありません、ただ僕たちはこのテスト期間に

 おいて培ってきたすべてを出し切り、テストに臨むだけです」

 

「ずいぶんな自信だな平田」

 

そういうと茶柱先生はトントンとプリントの束をそろえて配りだす

 

一時間目のテストは社会

 

「今回のテストと7月に実地される期末テスト

 

 この二つで誰一人赤点をとらなかったらお前ら全員をバカンスにでも連れて行ってやろう」

 

「バカンス?」

 

「フフフフ・・・・青い海に囲まれた島で夢のような生活を送らせてやるぞ」

 

そういったその時

 

「みんな・・やってやろうぜ!」

 

「「「「「「「うおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」

 

池のセリフにクラスメイトの咆哮が響く

 

「うるさいね・・・・

 

 たかがそんなところに行って何が楽しみなのやら・・・・」

 

「貴方って案外そういうところ鈍いのね」

 

どうして男どもが叫んでいるのか

理解できない不気味な雰囲気の綾小路に堀北は冷静な指摘をするのだった

 

まあなんやかんやあって教師の合図とともにテストは開始される

綾小路自身はすぐに問題を見ずに目を閉じて何かを感じるように静かになる

 

まあテストに集中している面々はそんなの気にしていないのだが

 

二時間目に国語、三時間目に理科と続いていくが

調べたとおりの過去問とほぼおなじ問題が並んでいる

 

四時間目に数学、こちらもそれなりに進んでいき

 

ついに休み時間を迎えていく

 

「いやー過去問や勉強会でやったとことおんなじだったし」

 

「楽勝だったぜ!」

 

勉強会に参加した面々は堀北の机を囲んで最後の仕上げにかかっている

 

「須藤君はどうだった?」

 

櫛田は不意に須藤に声をかけるが須藤はプリントに目を通している

 

「須藤君?」

 

「・・・わりぃ、今忙しいんだよ」

 

見ているのは英語の過去問だ

 

「ね、ねえ須藤君・・・・

 

 ひょっとして勉強してない、とかじゃないよね・・・・」

 

「わ、わりい・・

 

 実は過去問やってたら

 寝落ちしちまって英語だけやってねえんだよ・・」

 

女子の綾小路の問いに須藤はそう答える

 

「「「ええ!?」」」

 

「くそ、全然答えが頭に入んねえ・・」

 

須藤は焦るように言う、無理もない英語は特にそう簡単にできる内容ではない

 

ましてや残された10分弱でどうにかなるものではない」

 

「須藤君落ち着いて

 

 焦ったらそれこそ余計に覚えられなくなるわ」

 

「そうね、須藤君、点数の振り分けは高い問題と答えの極力短いものを覚えましょう」

 

堀北が須藤の助力を申し出る

 

「わ、わりぃ」

 

それでどうにか点数の低い問題を切り捨てて

高得点でなおかつわかりやすい部分を責めていく

 

「ね、ねえ大丈夫かな?」

 

櫛田は綾小路に尋ねる

 

「英語は日本語と違って基礎ができていないとまさに呪文のように見えるし

 

 おまけにスペルだの似たような法則だのと言った部分もあるから・・・・」

 

「だよな、俺も英語には苦労したぜ」

 

不安そうに見守るが無情にも時間は過ぎていき、チャイムが鳴る

 

「それでもやれるだけのことはやりましょう

 

 あとは忘れないうちに、覚えている問題から解いていって」

 

「ああ・・」

 

こうして最後の英語のテストが始まろうとしているのだった

 

・・二・・

 

こうして最後のテストが終わり

面々は須藤のもとに集まっていた

 

「な、なあ大丈夫だったか?」

 

池が不安そうに声をかける

 

「わかんねえ・・・やれることはやったけどよ・・」

 

「大丈夫だよ、今までの勉強会だって頑張ってたんだし」

 

「くううう、やらなきゃいけねえとわかってたのに何で寝ちまったんだよ俺」

 

頭を抱えて自分にいら立つ須藤に堀北が歩み寄る

 

「須藤君」

 

「・・・なんだよ、またなんか嫌味でもいうつもりか?」

 

「確かに過去問をやらなかったのはあなたの落ち度よ

 

 だけど貴方はこのテストまでの勉強期間

 貴方は貴方なりにやれることをやってきた

 

 手を抜かなかったことだって一緒に勉強してたからわかってるつもりよ

 

 貴方は精いっぱいの力を振り絞って

 ここまでやってきた、貴方はそれに胸を張ってもいいと思う」

 

「慰めのつもりか?」

 

「私は事実を言っただけよ

 

 今までの須藤君を見れば、どれだけ勉強することが

 大変だったかっていうのは理解できるもの」

 

その光景にほとんどの者が驚きを見せている

 

「まあ何を言っても何も変わらない

 

 結果を待ちましょう」

 

「・・・そうだな」

 

「それから・・・・一つだけ

 

 貴方に言っておきたいことがあるの」

 

「あ?」

 

「貴方に謝っておきたいことがあるの」

 

「謝るって?」

 

「前に私はあなたにバスケットのプロを目指すというあなたを否定したこと・・・」

 

「あ・・」

 

「私ははっきりいってあなたがどれだけバスケットに情熱を注いでいるのかを理解していなかった

 

 でも私はあなたがバスケットにどれだけ真剣に取り組んでいるのを知った

 そのあなたがプロになることの難しさ、生活していく事の大変さをわかっていないはずがない」

 

堀北はややたどたどしく言葉を続けていく

 

「日本人だって、たくさんプロの世界で戦っている人は多くいる

 

 その中には当然世界で戦おうとしている人たちだっている

 

 貴方だってそうなんでしょ?」

 

「ああ、もちろんだ

 

 周りがどう思おうと俺はバスケのプロを目指す

 

 それが俺がやり遂げるって決めたことだ」

 

須藤はそう言うと堀北はさらに続けていく

 

「・・・・私は自分以外のことを理解する必要はないと思ってた

 

 だから私はあなたのことを少しも理解しようともせず、あなたを侮辱した

 

 でも今思えば間違っていたのは私の方だったのね、バスケットでプロを目指すことが

 どれほど大変なのかを全く理解できていない人間にその人の努力を馬鹿にする資格なんてない

 

 須藤君だって今回の勉強会で培った頑張りをバスケットに活かせば

 きっとあなたは間違いなくプロになれるかもしれない、私は少なくともそう感じた」

 

堀北そう言ってゆっくりと頭を下げる

 

「だからこれだけを言わせて・・・・あの時はごめんなさい」

 

そう言って堀北は教室をあとにした

 

「堀北が・・謝った・・・!?」

 

「信じられねえ・・・!」

 

池と山内はその光景が信じられないようで目を大きく見開く

 

一方の須藤は堀北の去った方をじっと見つめていたのだった

 

「・・・堀北の奴・・なんかかわいい・・・・・」

 

と何とも須藤らしからぬ言葉を言うのだった

 

その様子を無表情に見つめているのは女子の綾小路だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「須藤の奴・・・・・・大丈夫かね・・・・」

 

「こればっかりはね」

 

「堀北も須藤もあれに気が付いてるか・・・・?」

 

「気が付いてねえだろうな・・・・」

 

「その時はあたしたちにできる限りのことをしましょう・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        




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