ようこそ実力至上主義の教室へーIn this deceitful world, even bigger lieー 作:lOOSPH
翌日
そこでは櫛田や平田たちが
情報交換の最中であった
六人の少年少女たちは集まっていた
「そっちの方はどうだい・・・・?」
「収穫は0みたいだね・・・・」
「平田の方もあの様子だとあたりはないようだな」
「・・・・・・・・・・」
「果たしてこのまま静かに事が
終わってくれればいいんだけれど・・・・
そうはいかないわよね、須藤君はまだ来てないみたいだし・・・・」
「・・・・・・・・・・」
仮面をかぶった綾小路は席の後ろの方を見ている
「どうしたの、我?」
「・・・・・・いいえ、なんでもありません・・・・」
「おいらもどうしたの?
いつもだったら饒舌なほどに口開くのに」
「・・・・・・なんでもねえよ・・・・」
六人の少年少女の内、好戦的な雰囲気の少年と仮面をかぶった少年はどこか上の空だ
「しっかし
本当にCクラスの奴らが悪いって証明できんのかな・・・」
「目撃者さえ見つかれば不可能じゃないと思うよ池君」
「・・つーかさ、そもそも本当に目撃者なんているのかよ
須藤がなんとなくいたと思ったってだけだろ?
やっぱり嘘なんじゃねえのかってしか思えねえよ」
「だけど僕らが疑ってたらいつまでも進展なんてしないよ」
「それはそうだけどさ・・・
でももしこれで須藤が悪いって結論になったら
せっかく増えたポイントはまた全部没収されるよな?
こんなんじゃいつまで立っても小遣い0
其れで遊びまくるなんて夢のまた夢だぜ」
「だったらまたためればいい、まだ入学して三か月なんだ」
平田の言葉に多くの女子が賛同する
「でも俺はポイントも大事だと思うんだよ
だってそれがみんなのモチベーションにつながるじゃん?
だから何としてもクラスポイントを死守したいんだよ
それがたとえたったの87ポイントでもさ」
「池君の言うことももっともだけれどポイントに固執しすぎて本質を見失うのは危険だ
そのためにも僕たちは疑いをかけられている仲間を助け出さないと」
平田の発言は確かに善意そのものだがそれがかえって池に嫌悪を抱かせていく
「もしも仮に・・須藤が悪かったとしてもかよ」
池のつぶやきにも平田はしっかりとうなづく
そのまっすぐな意思が伝わったのか池は気圧されたように下を向く
「平田君の言うことはもっともだと思うけれど
ポイントが欲しいっていうのは私も賛成かな
ほかのクラスはおしゃれな服とかアクセとか買ってる子いるし
それに比べてこっちは殆どどん底じゃん?」
軽井沢がそんなことをぼやいていた
「なんで俺、最初からAクラスじゃなかったんだろ
もしそうだったら今頃すげえ楽しい高校生活送れてたろうにな」
「あたしもAだったらな
友達といろんなとこ遊びにいけるのに」
気が付いたらその場はないものねだりの場へと変わっていくのがわかる
「なんか一瞬でAクラスになれるような裏技とかあったら最高なのにな
クラスポイント貯めていくなんて難しすぎっしょ」
池がそんなことをぼやいていたそこに
「そんなお前にいい方法を教えてやる
実は一気にAクラスに上がる方法はある」
茶柱先生がそう言って話しかけてきた
「うお!?
びっくりした・・って今なんて?」
思わず椅子から転げ落ちそうになった池が体勢を立て直して聞き返す
「クラスポイントがなくてもAクラスに上がる方法はあるといったんだ」
その言い方に堀北も思わず読書を中断する
「まったまた~、そんなこと言って俺をからかうつもりなんでしょ?」
さすがの池も疑り深く茶柱先生に言う
「実は本当にこの学校にはそう言った特殊な方法も用意されている」
だがその茶柱先生の様子からふざけている様子はない
「嘘をついている可能性、あると思う・・・・?」
「思わないよ・・・・
少なくとも彼女はこれまで
嘘はついたことはない・・・・
あくまで伝え忘れたか
含みを入れているだけだ・・・・」
「確かにそうね・・・」
池もそれを感じていたのだろう、態度が変わり始めていく
「そ、それでは先生、その特殊な方法とは・・・?」
恐る恐る聞いていく池
池のみならず多くの生徒たちが聞き耳を立てる
「入学式の時にも言ったがこの学校ではポイントで買えないものはない
つまり個人のポイントを使って強引にクラス替えができるということだ」
そう言って不意に堀北と綾小路の方を見る茶柱先生
現にその方法で須藤の赤点を回避した事実があるのだ
「ま、マジすか!?
何ポイントでそんなことができるんすか!?」
「・・・・2000万ポイントだ、それだけあれば好きなクラスに上がれる」
それを聞いてずこっとコントのように椅子から転げ落ちる池
「にせんまんぽいんとって・・無理に決まってるじゃないですか!」
池の言葉に同調するように教室が大きく響くまでのブーイングが起こる
「だが無条件でAクラスに上がれるのだ、このくらいが妥当だろう
仮に桁を一つ消しただけで、3年の卒業間近にはAクラスは100人を超える
そんなAクラスには何の価値もない」
茶柱先生はバッサリと言い放つ
「じゃあ聞きますけど・・過去にクラス替えに成功した生徒はいるんすか?」
当然の質問が投げかけられてきた
「残念ながら過去にはいない、理由は火を見るより明らかだろう
入学時から仮にポイントを維持し続けていったとしても最低360万ポイント
Aクラスのように効率よくポイントを増やしていったとしても400万に届くかどうかだ
普通にやっても絶対に足りないようになっている」
「そんなのできないのと一緒じゃないすか・・・」
「だがあくまで不可能に近いのであって不可能じゃない
この違いはお前が思っているよりも大きいぞ池」
その話に対してうげーと投げやり気味になっていくクラスメート
100、200のポイントを欲するクラスの者達にとって2000万ポイントなど夢のまた夢
一気に興味が失せていく面々だったが
「私からも一つ質問させてもらってもいいでしょうか」
堀北はそんな中で挙手し質問する
「学校が始まって以来、最高でどれだけのポイントをためた生徒がいるんですか?
よろしければお聞かせ願います」
「中々にいい質問だな堀北
あれは3年ほど前、卒業前にBクラスにいた生徒だったか
一人の生徒が1200万ポイントをためていたことが話題になった」
「せ、1200万!?
それもBクラスの生徒が!?」
「しかしその生徒は2000万ポイントを貯められなかった
なぜならその生徒はポイントをためるために
大規模な詐欺行為を行っていたせいで退学となった」
「詐欺?」
「入学したてで知識の浅い一年生を次から次へとだましポイントをかき集めた
2000万ためてAクラスに移動するつもりだったんだろうが
学校側がそんな暴挙を許すわけもない、当たり前だ
着眼点は悪くはなかったが、だからと言って
ルール違反を犯したものを見過ごすわけにもいかないからな」
結局その話のせいでさらに到達することは不可能に近くなってしまうのだった
「つまり、犯罪まがいな方法とっても1200万が限界ってことか」
「あきらめておとなしくクラスの総合ポイントで上を目指すしかないようね」
わざわざ挙手したのがばからしく思ったのか本を再び読み始める堀北
「まあ仕方がないな、お前たちはまだ部活でポイントを獲得した者はいないしな」
茶柱先生のつぶやきに池が飛びつく
「それってどういうことっすか」
「部活の活躍や貢献度に応じて個別にポイントが支給されるケースがある
例えば書道部の人間がコンクールで賞をとれば
その賞相応のポイントが与えられるといった具合にな」
それを聞いて仰天するクラスメートたち
「ぶ、部活で活躍したらポイントがもらえるんですか!?」
「そうだ、おそらくこのクラス以外ではしっかり伝達がすんでいるはずだ」
「ちょ、ひどいっすよそれ!
もっと早く教えてくれないと!」
「そもそも部活動は本来ポイントをもらうためにやるものではない
仮にこのまま私が伝えることがなくとも影響はないはずだ」
悪びれる様子もなく、茶柱先生は言う
「いやいやそんなことないですって・・・」
「もし仮にその理由で入部したところで賞を
とったり試合で活躍するだけの約束を出せるとも?」
「それは・・そうかもしれませんけど・・・!」
池はそれでも可能性はあるといい放つが
茶柱先生の言うことももっともだろう
だが平田は不意に納得したように言う
「でも今にして思えば、もっと早くに見抜けていたかもしれない」
「どういうこと?」
「入学したての時にプールの授業で言ってたじゃないか
その時1位になった生徒に5000ポイントを支給するって
あれはこういったことを読み切るための布石だった
そう考えれば十分現実味のある話じゃないかな」
平田の言葉に、池は覚えてるわけねえよと頭を抱える
「かー、ポイントもらえんなら書道でも手芸でも
なんでもやってたかもしんねーのにい」
茶柱先生からの話を聞いて笑みを浮かべるのは不気味な雰囲気の綾小路と
幼い雰囲気を持つ綾小路であった、彼はすぐに堀北に話しかける
「ねえ堀北・・・・
これで君にも須藤を助ける理由・・・・
できたんじゃないかい・・・・?」
「どういうこと?」
「だって須藤君はさ、一年でレギュラー候補に選ばれるほどにバスケがうまいんだ
部活動の結果によってポイントが振り込まれるんだったらさ
彼を救う価値は出てきたってことじゃない」
堀北は二人の綾小路の方を見る
「そ、それはそうだけど・・・」
だがやはり堀北はまだ協力するのか迷っている様子
「確かにクラスポイントも大事だけど
だからってプライベートポイント自体がお飾りってわけじゃないでしょ
現に中間テストの時はそのおかげで須藤君の赤点取り返せたでしょ?」
「でもだからってここにいる全員が誰かのために身銭を切るとは思えないけど」
「だったら自分がある程度ポイント持ってればいい・・・・
他人がだめなら自分でどうにかする
すべを持ってればどうにかなるかもしれないじゃないか・・・・」
堀北にゆっくりと顔を寄せる不気味な雰囲気の綾小路
「君だって認めてるんだろ・・・・?
須藤がバスケに対してどれだけ真剣で
そのためにどれだけ頑張ってきたのかをさ・・・・」
そう言うと不気味な雰囲気の綾小路はゆっくりと顔を離すと
堀北はしばらく考え込む仕草を見せるのであった
・一・
その後も様々なクラスを回っていったが結局収穫はなしであった
「今日もダメだったね・・・」
ベンチにおいて途中合流した須藤も交えて話をしていた
「どうだった?
なんか進展したか?」
「全然ないって
須藤、目撃者なんて本当にいたのかよ」
池がやや疑いの目で須藤に聞いていく
「お、俺はただ気配がしたって言っただけで」
「え・・・そうなの?」
「確かに須藤君はいた気がするとは言ってたね」
「だったらそんなの須藤の願望が生み出した幻想じゃ・・」
池がそこまで言うと須藤にヘッドロックをくらわされる
「ぎゃああ!!!」
池と須藤を無視して考え込む櫛田と山内
櫛田は不意にひらめいたように言う
「少し方向を変えた方がいいかもしれない
例えば目撃者を目撃した人を探すとか、綾小路君の他に」
「目撃者を見た人を探す?」
「事件当日、特別棟に入っていく人を見ていないか探す、そう言うことだね?」
「うん、そうかな?」
櫛田の言うことは確かに悪くはないが
「・・・・・・それは難しいでしょう・・・・」
と後ろに仮面をかぶった綾小路が現れる
「「うわあ!?」」
櫛田と池は突然現れたことに驚き
須藤と池もそれに反応してその方向を向く
「・・・・・・あの時特別棟から走り去っていく人影を見かけたとき
ほかに感じた人気はありません、ましてやあの時間帯に特別棟を利用する者はいないでしょう
そもそも須藤殿をはめるのでしたらそんな人がいる
可能性のある場所を選ぶことはしないと思いますが・・・・」
「確かにね、だからこそ須藤君を特別棟に呼んだんだろうし・・・・」
「かー、また振り出しかよ・・・」
頭をガシガシと掻く須藤だが
仮面をかぶった綾小路が不意に口を開く
「と言うより、君は何しにここに来たんだよ?
君は確かほかクラスの情報を集めてたんじゃなかったっけ?」
「・・・・・・皆様に一つ、気になることがあったので報告の方を・・・・」
そう言って一同を見ていく
「・・・・・・今回の件で、おひとり気になる女性がいるとのことで
一応お伝えして置けたらと思いまして、ここにはせ参じてきました・・・・」
それを聞いて一同は仮面をかぶった綾小路に詰め寄る
「まじでいってんのか!
それでいったい誰なんだ・・!?」
「・・・・・・確かに我もその者に気になると思っていたのですが
いかんせん信ぴょう性に欠けて、しかしここに来る前に堀北嬢にお会いしまして
実は彼女も我と同じ人物のことがきになっていたようで
その話を聞いて確信に至ったのでそのことをお伝えしろと
我に言伝を堀北嬢に頼まれまして・・・・」
「ほ、堀北が!?」
須藤は堀北が協力してくれたことに驚き
今は彼の言う目撃者を問いただすのを聞く
「堀北がだれが目撃者だって?」
須藤やほかの面々も聞き入っている
「・・・・・・佐倉 愛里という女子です・・・・」
その名前を聞いてピンと来たのは
「佐倉さんて、確か後ろの席の・・・」
櫛田のみであった、ほかの三人は顔を見合わせている
佐倉って誰だっけと言う感じである
「・・・・・・我はかねてより彼女は何かを知っているのではないかと
思っていたのですが、堀北嬢が同じ意見を言ってくれるまでまだ半信半疑でした」
「どうしてそんなことが?」
「・・・・・・櫛田嬢が教室で事件の目撃者についてお話をされていた時
多くの方々が櫛田嬢に注目していた中、彼女のみ顔をうつむけていました
自分に無関係ならばそんな反応はしない、それが堀北嬢の結論と根拠です・・・・」
「我ってさ、案外そういうところよく見てるよね・・・・」
「・・・・・・これもまた我の習慣のようなもの、なのかもしれませんね・・・・」
そう言ってかぶっている仮面を手で覆う綾小路
「つまりその佐倉って言うやつが目撃者の可能性があるってことか」
「・・・・・・実は堀北嬢が我に会う前に彼女に会っていたそうです・・・・
認めるような発言はしなかったようですがその様子から確信に至ったようです・・・・」
「なるほどね、私の話を聞いて堀北ちゃんなりに動いてくれたわけだ・・・・
意外にかわいいところもあるんだね」
幼い感じを思わせる笑いで同じような雰囲気を持つ綾小路がクスクスと笑う
「堀北が、俺のために・・」
須藤は別のところで感動していたのだった
「・・・・・・何はともあれ堀北嬢も今回の件を
放っておくわけにはいかないと考えたのでしょう・・・・」
「堀北さん、あの時はなんだかんだ言っても、須藤君のこと放っておけないんだね」
「まあおかげで一歩進めたのは事実だね」
「でもさ、なんで堀北は綾小路に伝言なんて?」
池がそう言うと須藤がやや睨みつけるように見てきたが
仮面をかぶった綾小路はやれやれと首を振って顔を上げて言う
「・・・・・・おそらく今まで非協力的な態度をとっていたので
今更素直に協力をするのが、お恥ずかしかったのでしょう、あくまで予想ですが・・・・」
「へえー、堀北ちゃんってツンデレなのな」
「・・・・・・ツンデレ、と言うのはよくわかりませんが
あくまで我の解釈ですので・・・・」
これでまた須藤の表情が緩んだのでとりあえず
ひと段落したと息を漏らす仮面をかぶった綾小路
「しっかし、ここ来て堀北ちゃんの印象が変わったよな」
「ねえねえ池君」
不意に幼い雰囲気をまとう綾小路が話しかける
「それ、本人の前で言わない方がいいよ
照れ隠しに技決められるよ、武道習ってるから」
「え?
マジ?」
池はそう言って顔を引きつらせていくのだった
「ま、まあでもさよかったじゃん須藤
Dクラスの生徒なら絶対証明してくれるぜ!」
「まあいたのはうれしいけれどよ・・・佐倉って誰だ?」
須藤はそんなことを聞いていく
「ほら、須藤の後ろの席の」
「いや確か、左斜め前だよ」
「二人とも違うよ・・・須藤君の右斜め前の子だよ」
櫛田が不機嫌そうに訂正する
「うーん・・・やっぱ全然覚えてねえな」
あまりの認識の薄さに二人の綾小路はあきれた様子を見せる
「そう言えば池君たちが入学したときに
女の子のおっぱいの大きさを話してたときに名前出してなかったっけ・・・・?」
さすがにこれで引っかかるかはわからないが一応引き出してみようとする
「「ああ、あの地味な眼鏡女子の・・」」
「「・・・・・・・・・・」」
引き出せてしまった
「池君も山内君も、そんな話してたの」
「あ、いや違うんだよ櫛田ちゃん
けしてやましい気持ちって言ったわけじゃなくって
ほら、背の高い男子とかってざっくりとしたイメージで覚えたりするじゃん?
それと同じようなもんで・・・」
慌てて弁明する池だが、櫛田の反応を見て遅いような気がする
「違うんだよおお!!!
あんな地味な子、全然好きじゃないし!
勘違いしないでくれええ!!!」
そんな無駄な弁明を無視して進めていく
「あとは佐倉さんがどこまでしっているのか、ってところだけど」
「・・・・・・申し訳ありませんがそこまでは私も堀北嬢もわかりかねると思います・・・・」
「じゃあ佐倉の部屋に言って聞いてきたら?」
「いきなり大勢で押しかけたら逆に警戒されると思うけどね」
それに佐倉は話を聞く限り人と接するのが苦手な人間
ゆえにいきなり親しくもない相手に話しかけられると口ごもってしまうだろう
「そう言えば櫛田ちゃん、佐倉ちゃんと話したことは?」
「実はあんまりないんだ
連絡先だって聞いたけど
それ以外では話したことがないというか
話しかけようとしてもすぐに逃げ出してしまうというか」
櫛田の話からしても佐倉は異様なまでに人にかかわるを避けているのがわかる
「堀北みたいなタイプってことか?」
「確かに他人とのかかわりを持たないという意味では同じかもだけど
堀北ちゃんはあくまで望んで他人とかかわらないんだよ・・・・
佐倉ちゃんはたぶんだけれど、他人とかかわるのが怖いんだと思う」
池の言葉に幼い雰囲気の綾小路が言う
「でもおかげで希望が見えたぜ、これも堀北のおかげだな」
須藤はへへへと指で頬を掻きつつ照れ臭そうに言う
「多分綾小路君の推察通りかなって思う、人見知りだなって感じがしたし」
櫛田も幼い雰囲気の綾小路の言葉に同調する
「しっかしもったいないよな、これが」
そう言って山内は胸元に手をもっていってわさっと動作を見せる
「そうそう
ほんとにおっぱいだけはすごいでかいんだよ
あれでかわいければな」
「池君、もう一度自分の犯した失態思い出してみよっか・・・・」
そう言って櫛田の方を向けると櫛田は苦笑いをしているのがわかる
それをみてしまったといったふうに口をふさぐように手を覆う
「ところで佐倉ちゃんってどんな子だったっけ、覚えてる?」
「・・・・・・自分の席で極力静かに自分の机で
うずくまっているのしか見たことがありません・・・・」
「っていうか俺、佐倉の顔ってどんなだっけ?」
山内はそう言って思い出すような仕草を見せる
「・・ってあれ・・・?
確か山内、お前佐倉に告白されたって言ってたよな?」
池がそう言うと、山内は目をそらす
「あ、あれー?
そんなこと言ってたっけ?」
そうすっとぼける様子に面々は
「いつものほら吹きかよ・・・」
「う、嘘じゃねえし、勘違いだし
佐倉じゃなくってよく似た別の女子だし
ってあ、悪い、メールだ」
そう言ってケータイをわざとらしく操作する
「山内君の嘘はともかく
まずは佐倉ちゃんにいろいろ聞く方がいいと思うけど・・・・」
「じゃあまずは私一人で聞いてみるね
さっきも綾小路君がいってたけど
あんまり大勢で話しかけても警戒すると思うし」
「これでうまくいかなかったらもうお手上げだけどね・・・・」
「・・・・・・・・・・」
とにかく櫛田が佐倉に対してコンタクトを試みるのであった
・・二・・
「・・・・・・へえ・・・・
やっぱりあの女何か知ってたんだね・・・・」
「って私も気づいてたなら
伝えるなりしてよまったく・・・・」
「こいつにそんなもん求めるなよ
俺が言えたわけでもないがな・・・・」
「結局ほかクラスのリーダーもまだよくわかってねえみたいだし・・・・」
「でもいくつか候補がいるけどね・・・・」
「・・・・・・・・・・」
教室において六人が集まっていた
「しっかし暑いね・・・・」
「これが夏ってやつなんだろ」
「まあ防暑対策してっし大丈夫だろ・・・・」
そんなことを言っていると
「綾小路さん、おはよう」
平田が声をかけてきた
その先にいたのは人間的な魅力を持つ少女
女子の綾小路がいた
「昨日櫛田さんから聞いたんだけれど、目撃者が見つかったんだって?」
「うん、佐倉さんだよね、あたしもぼk、綾小路君から聞いたよ」
そう言ってまだ通ってきていない佐倉の席を見る
「あたしも佐倉さんとは数えられるくらいの数だけど
いずれも話す前にどこかに走っていっちゃって・・・・」
「僕も挨拶をするくらいだね
僕自身も孤立してる彼女をなんとかしないけど
やっぱり異性だと強引に誘うってわけにもいかないし
でもだからって軽井沢さんにお願いするのも
それはそれで問題が起こりそうだし・・・・」
「あー確かにあの二人性格が正反対だしね・・・・」
平田の言葉に納得する女子の綾小路
「僕らは今は櫛田さんからの報告を待とうと思う」
「それはまあいいけれど・・・・・・あたしに話すのはどうして?」
平田が自分の意見を女子の綾小路に話した理由を聞く
「綾小路さんは堀北さんともつながりのある綾小路君とも仲がいいから、かな?
堀北さんは僕が知ってる限り、綾小路君以外と話しているところは見たことないし」
「ああ、なるほど・・・・」
それを聞いて納得と複雑な表情を浮かべる
「あ、あの綾小路、さん・・・・
綾小路さんがよかったらなんだけれど
よかったらみんなでどこかに遊びに行かないかな?」
平田がそんなことを言う
「あたしはいいよ、みんながよかったらだけど」
笑顔で答える女子の綾小路
「もちろんだよ、みんなもきっと喜ぶと思うし」
平田が快い言葉を言う
「うん、ありがとうね」
すると不意に女子の綾小路が聞く
「でも軽井沢さんはいいの?」
「ん?
ああ、大丈夫だよ?」
意外にあっさりな答えであった
「・・・・・・フフフフフフ・・・・」
その様子を笑みを浮かべて平田の様子を見つめていたのだった
・・・三・・・
放課後
ついに櫛田は行動を開始する
「佐倉さんっ」
「・・・な、なに・・・?」
櫛田に話しかけられると
佐倉は少し驚いたように
小さく弱弱しい声で返事をする
「ええっと、佐倉さんに聞きたいことがあるんだけど・・・いいかな?」
「ご、ごめんなさい、私・・・この後予定あるから・・・」
ばつの悪そうな返しの様子に、佐倉の性格が現れている
「時間はとらないから?
大切なことだから話をさせてほしいの
須藤君が事件のことについて、もしかしたら佐倉さん
何か知ってるんじゃないかなって・・・」
「し、知らないです
さっき堀北さん達にも言われたけど
私は全然知らないです・・・」
弱弱しくもきっぱりと断る佐倉
櫛田もその様子にできれば引き下がりたいが
友達を助けるために引き下がらないようにする
「もう・・・いいですか、帰っても・・・」
その様子に佐倉が何かを隠しているのはと思える
「ほんの少しだけでもいいから、時間とれないかな?」
「ど、どうしてですか?
さっき何も知らないって、言いましたよね・・・」
佐倉はあくまで消極的だ
「・・・私、その・・・ごめんなさい「」
そう言ってかたくなに櫛田を拒絶する佐倉
その様子を堀北と綾小路が見つめていた
「厳しいわね
彼女が説得に失敗するようだと」
「堀北の言うことはもっともだね・・・・
この場で櫛田以上にあの子に
話せる人物はいないだろう・・・・
それに、櫛田は一つミスを犯した・・・・」
「ミス・・・?」
「この場で櫛田があの子に話しかけたからさ・・・・
櫛田はクラスの中でも注目の的だ
そんな彼女が話しかければ必然的に注目は集まる・・・・
佐倉は見ての通り人付き合いが苦手だ
恐れてるといってもいいだろうさ・・・・
この櫛田と佐倉と注目しているこの状況のせいで
佐倉はなおのこと話しずらくなっているのだろうねぇ・・・・
これは櫛田自身にとっても誤算だったろうさ・・・・
連絡先を交換しているんだからもっとスムーズにいけると
思い込んでいたんだろうがここまで拒絶されるとも思わなかったんだろうね・・・・」
櫛田と佐倉の様子を見てそう推測する
「しかし、どうするつもりなの?
櫛田さんでダメだったら少なくとも
このDクラスで彼女以上に佐倉さんを説得できる相手はいないわよ」
「そうだね・・・・」
堀北に対して不気味な雰囲気の綾小路は言う
すると
「・・・・・・人はだれしもパーソナルスペース、またはパーソナルエリアと言う
いうなれば『他人に近づかれると不快に感じる空間』を持っている・・・・
文化人間学者エドワード・ホールは
そのパーソナルスぺースをさらに四つに細かく分類した
その一つに密接距離と呼ばれるゾーンがあり
近接相と呼ばれる相手を抱きしめられるほどの距離に他人が踏み込んだ時
当然人は強い拒絶感を示す
されど恋人や親友であればその距離は不快とは感じない
櫛田嬢の場合相手の薄い相手の近接相に踏み込んでも
たいていの場合、嫌がれることはない・・・・
いうなれば、相手にそのパーソナルエリアを
発動させない魅力があるといえるだろう・・・・」
仮面をかぶった綾小路はそんなことを独り言のようにつぶやく
「・・・・・・しかし・・・・
あの佐倉って子はその櫛田に露骨に拒絶感を示した・・・・
いや・・・・・・逃げようとしているのかもね・・・・
彼女は最初に予定があると言っていたのにもう言うっていない・・・・
それが証拠だ・・・・」
そのひとりごとに合わせるように不気味な雰囲気の綾小路が続ける
だがこの言葉は櫛田にももちろん、隣にいる堀北にも聞こえていない
それよりも気にされているのは
櫛田から距離をとるように荷物をまとめて立ち上がる佐倉だ
「さ、さよなら」
佐倉はうまく話を切り上げられないと判断し、その場から離れようとするが
携帯をいじっていた本堂とぶつかってしまい、手に持ったデジカメを落としてしまう
「あっ!」
佐倉の手から投げ出されたカメラが床に激突して激しい音が響く
本堂はごめんごめんと意識を佐倉から携帯に移し、教室を出ていく
佐倉は慌ててデジカメを拾いあげると操作をしていく
「嘘・・・映らない・・・」
そうつぶやいて口元に手を当ててショックを受けた様子を見せる
電源を何度も押しているが映る気配がない
「ご、ごめん
私が急に話しかけたから・・・」
「ち、違います・・・不注意だったには、私ですから・・・さようなら」
そう言って佐倉は教室を飛び出していく
櫛田は罪の意識からが呼び止めようとするが
仮面をかぶった綾小路が彼女の肩に手を置いて引き留める
「・・・・・・今はそっとしておきましょう・・・・」
櫛田はうんと元気がないように仮面をかぶった綾小路の言葉通りにする
「くっそ、せっかく目撃者が見つかったと思ったら・・・なんなんだよあの女」
須藤は足を組んで椅子にもたれかかって深いため息とともに吐き捨てる
「でもまだ佐倉さんの口から見たって聞いてわけじゃないし、責めるのはやめようよ」
「そのぐらいわーってるよ、わかってるけどよ・・」
「ある意味彼女が目撃者でよかったかもしれないわよ須藤君」
「ああ?
どういう意味だよ?」
「今のままでは彼女はきっとあなたの目撃者として証言はしてくれない
となるとこのままこの事件はあなたが起こした身勝手なものとして処理される
結果Dクラスへの影響は免れないけれど、幸いにして今でよかったのよ
暴力に嘘の証言
学校を巻き込んでの騒動が100や200のペナルティで効くとは思えないもの
今ある87ポイント失うだけで済むと思えば、ラッキーだったともいえるわ
貴方の無実の訴えも学校側は無視できないから退学にされることはないはずよ
もっとも責任の割合はCクラスよりも大きいでしょうけど」
堀北はまるで胸の内に秘めた思いを吐き出すように一気にまくしたてる
「なんだよそれ・・・俺は無実だ!
殴ったのだって向こうからだ、だから俺が殴ったのは・・・」
「正当防衛、とでも言うつもり?
残念だけれど正当防衛はそんな甘いものじゃないわ」
堀北ははっきりと須藤に言う
「ねえ、綾小路君」
櫛田が仮面をかぶった綾小路に話しかける
「綾小路君は須藤君の味方だよね?」
「・・・・・・どうしてそのようなことを・・・・?」
「だって、なんだかみんなの須藤君を助けようって
気持ちが薄れていっているように気がして・・・」
「・・・・・・そうですね・・・・」
仮面をかぶった綾小路は教室を見渡していく
「まあこれは仕方ないかもね・・・・」
不気味な雰囲気の綾小路がそうつぶやく
教室を見ても目撃者である佐倉が否定しているのでは進展のしようがない
「もう完璧な解決策が見つかるとは思えないし、あきらめようぜ須藤」
池もその言動からやる気がなくなっていきつつある様子だ
「なんだよお前ら・・・協力してくれんじゃねえのかよ」
「だって・・なあ?」
残ったクラスメイトも池のつぶやきに賛同していく様子を見せる
「残念だけど、今のままでは打開策はほぼないとしか言えないわね」
クラスから孤立している堀北の言葉を誰にも異議を申し出ることはなかった
「なんでだよ・・・なんで俺がこんな目に・・」
「本当に気が付いていないのね、原因は自分にもあるんだって言うことに・・・」
「は・・・そう言う意味だよそりゃ・・?」
須藤は追い詰められていきながらも必死で抑えている
「君は赤点をとったときにおとなしく退学していた方がよかったんじゃないか?
君の存在は実に美しくないからね」
高円寺が言った
「・・・んだと?
もう一度言ってみろよおい!」
「何度も言うなんて非効率だね
まあ、君が物分かりが悪いと自覚して言ったのであれば
特別にもう一度だけレクチャーしてあげても構わないよ?」
それを聞いて須藤はとうとう限界を迎えて立ち上がる
「そこまでだ二人とも!」
だがそんな二人の間を仲介に入る平田
「須藤君、今ここで問題を起こしたらそれこそ君の立場は悪くなる
高円寺君もそんないいかたをしたら須藤君が怒るのも当然だよ」
「それは君の勘違いだ
なぜなら私は何も間違ったと思うことはしたことがないからね」
「上等だぁ、ぼこぼこにして土下座させてやるよ!」
「やめるんだ!」
平田は止めようとするが須藤はとうとう高円寺に手を出さんとしたが
彼に振るわれんとしたその手は高円寺に届くことなく寸でのところで止められる
「あ、綾小路・・」
「気持ちはわからないけどここはこらえて
今ここで騒ぎを起こしたらさらに学校からの心証が悪くなる
だからここはこらえて・・・・」
女子の綾小路が須藤の拳を寸でで止めて言い聞かせる
「・・・ちっ」
須藤はそう言うと教室を出ていきその向こうから吠えるような声が響く
「高円寺君
無理に協力をしろとは言わない
でもだからって須藤君を攻め立てるのは間違ってる」
「さっきも言っただろう、私は生まれてから一度も
間違ったことなどしていないと、さあてそれではここで失礼するよ
デートの時間だからね」
あまりのまとまりのなさが見て取れる
「彼は全然成長しないわね」
「どんな人だって成長するのには時間がかかるものよ
彼もまだ成長の途中なのよ、でもだからこそここで止めたらいけない」
「そうだね
堀北さん、もうちょっと優しい言い方もあったんじゃないかな・・・?」
「打っても響かない相手には容赦しないことにしてるの
彼は百害あって一利なしよ」
「・・・・・・打って響く相手にも容赦なく響かせ続けるくせに・・・・」
「何?」
「ううん、なんでも・・・・」
堀北ににらまれて口をつぐむ幼い雰囲気の綾小路
「綾小路さん、貴方はさっき成長には時間がかかるって言ったわよね
でも私がいま求めているのは私達がAクラスに上がるために必要な戦力よ
今育ってないなければ何の価値もないわ」
「そうかもね・・・・」
堀北の言葉ももっともと考え、特に言い返すこともしない
「私、もう一度佐倉さんを説得する
そうすれば、きっとこの悪い流れも変わるはずだし」
「私はそうは思わないわ、もし仮に証言してくれたとしても効果は薄いでしょうね
学校側もきっとDクラスから突然湧いて出た目撃者の存在を疑うはずよ」
「疑うって・・・嘘の目撃者だって思うってこと?」
「口裏を合わせて証言させてきたと学校側は考えるはずよ
絶対の証言にはならない」
「そんな・・・だったらどんな証拠が確実なの?」
「ほかクラスか他学年で事件が起こる前から一部始終を見ていて
学校側からも信頼の厚い目撃者がいれば可能ね
でもその人物は存在しないわ」
「それじゃあ・・・今回の事件でどうやっても須藤君を無実にするのは」
「そもそも喧嘩を吹っかけられてそれを受けた時点で
どちらか一方だけでもおとがめなしにすることはできないのよ
Cクラスだってそれを覚悟のうえで仕掛けてきたと思うし・・・・」
「まったく難儀なものだね・・・・
せめてこの事件が教室で起こったことだったらさ・・・・」
すると不気味な雰囲気の綾小路が
そんなことを言い、堀北と櫛田はその彼の方を見る
「どういうこと?」
「おや・・・・?
櫛田は気が付いていないのかい・・・・
ここやほかの教室には生徒の監視を
するためのカメラが設置されてるんだよ・・・・
ほらあそことあそこ・・・・」
別々に指をさしたそこには
それぞれ監視カメラが付いていた
「おそらく学校側が生徒がいつ問題を
起こすかを常にあれで見てるんだよ・・・・
でないと毎月毎月的確な査定ができるとも思えないしね・・・・」
「うそマジで!?
全然気が付かなかった・・・」
池や大半のクラスメートがカメラをまじまじと見る
「私も気が付かなかった・・・カメラがあったなんて・・・」
「意外と気づかないものね
まあ私も最初のポイント発表の時までは気が付かなかったから」
「へえ、そうなんだ・・・・
僕からしたら自然だと思ったけど・・・・」
幼い雰囲気の綾小路がそこまで言うと
女子の綾小路と不気味な雰囲気の綾小路に抑えられる
「まあとにかく・・・・
証拠がない以上は何もできることがない・・・・
目撃者の佐倉もあの様子だからね・・・・
私も失礼させてもらおうか・・・・」
「待って」
不気味な雰囲気の綾小路は不意に堀北に呼び止められる
「よかったら一緒についてきてこらえるかしら・・・」
「・・・・・・・・・・」
それを聞いて不意に背を向けたまま堀北の方に目をやる不気味な雰囲気の綾小路
「少し相談したいことがあるのだけれど」
「別に構わないよ・・・・」
その表情は堀北からは見えないが
どこか思惑通りと笑みを浮かべているように見える
「おいおい、あの堀北が綾小路を誘った・・・?
須藤だってあんなきつい言い方されたのに」
池はその様子を驚いたように見つめる
「それはないわね」
「・・・・・・・・・・」
堀北の否定に特に何も言わずに
無表情を貫く不気味な雰囲気の綾小路
「なあ堀北・・・・
せっかくだし少し行ってみたいところがあるんだけど・・・・
よかったら一緒に来てもらえないかな・・・・?」
「・・・・あまり時間をかけないでよ」
「フフフフフフ・・・・
焦らなくったって手間はとらせないよ・・・・」
そう言って先に教室を出ていく不気味な雰囲気の綾小路と
それに急いでついていく堀北、さらにその場には
女子の綾小路と幼い雰囲気の綾小路が消えていたのだった
・・・・四・・・・
「ここって特別棟・・・」
堀北が綾小路に連れられてきたのは
家庭科室や視聴覚室などの特別な授業を行うための場所
「涼しいとは思っていなかったけど
それでも思っていたよりも暑いわね」
堀北がそんなことを言うが
当の綾小路自身は特に変わった様子は見せない
「それで、どうして貴方はここに私を連れてきたのかしら?
目撃者は見つかったし、打つ手だってもうないのにこれ以上何をしようと言うの」
「だって現場百篇って言うじゃないか・・・・
ここに来れば何か見つかるかもしれないしね・・・・」
「じゃああなたには須藤君を無罪にする方法があると思ってる?」
「ないと思うよ・・・・
彼を無罪にする方法は、ね・・・・
そのくらい私にも無理なことぐらいわかってるさ・・・・」
「じゃあ貴方は何のためにこの事件を解決しようとするの?」
「それを聞いて・・・・
君はどうするつもりかのかな・・・・?」
不気味な雰囲気の綾小路がそう言うと
堀北は、はあっとため息をついて言う
「そうね、貴方の個人的な考えなんて私には関係のないことね
何をしようにもあなたの自由だしね」
「まあそう言うことで・・・・」
「でもあくまでそれは私自身にも言えることよ
私も私なりに自由にさせてもらうわよ」
「まあせいぜい頑張ってみるんだね・・・・
あくまで私は君の意見自体を否定するつもりはないからね・・・・」
そう言ってあたりを見回っていく不気味な雰囲気の綾小路
「ここにはどうやら監視カメラはないみたいね」
「そうだね・・・・」
「それさえあれば確実な証拠が手に入ったのにね
貴方のあては外れたようね・・・」
「まあ確かにね・・・・」
堀北の言葉に対しても特に何も反応を見せることはない
「思えばこの学校はさ・・・・
監視カメラがあるのは教室とか一部の施設内だけだったね・・・・」
不気味な雰囲気の綾小路はそんなことを聞いていく
「ほかに設置されていないのはトイレと更衣室ぐらいかしら」
「まあ設置されてたらそれはそれで問題だろうけどね・・・・」
「・・・・まあ今更残念がることでもないわね
監視カメラがあったら
学校側も最初から今回の件を問題になってしていないわけだし」
堀北はどこか期待を持っていた自分を恥じるように首を振る
「それで、何か策でも浮かんだ?」
「フフフフフフ・・・・
それはあくまで君の役目だ・・・・
須藤を助ける云々はとにかく
Dクラスにとってプラスになるように動いてくれればいい・・・・
それが自然に君にとっても利益になるだろうさ・・・・
それがわかってるからこそ
我に言伝を頼んで櫛田達に伝えたんだろ・・・・?」
堀北は綾小路の指摘にややどこか気に入らないと言わんばかりに見つめる
「まさかあなた・・・
私を利用するつもり・・・?
まさかそんな話をするためにここに?」
「確かに君の功績は大きい・・・・
だが彼女はあの調子だし
仮に証言してくれたとしても・・・・
それが逆に君たちを追い詰める
ことになるかもしれないしね・・・・
それに手はないかと探るのもいいだろ・・・・?」
堀北はあきれた様子を見せながらも自分の考えを口にする
「須藤君本人には確かに気に食わない部分は多々ある
だけど彼に科せられる責任の割合を軽くしたいとは思っているわ
ポイントを残せるのならそれに越したことはないし
Dクラスの印象を悪くするのも損だしね」
堀北の言葉に不気味な雰囲気の綾小路は特に何も言わない
「でも状況ははっきり言って最悪よ
佐倉さん以上の奇跡の目撃者を捜しだすのは不可能ね
残っている方法はCクラスに嘘を認めさせるだけど、うまくいくと思う?」
「無理だね・・・・
この状況でなおさら自供なんてしないだろう・・・・」
だがはっきり言って堀北はもう打つ手がない様子だ
「それにしてもここには人の気配がないね・・・・」
「無理もないわよ、この特別棟は部活でも使用しないもの」
「確かにこんなところ・・・・
誰かに呼び出されない限りは来ないだろうね・・・・」
この蒸し暑い空間に好きで来る者はいないだろう
堀北自身もややまいってきたようにも見える
「ふう、さすがにこれ以上とどまっているとさすがに参ってしまいそうね」
堀北は不意に不気味な雰囲気の綾小路の方を見る
「そろそろ出た方がいいわね・・・
これ以上ここにいても時間が無駄に過ぎていくだけよ」
堀北に言われて不気味な雰囲気の綾小路は彼女の方を向く
「そうだね・・・・
フフフフフフ・・・・」
何かを企んでいるように笑みを浮かべる不気味な雰囲気の綾小路
「何を企んでいるの?」
「別に・・・・・・ちょっとした好奇心だ・・・・」
二人はそう言って引き返していこうとするが
「うん?」
「どうしたの?」
禄かを曲がろうとすると
不気味な雰囲気の綾小路が帆を止める
「だれかいるみたいだね・・・・」
ゆっくりと近づいていく気配にゆっくりと近づいていく
「おっと・・・・
佐倉か・・・・」
「ふえ!?」
その相手は見知ったというか先ほど知った相手であった
「・・・あ、えと・・・?」
その相手、佐倉は不気味な雰囲気の綾小路のことをやや怖がるように見る
「ご、ごめんなさい
じ、実は私その・・・」
佐倉は何やら言いたそうだが
綾小路の不気味な雰囲気に圧されてしまっているようだ
「おや・・・・?
ケータイを片手に何をやっているのかな・・・・」
「え、ええっとその・・・し、写真を・・・ちょっと・・・・・・」
佐倉はそう言って少しずつ話していく、すると
見るに見かねたのか堀北が前に出て話をしていく
「え、えと・・・」
「佐倉さん、少し聞いてもいいかしら」
堀北自身も佐倉の不審な点を見逃せなかったようだ
前に寄っていく堀北におびえるように後退する佐倉
すると
「・・・・・・堀北嬢、そこまでに・・・・
彼女が怖がってしまっております・・・・」
「あ・・・」
堀北の後ろから彼女の肩に手を置いて下げるように引き寄せる
堀北自身もそれがかえって相手を話しずらくしてしまったことに気づく
「あ・・・」
佐倉は不意に目の前にいた綾小路の雰囲気が変わったように感じた
いつの間にか仮面をかぶっているということもあるが先ほどまでの不気味な雰囲気が消え
どこか安心させてくれるようにも感じるのだ
「・・・・・・佐倉 愛里嬢、でしたね・・・・」
「は、はい!」
その彼に話しかけられて不意に吃驚したように返事する
「・・・・・・貴方が目撃者目撃者だとしても
無理をしてまで名乗り出る義務はありません・・・・
そんなことしてまで証言しても結局何の意味もありません・・・・
もしも何かに悩んでおられるのならお申し付けください
及ばずながら我もお力になりますゆえに・・・・」
「貴方何言って・・・」
堀北は反論しようとするがすぐに止められる
「あ、ありがとう・・・ございます・・・
でも、大丈夫ですから・・・」
佐倉はあくまで相手に心を開かないようにする
「・・・・・・怖がらせてしまい申し訳ありませんでした・・・・
ただ、我はあなたの味方であるということだけを
覚えていてほしかっただけですので・・・・」
そう言われて佐倉は小さく返事をして去っていくのであった
「あれが最後のチャンスだったのかもしれないわよ?
おそらく彼女は、事件のことが気になってここに来たんだろうし」
「・・・・・・だからと言って無理に頼み込んでも仕方がありません・・・・
それに、彼女が仮に協力しても証拠能力としては心もとない
堀北嬢もそれは分かっているはずです・・・・」
「それは、そうだけど」
仮面をかぶった綾小路にそう言われて堀北も強くは言わない
今のままでは追及しても意味のないことも理解しているからだろう
「・・・・・・それともう一つ・・・・
どうやらここにはお客人がもう一人いらっしゃるようだ・・・・」
「え?」
そう言って仮面をかぶった綾小路の視線の先を堀北が見ると
そこから一人の少女が姿を見せる、その少女とは
「ねえ君たち、そこで何してるの?」
ストロベリーブロンドの少女だった
「・・・・・・彼女は確かBクラスの・・・・
一之瀬 帆波嬢と言う少女でしたね・・・・
今年の入学試験を首席でご入学なされたとか・・・・」
仮面をかぶった綾小路はそうつぶやく
「ごめんね、急に話しかけて
ここに二人だけで向かっていくのを見たからちょっと気になって
ひょっとして、お二人はここで何か秘密のお話でもしてたのかな?」
「・・・・・・当たらずも遠からず、ですね・・・・」
「ちょっと・・・」
ストロベリーブロンドの少女、一之瀬の問いに
仮面をかぶった綾小路はそう答えるが、やや誤解を招きそうだったと感じ
堀北は慌てて弁明しようとするが
「ふうん、まあそうだよね
デートだったらこんなところに来ないよね」
その前に一之瀬は大体理解してくれたようだ
「・・・・私達に何か用かしら」
堀北は警戒心を解くことなく一之瀬に問いかける
「用事自体はないよ・・・
ただここで何してるのかなーって」
「・・・・・・それは話す必要が・・・・?」
仮面をかぶった綾小路は最低限の発言しかしない
「うーん、露骨に警戒されているかぁ
ところで君たちってDクラスだよね?」
「・・・・・・知ってるので・・・・?」
「そっちの女の子はテスト期間の時に一度会ったよね
話はしなかったけど、そっちの君は・・・・よくわかんないや・・・」
仮面をかぶった綾小路を見て頬を指で書きながら苦笑いにする
「・・・・・・ああ、そう言えばあの時
あんたに注意されちまったんだったな」
すると急に口調が変わって仮面を外す、すると
「あの時はその・・・・・・悪かったよ・・・・」
その素顔はなんと好戦的な雰囲気の綾小路であった
「ああ、君あの時図書室での喧嘩を収めてた」
一之瀬もその顔を見て綾小路を思い出す
「まああの時は素直に謝ってくれたみたいだし、気にしないでいいよ・・・
そう言えばDクラスの方ってなんだか大変みたいだし
そのことでここに来たのかなって思ったんだけれど・・・」
「もしそうだったとして、貴方に何の関係が?」
「・・・・確かに関係はないけれど
でも、あの後クラスのみんなから聞いてちょっと疑問に思ったから
それで一度様子を見ようと思ったら偶然ここにきた君達を見かけてね
よかったらだけれど、事情を聞かせてもらえない?」
「うーん・・・・」
好戦的な雰囲気の綾小路は考え込む仕草を見つつ堀北を見つめる
「ダメかな?
ほかのクラスのことに興味を持ったら」
「おいらは別にいいけど・・・・」
「裏があるようにしか思えないわね」
綾小路の言葉を遮るように堀北が口を開く
「裏って?
暗躍してCクラスやDクラスを妨害する、みたいな感じの?」
心外だなあ、と言いたげな表情を見せる一之瀬
「おいらは別に教えてもいいと思うぞ
どのみちほかのクラスにもいきわたるだろうしさ・・・・」
「あいにく私は他人の興味本位に付き合うつもりはないわ」
堀北は勝手にしてと言わんばかりに少し距離を置く
「先生や友達からは喧嘩があったくらいにしか聞かされていないんだ
よかったら詳しく話してもらえないかな?」
「ようし・・・・」
こうして好戦的な雰囲気の綾小路は事の経緯を詳しく話す
「・・・・そっか、そんなことがあったんだ
それでその目撃者のことを聞きにBクラスにまで足を運んでいたんだね
ねえ、これって結構大きな問題なんじゃない?
どっちかが嘘をついてる暴力事件ってことでしょ?
真相をはっきりさせないとまずいんじゃない?」
「それで現場であるここまで来たってわけだ
収穫はゼロ、っていうほどでもなかったが・・・・」
後半はやや小声で言い、一之瀬にも堀北にも聞こえなかったようだ
「君たちはその須藤君、だっけ、クラスメイトの彼を信じてるんだよね
友達だろうし当然と言えば当然だろうけれど
Dクラスにとって今回の騒動は冤罪事件なんだね」
一之瀬はそのつぶやきを気にすることはなく、話を続けていく
「もしその須藤君が嘘をついていたとしたら君たちはどうするの?
無実どころか、有罪確定の証拠が出てきたと仮定してね」
「もちろん正直に申告するわ
その嘘は後々、必ず自分の首を絞める結果に繋がるから」
「そうだね、私もそう思う」
そこまで言うと堀北はもう話すことはないとわざとらしくため息交じりに言う
「もういいかしら、知りたい情報は知れたはずよ」
すると一之瀬の次の言葉は意外なものであった
「あのさ、もしもよかったら私も協力しようか?
こういうのは人手が多い方がいいと思うし」
なんと協力してあげるという申し出であった
だがおいそれと話せることでもない
「どうしてそう言う流れになるのかしら?」
「こういう事件はいつ誰に起こるかわからないものだし
この学校はクラス同士で競わせているからこそ、トラブルの危険性をいつも孕んでる
今回はその最初の事件のようだしさ、だから嘘をついちゃった方が勝っちゃったら
大問題だよ、それと話を聞いちゃった以上、個人的に見過ごせないっていうのもあるかな
BクラスとかDクラスに関係なく、ね?」
一之瀬はそう答えた
「それに私達Bクラスが協力して商人に
なることができれば信ぴょう性はぐっと高くなると思うよ
まあ逆も然りで、Dクラスにも被害を受けてしまうかもしれないけど・・・」
一之瀬の言うことももっとも
ゆえに堀北もすぐには答えを出せない
「おいらは悪い提案だとは思わない
ぶっちゃけおいらたちだけじゃ
須藤の無実、いや須藤から仕掛けてきたわけじゃない
証拠を手に入れられるのははっきり言って0%に近い
少なくともここでBクラスであるあんた達の協力を得られることは
良くも悪くも大きな意味を持つことになるだろうけどな」
「たとえ偽善だって思われても仕方ないかもしれない
でもだからってそんな重いものを背負う必要はないしね」
「まあおいらは別にいいけど・・・・
問題は・・・・」
好戦的な雰囲気の綾小路は不意に堀北の方を見る、すると
「わかった、ここは素直に協力をお願いさせてもらうわ」
堀北がそう言うと好戦的な雰囲気の綾小路は
堀北と一之瀬に気が付かれないように不敵に笑みを浮かべる
「決まりだね
えーっと・・・」
「堀北 鈴音よ」
協力関係として認めたのか素直に名乗る堀北
「よろしくね堀北さんに
それから綾小路君だっけ
二人ともよろしくね」
こうしてBクラスとの協定関係を結ぶことになったのだった
「それと話の補足をさせてもらうけど
実は目撃者はこちらで見つけられたわ
ただ、残念なことにその目撃者はDクラスの生徒だったけどね」
あちゃー、と言って一之瀬は残念そうに頭を抱えるようにして残念そうに息を吐く
「まあ、ほら、それでも目撃者であることに変わりはないし
ほかに目撃者がいないとも言い切れないわけでしょ?」
「それについては残念ながら可能性は低いだろうな
少なくともこの特別棟は授業の時でもない限り
ここに望んで足を運ぶことはないと思うぞ」
確かに、とまたも頭を抱える一之瀬だった
「それにしても須藤君ってすごいよね
一年生でレギュラーになるかもしれないんでしょ?
それって実はすごいことだよ、今は少し足を引っ張ってるかもだけど
後々クラスの財産になるかもしれないよ、だってこの学校は部活や慈善活動なんかも
評価してくれてるから、もしも須藤君が大会に出て活躍すれば須藤君にもポイントが
支給されるし、クラスのポイントにもつながるんだからさ」
「そうだろうな、だから何とかしてやりたいと思ってんだけどな・・・・」
すると堀北は驚愕の表情を浮かべる
「え、ちょっと待って、部活で活躍するともらえるポイントって
プライベートポイントだけじゃなかったの!?
茶柱先生だってそう言って・・・」
「それは平田の推測での話だろう
茶柱先生は部活に貢献すればポイントが入ると言ったけど
それがプライベートポイントだけとは言ってなかったろう・・・・」
「ひょっとして、堀北さんは知らなかったの?」
そこまで言うと不服そうに綾小路を睨みつける堀北
「どうしてそれに気が付いていたのなら、教えてくれなかったのかしら・・・」
「聞かれなかったし・・・・」
堀北はその受けごたえに握りこぶしを作って綾小路に振るわんとしていた
「君たちって案外仲がいいよね」
「別に普通だろ、ぶっちゃけおいらと堀北は席が隣ってだけだからな・・・・」
好戦的な雰囲気の綾小路の言葉に一之瀬は不意に笑みをこぼす
「それにしても君たちの担任って変わってるよね
そんな大事なことを生徒に伝えないなんて」
「どういうこと?」
堀北は一之瀬の言い方い何かが引っかかった
「実はこの学校じゃ担任の先生の評価はね
卒業時のクラスで決まるっていう話なんだ
うちの担任の星之宮先生がさ、Aクラスの担任になれば
特別ボーナスが出るから頑張りたいって、口癖のように言ってたし」
「担任の先生に関してはそっちの環境がうらやましいわね」
「おいらはどっちもどっちだな・・・・」
Bクラスへの担任は二人でそれぞれ違うようである
「一度しっかり話し合った方がいいかもね」
「敵に塩を送られるとは思わなかったわ」
「もうこれは戦う以前の問題じゃない?」
別クラスながら心配する一之瀬
「担任だけでもBクラスと交換してほしいものだわ」
「嫌多分、別の意味で苦労すると思うぞ・・・・」
げんなりと答える好戦的な雰囲気の綾小路
「いやー、それにしても暑いねここ」
一之瀬はそう言ってハンカチで汗をぬぐう
「まあだからって四六時中冷房効かせてるのも問題だろ
ぶっちゃけ健康にも地球にも優しくねえし」
「あはははは、確かにそうかもね」
一之瀬は笑いながら綾小路の方を見る
「今のどこに笑う要素があったのかしら・・・」
「別に笑わせたつもりもないが・・・・」
「そうだ、せっかく協力関係になったんだし
物事を円滑に進めるためにも二人の連絡先、聞いてもいいかな?」
堀北は目線で訴える、私は嫌だからあなたが交換しなさい、と
ぶっちゃけ好戦的な雰囲気の綾小路はそれを見てややあきれた様子を見せる
「おいらでよければ頼む、連絡くれたら対応するから」
「うん、わかった」
こうして半ば強制的だが連絡先を交換する綾小路であった
・・・・・五・・・・・
「さてと・・・・
Bクラスの方は一之瀬に任せておくとして
おいらたちはこれからどうするつもりだ?」
「そうね、まあそのこともかねて少し話がしたいのだけれど・・・」
堀北がそう言うと好戦的な雰囲気の綾小路はため息をついて言う
「まあいっか、まあよくねえけど・・・・」
と言う事で自室に堀北とともに入っていく綾小路
「お邪魔します」
そう言って入っていくとその部屋の奥にはすでに何人かの影が見えた
「へえ~・・・・
まさか君の方から来てくれるとはね・・・・」
「これからの相談のために立ち寄っただけよ」
部屋にいたのは四人の男女
堀北とともに入ってきたのを入れて六人全員がそろう
「それにしても、いつ見ても異様なものね
学校では特に違和感を覚えないけれどここに入ってくるどうにもね」
堀北はそろった六人の綾小路を見回して言う
「そうだね、まあこの部屋に入ってきたのって
堀北ちゃんが最初なんだもんね、まあまだ気が付いてないみたいだけど」
「別に貴方のことについては特に知りたいと思わないし、知りたいとも思わないけれど」
幼い雰囲気の綾小路に対していつも通りの対応で話していく堀北
「それじゃあ須藤君の件、貴方達はどう考えているのか改めて聞かせてもらうわ
それと櫛田さんたちがどう動いているのかも教えてもらうわ」
「それだったらこんな遠回しな方法じゃなくて
櫛田らに直接聞けばいいだろうがよ」
「私自身はあくまで彼を認めていない
あくまでこれはクラスのために仕方なく手を考えているだけ
遠慮なく言うなら、見放してもいいとさえ思っている」
「へえ、中間テストのときはあたしに協力して須藤のためにポイントを払ったのに?」
「それはそれ、これはこれよ
今回の件は奇跡的に無実を勝ち取れたとしても
それで結局彼は次に同じ問題を起こさないとは思えない
言ってみれば彼に救いを与えることは逆効果にもなりえないのよ」
「情けは人の為ならず、か・・・・」
六人を見渡していく堀北、すると口を開くのは三人
「まあ私は今回の件で須藤を無実にするのは難しいと考えてる・・・・
あくまで私達はいかにDクラスへのダメージを軽くするかに焦点を絞ってる・・・・」
「僕も同感だね・・・・
何しろ今回の件は須藤君に不利な状況だしね」
「俺もだな・・・・
目撃者である佐倉もあの様子じゃ協力しねえ
確実に無罪を勝ち取るのは不可能と言ってもいい
まあ多少ばつが当たるのをあいつに覚悟してもらうしかねえだろうな」
堀北はその発言に不服そうながらもどこか納得したような顔をしている
「やっぱり貴方達もそのことに気が付いていたのね
この件で完全な無実を勝ち取るのが難しいことも
須藤君の欠点が招いたことだっていうことも・・・
そうでなければ罰を与えるなんて考えにはならないもの」
「まあ普通に考えれば行きつく答えだしな・・・・」
堀北の言葉に好戦的な雰囲気の綾小路が言う
「私はそうは思わないわ
だって池君達や櫛田さんは全く気が付いていなかった
須藤君の訴えを信じ、彼のため、クラスのために嘘から救おうとしているだけ
どうしてこの事件が起こったのか、事態が
切迫しているか、その根本を全く理解していない」
苦楽を共にするクラスメートにも容赦のない堀北
「まあ池や山内は理解が及ばないし・・・・
櫛田はお人よしだからな・・・・
いや・・・・
もしかしたら櫛田には別の思惑があるのかもしれないがね・・・・」
「そこまで言うならなぜあなたは櫛田さんのお願いを聞いているの?」
「無理やり連れだされてるだけだっての」
「どうかしらね、いやだったら無理にでも否定すればいい
でもあなたはそうしていない、これって矛盾じゃない?」
堀北は詰め寄るように六人に寄っていく
「私にはあなたたちと言う人間がまだわからない
過去問を手に入れたりポイントを使って点数を買うことを思いついたり
でも私が一番気に入らないのは、それを他人の手柄にしているというところよ」
だが六人は特に気にすることもない
「堀北さん・・・・
別に貴方があたしのことをどう思おうと勝手だけど
あんまり買いかぶるようなことだけはしないでよ
あたしたちはあくまで今ある手でどうにかする方法を見つけるだけ
それ以上に求めているものはないわ」
女子の綾小路が各々の考えを代弁するように言う
「私はあなたたちほど未知数で不確定要素が満載の人間を知らない
ある意味一番計算しがたい人物・・・・
いいえ、あえてそう言うふうにふるまっているのかしら」
「そうだったとして・・・・
私はそうですと答えてくれると思うかい・・・・?」
不気味な雰囲気の綾小路の言葉に堀北は彼を訝しむように見つめる
「そう言うところ、まったくもって不快な存在よ、貴方は・・・」
堀北がそう言うところでも不気味な雰囲気の綾小路は続けていく
「君に理解できない存在なんて私以外にもいるじゃないか・・・・
まるで私が珍しいというような言い方はよしてくれよ・・・・
それを言うんならあの高円寺のほうが勝ると思うがね・・・・」
そう言ってその部屋を出ていこうと堀北の横を通り過ぎていく
「彼はあなたが思っているよりもわかりやすいわ
ただ性格に問題があるだけで、むしろそれすらも単純明快よ」
それを聞いてゆっくりと拍手をする不気味な雰囲気の綾小路
「君って絶対に茶柱とおんなじタイプだね・・・・
教師に向いているんじゃないか・・・・?」
そう言って不気味な笑い声を上げながら部屋を後にするのだった
「まあなんにしても、Bクラスも協力してくれんなら
今はそれを飲むのに越したことはない、なにせもう手は残っていないしな・・・・
明日さっそくいろいろと行動起こしてみるほかねえだろ、今のところはな」
動物的な雰囲気の綾小路の言葉に、堀北は不服ながらも頷いて了承するのだった
・・・・・・六・・・・・・
「そういやこの寮は四つに分かれてんだよな・・・・
この一つの量は男子女子に分かれているが
クラスで分かれてないんだよな、三年間変わらず」
部屋から出てきた好戦的な雰囲気の綾小路はそんなことを思い返すように言う
すると管理人室の前には昨日改めて知り合った少女の姿があった
「ありがとうございます
よろしくお願いいたします」
管理人と何か話をしていたようで何かお礼を言っていた
「あ、綾小路君
おはよう」
「お、おう一之瀬か・・・・」
話しかけられたのでとりあえずあいさつを交わす
「ずいぶん朝が早いんだね」
「今日はちょっと目が早く覚めてな・・・・
そういや一之瀬は管理人と一体何を話してたんだ?」
「実はねうちのクラスのから何人か、寮に対する要望みたいなのがあって
それをまとめた意見を管理人さんに伝えてたところなの
水回りとか、騒音とかね」
「へえー、そんなことをお前が?
普通こういうのは個々で対応するもんじゃねえのか?」
するとそこに
「おはよう一之瀬委員長」
二人の女子生徒が一之瀬に声をかけてきた
「委員長?
なんだそりゃ・・・・
そもそもクラスにはそんな
役職的なものなんてないんじゃねえか?」
不意にその様子に疑問を浮かべる好戦的な雰囲気の綾小路
「うん、私学級委員をやってるんだ」
「へえ・・・・・・ひょっとしてDクラス以外にはあるってことか?」
好戦的な雰囲気の綾小路はそう聞きだしていく
「Bクラスで勝手に作っただけだよ
役職が決まっているといろいろ楽だと思うし」
「なるほど・・・・
っていうことはひょっとしてほかにも役職とかあるのか?」
「形式上はね
副委員長とか書記とかね
文化祭とか体育祭とかそう言うときに便利だし
その場その場で決めてもいいんだけれど
それでトラブルになったら大変だしね」
その話を聞いて素直に感心した表情を浮かべる
「・・・・・・思わぬ収穫があったようだな・・・・」
そんなことをつぶやいた
「何か言った?」
「え、ああ・・・・
統率取れてるんだなって思ってよ・・・・」
素直に感じてことを言って、ごまかすように言う
「別に変に意識してるわけじゃないよ?
みんなで楽しくやってるだけだし
それに少なからずトラブルを起こす人もいるしね
苦労することもあるんだから」
「それも含めてBクラスのいいところって感じか?
そう言うことを言いながらも随分と楽しそうだ」
好戦的な雰囲気の綾小路はそんな返しをする
「ところで綾小路君ってさ
綾小路君っていつもこの時間で起きてるの?
思えばこの時間帯で見たことないし」
二人で登校しながら何気ない話をしていた
「仮に早く起きて早く起きてもしょうがねえしな
ぶっちゃけ、それぞれ準備済ませたら適当にぶらぶらしてる」
「へえ、案外早起きなんだね」
学校に近づいていくと生徒の数が増えてくる
すると一之瀬の周りに生徒が集まってきている
「おはよう一之瀬!」
「おはようございます一之瀬さん!」
その光景に不思議と納得を覚える好戦的な雰囲気の綾小路
「やっぱり人気なんだな、あんた」
「そんなことないよ、委員長としていろいろ相談ごとに乗ってるから」
その言葉に謙遜ではなく本心で答えるように言う
「そう言えば綾小路君は夏休みのこと聞いた?」
「夏休み?
なんだそれ・・・・?」
「・・・・え?」
一之瀬は不意に綾小路の方を見る
「い、いや夏休みっていうのは八月から大体一か月くらいある長い休みのことで・・・」
「へえ~、そんなものがこの学校にあるのか」
「い、いや、この学校だけじゃないし
そもそも中学校にも小学校とかにもあるよ?」
「・・・・・・え?
そうなの・・・・?」
「・・・・・・・」
それを聞いて一之瀬は不意に噴き出してしまう
「ぷっ、あっはっはっはっはっ!!!
綾小路君って面白いね、夏休みを知らないなんて
と言うより中学校通ってたら普通に知ってると思うけど」
「え、おいらまさか、すっげえ恥ずかしいこと言った・・・・?」
なぜ笑われているのかわからないが
ものすっごく恥ずかしいことのようだと理解した
「ま、まあ夏にやってくる長い休みだって覚えておけばいいよ
実はその夏休みにね、バカンスがあるっていう噂なんだ」
「ああ、そういや茶柱がそんなこと言ってたな・・・・
そういやそのバカンスって、クラスで別なのか?」
「ううん、一年全員で行くらしいよ
学校の主催でね・・・」
それを聞いて不意に疑問が浮かび上がっていく好戦的な雰囲気の綾小路
「ただのバカンスじゃ・・・・・・ねえよな」
「私もそう思ってるんだ、ひょっとしたらそこが
一つのターニングポイントだって思ってるんだ」
「そうだな、もしかしたらそのバカンスの時に
クラスポイントが変動する可能性がある、一之瀬はそう考えてるんだな」
「うん
中間テストや期末テストよりも
ぐっと影響力のある課題みたいなのがあるんじゃないかな
そうじゃないとAクラスとの差ってなかなか埋まっていかないからね
私達もじわりじわり離されていっちゃってるし」
一之瀬の言葉に同調するように考え込む仕草を見せる
「そういや、あんた達BクラスとAクラスとの差はどのくらいだ?」
「今Bは660ちょっとだから、もう350近く離されてるね」
「そうか・・・・」
そのBクラスのポイントのうまい下げどまりに静かに感心する
「まあテスト以外にクラスポイントを増やす方法がなかったから
どうしても少しずつ目減りしていくのは避けられないよね
Aクラスだって最初はそうだったし」
「それでもうまくポイントを増やしているようだけどな」
そんな会話を続けていく二人
「そんなことないよ、私やみんなが頑張ってくれたからこその結果だよ」
「でも現に慌ててないよな」
「気にはしてるよ?
でも巻き返すチャンスはこれからだと思うから
それに備えて気持ちだけは作ってるつもり」
「先を見据えることは悪いことじゃないと思うが
まあそう言うのはあんたたちのようにまとまりがなっている
クラスだけだろうな、うちのクラスはあの事件のせいでもうばらばらさ・・・・」
「ま、まあお互いに頑張ろうよ」
「それはあくまで堀北や平田、櫛田の役目だ
おいらはあくまでその指示に従うだけさ
まあもしもそのバカンスがあんたの予想通りなら
どのみち、ろくなことにはならないだろうな」
その先に待っている面倒ごとのことを考えて
頭を抱える好戦的な雰囲気の綾小路なのだった
「まあどっちにしても本当に南の島でのバカンス
だったら、それはそれですごく面白そうだよね」
「さあ・・・・」
「・・・・あれ?
うれしくない?」
一之瀬は急に反応の変わった好戦的な雰囲気の綾小路の顔色を見る
「ひょっとして、旅行嫌い・・・?」
「そもそも旅行なんて言ったこともないよ
外国に行ったことは、あるけどよ・・・・」
顔に影を落としてぎゅっと言う音が響くように握りこぶしを作る
「ど、どうしたの?」
「・・・・・・なんでもない」
何かこみあげてくるものを抑えるように
一之瀬の問いにそっけなく答える好戦的な雰囲気の綾小路
「ね、ねえ、よかったらでいいんだけれど・・・
綾小路君に聞いておきたいことがあるんだ」
やや気を使いつつも自分の疑問をぶつけんとする一之瀬
「私達ってこの通り、四つのクラスに分けられたよね?
これって本当に実力順なのかな?」
「うーん・・・・
それについてはおいらもまだよくわからない
ただ一つ言えるのは入学試験の結果によるものじゃないってことだけだ」
好戦的な雰囲気の綾小路は少し自分をごまかすように
一之瀬の疑問に対して考え込むような仕草を見せると
「総合力、っていう可能性は?」
そう言うふうに答えていく
「うーん、私も最初はそうだと思ったんだけど
それだと下位のクラスは圧倒的に不利になるんじゃない?」
「あんたはどういうふうに考えてるんだ?」
一之瀬は腕を組んでうなる
「個人戦ならともかく、これはクラス単位なんだよ?
純粋に優秀な人間をAに集めちゃったら、殆ど勝ち目はないんじゃない?」
「だからこそ、ポイントが大きく開いてんだろ?
あんたの考えは違うのか?」
好戦的な雰囲気の綾小路は一之瀬に問うと
一之瀬は自分の考えを話し始めていく
「現段階でAからDクラスに差があるのは事実だけど
それは些細な事で埋まっていくだけの何かが隠されてるんじゃないかな?」
「・・・・・・その根拠は?」
「あはははは、あるわけないじゃない
なんとなくだけどそう思うだけ
いや、そうでないと厳しいって言った方が的確かもしれないけどね
勉強できる子、スポーツが得意な子が
Dクラスにもいるってことは、いろんな対策も練れるし」
「なるほどな・・・・」
一之瀬の意見に対して不思議とその可能性もあると片隅に置いていく
「・・・・・・ところで、このことをおいらに言ってもよかったのか?」
不意にそんなことを聞く好戦的な雰囲気の綾小路
「ん?
何が?」
「今みたいな考え方をほかクラスの俺に話して
下手をすれば自分たちの首を絞める行為になるかもしれないのに」
すると一之瀬は笑みを浮かべて答える
「私はそうは思わないな
意見交換で得る物も多いし
それに今は協力関係にあるんだから全然問題なしなし」
それを見て好戦的な雰囲気の綾小路は一之瀬と言う相手の何かをつかめたようだ
「まあおいらは堀北にくらべれば、特に優れるってわけでもねえしな」
「まあ、私が勝手に話してることだし、気にしないでいいよ
むしろ活かせるっていうならどんどん活かしてくれたらいいし」
すると一之瀬は不意に何かを思い出したように動きを止めた
すると先ほどまでの笑顔が嘘のような真剣な顔で好戦的な雰囲気の綾小路を見る
「あのさ・・・・参考までに聞いてみたいことがあるんだけれど、いいかな?」
先ほどまでと変わって身を固くする好戦的な雰囲気の綾小路
「聞くだけ聞いて、それで答えられることなら答えてやるが」
聞く姿勢を持つ好戦的な雰囲気の綾小路
「綾小路君ってさ、女の子に告白されたことってある?」
この問いに想像はしてなかったのか間の抜けた表情を見せる
「え、あ、いや、えっと・・・・」
その様子に一之瀬は何か失礼なことをしたのかと思い弁明する
「あ、ああごめん、なんでもないよ」
だがすぐに浮かない表情を見せる、まるで悩みを抱えているかのように
「ひょっとしてさ、告白されたとかそう言う感じか?」
「え?
あーうん
そんな感じかな」
好戦的な雰囲気の綾小路はとりあえず一つの可能性を指摘する
一之瀬の反応を見て、そうなのだと確信するのであった
「あのね、よかったらなんだけれど今日の放課後少し時間をもらえないかな?
そのことでちょっと悩んでて、忙しいのは百も承知なんだけれど・・・」
「別にいいさ、あの時のお詫びもかねてできる限り協力する」
「あの時のお詫びって、テスト勉強の時のこと?
だからあの時のことはもういいんだって・・・」
「おいらはそう言うのは口ではっきり言うよりも
行動で示して初めて意味のあるものだって思ってる
だから少しでもあんたの力になれるなら
おいらはできる限りのことはやりたい
そうしなきゃ、どうにも虫が悪くてさ」
「ふふ、綾小路君って案外しっかりしてるんだね
ありがと」
一之瀬は笑顔を見せてお礼を言う
「それじゃ、放課後・・・・玄関で待ってるから」
「お、おう」
こうして二人はそれぞれのクラスに戻っていくのであった
・・・・・・・七・・・・・・・
「へえ・・・・
それはうらやましいねえ・・・・」
「勘弁してくれよ
おいらはあくまで
できる限りのことをしてやりたいだけだ」
「しかし、話によるとどうやらBクラスのリーダーは
その一之瀬っていう女で間違いだろうよ、これは言い収穫だ
あとはいかにして一之瀬をとるかだろ、どうする?」
動物的な雰囲気の綾小路がそう言うと
好戦的な雰囲気の綾小路がそれに反論する
「おいらは、もう少し待っててほしい
一之瀬がこの件に協力してくれるっていうなら
それを逆手にとって追い詰めさせるような手はしたくねえ」
「私も意見は賛成だ・・・・
まあ私の場合は手を広げていくっていう考えだがね・・・・」
「まあ別に俺はそれでもいいけどよ
その一之瀬って女は信用できるのかよ?
櫛田の件もあるし、裏で何やってるのか・・・・」
「まあ一之瀬さんが何か仕掛けてくるつもりなら
仕掛けてきた時に仕掛けていけばいいって思うけど」
女子の綾小路が一之瀬のことについて述べていく
「一之瀬さんの評判ははっきり言っていいわ
Bクラス内でももちろん、先生からの評判もいい
困ってる人にも手を指し伸ばしてくれたりもしてる
おまけに人当りもいいうえに美人で容姿も優れてる
彼女をとるのは現時点では無理よ、俺・・・・」
「そのために私、あたしと我で情報を集めているのだろう、俺・・・・」
「わーってるよそのくらい
っていうか今から一之瀬の指定したそこにいくんだよな?
とーぜん行くんだよなおいら?
いつもいつも俺を櫛田の奴を押し付けてくれやがって」
「も、もちろんだ
おいらが受けたんだから
おいらが責任もっていってくるよ」
そう言って出ていく好戦的な雰囲気の綾小路
「それで、そっちの方はどうなの?」
「私はもうこれ以上
行動を起こすことには意味はないと思うから・・・・
そろそろ切り上げさせてもらうよ・・・・」
「僕も私に賛成だな」
「俺もだ、これ以上証拠も目撃者捜しも、もう無意味だろうよ」
「・・・・・・・・・・」
すると仮面をかぶった綾小路が黙って出ていく
「我?」
女子の綾小路はその様子を見つめていた
一方
「うわあ、すごい人だかりだな・・・・」
そのおかげで一之瀬の姿を見つけられるのだった
「あ、綾小路君、こっちこっち」
一之瀬も好戦的な雰囲気の綾小路に気が付き声をかける
「しっかし朝も思ったが一之瀬は人気者だな
うちのクラスの櫛田といい勝負だな」
「あはははは、そんなことないってば
あ、それよりも朝のことなんだけれど」
一之瀬に連れられて学校の裏側を通る
そして最終目的地は体育館裏であった
「さてと・・・」
一之瀬は呼吸を整えて好戦的な雰囲気の綾小路の方に向く
「実は私・・・
ここで告白されるみたいなの」
「・・・・・・は?」
間の抜けた声で答える好戦的な雰囲気の綾小路に
一之瀬はあるものを見せる、それはラブレターだ
好戦的な雰囲気の綾小路はその文面を
じっくりと見て一之瀬の顔を見つめる
「大体は分かった、それでおいらにどうしてほしいんだ?」
「私ね、こういうのには疎くって・・・
どう接したら相手を傷つけずに済むのか
仲のいい友達でいられるのかがわからないから・・・
それでどうしたらいいのかなって助けてほしいと思って」
「それでなんでおいらなんだ?
Bクラスの誰かに頼めばいいんじゃないか?」
「実はその私に告白する子、クラスメートなんだ」
それを聞いてなるほどと言った具合にふむと声を出す
「今日のことはできる限り秘密にしたいの
そうじゃないとこれから先、気まずくなりそうだし
綾小路君だったら、誰かに言いふらしたりしなさそうだから」
「まあ経緯は分かった・・・・
それでおいらにどうしてほしいんだ?」
「う、うん・・・」
一之瀬は少し口ごもり、言う
「実は綾小路君に、彼氏の振りをしてほしいの
色々調べたら、付き合ってる人がいるのが一番相手を傷つけないで済むって・・・」
「そういうことか・・・・」
「お願い、できないかな・・・」
本気で困っている様子を見せる一之瀬
その様子をみた好戦的な雰囲気の綾小路は言う
「断る」
「え・・・?」
それは協力しないという返事だ
「お前は相手のことを考えてるように思っているようだが
所詮それは自分がなるべく傷つかないようにしてるだけ
言うならばそれはただの自己満足、お前自身がそれに気が付いてないだけだ」
「そ、そんなこと・・・!」
「いいや、そうだ!
そもそもな告白なんていうのはな
お前が思っているようなほど生半可なものじゃない
告白する方だってなどうやったら告白できるのか
必死に考えて考えて、でもいざってときは勇気が出なくって
それでもあきらめずに決意を決めてこうしてこの手紙を送ったんだ
それなのにお前はそんな彼女の気持ちを無視して、逃げようとしている
これが自己満足でなくてなんて言うんだ」
「・・・・あ・・・」
「いいか、相手を傷つけないで済むことなんて
絶対にあるわけないんだ、だったらせめてお前は
相手の気持ちに精一杯答えてやれ、それで傷つけることになっても
少なくとも俺を使ってあいつに嘘をついて傷つけるよりはよっぽどましだ」
一之瀬は綾小路の言葉に不思議と聞き入っていた
「いうなればこれは戦いと一緒さ・・・・
誰かを傷つけるのを怖がってたら
自分が大切だって思うものを傷つけちまう
どっちみち傷つくなら立ち向かって傷つけ、そら・・・・」
「・・・・あ!」
するとそこに一人の女子生徒がやってきた
「あ、あの一之瀬さん・・・・その人は?」
その場に現れたその女子生徒は綾小路の好戦的な雰囲気に警戒心を表す
「か、彼はDクラスの綾小路君で、その・・・」
「ただの友達さ・・・・
ちょっとした相談に乗ってあげただけだよ」
好戦的な雰囲気の綾小路は一之瀬に耳打ちをする
「あとはあんたと彼女の問題だ
彼女の気持ちにぶつかっていきな」
「綾小路君・・・」
彼はそう言って一之瀬の元から離れ
その女子生徒の隣を何も言わずに通り過ぎていくのであった
その後女の子は一之瀬に告白した
一之瀬はあくまで友達として好きなんだと
彼女なりの言葉でその女子の気持ちにこたえるのだった
女の子はこれからも友達でいてくれると聞き
一之瀬はもちろんと答え、女の子はそのことにお礼を言い
涙を浮かべながらも走り去っていくのであった
「ぶつかってきたんだな、あんたなりに・・・・」
「あ・・・」
一之瀬のもとに好戦的な雰囲気の綾小路が訪ねてきた
「綾小路君の言うとおりだった、私は気が付いたら千尋ちゃんの気持ちを
受け止めようとしないで傷つけない方法だけを考えて逃げようとしてたんだ
確かに私が間違ってた」
恋愛って難しいんだね、とつぶやき一之瀬は
好戦的な雰囲気の綾小路の隣に並び手すりに腰かけた
「これからも私と千尋ちゃんは、友達でいられるかな?」
「それについてはおいらは答えられない・・・・
あくまであんた達二人しだいだ」
「そうだね・・・」
一之瀬は好戦的な雰囲気の綾小路の方を向く
「今日はありがとう
変なことにつき合わせちゃって」
「おいらはあくまでおいらにできることをやっただけさ」
「そうだね
私、綾小路君に相談してよかった」
「悪かったな、恋愛ごとなんてわからないくせに偉そうなこと言って」
一之瀬はそれを聞いて、またおかしいことを聞いたように笑う
「ううん、綾小路君が謝ることなんてないよ」
一之瀬は両手を空に向けて伸ばし、一之瀬は地面に降りる
「私最初に綾小路君を見たときは素直だけど
ちょっと乱暴な人だって思ってたけど
意外にやさしいんだね」
「意外は余計だ」
「今度は私が、綾小路君に協力する番だね」
一之瀬は改めてDクラスに協力する意思を固くするのであった
「一之瀬 帆波、か・・・・
Bクラスのリーダーとして
どのようにふるまうのか見せてもらうぞ・・・・」
Collaborateurs puissants