ようこそ実力至上主義の教室へーIn this deceitful world, even bigger lieー   作:lOOSPH

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Frieden und Hölle sind in der Linie


Willkommen im Schulleben einer traumhaften Hölle

ある教室

 

一人の少年が窓際の自分の席で

 

図書館で借りてきたのだろう本を読みこんでいると

 

「綾小路君、ちょっといいかしら?」

 

隣から誰かが話しかけてきた

少年は不意にその隣の方を見ると

 

そこには容姿が整っている美少女と呼ばれても

おかしくない一人の女子生徒が話しかけてきたのだった

 

「なんだ」

 

少年は本を開いたままその少女のほうに目を向ける

 

「少し時間をもらえないかしら」

 

「まったく

 

 相変わらずお前は人の都合を考えまないな

 

 まあここで、お前に対して嫌だといっても聞き入れるつもりはないんだろ?」

 

少年が諦めたようにつぶやくと

少女は分かっているならいいと言っているかのようにうっすらと笑みを浮かべているのがわかる

 

「わかっているなら話が早いわ」

 

「わかっているのと納得しているのとでは意味が違う

 

 現にあなたのやり方に納得しているクラスメートは一人もいない」

 

反論する少年だが

 

「納得してもらおうだなんて思っていないわ

 

 あなたはただ私に協力してくれるのかどうかを聞いているのよ」

 

「協力?

 

 笑わせるな」

 

すると少女の右隣に先ほど話していた少年と

同じ容姿の少年が顔を寄せるように近づいてきた

 

その少女の座っている机に勢いよく自分の左腕をたたきつけて

 

「お前が勝手に一方的に協力しろといっただけだろう

 

 私はお前の協力者になっているつもりはない

 俺自身はそもそもお前に協力するつもりはないぞ」

 

「あいにくだけどその意見は聞いていないわ

 

 私が聞きたいのははいかイエス、それだけ」

 

「なんとまあ理不尽な選択肢だな

 

 そんなのどっちをとっても同じじゃないか」

 

少女の隣の席に座っている少年が少女の言葉に突っ込みを入れる

 

「そう、いうならば

 

 あなたに選択肢はないということよ」

 

「気に入らねえな

 

 お前のそういうところ

 俺は気に食わねえな」

 

「はあ・・・・

 

 このまま無駄に水掛け論を続けていっても

 無駄に時間が過ぎていくだけというものだな」

 

すると隣に座っていた少年が

読んでいた本をパンと音を立てて

 

立ち上がって少女の方を向く

 

すると少女に不満を言っていた少年は

納得いかない様子の表情を見せながら少女から離れていく

 

「話を聞こう

 

 判断するのはそれからでも遅くない」

 

少年がそういうと

少女はさっそくと言わんばかりに話を始めていくのだった

 

どうしてこのようなことになったのか

それには少し時をさかのぼっていく必要がある

 

まず、少年と少女が出会ったのはこの高校に入学するときのことだ

 

・一・

 

「今日から高校生か・・・・」

 

「まさか入学できるだなんて思わなかったよね・・・・」

 

「別に俺はあそこから離れればどうでもいい」

 

「そうだよね、一番はやっぱり・・・・」

 

「あら? ねえみんな、あそこ見て」

 

「うん?」

 

仲の良い少年少女のがなるべく周りに気を使ってか

あるいは変に目立ちたくないのかわからないがそんなことを言っていると

 

不意に席に座れていないお年寄りの姿が見えた

 

六人は全員がそのお年寄りの方を見る

 

「無理もない

 

 この入学シーズンだ

 むしろそれを了承で乗り合わせたのならば

 

 あのおばあさんには悪いが自業自得だ」

 

「俺も同感だな

 

 大体譲ってほしいなら譲ってほしいと

 素直に言えないから余計に状況が悪くなってる

 

 自分のまいた種だな」

 

「運が悪いとしか言えないね・・・・」

 

六人のうち、三人がその老婆に対して辛辣な言葉を投げかけると

 

「ちょっとそこのあなた!

 

 おばあさんに席を譲ってあげようと思わないの!?」

 

その声に六人は思わず声のした方を向く

そこにはOL風の服装をした女性が一人の学生に怒鳴っている

 

「実にクレイジーな質問だね

 

 なぜ僕がそこの老婆に席を譲らないといけないんだい?」

 

「あなたの座っているそこは優先席よ

 

 お年寄りに席を譲るのは当然でしょ!」

 

「理解できないねぇ」

 

「んな・・・!」

 

するとそこに

 

「あ、あの・・・

 

 私もお姉さんの言うとおりだと思うな」

 

一人の女子校生が座っている男子高校生に言う

 

だが何を言っても男子高校生は聞く耳も持たず

結局老婆が彼女をいさめたが、それでは申訳がないと考えたのか

 

乗客に向かっておばあさんに席を譲ってほしいと呼びかける

六人のうちお年寄りを辛辣に言っていた三人はやれやれといった具合で

 

気にも返さなかったが

 

「あ、あの・・・・」

 

その六人のうちその三人とは別の

もう三人のうちの一人の少年が立ち上がる

 

「よろしかったらどうぞ

 

 もうすぐ降りますし、迷惑でなかったら」

 

「迷惑だなんて

 

 ありがとうございます」

 

とお年寄りに席を譲ってあげると

その少女が代わりにお礼を言う

 

老婆もお礼を言いながらそこの席に座る

 

「へえ、やさしいじゃん」

 

「ううん、そういうわけじゃないよ

 

 ただあの子の必死の思いに心が打たれただけだよ」

 

「ふうん、まそういうことにしといてあげる」

 

こうして六人が話していた通り

目的の場所につくことになったのだった

 

「おー改めてみてみると壮観だな」

 

「ここが僕が今日から通うことになる学校だね」

 

「さあて、それじゃあさっそく行ってみますか」

 

と歩を進めていく六人だったがそこに

 

「ちょっと」

 

一人の少女に声をかけられる

 

「うん?

 

 確か隣に座っていた・・・・」

 

「そこのあなた

 

 どうしてあの時席を譲ったの?」

 

少女は問いかける

六人に向かって話しかけているようにしては

 

不適格な表現をつぶやいて

 

だがそれを何事もなくその問いに答える

 

「別に・・・・

 

 ただ目的地が近かったから

 意地を張って座っててもしょうがないと思っただけだ

 

 あんたこそあの時席を譲ってあげるつもりはなかったのか?」

 

「私はあくまで席を譲ることに意味があると思わなかった

 

 だから譲るつもりはなかった、それだけのことよ」

 

少年の問いに少女は答える

 

「納得できないな」

 

「あなたに納得してもらおうと思っていないわ」

 

「まあ私も納得しようとも思わない」

 

「そう」

 

はあ、とため息をつくのが聞こえる

 

「あなたのような人間とは

 極力かかわりたくないと思うわね」

 

「私は別にどちらでも

 

 もしもこの世に、袖振り合うのも

 多生の縁の言葉通りの展開があれば

 

 その時私はお前との出会いにため息をつくだろうな」

 

二人はそんなことを話しながら同じタイミング

なおかつ距離を置いて入学する学校の門をくぐっていくのであった

 

・・二・・

 

「ここがDクラスか

 

 なんとも騒がしい」

 

「全員が入学式で浮足立っているのだろう

 

 まったく、何が面白いんだか」

 

「群れることは悪いことではないが

 やっぱりここは慎重になって選ぶべきだね」

 

「しかしそれでもここまで関係がはっきりしていると逆に感心する」

 

「人間っていうのはそう言うもの、かもね」

 

「しかし・・・・」

 

六人のうち一人が教室を見渡す

 

男子、女子それぞれ

あるいは混同していくつかのグループが形成されているのがわかる

 

それを見ていた六人は一人はあきれ、一人はやや羨ましそうに

六人は六人それぞれ違う表情をでその様子を見ていくのであった

 

「こうしてみていると友達っていうのはいいものだね」

 

一人がいった

 

「人間っていうのはすべての動物の中でも

 まさに多くの歴史の中で数々の文化を築いた

 

 だけどそれは人間はすべての生き物の中で

 優れた団結力をもっているんだって思うな

 

 だからこそ人間は団結してできないことをやる

 一人では難しいと思うことをやり遂げて見せてしまうんだから

 

 そうだって思わない?」

 

と一人の少年に声をかける

 

「俺はそうは思わん

 

 そもそもそんなもの

 生きていく上で必要だと思わない」

 

と一人の少年がその問いに否定的にとらえる

 

「そもそも人間がすべての生き物の中で

 優れた団結力を持っているのだとするなら

 

 なぜこの歴史の中で多くの戦争が起こっている

 

 逆に人間ほど互いに理解することができない生き物はいない

 

 もしも友情や愛情なんて言うものが大切だというなら

 どうして動物の多くはつがいで行こうとしない?

 

 獅子は狙ったメスのパートナーの雄を倒しその間に設けた子供を

 殺されたというのにメスはなぜその自分の子供を殺した相手を受け入れるというのだ

 

 所詮、この世は弱肉強食だ

 

 弱い奴は強いものに食われて糧にする、それが世界の定理・・・」

 

「確かにライオンはそうだけど

 

 でも鳥は一生その相手と一緒にいるし

 その子供だって巣立ちを迎えるまで大切に育てる

 

 それこそ猛吹雪の中でも猛暑の中でもね

 

 それってこの世界においては何万分の一の可能性で起こる

 

 いうならば奇跡なんだよ

 

 その奇跡をこうして身近で体感できるなんて素晴らしいことだって僕は思うな」

 

「奇跡?

 

 くだらない

 

 人の繋がりほどもろいものはない

 

 そんなものを大切に思っている奴ほど

 その相手に足元をすくわれていくのだ

 

 石田三成が徳川家康に関ヶ原の戦いにおいて

 負けたのも味方だと信じていた小早川秀秋に裏切られたのがきっかけだ

 

 誰かを信頼するからこそ誰かに裏切られるもだ」

 

「裏切られないためにも信頼が必要なんじゃないか」

 

「信頼しているという確信ほど信頼できないものはない」

 

二人の少年が水掛け論を繰り返している中

一人机に座っている少年はそんな二人に対してため息をつく

 

「ねえ私もそうやってぼーっと座ってないでさ

 

 俺に何か言ってやってよ、私の意見を聞かせて」

 

「別に

 

 私はただ平穏に過ごせれば文句はない

 

 他人がどうなろうともあくまで

 それは他人のもたらした結果だ

 

 私の結果になるわけでもない」

 

「私は相変わらずだな

 そんなに俺や僕の言うことに納得できないか?」

 

「そもそも納得したいとも思わない」

 

三人の少年が向き合っていると

 

「まあそれはそれでいいでしょ

 

 私も僕も俺も自分が正しいと思ってる通りに動けば

 

 大事なのはあくまで何かをするのかしないのかの違いだって思うし」

 

その六人の中で唯一の女子が三人の意見を丸く収める

 

「まあ誰の意見が正しくて間違っているかなんて

 それこそ些細な問題でしかありませんゆえに

 

 それよりも大事なのはそれを踏まえて

 これからどうしていくのかということですよ

 

 まずはこの高校でどのように過ごしたいのかですよ」

 

「そりゃあまあ、自由に過ごせれば・・・・」

 

「誰にも干渉されなければ・・・・」

 

「平穏無事でいられれば・・・・」

 

どこか大人びた少年の言葉に

少年たちはそれぞれの意見を述べた

 

「さてと

 

 そのためにはどうするのか・・・・

 

 まずはそこからだね」

 

「誰から仲良くなり始めていこうかってことだけど・・・・」

 

「それならば私からまず行かせてもらう

 

 もしかしたらさっそくあたりが来たかもしれないからな」

 

「私?

 

 それっていった・・・・」

 

少年が座っている少年に話しかけようとすると

 

「まったく

 

 入学早々ため息が出るわね

 

 関わりたくないといった相手と

 まさかおんなじクラスだったなんて」

 

不意に少年は話しかけられる

その話しかけられた方にいたのは

 

ここに来るまでのバスの中で隣になった少女だった

 

「確かに

 

 おまけに隣の席か・・・・」

 

少年はため息交じりに言う

 

「まあこうして出会ったのも何かの縁

 

 仲よくとまではいわないが、挨拶ぐらいはしておこう

 

 私は綾小路 清隆、よろしく頼む」

 

「出会っていきなり自己紹介?」

 

「まあそういうな

 

 これからこの三年間同じクラスなんだ

 

 その間、お互いに名前が

 知らないというのはいろいろと不便だろう」

 

「私はそうは思わないわ

 

 少なくともそんなことに意味があるとは思えないもの」

 

「意味なんて初めからない

 

 意味を求めること自体が意味のないこと・・・・

 

 私個人はそう考えている」

 

「それで私が納得するとでも?」

 

「そもそもお前に納得してもらおうと思っていない」

 

綾小路 清隆・・・・・・

 

そう名乗った少年に対して

少女はあきれを覚えたのか再度ため息をつく

 

「・・・・堀北 鈴音よ」

 

少女、堀北 鈴音は早めに済まそうと思ったのか

それとも煩わしく感じたのか手っ取り早く名前を名乗った

 

「あなたのような人間は好きになれないわね」

 

「まあ別に私も誰かに好かれたいと思ってもいないが・・・・

 

 面を向かって言われると逆にすがすがしいものだ」

 

綾小路は落ち込んでいるのか

どうかもわからないほどの無表情でつぶやく

 

しばらくするとその教室に一人の女性が入ってきた

 

「新入生諸君

 

 私はこのDクラスを担当することになった

 茶柱 佐枝だ、日本史を担当している

 

 学年ごとのクラス替えは存在しない

 

 よって三年間私が担任としてお前たちとともに

 学んでいくことになると思う、よろしく

 

 では入学式の前にお前たちにまず

 この学校の特殊なルールについて

 書かれた資料を配らせてもらう

 

 まあすでに入学案内とともに配布しているがな」

 

そう言って教師、茶柱 佐枝に言われ

綾小路はその資料に目を通していった

 

その後茶柱先生からそれぞれ学生証が配られていく

 

この学生証があれば敷地内にある施設を利用したり

商品を購入できたりすることもできると説明されていく

 

施設の中にある機械に通すか

提示することで使用が可能となる

 

ちなみに1ポイントにつき1円の価値がある

 

なおポイントは毎月一回ずつ振り込まれていく

 

振り込まれるのは月々10万ポイントと

いわれると周りが激しくざわつき始めていく

 

すなわち、今も来月も10万ポイントが振り込まれるということだ

 

「この学校では実力で生徒を測る

 

 入学を果たしたお前たちには

 それだけの価値と可能性がある

 

 そのことに対する評価みたいなものだ」

 

なおポイントは卒業とともに回収され

さらに現金に換金することもできないので

 

ため込んでいても意味はないともいう

 

茶柱先生はカツアゲをしないようにと釘を刺すと

それではよい学生ライフを送ってくれたまえ、と退室するのであった

 

周りの者たちは月々実質10万も送られてくると知り浮足立っていく中

 

綾小路は一人学校における特殊な校則の書かれた資料を読み返していた

 

「思ってたよりも堅苦しいところではなさそうだね」

 

「ああ

 

 話を聞く限り

 厳しいところがあると考えたが・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

見ると机に座っている綾小路の周りには五人の少年少女が集まっている

 

うち少年二人と少女は

話を聞いてどこかうれしそうに見える

 

だが残る二人の少年はどこか浮かない表情をしている

 

「僕はどうにも逆に優遇されすぎている気がするね」

 

残った二人のうち一人が口を開く

 

「さっきの茶柱先生の説明も

 どこか含みのある言い方だったし

 

 それに注意事項といったくせに

 注意したのはカツアゲとかいじめのことだけ

 

 確かにそれもひどいことだけれどほかにも

 呼びかけるところもあると思うんだけれど」

 

「俺もおんなじだな

 

 そもそもこのシステムに関しては

 どうにも穴が多すぎるようにっ見える

 

 その穴をこの学校が気が付いていないとは思えん

 

 私はどう思う?」

 

そう言って机に座っている少年に話しかける

 

「別に

 

 基本問題を起こさなければ

 まさしく問題はないだろう

 

 私はただ、何事もなく迎えられれば問題はない」

 

「相変わらずだな」

 

そんなことを言っていると

 

「みんな、少し話を聞いてもらってもいいかな?」

 

クラス全体に景気の良い声が響く

その男子生徒は好青年という言葉が似合う

 

髪も染めていない

不良らしさも感じられない

真面目という言葉が似合う印象を受ける

 

「僕らは今日からおんなじクラスになる

 そこで今から自発的に自己紹介をしていこうと思う

 

 みんなでこれから仲良くやっていけたらって思うんだ

 

 入学式まで時間もあるし、どうかな?」

 

「さんせーい

 

 私たちまだ、お互いの名前とかわかんないし」

 

男子生徒の呼びかけに一人の女子生徒が賛同すると

それぞれ迷っていた反応を見せていた生徒たちが次々と賛同していく

 

「わあ・・・・

 

 あの人、人をまとめるのがうまいんだね」

 

「まさにイケメンってやつだな」

 

少年と少女がクラスに呼びかけた男子生徒を素直に称賛する

まず先にその彼が自己紹介をした、平田 洋介というらしい

 

そのあと端から順番に自己紹介していくことになる

その際に自己紹介に緊張して言葉が回らない女子生徒がおり

 

その女子生徒に向かって一人の女子生徒に声をかけにいく

 

「ゆっくりでいいよ、慌てないで」

 

その声に少年は感心する

 

「すごいあの子・・・・

 

 あの女の子のことを理解して

 それに合った呼びかけをしてる」

 

「偶然じゃねないのか?」

 

その女子生徒は井の頭 心というらしいが

六人は彼女よりも、彼女を励ました女子生徒の方に関心を向けていた

 

「俺は山内 春樹

 

 小学生の時は卓球で全国に

 中学時代は野球部でエースで背番号は4番だった

 

 けど今はインターハイでけがをして今はリハビリ中だ」

 

よろしくぅ、と締めて見せた山内 春樹と言う男子生徒

 

それを見て机に座っている少年を

含めた三人の少年があきれたようにため息をつく

 

「インターハイは高校の体育大会

 だから中学生が出られるわけないだろう・・・・」

 

「お調子者って感じかな・・・・」

 

「いや、ただのバカだ・・・・」

 

ひどい言いような三人の少年に

残る二人の少年と少女は複雑な反応を示す

 

すると

 

「じゃあ次は私だねっ」

 

次に自己紹介するのは

六人全員が先ほどの井の頭に

ゆっくりでいいよと呼びかけた女子生徒だった

 

「私は櫛田 桔梗といいます

 中学からの友達は一人もこの学校に

 進学していないので独りぼっちです

 

 だから顔や名前を早く憶えて

 友達になりたいって思っています」

 

さらに言葉を続けていく少女、櫛田 桔梗

 

「私の最初の目標として

 ここにいる全員と仲良くなりたいです

 

 みんなの自己紹介が終わったらぜひ

 私と連絡先を好感してください」

 

笑顔で言い切る櫛田を見て

六人はそれぞれ思うところがあるように言う

 

「なるほど

 

 誰とでもすぐに打ち解けられるタイプだな」

 

「彼女の明るさが場の雰囲気をよくしてくれてるのがわかるね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

二人の少年と少女が櫛田をたたえていると

 

「それから放課後や休日はいろんな人とたくさん遊んで

 たくさんの思い出を作りたいので、どんどん誘ってください

 

 ちょっと長くなりましたが以上で自己紹介をを終わります」

 

と締めくくって平田が次の相手に進めていくが

 

「自己紹介なんてやんねえよ

 餓鬼じゃあるめえし

 

 やりたい奴だけやれ」

 

その次の相手

髪を真っ赤に染めあげたいかにも

不良という感じの男子生徒は食って掛かるように言う

 

「もちろん強制はしないよ

 

 でも、クラスのみんなで

 仲よくしていくことは悪いことじゃないと思うんだ

 

 不愉快な思いをさせたのなら謝りたい」

 

平田がそういうとそのそばにいる

女子がその赤髪の少年を睨みつけ

 

「自己紹介ぐらい、いいじゃない」

 

「そうよそうよ」

 

と抗議するが逆に赤髪の少年をはじめ

多くの男子生徒の反感を買ったようだ

 

「うっせえ、こっちは仲良しごっこするためにここに入ったんじゃねえ」

 

そう言って赤髪の少年をはじめ

多くの生徒たちが教室を出ていってしまう

 

堀北もまたゆっくりと立ち上がって去っていく

 

「どうする?」

 

「僕は別にどっちでもいいかな」

 

「俺はあの赤髪の奴に賛成ってわけじゃねえが・・・・

 

 別に必要はないと思う、私と僕も同じ考えだ・・・・

 

 おいらとあたし、我はどうだ?」

 

「おいらは残る

 

 仲良くなりたいとは思わないがクラスのことを

 知っていくことは今後の役に立つと思うからな」

 

「私も残る

 

 みんなと仲良くしていきたいと思うし」

 

「・・・・・・・・・・」

 

六人の意見は半々である、いや一人無口で意見が読み取れないが

 

「私は僕と俺と同じ意見だ

 

 では私は先に行っていよう

 

 せっかくだしこの学校のことも知りたいしな・・・・」

 

「じゃあ、あたしたちはあとから行くね」

 

と三人も教室から出ていってしまうのだった

 

残った三人は残った生徒たちを見つめている

 

「僕がいけないんだ

 

 相手のことを考えずに・・・・」

 

「そんなことない、平田君は悪くないよ」

 

「そうだよ、あんな人たちほっといて続けよう」

 

そう言って残った者たちで続けていく

 

「俺は池 寛治

 

 好きなものは女の子で

 嫌いなものはイケメンだ

 

 彼女は随時募集中なんで、よろしく!」

 

続けて自己紹介した男子生徒

その紹介の仕方に対しての女子生徒たちの反応は

 

「すごーい、池君かっこいー」

 

棒読み、それはまさに一目瞭然である

 

「マジ?

 

 や、俺も悪くないって自分でも思ってんだけどさ」

 

だがこの言葉から彼自身

女子生徒たちの反応の意味が分かっていない様子

 

からかわれているという自覚がないのだ

 

「あいつも馬鹿だな」

 

「悪い人じゃないみたいだけど・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

と次に自己紹介の番が回ってきたのは

 

「私の名前は高円寺 六助

 

 高円寺コンツェルンの一人息子にして

 いずれはこの日本社会を背負って立つ人間になる男だ

 

 以後お見知りおきを、小さなレディーたち」

 

先ほど電車でお年寄りに席を譲らなかった男子生徒

 

その自己紹介の仕方にクラスメイトはまるで変人でも

見ているのかのようにその男子生徒を見つめてはいるが

 

当のその男子生徒、高円寺 六助は気にするそぶりも見せていない

 

「ああいうわが道を行くタイプって案外いるんだな」

 

少年のうち一人が言う

 

「ええっとそれじゃ、次は

 

 そこの君、お願いできるかな?」

 

「え?」

 

平田が指を刺したその先には

二人の少年はおらず、一人の女子生徒がいた

 

「え、ええっとその・・・・

 

 あ、あたしは綾小路 清隆です

 

 こうして皆さんに会えたこと

 あたしは、うれしく思います

 

 みんなと仲良くなれたら、うれしいです」

 

女子生徒がそういうと、教室がシーンと静まり返る

 

「え、ええっと・・・・」

 

失敗した!

 

そう思った少女だったが

その手を握った者がいた

 

「綾小路ちゃん!

 

 よろしくお願いします!!

 

 むしろ俺の方から

 仲良くしてくださいです!!!」

 

それは先ほど、女子からの苦笑をもらった池であった

 

「よ、よろしく・・・・」

 

「あ、あとついでに俺の彼女になって・・・・」

 

「こら、池!

 

 綾小路さんが困ってるじゃない」

 

「あ、私は佐藤 麻耶

 

 入学式終わったら一緒に遊ばない?」

 

すると今度はその池をはねのけて

何人かの女子生徒が少女のもとに駆け寄っていく

 

その様子を見つめる二人の少年

 

「大変な人気ぶりだな・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一人は感服するように言い

もう一人は表情がうかがい知れない

 

すると

 

「っ!」

 

少年は不意に何かを感じて

その感じた方を見るとそこにいたのは

 

「・・・・・・」

 

櫛田だった

 

「あの女子生徒、確か・・・・

 

 櫛田といったか、今のは一体・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

違和感を覚えた少年だったが

今はその疑問を置いておいて

 

もうすぐ入学式が始まるのでそっちに行ったのだった

 

・・・三・・・

 

「入学式が終わったか・・・・

 

 それで次はどうする?」

 

「僕は帰りたい

 

 この学園にある寮を見てみたいし」

 

「俺も僕に賛成だ

 

 カフェだのそんなの

 俺は興味はないしな」

 

「おいらはこの学校の施設を見てみたい

 

 こんなに大きいと迷いそうだしな」

 

「ええっと、あたしは

 みんなに呼ばれちゃってるから・・・・

 

 そろそろ行くね」

 

「・・・・・・・・・・」

 

五人の少年と一人の少女が雑談をしている

 

「まあそれぞれがそれぞれで行けばいいだろう

 

 私も少し気になるものがあるからな

 それじゃあ後で漁の方に戻っていこう」

 

と六人はそれぞれ行動を起こしていくのであった

 

「コンビニか・・・・」

 

とそのうち一人の少年がコンビニに寄る

 

「通ったこともないが・・・・

 

 別に特に興味のあるものはないな」

 

中に入って商品などを見て回る

だが特にめぼしいと思うものはない

 

「またしても嫌な偶然ね・・・」

 

少年は声をかけられて

不意にその方に目を向けると

 

そこにいたのは堀北であった

 

「お前もここに用事か?」

 

「ええ、必要なものをね」

 

そう言って堀北はいくつかの商品を

手に取ってかごに収めていっている

 

「そういえばあの時疑問に思ったのだけれど

 

 あの時あなたも教室から出ていったみたいだけど」

 

「ああ、見ていたのか

 

 私は別に自己紹介をすることに

 必要性を感じないと思ったそれだけだ・・・・」

 

堀北に負けず劣らず、やや冷ややかにいう少年

 

「自己紹介をしたからと言って

 仲良くなれるという確証はないわ

 

 むしろ自己紹介をして何か確執が生じるかもしれない

 

 それなら最初っから

 何もしなければ問題は起こることはない、違う?」

 

「なるほど

 

 確かに確立という意味では

 そういうことも言えるな

 

 だがそれは逆を言えば何をしなくとも

 どちらの確率があるともいえると思うが」

 

「あなたの言う確率がどうやって導き出されたものなのかは知らないけど

 

 少なくともあなたはその確率を否定した

 だからあの時出ていった、そうでしょ?」

 

「まあな・・・・

 

 否定をするつもりはない」

 

「そもそも私は友達を作ろうとは思わない

 

 その必要もないと思ってる

 だから自己紹介に参加しなかった、ただそれだけのことよ」

 

「なるほど・・・・

 

 まるで自分はほかの奴と違うとでもいいたげだな・・・・」

 

綾小路は含みのある言い方をする

 

「そうだと結論してる」

 

「そうか・・・・

 

 まあ私にはどうでもいいことだ

 少なくとも私は君という人間が少しわかった

 

 あくまで少し、な・・・・」

 

綾小路はそう言ってうっすらと笑みを浮かべる

 

「あなたは何なの?

 

 あなたは私に一体何を求めているの?」

 

「何も・・・・

 

 ただひとつ言わせてもらうなら

 君という人間に少し興味がわいた

 

 ただそれだけのことだ」

 

と腕を組みながら言う

 

「私はあなたに興味はない

 

 あくまで私があなたに

 話しているのはただの社交辞令のようなものよ

 

 本来ならあなたのような人間とは二度とかかわるつもりはないわ」

 

「私は別に君にそんなことを期待などしていない

 

 私が君に抱いている期待は別にある、それだけだ・・・・」

 

綾小路の言い方に堀北は気に入らないと

訴えるように彼の顔をじっと見つめている

 

すると

 

「っせえな、ちょっと待てよ!

 

 今探してんだよ!!」

 

レジの方から怒鳴り声が聞こえる

 

前方を見てみると二人の男が

レジの方で言い合いをしているようだ

 

「あの彼はあの時の・・・・」

 

前にいるのは自己紹介の際に

それに不満を言って教室を出ていった赤髪の少年だった

 

「まったく、もめごとなんて迷惑な話ね」

 

「だが放っておけばさらに面倒なことになるかもしれん・・・・」

 

そう言って綾小路はその赤髪の少年のもとに行く

 

「あの、ちょっといいかな?」

 

「ああ?

 

 なんだお前」

 

そこにいた綾小路は

先ほど堀北と話していた時とは

 

明らかに雰囲気が変わっている

 

堀北自身はそれに驚いているが

かといってそれほど気にしてもいない

 

「綾小路 清隆

 

 一応、君とおんなじクラスなんだ」

 

そういうと赤髪の反応から

少し落ち着いたものに変わっていく

 

「そ、そうか?

 

 あれ、でもお前みたいなのいたっけ?」

 

「まあそれはともかく、どうかしたの?」

 

「あ、ああ・・

 

 学生証忘れたんだよ

 

 これからはあれが金の代わりになることを忘れてたんだ」

 

よく見てみると彼は制服だが手ぶらの様子から

一度寮に戻ったのがわかる、その時に忘れたのだろう

 

「あのね、もしもよかったら

 僕が立て替えてあげよっか?

 

 取りに戻っていくのも大変だと思うし・・・・」

 

「・・・あ、ああ

 

 悪いがそうさせてもらうぜ」

 

そう言って綾小路は自分の学生証をレジの機械に通す

 

それを見て綾小路はなるほどと言わんばかりに学生証を見る

 

「・・・須藤だ

 

 悪い、世話になった」

 

「よろしく須藤君」

 

そう軽い挨拶をかわすと

須藤はさらに綾小路にお湯を入れていくように言って出ていく

 

それを見てあきれたような反応を見せるのは

 

「初対面からこき使われてるわね」

 

「まあ別に、そういうのは気にしないし

 

 ええっとこれはこうでいいのかな?」

 

綾小路は迷うように指を動かして

お湯を入れるためのスイッチを押した

 

「彼の風貌に恐怖している、という感じではないわね」

 

「恐怖?

 

 怖いってこと?」

 

「普通の人なら彼のような人は怖がって近づかなくなるものよ」

 

「ふうん、そうなんだ

 

 僕は別に怖いって感じることはないけど

 

 そういう堀北ちゃんはどうなの?

 

 須藤君のこと、怖がってるようには見えないけど・・・・」

 

「そういうのは自分が身を守るすべをもっていない人の時よ

 

 少なくとも私は彼がもしも暴力的な措置をとってきたら

 私は退けられる、だから怖いとは思わないそれだけのことよ」

 

堀北がそういうと

 

「ふうん

 

 つまり堀北は

 何か荒事の心得でもあるのか?」

 

「え?」

 

また雰囲気が変わるのを感じた堀北だが

特に気にすることもなくただうなずくことにした

 

「そうなのか、何を習ってるんだ?」

 

「それよりも早く買い物を済ませるわよ

 

 ほかの生徒の迷惑になるから・・・」

 

と早々に買い物を済ませて

コンビニから出ていく二人

 

綾小路は須藤に頼まれたカップ麺のみを持っている

 

「しかし妙な話だ・・・・

 

 実質10万円なんて大金を

 生徒に持たせて学校に何のメリットがあるのか・・・・」

 

「そうね・・・

 

 敷地内にある設備だけでも十分多くの生徒は集まるわけだし

 無理して学生にお金を持たせるなんて、必要性があるとは思えない

 

 学生本来の目的である勉強が疎かになってしまうことだって十分にあるはずなのに」

 

「・・・・・・もしかしたらこの学校は

 

 私たちのことを試しているのかもしれないな・・・・」

 

「え?」

 

綾小路の言葉に堀北は

思わず彼の方に目を向ける

 

「この一か月において私たちが

 どのようにポイントを使うか

 

 あるいはどう過ごしていくのか・・・・

 

 学校はもしかしたらそういうところを見ているのかもしれない

 

 今のところは憶測にすぎないが、いくら何でもこの生徒に

 甘すぎるこのやり方は、普通の学校の待遇としてもあまりにも甘すぎる」

 

「・・・・・・・」

 

すると綾小路は何かの視線に気が付く

 

「おい、綾小路!

 

 なにぼさっとしてるんだよ!!」

 

その正体は綾小路の持っている

カップ麺を待ちわびている須藤であった

 

須藤は綾小路にカップ麺を渡すと

須藤はそこでカップ麺を開け始める

 

「ここで食べるのか?」

 

「ああ?

 

 こういうのは外で食べるのが世間一般の常識だろ?」

 

それを聞いてあきれるような反応を見せる堀北

 

「私は帰るわ

 

 こんなところで品位を落としたくないし」

 

「ああ、んだと!?」

 

堀北の態度が癪に障ったのか

つかみかからんとしていた

 

「てめえ、女のくせに生意気な態度取りやがって!」

 

「女のくせに、時代錯誤もいいところね

 

 彼とは友達にならないことをお勧めするわ」

 

そう言ってその場から離れていく堀北であった

 

「なんだよあの女は」

 

「さあ・・・・

 

 それでは私もそろそろ失礼しよう

 

 私のほうもほう用事は大体すんだからな・・・・」

 

そう言って歩き出していく綾小路

 

「待てよ綾小路!

 

 お前もあの女の肩を持つのかよ!!」

 

「そういうわけではない・・・・

 

 ただせっかくこの学園で過ごすことに

 なるのですから、この学園のことも知っておきたいと思ている・・・・

 

 ただそれだけだ・・・・」

 

須藤の返答に綾小路は無気力に答える

 

「んだよ!

 

 あの女といい、綾小路といい・・」

 

その声が後ろから聞こえ

綾小路はため息をつくのだった

 

・・・・四・・・・

 

学生寮に入っていくいくつかの人影

 

「確か俺がもう戻っているはずだ・・・・」

 

そう言ってカギとおんなじ番号の部屋を開ける

 

そこにはすでに四人の少年と一人の少女がいた

 

「戻ってきたようだな私

 

 そっちで面白いものはあったのか?」

 

「ああ・・・・

 

 それらしいものをすでに・・・・」

 

「僕も一応いろんなところ回ったけど

 

 得に気にするところはないように思えるんだよ」

 

「まあ、この学園は不良みたいなやつも

 入学できてるみたいだし、特に気にすることはないだろ

 

 それよりも本当にこの学校なら

 おいらは誰にも何も干渉されなくなるのか?

 

 どう思う?」

 

「でも学校の規則にそう書いてあるし

 大丈夫ってことだよきっと

 

 つまりあたしは自由!

 

 もうあいつの監視とかも気にする必要もなし!!

 

 イエーイ!!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

六人の男女がそれぞれの反応をしめす

 

「しかし・・・・

 

 あいつがそれを黙っているとは

 到底思えません、今後もそこを警戒しておきましょう」

 

「ようし、明日からどんな日々が送れるんだろうな」

 

「俺は別にどっちでもいい」

 

「まあ基本、何にも気にする必要はないな」

 

「うん!

 

 今から楽しみだな」

 

「・・・・・・・・・・」

 

こうして六人の男女は明日が待ち遠しいと

いわんばかりに目を輝かせていたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここからが私の・・・・」

 

「ここからが僕の・・・・」

 

「ここからが俺の・・・・」

 

「ここからがおいらの・・・・」

 

「ここからがあたしの・・・・」

 

「「「「「学園生活の始まりだ!!!!!」」」」」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       




Das Schulleben ist ・・・・・・
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