ようこそ実力至上主義の教室へーIn this deceitful world, even bigger lieー   作:lOOSPH

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Règlement


Le ciel a conduit, une seule solution

学校までの並木道

 

その場所にて

ひとりの女子生徒が

 

手すりに腰かけながら

ある生徒が来るのを待っていた

 

するとその生徒の姿が見えた

 

「へえ・・・・

 

 こんなところで誰かと待ち合わせかい・・・・?」

 

「ええ、おはよう綾小路君

 

 貴方を待っていたのよ」

 

「ふふーん・・・・

 

 そうなのかい・・・・」

 

特に何も気にすることなく

不気味な雰囲気の綾小路は学校に向かっていく道を歩いていき

堀北も黙ってその後を追うように歩いていく、もっとも目的地が同じだけなのだが

 

「今日ですべてを決めるのよね」

 

「ああ・・・・」

 

「私ははっきり言ってこの作戦がうまくいくとは思えない・・・

 

 だけどそれも元をたどれば私自身の責任でもある」

 

「あの時坂上の提案を飲んでおけばよかった・・・・

 

 そう考えているのかい?」

 

考えたくはないけど、と堀北は前置きして続けていく

 

「もしもこれで須藤君に重い罰が下されたら

 私達Dクラスにとっても無事にすむ問題じゃないわ」

 

「ほう・・・・

 

 君のような人でもそんな弱気なことを言うこともあるんだね・・・・」

 

「貴方の作戦には不安があるけれど、かといってほかに方法もない

 

 こうなったら賭けに出るしかない、私もそう思ってるから」

 

「私達二人だけがやる作戦じゃない・・・・

 

 一之瀬の協力もあるんだから何とかなるだろうさ・・・・」

 

そう言うと不意に堀北は立ち止まって彼に背中越しに言う

 

「ねえ・・・」

 

「うん・・・・?」

 

不気味な雰囲気の綾小路は

堀北の方に少しだけ顔を向ける

 

「・・・・いいえ、今はいいわ

 

 もしもこの件が片付いたらその時に・・・」

 

「・・・・・・そうか・・・・」

 

堀北の言葉にそう答えて

学校の方への道へと向かっていくのであった

 

・一・

 

「さあ・・・・

 

 いよいよ勝負の時だ・・・・」

 

「しっかし驚いたね

 

 まさか一之瀬さんが協力してくれるなんて」

 

「まあ、櫛田に比べればまだ信頼できるか」

 

「一之瀬 帆波ねえ・・・・

 

 もしかしたらあいつは

 Dクラス最大の難関になるかもしれねえな・・・・」

 

「別クラスだから敵に回すなっていうのは無理だし、ところで我は?」

 

女子の綾小路が聞くと

不気味な雰囲気の綾小路はある場所に指をさす

 

そこには

 

「あ、あの・・・おはよう、綾小路君・・・」

 

「・・・・・・おはようございます・・・・」

 

佐倉は口ごもりながらも

仮面をかぶった綾小路に挨拶を交わすと

 

綾小路は軽く挨拶をした

仮面越しに笑っているように見えて

 

不思議と佐倉も少し笑顔になった

 

仮面をかぶった綾小路はほかの面々の元に戻っていく

 

「ずいぶん仲良くなったねぇ・・・・」

 

「・・・・・・ただ、挨拶を交わしただけですよ・・・・

 

 彼女も必死に変わろうとしている

 我はその力になってあげたいだけです・・・・

 

 ただ・・・・」

 

仮面越しにどこか不安そうにも見える瞳を見せる綾小路らのもとに

 

「珍しいわね・・・

 

 佐倉さんが自分から挨拶するなんて・・・」

 

「そうだね・・・・」

 

堀北が来ると六人いた少年少女は

不気味な雰囲気の綾小路一人になっていた

 

「彼女、無理をしていないといいけれど・・・」

 

堀北は不意にそんなことを言う

 

「へえ・・・・

 

 堀北も変わったね・・・・

 

 他人のことを気遣うなんてね・・・・」

 

「そんなのじゃないわよ」

 

「・・・・・・我は少し、佐倉嬢が

 無理をしているように見えます・・・・」

 

不気味な雰囲気の綾小路の机側の方から

仮面をかぶった綾小路が話しかけてきた

 

「そうね、そっちの仮面の綾小路君の言う通りよ

 

 多分だけれど彼女は、相当の無理をしてるわ」

 

「無理・・・・?」

 

「身の丈に合っていない行動をすれば転びかねないということよ」

 

堀北の言葉には不思議と説得力があったように感じた

 

「君が言うと不思議と説得力があるね・・・・」

 

「その言葉、覚えておきなさい・・・」

 

不気味な雰囲気の綾小路の

つぶやきに対して堀北は報復宣言をするのであった

 

・・二・・

 

「・・・・・・それでは予定通りに仕掛けるのですね・・・・」

 

「ああ・・・・

 

 今日はおそらく審議は思わぬ形で終わるだろうさ・・・・」

 

そう言って二人の少年はそれぞれ分かれていく

 

不気味な雰囲気の綾小路は教室を出て

仮面をかぶった綾小路はしばらくその場に残っていると

 

「あ、あの・・・」

 

するとその彼のもとに話しかけてきたのは佐倉だった

 

「・・・・・・佐倉嬢、お帰りですか・・・・?」

 

「綾小路君・・・

 

 今日で決まるん、だよね」

 

「・・・・・・ええ、良くも悪くも今日で決まりますよ・・・・」

 

仮面をかぶった綾小路の言葉に佐倉はやはりどこか不安がある様子

 

「大丈夫、かな・・・」

 

何か思うことがあるように、佐倉は目を伏せて小さくつぶやいた

仮面をかぶった綾小路は佐倉の様子がおかしいことに気が付き始める

 

「・・・・・・いかがなさいましたか・・・・?」

 

「え?」

 

「・・・・・・今日は佐倉嬢が証言するわけではありません・・・・

 

 それなのにどうして、そんなに体を震わせているのですか・・・・?」

 

仮面をかぶった綾小路は心配そうに佐倉に問いかける

 

「・・・みんなが頑張ってるから、私も頑張ろうと思って」

 

まるで自分に言い聞かせるように言葉にする佐倉

 

「・・・・・・佐倉嬢、貴方いったい何をしようと・・・・」

 

「私ね・・・今日をもって変わろうと思って

 こんな私からさよならをするんだって、これを機に

 

 そのためにやることを・・・今からするの」

 

そう言うがどこか答えが明確になっていないと

綾小路は感じていた、仮面をかぶった綾小路は彼女に問いかける

 

「ま、またね、綾小路君」

 

と飛び出そうとする佐倉に向かって

 

「・・・・・・佐倉嬢

 お待ちください・・・・!

 

 あなたにお話ししたいことが・・・・」

 

慌てて佐倉を引き留めようとするが

 

「今日はこれから用事があるの、それじゃあ」

 

と教室を出ていってしまう佐倉であった

 

「・・・・・・堀北嬢のお言葉・・・・

 

 もしかしたらその通りなのかもしれませんね・・・・」

 

気になった綾小路は

佐倉が出ていってしばらくたってから

 

後を追って出ていくのであった

 

 

 

「それで?

 

 あいつらは来ると思うか?」

 

「来るさ・・・・

 

 何しろ相手はあの櫛田なんだからね・・・・・」

 

特別棟にある人物たちを待ち続けているのは

動物的な雰囲気の綾小路と不気味な雰囲気の綾小路だった

 

「ったくそれで俺を使ったわけか・・・・

 

 悪いがもうここで引き上げさせてもらうぜ

 いい加減あいつとの変な噂を立てられたら迷惑だしよ」

 

「お疲れ・・・・」

 

そう言って引きあげていく動物的な綾小路

 

「さあて・・・・

 

 どうやら来たようだね・・・・」

 

そこに現れたのは石崎達Cクラスの三人だ

その会話の内容から櫛田に呼び出されて浮かれているようだ

 

「・・・・・・やっと来てくれたね・・・・

 

 待ちくたびれて立っているのが疲れてきたところだったよ・・・・」

 

そう言うと三人が見上げる階段の上から

不気味な雰囲気の綾小路が立っているのだった

 

「・・・・お前、なんでここに!?」

 

先に声を上げたのは石崎だった

 

「櫛田なら来ないよ・・・・

 

 俺、いや私が櫛田に頼んで

 君たちにここに来るようにしたんだよ・・・・」

 

すると石崎は不機嫌そうに彼のいるところにまで上がっていく

 

「ふざけやがって

 

 これは一体何の真似だ!」

 

「だってこうでもしないと君たち来ないでしょ・・・・

 

 こういう場所だったらお互いに腹を割って話せると思ってね・・・・」

 

「腹を割って話すだと?

 

 悪いが俺たちがお前に話すことなんて何もないね」

 

石崎は暑さのせいで機嫌が悪そうに答えていく

 

「どうあがいたって真実は隠せねーんだよ

 

 俺たちは須藤に呼び出されて殴られた

 

 それが答えだ、それ相応の罰を受けるのは当然だろ!」

 

「そんな無駄な時間を割くつもりなんてこっちもないよ・・・・

 

 DクラスもCクラスも主張を

 曲げるつもりはないんなら議論したって意味はないさ・・・・」

 

「だったらなんだよ

 

 今から俺たちを拉致って会議に参加でもさせるか?

 

 あるいは大勢で囲んで暴力で脅してみるか?」

 

「それも無駄なことだね・・・・

 

 所詮そんなのその場しのぎだし

 何より、ばれたら余計に立場悪くなるしさ・・・・」

 

不気味な雰囲気の綾小路はそう言いながらも

余裕の表情を決して崩していく様子はないように見える

 

「気に入らねえな、何やっても無駄だってわかってんのにその余裕な感じが!」

 

石崎は綾小路に向かっていこうとするが

 

「いいのかな?

 

 このまま引き上げてしまって」

 

「そうだよ、おとなしく

 観念した方がいいと私も思うな」

 

そこにCクラスの面々を待っていたように

軽い足取りで現れていくのは二人の女子生徒

 

「あ、綾小路に一之瀬!?

 

 綾小路はともかく

 どうして一之瀬がここに!?」

 

これにはCクラスの三人は驚きの様子を見せる

 

「どうしてって?

 

 私もこの件に一枚かんでるから、とでも言っておこうかな?」

 

「そう言うこと、一之瀬さんにも手伝ってもらってたの

 

 しっかし一之瀬さんも有名人だね

 まさかCクラスにも名前が知られてるなんて」

 

「Cクラスとは何度かいろいろあってね」

 

「ふうーん・・・・」

 

そのやり取りに興味があるように

ゆっくりと階段から降りていく不気味な雰囲気の綾小路

 

「今回はBクラスは何の関係もないだろ!

 

 引っ込んでろ・・・」

 

弱弱しくもCクラスの三人は一之瀬に啖呵を切って退けようとする

 

「確かに関係ないけどさ、でも嘘で他人を巻き込むのは見過ごせないんだよね?」

 

「・・・・俺たちは嘘はついていない

 

 被害者なんだよ俺たちはっ、ここに呼び出されて須藤に殴られた

 

 それが事実だ」

 

「やれやれ、どこまでもしぶといのね

 

 貴方達はもうここにきた時点でもう詰んでるのに気が付いてないの?」

 

女子の綾小路の言葉に大きく体を震わせていく

 

「今回の事件、貴方達が嘘をついたこと

 

 最初に暴力をふるったこと、全部学校はお見通しなのよ?」

 

「は?

 

 ンなわけねえだろ

 

 いくらお前が証言してもあてにはならねえんだよ

 

 須藤から喧嘩を振ってきたんだからな、なあ?」

 

石崎だ同意を求めるとほかの二人も同意する

 

「この学校が、日本でも有数の進学校で

 政府公認だってことは知ってるよね?」

 

「当然だ、俺らはそれが狙いで入学したんだからよ」

 

「だったらもう少し頭を使わないと

 

 君たちの狙いなんて、最初っからバレバレなんだよ?

 

 綾小路さんが言ったようにね」

 

一之瀬は追及しながらも、この状況を楽しんでいるように見える

 

「だっておかしいと思わなかったの?

 

 今回の事件を知ったときの学校の対応」

 

「あ?」

 

「貴方達が須藤君に殴られたって訴えられたときに

 どうしてその須藤君はすぐに処分されなかったのか

 

 およそ数日間の挽回のための数日間の好機を与えたのか?

 

 どうしてだと思う?」

 

「そりゃあいつが、嘘ついて学校側に泣きついたからだろ

 

 建前上猶予を与えないと訴えたもの勝ちになってしまうからな」

 

「あたしじゃそうは思わない

 

 本当の狙いは別にある、あたしはそう考えてる」

 

石崎達三人は暑さにより苛立ちのせいで理解が及ばない様子

 

「あーくそあちぃ!

 

 わけわかんねえよ」

 

まるでこの様子を予知していたように

不気味な雰囲気の綾小路は笑みを浮かべている

 

「もう行かせてもらうぜ、こんなところにいたら茹で上がっちまう」

 

「いいのかい?

 

 もし君たちがここを離れたら

 多分一生後悔することになるよ?」

 

「さっきからなんなんだよっ」

 

Cクラスの三人はいらだった様子で

一之瀬と女子の綾小路の方に向く

 

「どうやらわかってないみたいだね?

 

 さっき一之瀬さんが言ってたじゃない

 学校側は全部お見通しなのよ、嘘をついたのが貴方達だって言うことにね」

 

それを聞いて意表を突かれたようであり、互いの顔を見合わせていた

 

「笑わせんなよ

 

 俺たちが嘘をついてる?

 

 それを学校側が知ってるだと?」

 

だまされると思うなよと言うように鼻で笑う

 

「そうよ、貴方達はずっと掌の上で踊らされていたのよ」

 

「そんなウソが通じると思うなよ!

 

 一之瀬を抱き込んだ程度で俺たちを欺けると・・・」

 

「実は、確実な証拠もあるんだよね」

 

石崎の言葉を遮るように一之瀬が言う

 

「だ、だったらその証拠とやらを見せてみろよ・・・!」

 

石崎は動揺せずにそう告げるが

すでに自分たちがつられていることに気が付いていない

 

「この学校のいたるところに監視カメラがあるのは知ってるよね?

 

 教室や食堂、コンビニなんかにも設置されてあるの、なんとなく見たことあるでしょ?

 

 私達の不断の行いをチェックすることで不正を見逃さないようにしてる措置なんだよ」

 

「そ、それがどうしたっていうんだよ」

 

そしてここで一手を打つ

 

「それじゃあ

 

 あれは何かな?」

 

そう言って女子の綾小路は指をさす

石崎達はその先を見ていくと、三人は驚愕の表情を見せる

 

「え・・・!?」

 

そこにあったのは監視カメラだった

 

「ダメだよ三人とも

 誰かをはめるんだったらカメラのないところでやらないとね」

 

「ば、な、なんでカメラなんか!?

 

 嘘だろ!?

 

 だって、ほかの廊下にはカメラなんてなかったよな!?

 

 ここだけ設置されてるなんておかしな話だろうが、なあ!?」

 

石崎は後ろを振り返ると、ほかの二人も同意する

 

「俺たちをはめようったってそうはいかねえぞ、あれはお前らがとりつけたんだ!!」

 

「だってこの特別棟では理科の実験で使われる

 劇薬があるんだよ、安全のためにカメラをつけてるのは当然じゃない」

 

それでも疑うならと別の方にも指を向けた

 

「カメラはあそこ一台じゃないよ」

 

よく見ると反対側にもカメラが起動している

 

「もし仮に私達が君たちをはめるために

 このカメラを用意したならあっちの方にまで気を回すかな?

 

 そもそも監視カメラなんて

 卒業するまで学校から出られないのにどうやって用意するの?」

 

確実に網の中に獲物を追い込んでいく

 

「そ、そんな馬鹿な・・・・そんな

 俺たちはあの時確認した・・・はず・・・・・・・」

 

「本当に確認したの?

 

 ひょっとしてそこって二階か四階じゃなかったの?

 

 現にここにはカメラは仕掛けられてるしね・・・」

 

三人は暑さによるものとは別の汗をかいているのがわかる

 

「まあ、貴方達がさっき監視カメラを確認したって言った時点で

 自分自身でぼろを出したようなものだけどね・・・・

 

 だって普通に考えてそんなの気にしないもの・・・・

 

 それを言うってことは自分たちが

 犯人だって言っているようなものだしね」

 

やがて網の中で身動きがとりずらくなっていく獲物

 

「じゃ、じゃあ・・・・あの時のも、まさか・・・」

 

「あの手のカメラでは音声までは記録できてないだろうけど

 君たちが先に殴りかかった決定的瞬間は間違いなく映ってるよね」

 

一之瀬がそこまで言うと

女子の綾小路が目線で不気味な雰囲気の綾小路に引き継がせていく

 

「ひょっとしたら本当に猶予を与えられたのは

 須藤の方じゃなく君たちの方なのかもしれないね・・・・

 

 君たちに本当のことを話してくれると考えて

 生徒会長自らが嘘がないかを確認してきたんだろうさ・・・・

 

 思えばあの時からすべて見抜かれていたって思うけど・・・・?」

 

不気味な雰囲気の綾小路はゆっくりと三人に問いかけていく

三人はその雰囲気に圧されていく、表情がだんだんと青ざめていく

 

「そんな・・・こんな、聞いてねえよ・・・!

 

 もうおしまいだ!」

 

小宮は壁にもたれかかって壁にもたれかかってぐったりと膝を折り

近藤も頭を抱えていく、だがそれでも抵抗する者が一人いる、石崎だ

 

「やっぱり納得いかねえよ

 

 もしも監視カメラに映像が残ってたんなら

 お前らは何もしなくても無実を証明できるってことだろ

 

 なんでわざわざ俺たちに教えなくても話し合いでわかってたはずだ

 

 ってことはやっぱりお前らが仕組んだんじゃねえのかっ!?」

 

「無実なんて何をもって無実によるものだろう・・・・

 

 この事件が起こった時点で双方が痛みを負うことは確定してるんだしね・・・・

 

 事情がどうあれ須藤は君たち三人を殴ったそれは変えられないだろうね・・・・

 

 まあカメラの映像によって須藤が先に仕掛けたもの

 じゃないと証明できれば処罰も最大限軽くなるだろうさ・・・・

 

 まあ私としてはそれで構わないが

 須藤自身はそれでは困るみたいだしね・・・・

 

 なんてったって悪い噂が広がれば

 彼の今後に響くかもしれないしね・・・・」

 

石崎の顔から滝のように朝が流れていく

 

「な、なんだよ

 

 それはつまりお前らだってカメラの映像は困るんじゃねえか?

 

 だったら俺たちはそのまま突き進むだけだ

 須藤が停学になればそれで勝ちなんだからな」

 

「だろうね・・・・

 

 困っちゃうね・・・・

 

 まあ別にそれでもいいよ・・・・

 

 何しろそうしたら君たちは退学になるんだしさ・・・・」

 

その言葉に三人は思わずぎょっと目を見開く

 

「君たちがもしも監視カメラの映像を確認することになったらさ・・・・

 

 君たち三人がかりで嘘ついて学校中を振り回していったってことになる

 

 その結果で須藤は停学になっても

 君たち三人はその代償で退学になってしまうってことだろうさ・・・・」

 

「な・・・!」

 

「じゃ、じゃあ、どうして学校は・・・・俺たちが嘘をついたって言ってこないんだよ」

 

弱弱しく近藤が、救いを求めるように言う

 

「学校側はあたしたちを試しているのよ

 

 あたしたち生徒間でこの問題を解決できるのか

 どんな結論を導き出すのかを試してる、そう考えれば

 今回の件のすべてのつじつまが合う、そうは思わない?」

 

「・・・なんで、こんな・・・俺、退学なんて絶対いやだぜ・・・!」

 

「な、なあ石崎

 

 今からでも遅くない、嘘だったって言いに行こうぜ!

 

 俺たちから言えば、学校側も許してくれるかもしれねえ!」

 

「くそぉ・・・・ふざけんな・・・

 

 自分から嘘を認めろってのか?

 

 それで処罰されるくらいなら、最悪玉砕覚悟で挑んでやるよ・・・!

 

 須藤もおしまいだ!」

 

石崎はもう、やけくそ気味だ

するとその彼の額に指が突き付けられる

 

「んがっ!」

 

「自滅してくれるなら別にいいけどさ・・・・

 

 そう言うのはもう少し人の話を聞いてからでも遅くないだろう・・・・?

 

 君たちに教えてあげるよ

 CクラスとDクラス両方を救う方法は一つだけある・・・・」

 

「そ、そんな方法あるわk・・・!」

 

「簡単よ、事件そのものをなくしてしまえばいいのよ」

 

石崎の言葉を遮るように女子の綾小路が続けて話す

 

「訴えを取り下げればいいのよ

 

 そうすれば学校側も無理にカメラの映像を

 持ち出して判決を下すことはないし、訴えがなければ

 処罰を受けることはないし、仮に映像を持ち出さそうになったらそうになったら

 アタシたちDクラスも援護する、だって映像を論点に出されたらこっちも処分を

 うけることになってしまうからね

 

 ようはCクラスとDクラス

 この二つのクラスが結託して学校側に対抗することができる

 

 映像だけじゃ見えてこない嘘を、学校側も追求しきれないでしょ?」

 

二人の綾小路はゆっくりと三人に詰め寄っていく

 

「ち、ちょっと待ってくれ・・・

 

 一本、電話をさせてくれ・・・」

 

と携帯を取りだす石崎だが

その手を女子の綾小路がつかんで止めさせる

 

「自分のことを自分で決められないんじゃ、話にならないわね

 

 貴方達、覚悟をしておいた方がいいわね

 今すぐに学校側に映像の確認をしてもらうように申請してもらおう」

 

女子の綾小路は三人の逃げ場を確実になくしていく

 

「こいつらの提案を受けよう石崎!」

 

「ま、待てよ

 

 あの人に確認しねえと・・・・やべえだろっ」

 

「もう俺たちの負けだって!

 

 退学は嫌だろ!

 

 頼むよ、石崎っ」

 

「・・・・くっ・・・!

 

 わかった・・・・取り下げる・・・取り下げれば、いいんだろ・・・!」

 

こうして三人全員が折れ、提案を受けるのであった

 

「それじゃあすぐに生徒会室に行こう・・・・・・私もついてくからね・・・・」

 

こうして三人を連れて生徒会室に連れていく不気味な雰囲気の綾小路であった

 

・・・三・・・

 

「いやーすっきりすっきり!

 

 ありがとね手伝ってくれて」

 

「ほとんどは一之瀬さんが仕切ってたでしょ?」

 

「あはははは、そうかな

 

 でもこれで一件落着だね」

 

残った二人は脚立を用意して

特別棟に戻ってきたのだった

 

「しかし昨日ポイントを貸してくれって

 言われた時はどうするのかって思ってたけど」

 

そして監視カメラを見る

 

「まさか、監視カメラを設置する目的だったとはね」

 

「・・・・・・ええ、まさか監視カメラが売ってあるとはね

 

 はっきり言ってどこまで持つのかわからなかったけど

 この蒸し暑い特別棟のおかげで判断力が低下してる今の彼らなら

 何とかごまかせるとしか思わなかったけど、まさかここまでなんてね」

 

そう言って脚立を監視カメラの設置場所の方につけていく

 

「もしかしたら綾小路君達がCクラスに上がる日が来たら

 もしかしたら案外手ごわい相手になるかもしれないね」

 

「まあそんな日が来たら、ね・・・・」

 

女子の綾小路は一之瀬をじっと見つめる

 

「・・・・・・もしかしたら一之瀬さん・・・・

 

 その言葉に一番当てはまるのは、貴方なんじゃないかな・・・・」

 

そうつぶやいて取り外し作業にかかっていく

 

「もしも君や堀北さんがBクラスだったら

 きっと頼もしいことこの上なかったかもしれないのに」

 

「そう」

 

外したカメラを一之瀬に渡していく

 

「あ、そうだ・・・・

 

 借りたポイントのことだけど

 あとでクラスのみんなと相談させてもらえないかな」

 

「いいよ

 

 卒業までに返してくれたらそれでいいよ

 

 それで次はどうしよう?

 

 生徒会室の前で待つ?」

 

「そうね・・・・」

 

作業を終えて脚立を降りていく女子の綾小路

 

「そうだ、一つ綾小路さんに伝えておきたいことがあるんだけれど・・・」

 

「ごめん一之瀬さん、悪いけれどちょっと急ぐから」

 

作業を終えてすぐに走り出していく綾小路

 

「え!?

 

 ちょっと待って!

 

 っていうか綾小路さん早い!」

 

急いで玄関に向かっていき靴を履き替えていく

 

「ちょっと待ってってどうしたの急に!」

 

一之瀬も息を切らしていたが

体力の方はまだ残っているようだ

 

「ごめん、ちょっと気になることがあって」

 

「気になることって何なの!?」

 

綾小路は一之瀬とともに外に走り出していくのだった

 

・・・・四・・・・

 

家電量販店の搬入口のある場所

 

そこでは店員と佐倉が向かい合って口論しているようだった

 

「も、もう私に連絡してくるのはやめてください・・・!」

 

「どうしてそんなことを言うんだい?

 

 僕は君のことが本当に大切なんだ・・・

 

 雑誌で君を初めて見たときから好きだった

 

 ここで参加した時には運命だと感じたよ

 

 好きなんだ・・・君を思う気持ちは止められない!」

 

「やめて・・・やめてください!」

 

佐倉がそう言ってカバンの中から手紙の束を見せてきた

 

「どうして私の部屋を知ってるんですか!

 

 どうしてこんなもの、送ってくるんですか!」

 

「・・・決まってるじゃないか

 

 僕たちは運命の赤い糸で結ばれているからだよ」

 

佐倉は弱弱しくも必死に抵抗しているのがわかる

 

「もうやめてください・・・迷惑なんです!」

 

その証拠にその男の一方的な愛情を拒絶するように

手に持った手紙の束を地面に向かってたたきつける

 

「どうして・・・どうしてこんなことするんだよ・・・!

 

 君のことを思って書いたのに!」

 

「こ、来ないで・・・!」

 

男は距離を詰め、今にも襲い掛からんような勢いで歩みだし

佐倉の腕をつかむと倉庫のシャッターにたたきつけるように押し付けた

 

「今から僕の本当に愛を教えてあげるよ・・・そうすれば雫ちゃんも、わかってくれる」

 

「い、いや、離してください」

 

そう言って佐倉に向かって手を伸ばそうとしたその時

突然何者かにその腕をつかまれて、慌ててその方向を見る

 

「・・・・・・申し訳ありませんが、そこまでにしてもらえませんか・・・・?」

 

「へっ!?」

 

そこにいたのは仮面をかぶった綾小路であった

 

「・・・・・・あまり感心しませんね・・・・

 

 仮にも男子たるものいたいけな女子と無理やり関係を迫ろうとは・・・・」

 

「ちょ、ち、違う

 

 これは違うっ!」

 

「・・・・・・違うですか・・・・

 

 しかし、そう言うわけにもいかないようです・・・・」

 

そう言って佐倉が地面にたたきつけた手紙を拾って内容を見ていく

 

「・・・・・・なんともひどい内容だ

 自分の気持ちを一方的に押し付けて相手のことなど何も考えていない・・・・

 

 はっきり申し上げると、下劣この上ないものですね・・・・」

 

不意に仮面をかぶった綾小路の店員を見る目が鋭くなっていくのが感じられる

 

「ち、違うんだ

 

 ただ、そう

 

 この子がデジカメの使い方を

 教えてほしいって言うから

 個別に教えてたっていうか

 

 それだけなんだよ」

 

「・・・・・・あくまで言い逃れをするつもりですか・・・・?」

 

あまりのその威圧感に店員は思わず

シャッターに背中を勢いよく当てる

 

「・・・・・・少しでも反省の色を見せれば

 今回のことは見逃して差し上げようと思いましたが・・・・

 

 見たところ貴方は反省どころか

 自分の罪から逃げようとしている・・・・

 

 貴方には己の罪をはっきりと自覚させる必要があるようだ・・・・」

 

「は、ははは

 

 何のことかな

 

 いや、ほんと

 

 僕全然知らないんで・・・」

 

「・・・・・・逃げようと言うのなら無駄ですよ・・・・

 

 先ほどの現場は写真に収めました、このように物証もある

 残念ながら罪を犯した貴方に逃げる場所などどこにもありませんよ・・・・」

 

「あ、あああ・・・」

 

するとそこに一人の女子生徒が駆けつけてきた

 

「何か嫌な予感がしたと思ったから駆けつけてきたけど

 

 どうやら的中してしまったみたいだね、我・・・・」

 

「・・・・・・あたし・・・・」

 

「あ、あああ・・・」

 

店員は逃げだそうとするが警備員に囲まれてしまう

その間に一之瀬が歩いてきて店員に言う

 

「女の子に乱暴して逃げようだなんて虫が良すぎるんじゃないかな?」

 

こうして警備員によって店員は取り押さえられてしまう

 

「うあああ、ちっくしょおおお!!!」

 

どうして自分がこうなってしまうんだと問いかけるがごとく叫ぶ店員

 

だがその問いに綾小路も一之瀬も、佐倉だって答えるつもりはない

所詮は自分自身のまいた種、言うならば自業自得なのだから

 

「・・・・・・なんとか間に合いましたね・・・・」

 

佐倉は気が抜けたのか

腰を抜かして地面に座り込みそう

になったのを慌てて腕をつかんで体を支えた

 

「・・・・・・・・・・」

 

仮面をかぶった綾小路は佐倉の方を見る

佐倉を見るその目はどこか怒っているように見えた

 

「綾小路、君・・・どうして・・・」

 

「・・・・・・あなたの様子がどうにもおかしかったので

 失礼を承知で、あとをつけさせていただきました・・・・」

 

佐倉の方を向かずに佐倉の問いに答える綾小路

 

「私ってやっぱり全然だめだね・・・

 

 結局一人じゃ、何もできなかった・・・」

 

「・・・・・・いいえ、我には佐倉嬢の覚悟・・・・

 

 それはしっかりと伝わってきました・・・・」

 

そう言って佐倉の方を向く

 

「ねえねえ、君たちに一つ聞きたいんだけれど

 

 さっきの怪しげな人誰?

 

 どうしてさっきの人佐倉さんのこと雫って呼んでたの?」

 

そこに一之瀬が戻ってきてそんなことを問いかける

 

「・・・・・・ええっと・・・・

 

 話すと長くなるので少し間接にまとめさせてもらいますが・・・・」

 

綾小路は説明に戸惑ってしまうが

佐倉はそんな彼を見て、大丈夫だよと言うように頷く

 

「・・・・・・こちらにおられる佐倉嬢は

 中学のころ、アイドルなるものでして

 

 雫と言うのはその時に使っていたいわばペンネームのようなもので・・・・」

 

「ええ!?

 

 アイドル!?

 

 すごっ!

 

 芸能人だね!

 

 握手して握手!」

 

それを聞いて握手を求める一之瀬の

襟元を引いて落ち着くように言う仮面の綾小路

 

「・・・・・・あまり佐倉嬢を脅かさないでいただきたい・・・・」

 

「あ、あはははは、ごめん

 

 怖がらせちゃって・・・」

 

「い、いえ、そんなことないですよ

 

 それに芸能人って言ってもテレビとかは出てないですよ」

 

「それでもすごいよ!

 

 アイドルなんてなろうと思ってもなれる物じゃないし!」

 

一之瀬はまた興奮気味になってきたのでまた収めていく綾小路

 

「いつから気づいてたの・・・?

 

 綾小路君」

 

「・・・・・・気づいたのは我ではなく櫛田嬢です・・・・

 

 我もほかの者から、貴方のことをお聞きしまして・・・・」

 

佐倉の問いにそう答える綾小路

 

「でも、もしかしたらそれでよかったのかも・・・

 

 自分を偽り続けるのって大変だから・・・」

 

そう言って眼鏡をはずす佐倉

 

「・・・・・・あなたの勇気は見事ですが

 それでも我は、貴方を叱らなくてはなりません・・・・

 

 覚悟は見事ですが、だからと言ってなんでもかんでも

 一人で頑張るのは、正しい選択ではありませんよ、ましてや

 今日のように、危険な場に飛び込んでいくのははっきり申し上げて無茶です・・・・」

 

「う、うん・・・そうだね・・・ごめんなさい」

 

佐倉の顔は不思議と笑みを浮かべていた、目の端に涙を浮かべながらも

 

「綾小路君は・・・私のこと、やっぱり変な目で見ないんだね・・・」

 

「・・・・・・はい・・・・?」

 

「・・・ううん、なんでもない」

 

綾小路に問いかけない代わりに

佐倉はちょっと嬉しそうに微笑んだ

 

「明日から眼鏡と髪型変えていったら、みんな気づくかな・・・」

 

「・・・・・・それどころかパニックになるかもしれませんよ・・・・」

 

そんなことを笑いながら話していく二人

 

「わあ!

 

 すっごくかわいい!

 

 眼鏡とかで全然印象が違う!」

 

一之瀬は携帯の画像を見て何やら興奮している

どうやら、雫のことを調べていたらしい

 

「・・・・・・自分を偽り続けるのは大変、ですか・・・・」

 

佐倉が先ほど言っていた言葉を復唱していた

 

「ごめんね

 

 ずっと黙ってて」

 

「・・・・・・いいえ、謝らずとも結構ですし

 離さなくてはいけないことでもありません・・・・

 

 誰かに相談するのがあなたにとって難しいものだともね・・・・

 

 ですが、今回の件でもっと相談しあえる関係になれたと思います・・・・

 

 この先も悩むこと迷うことがあれば相談なさってください・・・・

 

 我や堀北嬢ならば、きっとお力になれるでしょう・・・・」

 

一之瀬はその言い方に疑問を

抱いたのか仮面の綾小路に耳打ちをする

 

「どうしてそこに櫛田ちゃんが入らないの?

 

 櫛田ちゃんなら気軽に相談してくれると思うけど」

 

「・・・・・・・・・・」

 

あくまで何も答えないようにする綾小路

 

「・・・・・・とにかく、まずは自分が

 信頼できると思うお人を作っていく事から始めましょう・・・・」

 

「私も、困ったことがあったら相談に乗るね」

 

一之瀬は佐倉に向けて言った

 

「そう言えば、自己紹介してなかったっけ

 

 私はBクラスの一之瀬 帆波

 

 よろしくね佐倉さん」

 

差し伸べてきた手を、佐倉は少し迷いながらも握って応えた

 

「あ、そうそう

 

 綾小路さんに話すつもりだったけど

 この際綾小路君に話しておこうかな?」

 

「・・・・・・話、とは・・・・?」

 

一之瀬は真剣な表情で話し始めていく

 

「今はこんなことを言うべきじゃないかもしれないけど・・・・今回の件には黒幕がいるの」

 

「・・・・・・黒幕・・・・?」

 

一之瀬の言う黒幕、その単語を聞いて彼女を見る仮面の綾小路

 

「実は以前にね、BクラスもCクラスの生徒ともめたことがあってね

 

 その時はこんなふうに学校を巻き込んだものじゃなかったんだけどね

 

 その時のその騒動を裏で糸を引いていたのが、龍園 翔君」

 

「・・・・・・龍園 翔・・・・?

 

 彼のことは何度かお聞きしたことがありますが

 それほど目立った噂はまだ耳にしておりません・・・・」

 

「知らなくても無理はないよ

 

 彼自身は目立った行動はとっていないから」

 

一之瀬のその龍園と言う人物の話をするときの表情は

いつもの明るいそれとはまったく真逆なほど重く険しい

 

「龍園君はね、私が一年生の中で最も警戒している生徒の一人なんだ

 

 須藤君を嘘つきに仕立て上げたことも

 Bクラスと揉め事を起こしたのも全部彼の仕業だと思う

 

 自分の利益のためなら他人を陥れ傷つけることを迷わない人物

 

 ・・・・相当手ごわいよ」

 

「・・・・・・先ほど申し上げていたBクラスとCクラスの揉め事・・・・

 

 それについては、ご解決なされることができたのですか・・・・?」

 

「何とかね

 

 でも勝負としては勝ったって言えるのかはどうか・・・

 

 でも今回大っぴらに仕掛けてきたってことは

 学校の仕組みを理解し始めたからかもしれない

 

 お互いに気を付けた方がいいかもしれないね・・・」

 

「・・・・・・龍園 翔・・・・」

 

仮面をかぶった綾小路はその人物の名前を再び口にする

 

「何かあればいつでも協力するから、その時は相談してね」

 

「・・・・・・ええ、覚えておきましょう・・・・」

 

綾小路はしばらく険しい顔で一之瀬を見つめていたのであった

 

・・・・・五・・・・・

 

審議開始10分前

 

堀北と須藤は生徒会室にて着席しており

その場には橘書記しかおらず、先生たちもいない

 

「やべえ、緊張してきた・・・」

 

「わかったからその貧乏ゆすりをやめなさい」

 

今日の審議にてすべての決着がつく

須藤に注意を促した堀北自身も緊張が走っている

 

昨日の作戦が果たしてうまくいくのかどうか

 

堀北自身ははっきり言ってこの作戦が成功するかどうか

それについては残念ながらうまくいくものとは思っていない

 

本心では後悔の念もある

 

昨日あの時の提案を飲んでおくべきなのかと後悔していた

 

どうしてあの時むきになってしまったのか

それはあの時彼が耳打ちで語ってきたあの言葉のせいなのかもしれない

 

その時堀北は不意に考えた

実はあの時、彼にうまく誘導されてしまったのでは

 

もしかしたらそのために彼は

もう行動を起こしていたのではないか、と

 

そんなことを考えていると

そこに生徒会長が入り、次に二人の人物が入ってきた

 

「おや

 

 昨日の男子はいないようですね」

 

Cクラスの担任の坂上先生と

Dクラスの担任の茶柱先生だった

 

「綾小路はどうした堀北?」

 

「彼は不参加です」

 

「不参加?」

 

茶柱先生は怪訝そうに昨日彼の座っていた彼の席を見つめる

 

「ま、まあいてもいなくても同じですから」

 

堀北自身は気が付き始めている

自分自身が彼と言う存在に近づくほど

 

彼の得体の知れなさが逆に彼自身の存在を大きくしていることに

 

そんな自分をごまかすように堀北はそう告げる

 

「まあいい、決めるのはあくまでお前たちだからな」

 

あとはCクラスの生徒が来れば審議の開始だ

堀北自身はあくまで深く考えないようにする

 

始まってもやるのはあくまで追求と追撃

相手もまた同じことを考えているだろう

 

そしてそこにCクラスの三人が入っていく

 

「ぎりぎりだったな」

 

坂上先生はほっと溜息をつく

 

「ではこれより昨日に引き続き審議の方を執り行いたいと思います

 

 着席してください」

 

すると石崎が口を開く

 

「あの・・・・坂上先生」

 

「どうした」

 

様子がおかしいのは周りにいた誰にでも理解できた

 

「・・・・この事件の訴えですが、取り下げさせてもらえませんか」

 

「んな・・・・いきなり何を言い出すんだ」

 

その言葉に坂上先生も驚きを隠せない

 

「それは和解したい、あるいはしたということか?」

 

堀北兄が理由を問いただす

 

「僕たちは気が付いたんです、今回の件でどちらが悪いとかそう言うことではないって

 

 この訴えそのものが間違いだったと気が付きました

 だから訴えを取り下げさせてほしいんです」

 

「訴えを取り下げる、か」

 

茶柱先生はうっすらと笑みを浮かべていく

 

「何がおかしいのですか、茶柱先生」

 

それを見て苛立つ様子で睨みつける坂上先生

 

「いや失礼、まさかこのような展開になるとは想像していなかっただけですよ

 

「先生方や生徒会の人たちにはお時間をとらせて申し訳ないと思っています

 

 でも、それが僕たちの考えで出した結論なんです」

 

堀北はその様子に驚きと安どの様子を見せるが

あくまでそれを表に出すことなく、気丈にふるまう

 

「こんなの、こんなの認められるわけがないでしょう!

 

 彼らは何も悪くない、すべては一方的に暴力ををふるってきた須藤君が原因です!」

 

坂上先生は怒りで身を忘れているのか、Dクラスの二人に問いかけてきた

 

「・・・・何をした

 まさか訴えを取り下げなければただでは済まさないとでも脅したのか?」

 

「は?

 

 ふざけたこと言うなよ!

 

 俺は何もしてねえぞ!!」

 

「そうでもなければ、彼らが訴えを取り下げるなどと言うはずがない!

 

 本当のことを言え!

 

 今ならば許してやる、言え!」

 

「やめてください坂上先生・・・・僕たちは

 何を言われても訴えを取り下げます、考えを変えるつもりはありません」

 

石崎達がそう言うと、坂上先生は理解できないと

ふらふらと椅子に腰かけていくのであった

 

「訴えを取り下げるというならそれを受理しよう

 

 確かに話し合いの最中において

 審議を取り消すことになるケースは稀だが起こりうることだ」

 

堀北兄は冷静にこの事態を進めていく

 

「待てよ

 

 勝手に訴えといて

 勝手に取り下げるなんてわけわかん・・・」

 

須藤は反論しようとするが、それを堀北が止める

 

「堀北?」

 

「ここはおとなしくしてて」

 

そして堀北は口を開く

 

「訴えを取り下げるというならこちらは戦う意思はありません

 

 受け入れるつもりです」

 

堀北はそのように応える

 

「しかし規定に乗っ取り

 審議取り下げにはある程度諸経費として

 ポイントを収めてもらう必要があるがそれに異論はないか?」

 

Cクラスの生徒はそれを聞いて驚きを見せるが、それでも

 

「わかりました・・・・お支払いします」

 

「では話し合いは終わりだ

 

 これで審議を終わりにさせてもらう」

 

こうしてこの審議はあまりにもあっけない幕引きとなった

 

「須藤君

 

 これで貴方は停学処分はなくなった

 

 学校側も問題児としては扱わないはずよ

 

 部活動の方も、これから問題なくできますよね?」

 

不敵な笑みを向けていた茶柱先生にそう確認をとる

 

「もちろんだとも、だがもし次にお前たちが問題を起こせば

 今回の件が引き合いに出されることは忘れるな?」

 

茶柱先生に念を押されて須藤は不満そうながらも頷く

 

須藤からしてみれば結果はどうあれこうして再び

バスケットを続けられることの方がうれしいのだろう

 

坂上先生はCクラスの生徒とともに足早に退室していく

 

「とりあえずよかったと言っておくか、須藤」

 

茶柱先生が須藤に向かってそう言い放つ

 

「へへ、当然だぜ」

 

「まあ私個人としては

 お前は罰せられるべきだったと思っているけどな」

 

茶柱先生は須藤を断罪するように、厳しい言葉を投げかける

 

「今回の事件は、そもそもお前の日ごろの行いが招いたことだ

 

 事件の真実や嘘なんて些細なことで

 大切なのは事件そのものを起こさせないことだ

 

 今回の件でそれがいやと言うほどわかっただろう」

 

「う・・・」

 

「だが自分の比を認めるのはカッコ悪い

 

 だから態度だけは偉そうにしている

 

 強がっている

 

 それは別にいい

 

 だがそれでは本当の仲間などできるはずもない

 

 今のままではいずれ堀北もお前に見切りをつけて、離れていくだろう」

 

「・・・それは・・・」

 

須藤は不意に堀北の方を見る

 

「自分の過ちを認めることもまた強さだぞ、須藤」

 

須藤はそう言われるとうなだれるように椅子に座り込む

 

「わかってんよ・・・

 

 そもそも俺がしっかりしてれば

 俺が相手を殴りさえしなきゃ

 こんな大事になることはなかった

 

 本当はもうわかってたんだよ」

 

須藤は強がりながらもゆっくりと話を続けていく

 

「バスケも喧嘩も、自分が満足するためだけに突っ走ってきた

 

 けど、今はもうそれだけじゃないんだよな・・・

 

 俺はDクラスの生徒で、俺一人の行動がクラス全体に影響を与える

 

 それを見を持って体験したぜ・・・」

 

須藤はゆっくりと頭を上げて、茶柱先生と堀北の方を見る

 

「もう、俺は二度と問題を起こさねえよ先生、堀北」

 

残がを告げるかのように言う須藤だが

 

「安易な口約束はやめた方がいい

 

 お前はまたすぐに問題を起こす」

 

「っ・・!」

 

茶柱先生はそんな彼の言葉を否定するのだった

 

「お前はどう思う堀北

 

 須藤は問題を起こさない生徒になると思うか?」

 

「いいえ、思いません」

 

堀北自身も同じ意見だと述べる

だが堀北は続けて言葉をつげる

 

「でも・・・・今日、確かに須藤君は進歩しました

 

 自分がしてしまった間違いに一つ気が付いたんです

 

 だからきっと明日の貴方は、今日よりも成長しているはずよ」

 

「お、おう・・」

 

「良かったな須藤

 

 堀北はまだお前を見放していないらしい」

 

「いいえ、もう見放しています

 

 これ以上離すところがないだけです」

 

「んな、なんだよそれ!」

 

須藤は頭を掻きむしった後、重いものを振り切ったような笑顔を作った

 

「それじゃ、また明日な堀北」

 

そう言って須藤は廊下を走り去っていく

 

「それでは私もそろそろ退室させてもらってよろしいでしょうか」

 

「待て、堀北と少し話がしたい

 二人は先に出ていてもらえるか?」

 

茶柱先生に言われて

二人は先に生徒会室から退室していく

 

「堀北、お前にいくつか聞きたいことがある」

 

茶柱先生は堀北の方を見て腕を組みながら興味深そうに聞いていく

 

「なんでしょうか」

 

「どうやってCクラスに訴えを取り下げさせるように仕組んだ?」

 

「それはご想像にお任せいたします」

 

堀北はそう言って追及を逃れようとする

 

「では質問を変えよう

 

 Cクラスを退けさせた作戦を考えたのは誰だ?」

 

「・・・・どうしてそんなことが気になるんです?」

 

「この場にいないあいつのことが少々気がかりでな」

 

堀北はその言い方から

茶柱先生の言うあいつがだれなのか、想像が付いた

 

「認めたくはありませんが

 茶柱先生の言う彼・・・・綾小路君は優秀かもしれません」

 

今回の作戦を提案した彼、綾小路の名前を出す

 

「そうか、まさかお前が素直に認めるとはな」

 

「・・・・驚くほどのことではないでしょう?

 

 茶柱先生は最初に彼と私を引き合わせた

 

 彼の持つポテンシャルの高さを見抜いての行動だったのですね?」

 

「ポテンシャルの高さ、ね・・」

 

「彼と言う存在はいまだに不可解な部分が見えますが」

 

堀北は本気で理解できない様子だった

 

「まああいつに思うことはいろいろあるだろうが

 もしもお前がAクラスに上がろうと思っているなら

 私から一つだけアドバイスを送っておいてやろう」

 

「アドバイス、ですか」

 

「Dクラスの生徒たちは大なり小なり欠点、この学校の言葉を借りるなら

 不良品の素質を持った人間たちが集まる場所、それは十分に理解しているな?」

 

「自分の欠点を認めるつもりはありませんが、理解はしたつもりです」

 

「ならば、綾小路の欠点はなんだと思う?」

 

茶柱先生は問いかける

 

「それについてはすでに彼自身から聞いています

 

 彼自身はその欠点を理解しているようでしたし」

 

「ほう?

 

 では聞こう・・

 

 お前の思うやつの欠点はなんだ?」

 

「それは、事なかれ主義です」

 

堀北はそう答えるが

不思議と自分自身で納得のいかない違和感を覚えていた

 

「事なかれ主義、か

 

 お前は普段の綾小路を見てそう感じたのか?」

 

「いえ・・・

 

 前に彼自身が、そう言っていましたから」

 

すると茶柱先生は小さく鼻で笑って、硬い口調でこう言った

 

「堀北、今のうちに綾小路と言う人間をできるだけ把握して置け

 さもなくては手遅れになるぞ、なぜならお前はすでに奴の術中に

 

 はまっているようなものだ」

 

「どういう意味でしょうか」

 

堀北が理解できないと言ったふうに答える

 

「お前も気づいているが綾小路は優れたポテンシャルを持っている

 

 ではなぜ綾小路はその実力を隠していると思う?

 

 今回の件でも表立って行動せず

 あくまでお前に前に立たせようとするのはどうしてだと思う?」

 

「それは・・・」

 

堀北は不意に考えるような仕草を見せる

 

確かに茶柱先生の言う通り彼の行動には

どうにも不可解な部分が多すぎるように思える

 

入学試験の問題をまるで点数を操作したり

中間テストといい今回といい、彼の行動理由が分からない

 

堀北はさらに綾小路と言う人間が分からなくなってきた

 

「これは私個人の見解だが、さっきも言った通り

 Dクラスの生徒は大なり小なりの問題を抱えた不良品だ

 

 そして今のDクラスで最も不良品たる存在・・

 

 それは綾小路だ」

 

「彼が、一番の不良品、ですか・・・」

 

「機能が高い製品ほど扱いが難しい

 

 使い方を一つ間違えれば

 自分たちの首も絞めることになる」

 

「・・・・先生は、彼が最も不良品たる部分を理解していると?」

 

「まずは綾小路と言う人間を知れ

 あいつが何を考え、何を軸に行動しているのか

 

 どんな厄介な欠点を持っているのか

 

 そこに必ず奴と言う存在の本当の姿が見える、かもしれんぞ」

 

茶柱先生はそこまで言って退室していく

堀北は不思議と彼女の言葉に意味があるように思っているのだった

 

・・・・・・六・・・・・・

 

生徒会室の前にまで現れるのは

不気味な雰囲気の綾小路、遠目から

Cクラスの面々が出てきたことは確認していたので

 

それを確認して生徒会室のもとにまで行くと

その次に部屋から出てきたのは須藤だった

 

「綾小路!」

 

「やあ・・・・」

 

須藤は綾小路のもとにまで歩いてきた

 

「その様子・・・・

 

 どうやらうまくいったみたいだね・・・・」

 

「何が何だかわかんねえけど

 堀北が何かしてくれたんだよな?」

 

須藤のその言葉に笑みを浮かべて頷く

 

「やっぱりな

 

 あいつは俺のためにやってくれると思ってたぜ」

 

嬉しそうに笑みを浮かべて答える

 

「それじゃあ俺は先に帰ってるからよ

 

 また今夜にも祝勝会やろうぜ」

 

「そうだね・・・・」

 

そう言って走り去っていく須藤を

特に何も言わずにその背中を見つめていた

 

すると今度出てきたのは

生徒会長である堀北兄とその書記だった

 

生徒会長は綾小路の姿を見つけると

彼のもとに近づいてきた

 

「お疲れさまとでも言っておこうか・・・・?

 

 生徒会長殿・・・・」

 

軽く声をかける綾小路に

生徒会長は彼の前で足を止めた

 

「Cクラス側からの申し出により訴えを取り下げることを認めた」

 

「そうかい・・・・」

 

生徒会長とその書記、不気味な雰囲気の綾小路は互いに見合っていく

 

「昨日佐倉のもとに現れた男が言った

 佐倉が嘘つきではないと証明する方法か

 

 Cクラスが訴えを取り下げたとなれば自然とその話は広まる

 

 そうなれば必然、噂もたつだろう

 

 嘘をついていたのは須藤でも佐倉でもなく、Cクラスだったのだと」

 

「提案したのはあくまで君の妹だよ・・・・

 

 私自身はあくまでそれに協力しただけのことさね・・・・」

 

「実に感心しました、答えを聞いてみれば実に単純ですが納得しました」

 

橘書記はパチパチと拍手を送る

 

「橘、書記の席が一つ空いていたな」

 

「はい、先日申し込みのあったAクラスの一年生は一次面接で落としましたので

 

 それがどうかしたのですか?」

 

橘書記は生徒会長がそのことを聞いていた意図が読めずに思わず聞き返すと

 

「綾小路、お前さえよければ初期の席を譲っても構わん」

 

それを聞いて橘書記は驚きの様子を見せる

 

「せ、生徒会長・・・・本気ですか?」

 

「不服か?」

 

「い、いえ

 

 生徒会長が仰るのなら私に依存はありません・・・」

 

「もう一度聞く、綾小路

 

 生徒会には言ってみる気はあるか?」

 

それを聞いて考えるしぐさを見せるが

 

「・・・・・・悪いけどメリットを感じないね・・・・

 

 私はあくまで私の都合で動いているだけだし・・・・

 

 それに君のその言い方にはどこか引っかかりがある・・・・

 

 その理由はあえて聞かないがそれが

 私にとって有益にあるとも限らない・・・・

 

 だからその話は断らせてもらうよ・・・・」

 

その言葉を聞いて橘書記はさらに驚く

 

「あ、貴方、会長からの申し出を断るんですか!?」

 

「さっきも言ったが私はあくまで私の都合で動いてる・・・・

 

 それに何より私は生徒会そのものに興味がないしね・・・・」

 

「そうか、まあ今はそれでいい

 

 綾小路、私を失望させてくれるなよ」

 

そう去り際に告げる生徒会長

 

「・・・・・・フン・・・・

 

 もとより君の期待になんて興味がないよ・・・・」

 

その会長の背中に向かってそう告げる綾小路

 

「おや・・・・」

 

すると目の前に堀北と茶柱先生が現れ

茶柱先生は軽く綾小路を見て笑みを浮かべて

 

特に言葉をかけるわけでもなく去っていく

 

「まったく・・・・

 

 せっかくリスクを回避できたというのに

 随分と浮かない表情をしているようだね・・・・」

 

堀北はそう言われると綾小路の方を睨みつけるが

すぐに落ち着きを取り戻して不気味な雰囲気の綾小路の方を見る

 

「ひょっとして・・・・

 

 作戦は失敗してしまったのかい・・・・?」

 

「そんなの、言わなくてもわかってるでしょう」

 

「だろうね・・・・

 

 これでうまくいかなかったら

 君はそんなふうに強気な態度は見せないだろうに・・・・」

 

「ねえ綾小路君

 

 一体何を企んでるの?」

 

「企んでる・・・・?

 

 私はあくまでこの状況を打開する手はずを整えただけだ・・・・」

 

「あなたの狙いは作戦そのものじゃないお

 その作戦を誰が立てるものだったのかっていうところにあった

 

 そもそもこの作戦だってあの時あなたにあの言葉を

 耳打ちされなければ、私はあの時あんなことを言うことはなかった

 

 まんまと私を誘導してくれた、そう言うことじゃないの」

 

「あああれね・・・・

 

 あれはあくまで意見を述べただけさ・・・・

 

 すべては偶然の上に成り立ってるそれだけさね・・・・」

 

「・・・・貴方、何者なの?」

 

「そんなつまらないことを聞いて

 君はどうするんだい・・・・?」

 

堀北のにらみにもその不気味な態度を崩すことなく話していく綾小路

 

「つまらないって・・・・そんなの・・・」

 

すると不気味な雰囲気の綾小路は

腕を前に出して堀北の言葉を中断する

 

するとそこに一人の男子生徒が

姿を現し二人の前で立ち止まる

 

「カメラを仕掛ける、か

 なかなか面白いことしてくれるじゃねえか」

 

男はあくまで二人の方を見ずに話しかけていく

 

「貴方は?」

 

その男子生徒にも堀北は動じずにそう問いかける

 

「今度は俺が相手してやるから、楽しみにしてな」

 

男子生徒はただそう言って去っていくのだった

 

「・・・・・・あれが龍園 翔、か・・・・」

 

不気味な雰囲気の綾小路は

その男子生徒の姿をじっと見つめてつぶやくのだった

 

 

 

「さあて・・・・

 

 そろそろ戻らせてもらうとしよう・・・・」

 

そう言って不気味な雰囲気の綾小路は

堀北に背を向けて歩き出そうとしたが

 

堀北に腕をつかまれて止められてしまう

 

「待って!

 

 話はまだ終わっていないわ」

 

「・・・・・・やれやれ・・・・」

 

そう言って仕方なく足を止めて堀北の方を見る

 

「貴方は約束したわよね?

 

 Aクラスに上がるために協力するって」

 

「そうだよ・・・・

 

 だからこそ私は今回の件に協力したじゃないか・・・・」

 

「私が聞きたいのはそう言うことじゃない

 

 貴方が何を考えているのかを知りたいの」

 

「他人の事情なんて自分には関係のない・・・・

 

 君自身がそう言ったはずだったと思うけれど・・・・?」

 

堀北と綾小路は互いににらみ合っていく

 

「確かにその通りよ・・・

 

 でもあなたの行動にはどうにも不信なことが多すぎる」

 

「だったらなんだい・・・・?

 

 不審な点があるっていうんなら

 協力は受けられないとでもいうかい・・・・?

 

 まあ私はそれでもかまわない・・・・

 

 私自身AクラスだのDクラスだのに興味はない・・・・

 

 私はあくまで静かに過ごしたいだけさ・・・・」

 

それでも堀北は退こうともしない

 

「まさかと思うが・・・・

 

 茶柱に何か言われたのかい・・・・?」

 

すると堀北は少し驚くが

表向き動揺は見せないように意識する

 

「ふふーん・・・・

 

 まったく面倒なのに目をつけられたね・・・・」

 

だが不気味な雰囲気の綾小路はまるで

見透かしていると言わんばかりの言葉を述べる

 

「ねえ堀北・・・・

 

 前に私が今回の件を

 君がやったように誘導した時に言った例の件・・・・

 

 覚えているかい・・・・?」

 

「ええ・・・

 

 覚えているけど・・・」

 

「私が今回須藤を助け

 それが堀北が提案したことにした理由・・・・

 

 それは簡単だよ・・・・

 

 君がクラスの中心人物として

 動いてもらうためには多かれ少なかれ

 君を支持してくれる人間が必要だ・・・・

 

 彼は君のことを意識しているようだし

 彼は運動能力も優れているんだ・・・・

 

 全く役に立たないということもないだろう・・・・」

 

堀北は彼の言葉を聞いていた

 

「その意図もよくわからないわ・・・

 

 どうして私を指定するの?

 

 クラスの中心になれる人だったら

 櫛田さんや軽井沢さんがいるじゃない」

 

「確かにあの二人は一見すると

 クラスをまとめているように見えるね・・・・

 

 でも軽井沢さんはあくまでクラスのリーダーである

 平田の彼女であるという影響力が強いだろうさ・・・・

 

 櫛田に関しては・・・・・・ひょっとしたら君が一番

 その理由を知っているんじゃないかな・・・・?」

 

櫛田のことを言われて

不思議と納得がいくのはやはり自分もどこかで

その理由に気が付いているからなのかもしれない

 

「それで

 

 どうやって貴方は私を

 リーダーにしようとするの?」

 

「君が今はそれを知る必要はない・・・・

 

 あくまでそれは君自身がなすことであり

 私はそれをサポートしていくだけだからね・・・・

 

 Dクラスの中心として活動するためには

 やはり周りの信頼や特筆される何かが必要だ・・・・

 

 そうでなくては私の力のみでなしえた信頼なんて

 瞬く間に崩れ去っていってしまうものだからね・・・・」

 

堀北は彼の言うことに反論はしない

 

「貴方の考えは分かった

 

 私をどうするのかっていうのも

 

 でもそれでもあなたの行動には不可解な部分が多いわ」

 

「そんなことに意味はないよ・・・・

 

 私はあくまで私の都合で動かせてもらうからね・・・・」

 

そう言って堀北に背を向けて今度こそ去っていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あまり詮索されると困るんだよ・・・・

 

 君にも茶柱にもね・・・・・・ふう・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        




Nuisance au diable
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