ようこそ実力至上主義の教室へーIn this deceitful world, even bigger lieー 作:lOOSPH
「さあて・・・・
どうしたもんかね・・・・」
「あれからもう一週間が立とうとしているんだね・・・・」
「クラスの方は何人か授業態度を
あらためている奴は何人かいるが・・・・」
「須藤の奴だけが相変わらずだな・・・・」
「しょうがないよ、何しろクラスにポイントが
プラスされるという明白な答えがない以上
矯正することは難しいと思うよ」
「・・・・・・・・・・」
六人はそんなことを考えていると
「まあまずは・・・・
彼女のお手並みを拝見させてもらおうか・・・・」
そう言って隣で静かに黙々とノートをとっている堀北に目をやる
「それではこの部分を・・・・
綾小路、読んでみろ」
「はい」
こうして授業は静かに終わりの時を迎えていく・・・・・・
「ずいぶんと悩んでいるようだね堀北・・・・」
「何のこと?
私は別に悩んでいることなんてないわ・・・・」
「ノートを書き写しているスピードが若干遅くなっていたよ・・・・」
「若干、あいまいなものね、そんなものじゃ私が何かを悩んでいるという証拠にはならないわ」
「そうか・・・・」
「まったく言いがかりにもほどがあるのね」
互いにほんのたわいもないやりとりを交わす堀北
「私に貴方の言う欠点なんてない、絶対にね・・・」
堀北はそんなことを綾小路に向かって言うが
綾小路はそれに対してやれやれと言わんばかりの反応を示す
授業が終わり、お昼休み、各々が昼食をとらんと立つと平田が口を開く
「みんな、もうすぐ茶柱先生の言っていたテストが近づいている
赤点をとれば、即退学だという話は、全員が理解していると思う
そこで、参加者を募って勉強会を開こうと思うんだ」
平田はそう言ってクラス一同に呼びかけていく
「もし勉強を疎かにして、赤点をとったらその瞬間退学
それだけは避けたい
それに勉強することは退学を阻止できるというだけじゃない
ポイントのプラスにもつながる可能性がある
高得点をクラスで保持すれば査定だってよくなるはずだよ
テストの点数がよかった上位数人で、テスト対策に向けて用意をしてみたんだ
だから、不安のある人は僕たちの勉強会に参加してほしい
もちろん誰でも歓迎するよ」
平田は不意に自分を睨んでいた須藤に気が付き、やさしく微笑んだのだが
「・・・ちっ!」
すぐに目をそらし腕を組んで目を閉じる須藤
「今日の5時からこの教室でテストまでの間
毎日二時間やるつもりだ、参加したいと思ったら、いつでも来てほしい
もちろん、途中で抜け出しても構わない
僕からは以上だ」
平田がそういうと赤点組七人のうち四人が平田のもとに行くが
もともと平田のことをよく思っていない須藤、さらに池と山内の三バカだ
「・・・・・・・・・・」
仮面をかぶった綾小路はそんな三人をじっと見つめていたのであった
・一・
「綾小路君、よかったらお昼、付き合ってもらえないかしら」
隣にいた堀北が綾小路に話しかけてきた
それを見て女子の綾小路は機嫌を悪くしたようにその場を去っていくのだった
「おいあたし!
どこに行くんだよ」
「あたしは今の堀北さんには協力しない・・・・・・ただそれだけよ」
「あ、おい!
ったく・・・・」
そのままどこかに行ってしまった女子の綾小路を
まったくとあきれたように見つめる綾小路たち
「それで・・・・?
何を企んでるんだ・・・・?」
「別に何もないわよ、ただお昼をおごらせてあげるってだけ」
にらみ合う不気味な表情の綾小路と堀北
「まあいい、付き合うくらいならば別にいいよ・・・・」
「お昼、ごちそうになる!」
「それじゃあ、来てもらえるかしら・・・」
そう誘っていく
「まったく素直に話せば、そうやって疑われることもないだろうに・・・・」
「人の好意を信じられなくなったら人間はおしまいよ」
「前に人が突然、誘われたら疑問に感じるって言わなかったっけ?」
「・・・・何のことかしら」
堂々ととぼける堀北に二人の綾小路はやれやれといった感じでついていく
食堂につくと、そこに並べられたのはなんと高額のスペシャル定食だった
「それじゃあ、いただきまーす!」
と食べ始める言動が幼い感じのする綾小路
一方の堀北は不気味な表情の綾小路の方を見ている
「それで、そっちの綾小路君は何も食べないの?」
「私はものを食べるということに興味がない・・・・
僕におごってくれるだけ十分だよ・・・・」
堀北はやや怪しげに不気味な表情の綾小路の方を見つめる
「早速だけど話を聞いてもらえるかしら?」
「何かな・・・・?」
不気味な表情の綾小路は待ってましたと言わんばかりに
堀北に対して不気味に表情をうっすらと笑みを浮かべさせた
「茶柱先生の忠告以降、クラスの遅刻は確かに減り私語も激減したわ
大半のマイナス要素だった部分は消せたといっても過言じゃない」
「まあそうだね・・・・・・まあもともと難しいことじゃない・・・・」
茶柱先生の忠告以降、平田の呼びかけが功を制したのか
以前よりも授業態度が確かに大いに減ったと感じられた
「次に私たちがするべきこと
それは二週間後に迫っているテストでより良い点数を取るための対策よ
さっき、平田君が行動を起こしたようにね」
「勉強会ねー
確かにそれだったら赤点対策はできると思うけど・・・・」
「目下の問題は須藤や池、山内の三人か・・・・」
「そうね、勉強会に関して消極的な彼ら三人は今後の一番の課題ね」
「さすがにわかっているようだね・・・・
しかし現状どうするのか考えているのか・・・・?」
「本来なら赤点をとってしまうかもしれないと知ったら
慌てて勉強しようと考える、退学がかかっているならなおさらにね
でも現状、それでも勉強会に参加しようとしないどうしようもない生徒がいるのも事実」
「うわー・・・・・・堀北ちゃん容赦ないー・・・・」
「事実を事実として述べただけよ」
「しかしこの学校は外部から出られないし
同時にここには塾のような施設もない・・・・
やはりここは勉強のできる生徒に授業以外で教わるほかないってことか・・・・」
不気味な表情の綾小路の言葉に堀北は言葉を続ける
「平田君が積極的に勉強会を開いてくれるようだからね
でもさっき話に出ていた通り須藤君たちはそれに積極的じゃない」
「まあ、あの三人は平田をよく思ってない・・・・
平田が先導する勉強会には参加しないだろうさ・・・・」
「つまりこのままだと彼らが赤点をとる可能性は大きい
Aに上がるためには、マイナスポイントをとらないのは大前提で
プラスになるポイントを集めることが必要不可欠でしょう?
私はテストの点数がプラスに結び付く可能性もあるとみているわ」
「だろうね・・・・
そうでなければポイントの仕組みの際に
小テストの結果のことまで教えたりしないだろう・・・・
少なくともそこに関しては私も推測の域だ・・・・」
するとスペシャル定食を食べ終えた幼さの残る綾小路が堀北を見る
「ひょっとして・・・・・・堀北ちゃんも平田君みたいに勉強会を開くってこと?
須藤君、池君たちに施しをするっていう」
「ええ
そう考えてもらって構わないわ
意外と、思うでしょうけど」
「まあ確かに、思ったよりも単純だったからね・・・・
しかしまあ、私だっておそらく同じ方法を言うと思うけどさ・・・・」
二人の綾小路は堀北の提案に聞き入っている
「しかし簡単じゃないよ・・・・
何しろあの程度の問題で赤点をとる奴らだ
人並み以上に勉強が嫌いだろうしねぇ・・・・
しかしどうやって集められるのかな・・・・?
初日でクラスメイト達と距離を置いた君が・・・・」
「だから、あなたに協力してほしいのよ
貴方、彼らと親しいはずでしょ」
「え?
・・・・・・それって、ひょっとして・・・・」
「彼らはあなたが説得すれば話は早い
友達、というありがたい存在だから問題はないはずでしょ?
そうね、図書館に連れてきて
勉強そのものは私が教えるから」
「おいおいおい・・・・
君から見て彼らと私、僕が親しいというなら
そう簡単にはいかないと思うがね、ましてや彼らの君への評価は低い・・・・
そう簡単にはできないことだぞ・・・・」
「できるできないじゃない やるのよ」
無茶ぶりを展開する堀北
「そんな簡単に行くとは思えないよ僕も私に賛成」
「食べたわよね?
私のおごりで
お昼、スペシャル定食、おいしそうに食べてたわよね」
「僕・・・・」
「ふぇ!?」
「つまりもうあなたは私の協力を断る立場にない、そういうことでしょ」
「あいにく私は何も食べていない、よってそれに協力する義理はない・・・・」
「彼を止めなかった時点で貴方も同類よ」
「そう返してきたか・・・・」
「それじゃあ改めて聞くわ
協力するか? あるいは私を敵に回すか?」
「私を脅しているつもりか・・・・?」
「つもりじゃないわ、どうだと受け止めてもらって構わないわ」
じっと見つめる不気味な表情の綾小路と堀北
そのやり取りを見つめながら空になった皿を見て
ズーンという効果音が聞こえるかもしれないほどに落ち込む幼い感じの綾小路
「そういえば、あなたは櫛田さんと結託して
嘘で私を呼び出したこと、まだ許したつもりはないのだけれど?」
「ああ、そういえばそんなことあったか・・・・
しかしあれは私ではない別の綾小路だったはずだが・・・・」
「あら?
貴方だって多少なりとも関与したのでしょ
だったら同罪ともとれるじゃない」
「あーそれはそうかもしれないねえ・・・・」
「その件を許してほしかったら私に協力しなさい」
このまま討論してもしょうがないと考えたのか
ふう~っとため息をついて話を切り上げるのだった
「まあいい、その代わり少し手を加えさせてもらうよ・・・・
何せ彼らを動かすには私や僕では難しいと思うからな・・・・」
「いいでしょう、それじゃあこれ私の携帯番号とアドレス
何かあったらこれで連絡してきなさい」
そう言って連絡先を交換する堀北と綾小路であった
・・二・・
「さあて・・・・
どうしたものか・・・・?」
「まあ難しいだろうね
何しろあの三人が
勉強会一緒にしないかって言われて
素直に首を縦に振るとは思えないしね・・・・」
二人の綾小路は話をしている
「ぶっちゃけ親しいって言ってたけれど
あの三人のことと個人的な付き合いなんてないし
僕が言ったって門前払いだよ・・・・」
「そうだね・・・・
こういう役目はあたしの役目だろうが
あたしはあくまで堀北への協力には消極的だ・・・・
私が言ったところでどうにもならないだろうさ・・・・」
「そうだねー
あーあ、僕もあたしみたいに
みんなから好かれてたらいいのにー」
「まあ別に誰にどう思われているのかっていうのに興味はないからね・・・・」
すると不気味な表情の綾小路は
顎に手を当てて何かをひらめいたように言う
「そうだ・・・・
Dクラスにはあたしと同じように
周りからの信頼の厚い子がいるじゃないか・・・・」
「それって誰のこと?」
「僕はもう少し相手の顔や名前を覚えるように努力しな・・・・
櫛田だよ、あの三人も櫛田の言葉なら素直に聞いてくれるだろうさ・・・・
堀北の名前を出してもあの三人、特に須藤は来ないだろうし・・・・
だったらここは人望のある櫛田に頼んで三人を勉強会に連れて行ってもらおう・・・・」
「櫛田・・・・・・? ああ・・・・
あたしや堀北ちゃんと並んで結構な速さで泳いでいたあの子だね」
思い出したように幼い感じのする綾小路
「でも櫛田ちゃんって確かいろんな人と一緒にいるから
どうやって話をする機会を得ればいいんだろう?」
「確かに私も少しぐらいしか
話をしたことがないからな・・・・
どうしたものなのだろうか・・・・」
悩む二人の綾小路のもとにもう一人
「お、俺と僕じゃねえか・・・・
一体何やってんだこんなとこで・・・・」
どこか動物的な雰囲気の綾小路が通りがかる
「「・・・・・・・・・・」」
「あ?
なんだよ・・・・?」
すると二人の綾小路は通りがかった動物的な雰囲気の綾小路に詰め寄る
「俺、確か櫛田とよく接していただろう・・・・?」
「それで協力してほしいんだけれど・・・・」
「え、え、なんだよ?」
二人の綾小路の説明を受ける動物的な雰囲気の綾小路
「櫛田を使って三バカを勉強会に誘うぅ?」
「そうだよ俺!
もう僕たちにはこれしかない!!」
「私も口惜しいがあの三人を普通に勉強会に誘っても
来てくれるとは思えん、大方一夜漬けでもすればいいと
言われて門前払いされるのがオチだろうさ・・・・
発案者である堀北にやらせてもおそらくおんなじ結果だ・・・・
そこで提案するのは櫛田を介して勉強会に誘うと思ってね・・・・」
ある程度の説明をする二人の綾小路
「断る!
俺はそもそもあの櫛田って女が好きじゃねえし
堀北に対してもおんなじ意見だ、俺が協力する意味もねえだろ!!」
そう抗議する動物的な雰囲気の綾小路が言うが
「ちなみに言っておくが堀北は俺と櫛田と結託して
自分を誘い出したことを許していないそうだ・・・・
直接関与していない私だって詰め寄らたんだ
協力した俺に関してどんな風にされるのかね・・・・」
「もしそうだったとして堀北ぐらいどうにでもなるだろう」
「そういう問題じゃないの
実は僕、堀北ちゃんのおごりで高額のスペシャル定食を食べちゃったから・・・・
協力せざるを得なくなってしまって・・・・」
へへへと笑ってごまかしつつ言う幼さの残る綾小路
「僕は本当に目先の欲望に目がねえな!
だから周りからガキ呼ばわりされるんだよ!!」
「だって、前からずっと食べてみたかったんだもん」
「それで、俺は協力するのかい・・・・?」
不気味な表情の綾小路は
動物的な雰囲気の綾小路はため息をつく
「わーったよ、やりゃいいんだろやりゃ・・・・
ったくなんでこういう時に限ってあたしは非協力的なんだか」
頭をガシガシと掻きながら向かっていくのであった
「私ってさ、どうして堀北ちゃんにそこまで入れ込むの?
だって俺の言った通り堀北ちゃんを敵に回しても
特に問題らしい問題はないと思うんだけれどもねぇ~」
「だってその方が面白そうだと思っただよ・・・・
フフフフフフ・・・・」
・・・三・・・
「くそ、俺はどうしてこうも運が悪いのやら・・・・」
動物的な雰囲気の綾小路はため息をつきながら櫛田を探す
「ぶっちゃけなんで俺が堀北なんざに協力しなけりゃならなきゃならねえんだよ
そしてあたしが非協力的なせいで
なんであの女を探さなきゃならなくなるんだよ・・・・
まあ見つからないんなら、見つからないでいい
いっそ今日はこのまま帰らせてもらって・・・・」
「あれ?
綾小路君?」
「・・・・・・え?」
動物的な雰囲気の綾小路は恐る恐る綾小路
そこにいたのは
「ここで何しているの?」
彼の探し人であり、一番会いたくない人物、櫛田であった
「なんで寄りにもよっているんだよー・・・・」
櫛田に聞こえないように言う動物的な雰囲気の綾小路
「ええっと、もしかしてお邪魔だった?」
「・・・・・・そんなことねえよ、むしろ探したぜ櫛田」
「え?
綾小路君が私を?
珍しいね綾小路君から私に用事だなんて」
嫌がるそぶり一つ見せず、笑顔で綾小路に話しかける
その様子は次の言葉をわくわくした子供の用に綾小路の言葉を待っていた
「実は、さ、櫛田に協力をお願いしたいんだが・・・・」
「協力?
私に一体何を協力してほしいのかな?」
かくかくしかじかと動物的な雰囲気の綾小路は
先の二人の綾小路から聞いていた話を大まかに櫛田に説明していく
「まあとにかくだ、でもまあ別にお前が嫌だっていうなら別にいいんだぞ・・・・」
「ううん、いやだなんて思わないよ
困っている友達を放ってなんて置けないし
それにこの機会に堀北さんとも仲良くなれるかもしれないし
だから私も手伝うよ」
櫛田が快く承諾したのを見て
動物的な雰囲気の綾小路はげんなりする
「まあやる気があるんなら別にいいけどな」
「それにね・・・私うれしかったんだ」
櫛田は壁にもたれかかって軽く廊下をけった
「赤点をとったらすぐに退学なんて酷い話だよね
せっかく友達になったのにそんなことでお別れになっちゃうのってすっごく悲しいよね?
そんなとき平田君が勉強会を開くって聞いてすごいなって感心したの
でも堀北さんは私よりもずっと周りをちゃんと見ていたんだっていうか
須藤君たちのことも見ていたっていうんだからすごいなって思ったの
堀北さんもクラスのことを、友達のことをちゃんと考えててくれたんだなって
だからもし私が堀北さんの、クラスのみんなの役に立てるんだったら何でもするよ」
櫛田は笑顔で答えるが
「堀北がクラスのために・・・・?
まったく笑い話だな・・・・」
動物的な雰囲気の綾小路はつぶやくのであった
「ただ、その代わりってわけもないんだけれど
私もその勉強会に私も参加させてほしいの」
「うーん、別にいいと思うぞ
堀北の奴が何を言うのかわからねえが・・・・」
「ありがとう綾小路君、一緒に頑張ろうね」
笑顔を向けてくる櫛田だが
綾小路はやや複雑な心境である
「それで、勉強会はいつから?」
「あ、そういや聞いてねえけど・・・・
でもたぶん早くても明日ぐらいにはなるんじゃねえのか?」
うーんと考え込むように答える綾小路
「そっか
じゃあ今日のうちに、みんなに声かけなきゃいけないね
それじゃあ明日、話をしておくね」
「まあ頼むわ」
「あ、そうだ・・・・
よかったら綾小路君、連絡先交換しない?
何かあったとき連絡できるようにしておきたいし
それにもうクラスで
連絡先交換してないのは綾小路君と堀北さんだけなんだよね」
それを聞いて、静かに驚きの心境を表すがなんとも言えない
「はあ、別にいいよ・・・・
あた、女の綾小路の方で教えてもらうし・・・・」
「ああ、そういえば綾小路君、綾小路さんとも仲が良かったっけ
ねえ綾小路君、綾小路君は堀北さんと綾小路さん、どっちが好み?」
「は?
なんでそうなるんだよ・・・・
あたs、綾小路とはそういう仲じゃねえし
堀北だって付き合うなんてことには絶対にならねえよ」
「でもクラスの女子の間では、結構噂になってるよ?
綾小路さんっていろんな人と交流してるけど
綾小路君たちと話してる時だけ様子が違うし
堀北さんだってクラスの中では
綾小路君以外とあんまり交流していないみたいだし」
それを聞いて何やらどっと疲れたような表情を見せる
「とにかく、あたs、綾小路とはそんなんじゃねえし
堀北とだって付き合うなんてこと自体ない話だ」
「そっか、じゃあさ綾小路君って気になる人とか・・・」
「いない!」
こうして櫛田の協力を成立させた動物的な雰囲気の綾小路であった
・・・・四・・・・
「どうやらうまくいったみたいだね・・・・」
「さっすが俺だね
櫛田さんと一番仲がいいだけのことはある」
「だーかーらー!
俺はあの女が嫌いなの!!
できればかかわりたくないの!!!
其れなのに私と言い、僕と言い・・・・」
「まあ、腹に一物抱えてんのは
おいらも一緒だし、気持ちはわからなくもないぜ
あたしの方はどうだよ、相変わらず堀北には非協力的な姿勢か?」
「今のところは・・・・・・ね」
「・・・・・・・・・・」
すると陽気な電子音が響いて携帯をのぞいてみる
『山内君、池君、からはオッケー出たよ(^_^)b」
「「おお・・」」
不気味な雰囲気の綾小路と幼い印象の綾小路が
櫛田からの連絡を見て好反応を見せる
『今、須藤君にも連絡しているけど好感触っぽい(^_^)』
さっそく不気味な印象の綾小路が堀北に連絡を入れるが
俺とあたしはどうにも乗り気ではないというのがうかがえる
「お風呂に入ってくね・・・・」
そう言って女子の綾小路は浴室に向かっていくのであった
するとそこに電話がかかってきた、相手は堀北だ
「もしもし・・・・?」
「・・・・さっきメールを見たわ、どういうことか説明してほしいのだけれど」
「メールの通りだよ、櫛田に手伝って
須藤たち三人を呼び出してもらったのさ・・・・
おかげで三人とも勉強会に乗り気になってくれている・・・・」
「どうして櫛田さんに手伝わせたのかと聞いているのよ!
私はあなたにお願いしたはずなのだけれど!」
「悪いがそんなことは聞いていない・・・・
私は確かにお願いされたが私一人の力でやるという了承はもっていない
現に櫛田が協力してくれたおかげで私が集めるよりもはるかに効率よく集まる・・・・」
「でも私だってそんなことを許可した覚えはないわ
それに彼女は赤点組には含まれていないし・・・」
「だったらなおさらだ・・・・・・彼女にも勉強会を手伝ってもらえばいいだろう・・・・
ぶっちゃけ私や君が手伝うよりも、周りからの信頼の厚い櫛田がいれば効率よかろう・・・・」
「・・・・気に入らないわね
私の許可をとってからするべきじゃない?」
「もし私が許可を求めたとしてお前は了承するのか・・・・?
ならばいっそ君の許可を入れない方が効率の良い方だと思うがね・・・・」
「ぬう・・・」
堀北自身返答に困っているのがわかる
堀北自身もわかっているのだ、自分よりも櫛田に
やらせた方がいいということがわかっているのだ
だがそれをプライドが邪魔しているのだ
その結果がこの反応である
「こうやって討論している時間も私達にはない・・・・
君だってそれは分かっているだろう・・・・」
そう伝えると針北にはまだ何か引っかかっているようで
少しの間だけ間が空き、しばらくしてから言葉が返ってくる
「・・・・わかったわ
背に腹は代えられないもの
でももう一つ、櫛田さんに勉強会に参加させること
これもどういうことなのか説明させてもらえないかしら?」
「・・・・・・ああ、それね・・・・?
さっきも言ったが櫛田の了承に
あの三人が快く受けているんだ・・・・
だったらその櫛田自身がいなければ
三人はがっくりして結局勉強会は進まなくなるだろう・・・・
だから櫛田の条件をのんだ・・・・・・そういうことだよね・・・・俺?」
不気味な雰囲気の綾小路の返答に
動物的な雰囲気の綾小路ははいはいといった感じで手をひらひらと動かす
「とにかく!
櫛田さんが勉強会そのものにかかわること
私は絶対に認めない、こればっかりは譲れないから」
「ひょっとしてまだあの時のことを怒っているのか・・・・?」
「それとこれとは無関係よ
彼女は赤点組じゃない
余計な人を招き入れるのは手間と混乱を生むだけ、そう判断しただけよ」
堀北はそう言い切るのだが
綾小路自身もまだ引くつもりはない
「一体君はどうして櫛田のことが気に入らないんだ・・・・?」
「貴方は自分のことを嫌っている人間を傍においてもなんとも感じないの?」
「うん・・・・?」
綾小路は堀北の返答に違和感を覚える
「さっきも言うがあの三人は櫛田の呼びかけに応じたんだ・・・・
もしもその場に櫛田がいないとわかって帰ったらどうするのだ・・・・?」
「・・・・ごめんなさい、テスト範囲の絞り込みに思ったより時間をとられているの
まだかかりそうだからそろそろ切るわね
じゃ、お休みなさい」
「あ、おい・・・・っ」
携帯を一方的に切られてしまうのだった
「・・・・・・櫛田が堀北を嫌っているか・・・・
私にはそうは思えないがな・・・・」
「でもこのままだと最悪堀北ちゃんが離脱する可能性も・・・・」
「そうなったら勉強会がなおのこと進まなくなっちまうぜ」
「・・・・・・・・・・」
三人の綾小路が考え込むように腕を組み
その彼らを無機的に見つめる仮面をかぶった綾小路
「まあ俺もどこかあの櫛田ってやつは妙に胡散臭い感じがしてるからさ・・・・
堀北が櫛田を嫌ってるっていうのは納得がいくが
その逆っていうのはどうにも理解が及ばねえなまったく・・・・」
そう言ってベッドに座って
壁にもたれかかる動物的な雰囲気の綾小路
「もしかしてさ、堀北ちゃんと櫛田ちゃんって
実は昔からの知り合いなんじゃないかな?」
「待て待て待て
確か櫛田は中学からの友達はいないって言ってただろ?」
「・・・・・・友達、はな・・・・」
すると仮面をかぶった綾小路から声が漏れる
「ほほう・・・・
まさか我が発言するなんてね・・・・
でも確かに中学からの友達はいないが
同じ中学の出身の子がいないとは言っていない・・・・
もしもその友達ではない、中学の出身の奴が堀北だとすると・・・・
もしかしたら堀北自身もそれを感じているのかもしれないな・・・・」
「でも櫛田ちゃんは堀北ちゃんとも仲良くなりたいといってたけど・・・・」
「もしかしたらそれは櫛田がDクラスに送られた理由なのかもしれないな・・・・」
好戦的な表情の綾小路が不意につぶやく
「Dクラス・・・・
不良品の集まりねぇ・・・・」
不気味な表情の綾小路は不意につぶやく
「まあ櫛田のことはどうでもいいだろ
目下の問題は勉強会の方だぜ、どうすんだよ」
「櫛田に電話しろ!」
好戦的な表情の綾小路が
動物的な雰囲気の綾小路に向かって携帯を投げつけるように渡す
「なんで俺なんだよ!」
「お前以外に櫛田と接点の深い奴いねーんだよ!
いいから櫛田に連絡を取れっての!」
好戦的に迫られて蛇ににらまれた蛙のように詰め寄られる
「くそう・・・・」
渋々櫛田の番号に連絡を入れる
数回のコール音とともにガチャっという音が聞こえ
「もしもーし」
櫛田の声が聞こえるが
同時に風の音が聞こえる
「ああ、えっと・・・・
悪い、髪を乾かしてたのか?」
「あ、ううん大丈夫だよ
ちょうど終わったから」
つまりはふろ上がりである
だが別にだからと言って不誠実な妄想はしている様子はない
「うーん、今日せっかく協力して
もらった件についてなんだが・・・・
一応堀北と話をしていたんだけどよ・・・・」
「・・・そうなんだ、それでどうだった?」
少しだけ沈黙が起こったのが気になったが
反応を見る限り特に雰囲気が変わっている様子はない
「櫛田が参加すんのは認められないって、断固言われちまってさ・・・・」
「そっか・・・
やっぱり堀北さんに私のこと反対されちゃったんだ」
櫛田ががっかりした様子なのは声色を見て感じられる
「まあ俺としてはさ・・・・
やっぱり手伝ってくれた分さ
お前にも力になってもらいたいと思ったんだけどよ」
「まあそうだよね
私堀北さんに嫌われてるみたいだし・・・」
シュンとした櫛田が想像できるのが恐ろしいところ
「しっかし、どうしたもんだろうな
堀北の力じゃ須藤たちを集められるとも思えないしさ」
「確かにそうだね・・・」
動物的な雰囲気の綾小路の言葉を否定しない櫛田
「ねえ、堀北さんはどう断ったの?
私が須藤君たちを集めたこと?
それとも、勉強会に呼びたくないって言われた?」
櫛田が問いかけていく
「・・・・・・さっき話した時は後者だけだったが
心情的には両方なのかもしれねえけどな・・・・」
「あははは、だよね
堀北さんって人を寄せ付けない感じがするじゃない?
だからそんなこともあるかなーって」
「・・・・・・櫛田がよっぽど堀北のことがわかってるんだな
しっかしこのままだと手が詰まっちまうのも事実だしな・・・・」
うーんと考える動物的な雰囲気の綾小路
「そうだね
みんなには私も参加するからって理由で納得してもらったし・・・
私も誘った手前、参加できなくなった理由に嘘がつけないじゃない?
今から断りのメールを受けたら、多分堀北さん、本当にみんなに嫌われちゃうかもね・・・」
すると不意に動物的な雰囲気の綾小路は脳裏に口角を上げているのが脳裏に浮かんだ
「そうだ!
その件だけどさ、私に任せてもらえないかな」
「うん?」
「明日、全員を堀北さんのところに連れていくよ
もちろん、私もね」
「無理やり参加するっていうことかよ・・・・
でも確かに現状どうにかする方法がないのも事実だしな
堀北とはもう話すらならねえし、納得させられる方法もねえしな」
「そうでしょ」
そこは嘘でも肯定してほしくなかったと思う綾小路だった
「・・・・・・わかったよ
ただ、やっぱり何が起こっても俺じゃフォローしきれないかもしれないぞ・・・・」
「大丈夫、それじゃあまた明日」
そう言って通話を切る櫛田と綾小路だった
「で、結局、櫛田に案件を任せることになったわけか・・・・」
「まあ櫛田ちゃん来ないと勉強会を始められないし・・・・」
「しっかしどうしたもんかな・・・・
こんな時あたしだったら仲介に回れるのに」
「まあここは私と俺が付いて言って
様子を見に行ったらいいじゃねえか」
「だからなんで俺が!?」
好戦的な雰囲気の綾小路の言葉に
動物的な雰囲気の綾小路が勢いよく突っ込むのであった
しかし結局参加する羽目になってしまったのは言うまでもない
・・・・・五・・・・・
「それで、結局櫛田さんは来ることになったってことね」
堀北は不機嫌なようすで話しかける
「・・・・・・一応櫛田には伝えておいたが
やはり櫛田のおかげで集まっている以上、櫛田もその場にいなければ成り立たないだろう・・・・」
「昨日も言ったはずよ、櫛田さんの勉強会の参加を認めない」
「もう遅いよ、櫛田にも伝えておいたが、どうにも無理やりにでも参加するつもりらしい」
動物的な綾小路は不意に櫛田を見る
すると櫛田はそれに気づき、ウィンクで返す
それをみてうんざりした様子で彼女から目をそらした
その後図書室の一角で二人の綾小路は堀北とともに到着を待つ
「連れてきたよー」
そこに櫛田の声が聞こえて
その後ろには池と山内、須藤の三人がいた
「櫛田ちゃんから勉強会開くって聞いてさ
やっぱ入学したばっかで退学なんてしたくないしな
よろしくな!」
するとそこにもう一人男子生徒の姿もいた
「おや・・・・?
君は確か沖谷君と言ったね・・・・
記憶が正しければ君は赤点組じゃないはずだが・・・・?」
「あ、う、うん
そうなんだけれど・・・・その、テストなんだけれど
赤点ギリギリだったから心配で・・・・ダメ・・・・だったかな?
平田君のグループ、女の子が多いから入りにくくって・・・・」
おどおどしながら答える男子生徒、沖谷
「まあいいんじゃねえの?
赤点組だけが赤点をとるって
可能性があるわけでもいないんだしさ」
「うん、堀北さんもいいかな・・・?」
櫛田は堀北に問いかける
「そうね、綾小路君の言うことももっともね
赤点の可能性がある以上、放っておくわけにはいかないもの」
「う、うんっ」
嬉しそうに席に座る沖谷
「櫛田さん、綾小路君から聞かなかったのかしら?
あなたは・・・」
「じ、実はね、私も今回のテスト、とっても不安なんだ」
「あなたの成績は言うほど悪くはなかったはずだけど」
「でも綾小路君が言った通り赤点組以外のみんなが
赤点をとらないとも限らないし
それに勉強を教えてあげる人が多いと勉強会もスムーズにいくと思うし」
櫛田は人差し指でかわいく頬を掻く
「私だってクラスのみんなの力になりたいし
私だってクラスの中から退学者なんて出したくないもん、だからお願い」
それを見ていた二人の綾小路
「なるほど・・・・
沖谷君を利用して
自分が勉強会に参加させる理由を作った・・・・」
「おまけに堀北は沖谷の参加を認めた矢先による切り返し
なかなかに図太い策略だな」
すると
「・・・・好きにしなさい」
「ありがと」
仕方ないといった感じで堀北は了承し
櫛田はそれを聞いて笑顔でうなずくのだった
「ところでさ、32点未満は赤点つってたけど、32点じゃアウトってことか?」
「未満、つまり32点はギリギリセーフだって
須藤、お前大丈夫か?」
それを聞いて二人の綾小路と堀北も思わず頭を抱える
「さて、それじゃあ始めるけど
私が教えるからには最低でも50点はとってもらうわよ」
「げぇ、それってその分大変ってことだよな?」
「ぎりぎりのラインを越えるように勉強に励むのは危険よ
赤点を楽に越えられるようでなければ、もしもの時に困るのは貴方達よ」
堀北の言うことはもっとも
それゆえに教えられる側はみんな渋々頷いていく
「今度のテストで出る範囲はある程度こちらでまとめてみたわ
テストまで残り二週間ほど、徹底して取り組むつもりよ
わからない問題があったら、私に聞いて」
「・・・おい、最初の問題からわからねえんだけど」
いきなり須藤からの質疑が出る、その部分を読んでみる
「ふふーん、連立方程式の問題だね・・・・」
「高校生の問題としては無難なとこだな」
すると
「うげ、俺もわかんねえ・・・・」
池の方からもそんな声が聞こえる
「沖谷君は分かる?」
「えっと・・・・」
一方の沖谷の方は求め方をだんだんと理解していく
「うんうん、あってるあってる、それで?」
櫛田の方も見事な教え方で沖谷の勉強を見ている
「はっきりいわせてもらうけど
この問題は中学1、2年生でもやり方次第で十分に解ける問題よ
この程度で躓いていたらそれこそ赤点回避なんて無理な話よ」
「俺たちって小学生以下・・・?」
「でも堀北さんの言う通り、ここで躓いてたらまずいかも
小テストに出た数学の最初の問題はこれくらいの難度だったけど
最後の方の問題は難しくって私わからなかったもん」
「いい?
これは連立方程式を用いることで簡単に答えを求めることができるの」
堀北は教え込んでいくが理解に及んでいるのは沖谷と櫛田ぐらいだった
「れ、れんりつ、ほーてーしき・・?」
「・・・・・・まさかそこから?」
あまりのことに動物的な雰囲気の綾小路も思わず情けない声を上げる
「だーやめだやめ
こんなことやってられっか」
開始してものの数分でリタイア宣言する須藤
つられるように池と山内もシャープペンシルを放り投げる
「待ってよみんな
もうちょっと頑張ってみようよ
解き方を理解すれば、あとは応用だからテストまで生かせるはずだし・・・」
「・・まあ、櫛田ちゃんが言うんなら、頑張ってみてもいいけどさ・・・
というか、櫛田ちゃんが教えてくれたら、俺もうちょっと頑張れるかも」
「え、えと・・・」
すると堀北のほうに耳打ちをする綾小路
「堀北・・・・
あんまり黙ったままだとそれこそ
彼らはいつまでたっても勉強しない・・・・
あまりこの状態が長く続くのは好ましくないよ・・・・」
「わかってるわよ・・・」
そう言われて口を開く堀北だが
その前に行動を移したのは
「ここはね、堀北さんの言うように、連立方程式を使った問題なの
だから、私がさっき口にしたのを一度式として書いてみるね」
その様子を黙ってみている二人の綾小路と堀北
「君は櫛田のやり方、どう見るのかな・・・・?」
「確かに櫛田さんの教え方は称賛に値するわ・・・
でも沖谷君はともかく、そもそも基本がわかっていない
須藤君たちにして見れば余計に混乱するだけよ」
「まったくだな、これじゃあ勉強会じゃなくて居残り授業だな」
三人は双会話していく、そして堀北の指摘通り
「・・・で、答えがこうなるの
どうかな?」
櫛田自身は丁寧に教えているが、当の本人は
「・・・え、これで答えだせるのは?
なんでだよ?」
「う・・・」
そう、赤点組は勉強についていけていない
「これは・・・・
根本的な部分から見直した方がいいのかもしれないね・・・・」
「まったく、ここまでひどいと逆に見事なものね・・・」
「おい、堀北・・・・」
すると堀北のつぶやきが聞こえたのか須藤が堀北を睨みつける
「んだとてめえ、俺らに言いたいことでもあんのか!」
「この程度の問題にもついていけないなんて将来どうしていくつもり?
考えるだけでもぞっとするわ」
堀北の言い方が癪に障ったのか須藤は勢いよく机をたたく
「いいたい放題言いやがって
大体勉強なんざ将来何の役にも立たねえんだよ!」
「勉強は将来役に立たないですって?
そう言い切る根拠は何かしら」
「こんな問題なんざ解けなくたって別に何ともねえよ
教科書に無駄に齧り付いてるくらいならバスケやって
プロ目指した方がよっぽど将来役に立つぜ」
「それは違うわ、こういった一つ一つの問題を解けるようになって初めて
今までの生活にも変化が生じてくる
つまり、勉強していればもっと苦労しなかった可能性がある、ということよ
結局のところ自分に都合のいいルールを求めているだけ
貴方はそんないい加減な気持ちでバスケに取り組んでいたんじゃないの?
本当に苦しいと部分には勉強のように背を向けて逃げていたんじゃない?
練習に対しても真摯に取り組んでいるようには思えないし
なにより周囲の輪を乱すような性格
私が顧問だったらレギュラーには絶対にしないわ」
須藤は立ち上がって堀北に詰め寄っていく
「須藤君!」
堀北の胸倉につかみかからんとする須藤の腕が
堀北の胸の前でピタリと制止するのであった
なぜなら
「・・・・・・・・・・」
「てめえ・・」
動物的な雰囲気の綾小路が須藤の腕をつかんで制止させていた
だが堀北はそれでも繭一つ動かさずに須藤を冷めた目で見ている
「私はあなたには全く興味がないけれど、見ていればどんな人間かは大体わかるわ
バスケットでプロを目指す?
そんな幼稚な夢が、簡単に叶う世界だとでも思っているの?
あなたのようにすぐに投げ出すような中途半端な人間は、絶対にプロになんてなれない
仮に慣れたとしても納得のいく待遇になると思えない
そんな現実味のない職業を志す時点で、あなたは愚か者よ」
「ぐううう・・」
須藤はその堀北の言い方に
綾小路の手を振りほどき、カバンに教科書や筆記用具を詰め込み始める
「もういい、やめだやめ!
わざわざ部活休んでまで来てやったってのに完全に時間の無駄じゃねえか
こんなの、ただ苦労するだけxじゃねえか!」
「おかしなことを言うのね
世の中に苦労しないでなれるものなんてないのよ」
そう言って椅子を乱暴にどかして図書室をあとにしてしまう
「おい須藤!
堀北、いくら何でもあのいい方はないだろう!!」
「本当のことを言っただけよ
だいたいこんな常識的なことがわからないなんて
自分はやる気がないと公言しているようなものよ
退学がかかっているのに
学校に対する執着心なんてかけらもないんでしょ」
「どうにもおかしいと思ったんだよ、お前みたいなのが急に勉強会なんて
どうせ俺たちが勉強できないからってバカにするためなんだろ!
お前が女じゃなかったらぶんなぐってるところだぜ」
「それは自分が殴る勇気がないのを性別のせいにしているだけでしょ」
須藤に続いて山内も片づけを始めていく
「おれもやーめた、堀北さんさそういう上から目線から物言うのはっきり言ってむかつくから」
池もさじを投げ始める
「勉強なんて徹夜でもすればなんとかなるし、俺もやーめた」
「面白いことを言うのね
自分で勉強ができないから、ここにきているんじゃないの?」
「っ・・・」
やがて二人は片づけを終えて立ち上がる
すると最後まで残っていた沖谷も流され始めていく
「み、みんな・・・・」
「行こうぜ、沖谷」
沖谷はとうとう流れに逆らえず
急いで片付けて一緒に出ていってしまうのであった
「あたしの言うとおりになっちまったな・・・・」
「・・・・・・・・・・」
その場に残ったのは二人の綾小路と櫛田、堀北のみだった
「・・・堀北さん、こんなんじゃ誰も一緒に勉強なんてしてくれないよ・・・?」
「そうね、私は間違ってた
もし、今回あの人たちに勉強を教えてうまく赤点を回避できたとして
またすぐに同じような窮地に追いこまれる
そうなればまたこの繰り返し、そしてやがては躓く
これは実に不毛なことで、余計なことだと痛感したわ」
「・・・・堀北さん、それって、どういう・・・?」
「足手まといは今のうちの脱落してもらった方がいい、と言う事よ」
堀北はそう結論付ける
「そんなのって・・・ね、ねえ綾小路君、綾小路君たちも何か言ってよ」
「無駄だ櫛田・・・・
今のこいつに何を言っても聞きやしないよ」
「堀北がそう決めたなら、もうそれでいいだろうさ・・・・」
「綾小路君・・・」
「俺が何とかしてみたところで
もうあいつらは聞く耳なんかもちやしない
残念ながら俺にできることはここまでだ・・・・」
「・・・そう、わかった」
櫛田は表情に影を落として
カバンをもって立ち上がる
「私は何とかする
してみせる
こんなに早くみんなと別れるなんて絶対に嫌だ」
「櫛田さん
本気でそう思っているの?」
「・・・いけない?
須藤君や池君たちを見捨てたくないって思っちゃ」
「あなたが本心からそう言ってるなら、私は構わない
でも、私にはあなたが本気で彼らを救いたいと思っているようには思えない」
「何それ
意味わかんないよ
どうして堀北さんは
そうやって敵を作るようなこと、平気で言えちゃうの?
そんなの・・・私、悲しいよ」
櫛田はうつむきながらそう告げるがすぐに顔を上げる
「・・・じゃあね二人とも、また明日」
とうとう最後の砦であった櫛田も去ってしまい
こうして結局最初の二人に戻ってしまうのであった
「櫛田が離脱した以上・・・・
俺がもう出る幕はもうねえ・・・・
それじゃあ、俺はこれで抜けさせてもらうぜ・・・・」
そう言って動物的な雰囲気の綾小路も出ていくのであった
「終わったわね・・・」
「そうだね・・・・」
静かにつぶやく堀北と
不気味な雰囲気の綾小路だった
「それで、あなたも私のやり方に言いたいことでもあるかしら?」
「別にないよ・・・・
君がそう結論したのなら
私は否定はしない、肯定もしないがな・・・・」
「これからどうするつもり?」
「どうもしないさ・・・・
私は私でどうにかやってみるさ・・・・」
「あなたも案外お人よしね
これから退学する者たちのために
まだ何か無駄な労力をしようというの?」
「そういうんじゃない・・・・
私はあくまで彼らを切り捨てたいわけではない・・・・」
「でもあなたにできることはあるのかしら?
中途半端な新設を施すほど残酷なことはないわよ」
「そうだろうね・・・・
君の言うことは正しいさ・・・・
だからこそ私は君の言うことを否定はしない、否定はね・・・・」
そう言って数歩歩いて立ち止まる不気味な雰囲気の綾小路
「堀北、何度も言うが私は君の考えを否定するつもりはない・・・・
勉強嫌いな彼らに手を焼くくらいなら確かにそう判断するのもわからなくもない・・・・
だが私は、彼らの後ろにある背景を想像してみるのも正解だと思うけどね・・・・?
ただ単にバスケのプロを目指すだけならわざわざこの学校を選択する必要はない・・・・
ならばなぜここを選んだのか、それを考えれば君の見方も少しは変わると思うけどね・・・・」
「・・・・興味ないわね」
堀北の返答に綾小路はそうかとつぶやいて去っていくのだった
堀北はしばらく教科書に目を通してから、帰路につくのであった
・・・・・・六・・・・・・
先に図書室をあとにした動物的な綾小路
その道中で一人の人物に会うのだった
「その様子、どうやらうまくいかなかったようね・・・・」
それは六人の綾小路のうち、唯一の女子の綾小路であった
「ああ、おおむね予想通りだ・・・・」
「それで、堀北さんはどうだった?」
女子の綾小路の返答に動物的な雰囲気の綾小路は
何も言わずにただ首を横に振るのであった
「・・・・・・どうやら堀北さんはまだ気が付けていないようね・・・・」
「なあ、あたし
やっぱここは堀北に直接言った方がいいんじゃねえか?
ああいうタイプは自分の欠点なんて見ようともしねえぞ」
「ダメよ俺
仮に教えたって彼女はきっと
それを受け流してしまうわよ
教えるにしてもそれを受け止める
きっかけを生み出さないとならないわ
あたしとしてはこの勉強会でどうにか
彼女がそれに気が付いてくれればッて思ったけれど・・・・」
「そうか・・・・
私の方はどう見ていくんだろうな・・・・」
「私もきっとその時をうかがっている
はずだと思うんだけれども・・・・
残念だけれど今日のところはここまでね・・・・」
考え込む二人の綾小路
すると会談の方から誰かが歩いていく声が聞こえる
「うん・・・・?」
動物的な雰囲気の綾小路が音のする方に行く
おそるおそる会談の踊り場を見てみると
そこには後ろ姿だったが知り合いの姿がいた
「あれは・・・・・・櫛田・・・・?」
別に隠れる必要はないと思うが
なぜか隠れてしまう綾小路であった
「ちょっと、なんで隠れてるのよ・・・・」
「なんとなくな・・・・」
そう言って櫛田の様子を見ていたその時
「あー・・・・・・ウザい」
そこに聞こえたのはいつもの櫛田ならぬ声色だった
「マジでウザい、ムカつく
死ねばいいのに・・・」
ぶつぶつと呪文を唱えるように暴言を吐く櫛田
「自分がかわいいからってお高くとまりやがって
どうせアバズレに決まってんのよ
あんな性格の女が、勉強なんて教えられるわけないっつーの」
暴言を吐いている相手は堀北のようである
「あー最悪
ほんっと、最悪最悪最悪
堀北ウザい堀北ウザい、ほんっとウザいっ」
もはや遠目から見れば櫛田とは思えない声があたりに響く
「あれが櫛田かよ・・・・
不満爆発だな・・・・」
「でもあの様子、相当たまってるのね・・・・
なんだか随分前から不満があったように・・・・」
すると不意に二人は考え込む
「ずいぶん前からって、ひょっとして櫛田さんは
この高校に入る前から堀北さんに不満を持ってたってことじゃない?」
「どういうことだ?」
女子の綾小路の言葉に動物的な雰囲気の綾小路が聞く
「我の推測、堀北さんと櫛田さんがおんなじ中学の出身だっていうあれ
あの推測がもしかしたら当たっているのかもしれないっていうことよ・・・・」
「なるほど・・・・」
二人がそんな話をしていると
「誰?」
「「っ!?」」
後ろから櫛田が声をかけてきた
「感づかれたか・・・・
あたし、ここから離れる」
「ええ」
と二人の綾小路は急いでその場を離れていくのであった
櫛田は二人のいたところにつくがそこに二人の姿はなかった
「・・・っ!」
櫛田はいらだったようにその場で舌打ちをするのであった
・・・・・・・七・・・・・・・
綾小路の自室において
六人の綾小路は集まっていた
「ふふーん・・・・
なんとなくきな臭いと思ってたけど
そんな一面があったなんて驚きだね・・・・」
「僕、ちょっと櫛田ちゃんの印象が変わったかも」
「まあ俺はもともと、あの女は好かなかったからな」
「そういや我は櫛田と堀北の因縁に薄々感づいてたんだよな
どうしてそんなことがわかったんだよ?」
「・・・・・・・・・・」
仮面をつけた綾小路は答えない
「ったく、また無口になりやがって・・・・
これで俺自身でもあるんだが、なんとも言えねえな・・・・」
「うん・・・・?
あたしは何をやっているんだい・・・・?」
あたしは何やら端末をいじってる
「これ見てよ・・・・」
少し腹立たしそうに
ほかの五人に端末を見せる女子の綾小路
「うわ・・・・
悪い噂っていうのは瞬く間に広がっていくんだね・・・・」
「いじめて、確かこの学校はいじめはご法度でしょ?」
「まああんな対応されたら誰だって怒るもんでしょ」
「どうすんだよ?
このままだとさらにまずいことになるぜ」
「まったくもう、なんでこうも馬鹿な事ばっかり・・・・」
その内容は堀北調子乗ってるから堀北いじめやろうぜ的な内容だった
当事者である池達のみならずなぜか佐藤という女子も加わっている
堀北のことをどれだけ周りの堀北への第一印象が最悪であると結論付けている
「おまけになんでかあたしも誘われてるし・・・・」
「ほっとけほっとけ、どうせ最初は無視する程度だろ・・・・」
「でもこれが激化したら陰湿なものになっていくのは目に見えてるでしょ・・・・」
「まあとりあえず既読を無視するとして、どうするんだ?」
好戦的な雰囲気の綾小路が
ほかの面々に話題を振っていく
「フフフフフフ・・・・
ここは私に任せてもらおう・・・・
こうなったら観点を変えて
まずは堀北の厚生に励もうじゃないか・・・・」
「私、あなたで大丈夫なの?
堀北さんの欠点はあなただって気づいてるはずでしょ」
女子の綾小路は不気味な雰囲気の綾小路は言うのだった
「堀北 鈴音・・・・
ぜひとも君を私の方に引き込んであげようじゃないか・・・・
フフフフフフ・・・・」
Teufel, die sich vom Grund des Höllenkessels bewegen