フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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どうも、ぽおくそてえでやんす。この話の後、しばらくFEに重点を置くので次はいつになるか不明です。


第21の唄 THE GAME OF DEATH

「私は、この塔とジェラールとの因縁を断つ」

「エルザ…」

 

自分の抱えていた誰にも語れなかった過去。それを話したということは、決別を本気でつけようと考えたからだ。

 

「姉さん、話に出てきたゼレフって…」

「ああ。『呪歌(ララバイ)』や『デリオラ』をつくった男で、あちこちの闇ギルドの信望を集める災厄とも言える男だ」

「くそっ。そんなやつを復活させようってのかよ!」

「だが、それもこの塔を壊せば済む話。この見せかけの『楽園』を壊せばな」

「それ…ホントかよ?」

 

震えた声が飛んできた方を見れば、エルザを姉のように慕うショウの姿があった。グレイやナツを襲った者の1人だ。彼はエルザの話が信じられないという。ジェラールの話では、魔法を覚えたエルザが自分たちを裏切ってしまい、ジェラールしか信じることが出来なかった。だから、楽園に行く為に全てをなげうって彼に協力したこと。信じる相手を今更変えられない。

 

「それともあれか、ジェラールの話が全て嘘だって言うのかよ!」

「それは…」

「ショウ、エルザの語った言葉が真実だ。この8年間ずっと、あいつの嘘に踊らされてたんだよ」

「シモン…お前」

「俺は信じてたよ。お前のことをずっとな」

 

信じている。その言葉がかつての仲間から聞けたことが、彼女にとってはなによりも嬉しい言葉だった。そして、エルザをずっと慕っていたショウは、自分の心の整理がつかず、後悔と混乱によって、涙が溢れる。

 

「俺は…俺は何を信じればいいんだ!この8年間、ずっと信じてたジェラールが嘘をついてたなんて…」

「私がお前を捨ててしまった事実は例えどんな理由があろうと変わらない。本当に済まない。だが、言わせてくれ。ずっとお前達を信じてきたんだ」

「今なら過去を変えて未来に繋げられる、だろ?」

 

エルザの意思を確認したシモンはこう続けた。

 

「俺はこの機を待っていたんだ。強い魔道士が一同に会するこの好機をな」

「強い魔道士の集まる好機?」

「そうだ。フェアリーテイルと元ファントムロードの魔道士、そして神々の力を継ぐ者たち。これほどの魔道士たちがいれば悪夢を払える。手を貸してくれ」

 

====

 

「これは…戦局がまた一つ進んだな。ならばこっちも手を打たねば。タカ、ウォーリーとミリアーナに戦闘準備をさせろ。それと、お前たちの出番も近い」

「ははっ、かしこまりました」

 

ジェラールの手元にはチェスを模したテーブルがあった。そこには2つの陣営があり、それぞれにコマが置いてある。片方はナツたち、片方はジェラール側を示している。その陣営の片方には銃と猫のコマ、つまりウォーリーとミリアーナを示したものが置いてあり、火竜(ナツ)のコマと向かい合わせになっている。

 

「ナツ・ドラグニルとウォーリー、ミリアーナの戦闘か。はてさて、どうなることやら…クククッ。そして…あの光のこと、頼んだぞ。ジークレイン」

 

ジェラールの呼んだ名前は今、評議会にあった。そう、ジークレインは評議会の代議士を務めていた。ジークレインは評議会とジェラールを繋ぐ要であり、今回の作戦を裏で引いているもう1人の男である。彼のいる評議会では今、まさしくジェラールのいる塔、『楽園の塔』とも『Rシステム』とも呼ばれる死者を蘇らせる装置を破壊するなり占拠するなり無力化する方策を練っていた。

 

「どうする?あそこには変な宗教団体があると聞くぞ?」

「軍を送ろうにも周辺国や地域に協力を仰がねばならん」

「そんな悠長な方法ではダメだ!」

「何を言うか、ジークレイン。ならば策でも?」

「あの不気味なものを破壊する方法など1つしかない。『エーテリオン』だ」

 

その言葉にジェラールと彼の仲間のウルティア以外は戦慄を覚える。なにせエーテリオンを発動すれば、あたりは焦土と化してもおかしくない威力であり、評議会の最終兵器とも言えるものだ。たしかに効果は挙げられるかもしれないが、周辺諸国からの反発は免れない。ただRシステムがあるだけでは使う理由にはならない。

 

「『エーテリオン』は破壊と終焉を齎す!それを使う覚悟はあるというのか!」

「これはあまり言いたくなかったが…ゼレフの復活が目的らしい。そんなことをされるよりもエーテリオンを使う方が後々のためになる!」

「私は…賛成ですわ」

「ウルティア、貴様!」

 

評議会の崩落の音が聞こえ始める。

 

====

 

「くそっ、ミリアーナとウォーリーのやつ、通信を切ってやがる!」

「通信?」

「念話魔法のことですよ」

「へぇ、便利なものですね」

 

シリルが魔法の広さに感心していると、壁や天井に口のようなものが出てきた。そこから聞こえてきたのはある男の声だった。

 

『ようこそ、楽園の塔へ』

「な、なんだこれ!?」

「ジェラールか」

「気持ち悪っ!」

 

塔全体に声が響くように、趣味の悪いとしか言いようのない方法でジェラールがアナウンスする。

 

『多少戦局は変わってしまったが、これからあるゲームをしようと思う』

「ゲームだと?ふざけてるのか?」

『たった今さっき、ウォーリーとミリアーナが火竜に倒された。そこでこちらは4人の戦士を出そうと思う』

「なんだそれは!聞いてないぞジェラール!」

 

楽園の塔組ですら知らない4人の戦士達。そしてここで更なる衝撃が彼らを襲う。

 

『このままでは冗長になりかねん。追加ルールをお知らせしよう。ここに評議会からの殲滅の光『エーテリオン』が落とされる可能性が高くなった。時間にしていくばくか…その光が落ちたらゲームオーバー、お互いに勝利を掴めない。それが落ちるより早く、勝利を収めるのはどちらかな?』

 

評議会最終兵器エーテリオン。それが襲うとなると最早死は免れえない。皆が心に思ったのはいち早く決着をつけること。しかし、ここで誤算が生じた。何を思ったのか、ショウがエルザをカードに閉じ込めた。

 

「何をする!?」

「姉さんは俺が守る!何があっても!」

「くそっ、なんてこった!俺はあいつを追う!みんなは各自敵を倒してくれ!」

 

波乱のゲームが展開された。果たしてクリアは出来るのだろうか。


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