フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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どうもです、ぽおくそてえです。これから学校の影響で数ヶ月間、投稿が遅れる可能性が高いです
ご了承を


第30の唄 冥府の子の実力

「俺と遊んでくれんのはお前か?そろそろ骨のあるやつとやり合いてえんだよな」

「うにゅ、『ポイズン・ショット』!」

「うおっと、いきなりかよ!だが、やる気なら来な!」

 

ユリアが相対するは雷神衆の中でもトリッキーな戦い方と火力を誇る陣形を得意とするビックスローだ。それを知ってか知らずか、二の句を喋らせず、先手必勝とばかりに物を溶かす毒を放つ。

 

「ラインフォーメーションだ、ベイビー!」

『オオー!』

『切レロー!』

「うわわ!」

「俺と戦う羽目になった自分の不運(ハードラック)(ダンス)っちまいな!」

 

変幻自在のフォーメーションと自由自在に操れる人形たちは実力者の名にふさわしい技術だ。でもユリアもただやられるだけではない。

 

「『神の啓示書、第二巻二章悪魔の項、第六天の一刀』!」

「なっ!?俺のベイビーたちが、くそっ……」

「いっくよー、『黒波の型(ブラック・サーフィン)』!」

「ぐげっ!ぐおおっ!」

 

人形たちを全てなぎ払い、そのまま一気にビックスローに乗っかり、黒い波に乗ってサーフィンの要領で別の建物に飛ばしていく。間髪を緩めず、『シャドー・ハンマー』を叩きつけるが、即座に新しい人形をオモチャ屋から引っ張り出し、盾にして防いで行く。

 

「俺の魔法と下のオモチャ屋があれば持久戦なんて容易いぜ」

「むぅー…だったら、えいっ!」

「おいおい、まさか……」

「『地獄の業火(ソウル・フレア)』!」

 

尋常ならざる四股踏みと共に建物の下から黒い噴煙が吹き上げる。建物の崩壊だけでは生温いとばかりに、周りに全く被害を出さずに中のオモチャごと冥府を漂う炎で焼き尽くす。これでビックスローの魔法は威力が半減するだろう。

 

「なんて無茶苦茶な奴だ!」

「てぇい!」

「ふガッ!?」

「やっ、とぉっ!」

「ぐっ…撃て、ベイビー!」

「うわっ!」

 

もはや無茶苦茶な乱闘だ。技もへったくれもない殴り合いとかしている。かたや殴ればもう一方は魔法を打ち込む。側から見れば、魔道士同士の喧嘩とは思えないような何かになってしまっている。

 

「うわ、ひどい光景ね」

「あ、ルーシィ姉ちゃん!」

「オイラもいるよ」

「へぇ、コスプレかよ。しかも『チアガール』か」

「い、今それはどうでもいいでしょ!」

 

現れたのはルーシィとハッピーで、ユリアの援護としては良いタイミングでの登場だ。人形を含めた数の差を少しでも埋めることや、ビックスローの視線を逸らすことで人形の行動を抑えられるからだ。

 

「そういえば一週間もどこ行ってたの?」

「シリル姉ちゃんと修行!私も強くなったんだよ!その成果を見せてあげる」

「確かにお前は強えけどよ、ラクサスには敵いやしねえ。ギルドは俺たちと共に変わる!」

「それはもうフェアリーテイルとは呼べない何かになってる!私はギルドを守る、まだ数ヶ月しかいないけど、そんなことは志に比べれば大きな違いはない!」

 

そう言い放って召喚したのは弓使いの『人馬宮』の星霊サジタリウスだ。宙に浮く人形たちは彼の弓を前に打ち砕かれ、ビックスローの魔法を封じていく。だが……

 

「くそ、残り少ねえベイビーたちが……なんてな」

「ぐぉっ!?」

「サジタリウス!」

 

道化のように表層では慌てていたビックスローだったが、不意に見せた笑顔と共に新しい人形が魔法弾を撃ち込む。

 

「えっ!?新しい人形!?」

「確かにおもちゃ屋の破壊はベイビーたちの補給って意味じゃ大きいダメージだったがよ、余分に持ってねえとは言ってないぜ。やっちまいな、ベイビーたち!」

「この程度の数なら…あっ、鍵!」

「星霊魔導士相手ならこれが常道ってな」

 

星霊魔道士はアイテムを使う『ホルダー』系魔道士の筆頭のような存在だ。鍵を奪えば無力化、あるいは抑制が効くタイプなのは魔道士の間では有名な話である。無力化されたルーシィとそれを庇うユリア。そのコンビとして経験の浅い2人を相手にすれば、百戦錬磨のビックスローには隙を突くのは簡単だ。

 

「今だ、やっちまえ!『バリオン・フォーメーション』!」

「や、やばっ…」

「お姉ちゃん!」

 

2人を分断し、ルーシィの倒れ込んだところを高威力の魔法で迎撃する。ユリアの届かない場所を狙ったほぼ完璧な一撃に思われたが、彼女を救う影が一つあった。

 

「なんでかな、僕は鍵の制約なしに行き来できるみたいだ。これが愛の力、紳士の嗜みってやつかな?」

「あ、あんた何言ってんのよ。でも助かったわ」

「今日は最高に決まってるよ……ロキお兄ちゃん!」

「さあ、紳士たるものの務め、主人のために果たすとしよう!」

 

ロキ改め黄道十二門、獅子座の星霊レオ、顕現である。彼の出現は鍵を介さないという異例の方法ではあるが、星霊王との約束、主人(ルーシィ)との絆が成した星霊魔法の根本とも言えるものだ。

 

「僕は自分の意思でここに来たから、長くはいられないよ。さ、2人とも。華麗に決めよう、シリルとエルザのようにね!」

「なるほどな、エバがやられたってのはそういうことか。それに、レオ!テメェが星霊だってのは俺に負けてからずっと黙ってやってたのに、のこのことやられに来たってか!?」

「あいつ、分かってたの?」

「ビックスローの眼の魔法は相手の心が少し読めるんだ」

 

雷神衆にはそれぞれ主に使う魔法とは別に『魔眼』を持ち合わせており、エバーグリーンなら『石化眼』がそれにあたる。

 

「あの頃の僕は星霊としての力を失いかけていた。だけど今は違う。守るもの、主人、仲間…ルーシィやユリアのおかげで沢山のものを僕は得、強くなったんだ」

「ああそうかい!なんならやってみな!」

「援護するよ!『毒牙の滝(ポイズン・フォール)』!」

 

大きな滝を出現させ、ビックスローを移動させ、視野を狭める。注意をユリア自身に引きつけ、ロキとルーシィの連撃を後押しする。それがビックスローにとってある魔法を発動する引き金を与える。

 

「しょうがねえな。あまり使いたくねえが…『フィギュア・アイズ』!」

「みんな、目を閉じて!あの眼を見たら魂を抜かれるよ!」

「あっぶなっ!」

 

魔眼『フィギュア・アイズ』。相手の魂魄を発動している間、自分の支配下に置くという奥の手だ。これを発動するということはそれだけ追い詰められている証拠でもある。だが、この魔眼と彼のもう一つの魔法のコンボは強力であり、目を閉じている状況では人形たちの動きが読みづらくなるからだ。

 

「ラストダンスだぜ、ベイビーたち!」

「うにゅ!?」

「うわっ!」

「きゃあ!」

 

人間の情報源の大半を占める視力を奪う戦法は強力で、押せ押せムードが断ち切られるくらいには逆転されてしまう。そんな中、ルーシィが攻略の糸口を無意識に口にする。

 

「目が使えないなら、あいつを…」

「目を…それだ。ユリア、僕の後に続いてくれ。これが唯一の突破口なんだ」

「任せて」

「行くぞ……『獅子光耀』!」

「なんだ!?目が、目がっ!」

 

目を使うならばそれを使えなくすればいい。その為には閉じさせるのが一番手っ取り早い方法だと考えたロキは、取り戻した力を発揮し、あたり一帯を強い光で包む。

 

「今だ!」

「やあっ!」

「ガハッ!くそっ、何でお前らは……」

「僕たちは愛や絆で出来ているんだ。それを全否定するなら、容赦はしない」

「私たちの『ゼンリョク』、受け取って!」

 

それは、ギルドの精神を示すような力強い一撃であり、さらなる力を発揮させてくれる。

 

「『獅子宮の輝き(レグルスインパクト)』!」

「『シャドー・ストレート』!」

「ぐあああっ!」

 

2人の拳がビックスローに突き刺さり、大きく吹き飛ばした。人形たちも動きが止まり、元の意思なき状態に戻った。これが勝利を示す証となり、3人は華麗にハイタッチを決めた。

 

残る雷神衆はリーダーたるフリードのみとなった。

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