フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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お待たせしました。省略した部分も多々あり、分かりにくいかと思われます。作者の力量のなさゆえです。


第36の唄 混沌

「持ってきたぞ。ふぅ〜、重たくて敵わねえぜ、俺のスピードを持っても15分もかかるとはな」

「ご苦労」

「で、こいつらに何させんだ?」

「この中身の男の復活よな。開けるぞ」

 

コブラの質問に淡々と応じ、棺桶の中を見せる。そこには、エーテルナノに侵食されながらも生命の鼓動を微かに帯びた、ジェラールの姿があった。

 

「ジェラール!」

「こ、こいつがそうなの!?」

「エーテリオンにやられたかと思ってたよ」

「ほう、見知った顔か。なら話は早い、天竜の子『天空の巫女』よ、こいつを復活させよ」

 

彼女を攫った理由、それは能力によるジェラールの復活だ。ためらうウェンディにユリアは手を置く。天空の巫女の決断は……

 

====

 

「シリル、どこに向かってるんだ?」

「ユリアの生命力を探知してます。ナツ兄さん、鼻の方は?」

「嗅ぎ分けるにはまだ遠いみてえだ」

「竜の鼻といえど意外と嗅ぎ分けられないのね」

「多分匂いが多いからかもな」

 

ナツ、グレイ、シリルとシャルルは捜索の為に動いていた。鼻のきくナツとシリルの生命探知を頼りに編成された。

 

「むむむ……ユリアたちはまだ先の方ですね。その前に、接敵です。数が多いみたいで」

「暴れてやるか!」

「情報を吐かせてやる!」

 

どうやらあちらも配下のギルドを率いているようで、ギルド二つぶんの兵隊が待ち構えていた。

 

「ウホホッ!やっつけてやるぜぇ!」

「うるせえぞ、クソ猿。こいつらはあたいら『ナイトフォックス』のもんだ!」

「行きますよ」

「やられてぇ奴からかかって来い」

「なんなのよあの三人、こんな兵数相手に勝つつもり?」

 

数十人から100人規模の敵に対して戦力は3人。「常識」をもって語るなら勝算は低いと見るのが最もだろう。だが、そんな常識をも覆し得るのが「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」の魔道士だ。傷が増えて息も上がるほどに疲れたが逆転、勝利した。

 

「で、ウェンディたちは何処にいやがる?」

「さっさと吐かねえとぶっ飛ばすぞ」

「す、数百メートル先にある滝壺の底にある横穴だ」

「そっちから3人の生体反応を確認しました。間違いなさそうです」

「よし。悪いけど、やっぱぶっ飛べ」

「え?ウギャ!」

 

傘下ギルドの尊い犠牲をもとに、探すべき仲間の居場所を突き止める。シリルの情報と照らし合わせ、森を抜けると、大きいとはいえないものの隠れるには格好の場所だろう滝壺にたどり着いた。

 

「ここか」

「おーい、ハッピー!ユリア!ウェンディ!居るかー!」

「ちょっと!バレるでしょう!」

「あっちからしちゃあ、想定済みだろうから今更だぜ。スロープ作るからそれで降りて先行ってな」

 

万が一に備えてグレイを上に残し、他3名で入り口に向かう。だが、そこには想定外の男と、想像以上に悪い方向へ行こうとしていることが分かった。

 

「お前、ジェラール!?」

「あの時倒したはずだし……てっきりエーテリオンに巻き込まれてたかと」

「ごめんなさい…私が……」

「あ、ウェンディお姉ちゃん!」

 

助けに行った先で会ったのは、エルザの因縁の相手であり、夏に楽園の塔で倒したはずのジェラール本人が居たのだ。ウェンディらをさらった目的が少しずつわかり始めた瞬間でもある。

 

「くそ、ならここでもう一度!」

「……ふん」

「がっ!」

 

連戦の無理がある。いくら復活したてとはいえ無傷な相手と戦うのは無理だ。すぐに吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる。冷たい目で他の5人を眺め、ブレインとともに外へ向かい始める。

 

「さすがだなジェラール。次の地点に行こうか」

「……それは無理だよ」

「なっ、ジェラール貴様!」

 

だが、何を考えたのか、そのブレインを穴に落とした。復活を手伝った男への反乱にシリルらは絶句しながらもその背を追うようにハッピーやシャルルに手伝ってもらいながら外へと皆を抱えながら飛び立つ。

 

「あいつ、何考えてんだよ」

「分かりません。グレイ兄さん!退きますよ!」

「悪いけど先に行ってくれ!このレーサーっつうふざけたヤローを止めておく!」

 

上で待っていたグレイは既に戦闘を始めており、退ける状態ではなさそうだった。止むに止まれず、彼に敵を任せ、いち早くエルザのところに戻るべく空をかける。

 

『誰か、誰か応答できるかい!?』

「この声どこかで……」

「ヒビキさん、どうしました!?」

『良かった、ナツくんとシリルくんは無事なんだね!ウェンディくん達はそこに居るかい?』

「おうともよ!全員取り返したぜ!」

『なら目的地を教えよう。口頭で指示したいけど、どうやら耳のいいやつがいるらしい。これ以上情報が漏れるのは防ぎたい、地図を送るよ!』

 

何が何やらという感じだったが、しばらくして頭に現地点と目的地が正確に分かるように浮かぶ。ナツは喜んでいたが、そうもしていられないのは分かっているため、シリルの先導の元、天を飛ぶ。

 

====

 

「お二人とも無事でしたか」

「どうにかね。ところでウェンディくんは?」

「ここにいるぜ。おい、起きてくれ!緊急事態なんだ!」

「う、ううん?っ!」

 

魔力消耗による気絶から復活したウェンディであるが、自分のしてしまったことや驚きからゆすり起こすナツから遠ざかる。何やら謝っていたが、それでも構わないとナツは頭を下げる。

 

「お願いだ、頼む!」

「私からもお願い。エルザを助けてあげて!」

「どうか、この通り」

「わ、私にできることなら!やります!はい!」

 

正義感の強い彼女だ、ここまでされて否定することはできない。ふんす、と気合を入れて、されど慎重に解毒を進めていく。過去にジェラールと名乗る男としばらく旅をした彼女だ。彼が悪い男だとは思いたくない。

 

「……よし、完了しました!しばらくすれば動けると思います」

「おおお!」

「よっしゃあ!」

「ありがとうウェンディ!」

「さっすが私の友達だね!」

「いやあ、顔色が良くなったよ。流石と言うべきか」

 

これで危惧すべき課題は2つ消えた。残るは敵の狙いの古代魔法のみとなった。だが、絶望とはそう生易しいものではない。順調に物事が進む時に限って、曲がり角から不意に現れるものだ。地鳴りが轟くとともに、遠くの森から黒い塔のように光が立ち上がる。開けている場所だというのもあるが、それでもこうしてはっきりと見えるということは、並みの魔法ではありえない。しかも闇魔法を操るユリアがすぐそばにいるとなれば、自ずと答えは出る。

 

「まさかあれって!」

「間違いないよ。古文書(アーカイブ)に乗っていた……ニルヴァーナだ」

「もしかしてジェラールが……くそっ!」

「ちょっとナツ!ジェラールってどういうこと!?」

「あいつは、俺がぶっ飛ばしてやる!エルザには近づけさせねぇ!」

「ねえ、あいつ止めないと……ってエルザもいない!」

「もしかしてナツ兄さんを追ったのでは?」

 

飛び出したナツ、いつの間にか消えていたエルザ。混沌としはじめる事態に、光明は射し込むのだろうか。




10月中にもう一話出せたらなぁと思ってますが、次話の予定は未定です。
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