フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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お久しぶりです、ぽおくそてえです。色々あって執筆遅くなりました。申し訳ないです。ファイアーエムブレムの方の主人公の設定決まりました。弁慶です、はい。詳しくは後ほど。

では本編どうぞ!


第2の唄 遭遇

全員列車へと乗り、早くも乗り物酔いを起こしたナツをダウンさせたエルザは早速今回のことの顛末を語り始めた。

 

「今回皆に来てもらったのはあるギルドがある物の封印を解こうとしてるからだ」

「ある物?何だよそれ、少しアバウトだな」

「具体的に言ってもらえます?」

「ああ。あれはつい先日のことだ、仕事帰りに酒場に寄った時にな…」

 

帰りの酒場でゆっくりしようと立ち寄ったら、騒がしくしている一行が近くにいたという。

 

「そういう輩は酒場には居るだろ?」

「これだけならな」

「ってことは…」

「ああ。問題はそいつらの話してたことの中身だ」

 

その連中が話していたことには『ララバイ』なるものの封印を解除しようとしていたこと、そしてその連中のリーダーが『エリゴール』なる男であるということだという。

 

「その時は気づかなかったが、後で気づいた時には遅かった。其奴らのリーダーがあの死神エリゴールだと」

「死神!?」

「数々の殺しの仕事をやっていたギルドなんですが、その中でも一二を争うほど人を殺してるんです。私の…『敵』です」

「私が気づいていれば奴らを血祭りにしたものを…」

 

そうこうしているうちに駅に降り立ち、宿を探そうと動き始めたが、ここでルーシィが違和感を覚えた。

 

「あれ?やばい!」

「どうしたルーシィ?敵か?」

「違うのよ!ナツがいないんだけど!」

「まさか列車に乗ってるのでしょうか?」

「いかん、奴は乗り物酔いが…!急ぐぞ!」

 

なぜ残したのかと考える暇もなく皆で急いで駅まで向かった。

 

 

 

「くっ、遅かったか。まさか乗り物酔いの激しいナツを残してしまうとは…」

「間に合わなかったね」

 

駅に着いた時にはすでに遅く、ナツを乗せた列車は結構先まで行ってしまっていた。そんな中でもエルザは駅員に無理言って電車の緊急警報を鳴らすように掛け合っていた。

 

「エルザさん!魔導四輪持って来ましたよ!」

「分かった。ハッピー、あれを降ろせ」

「あいさー!」

「あっ、待て!」

 

シリルとグレイが移動の足を持って来たと同時に駅員の制止を振り切って、ハッピーが警報器を降ろした。

 

「よし、これでしばらく止まるだろう。私たちも急ぐぞ!」

「全員掴まって!飛ばしますよ!」

 

その言葉と同時に流せる魔力を全てこめ、フルスロットルで飛ばしていく。その一方で電車に残っていたナツは1人乗り物酔いに悩まされながら電車に揺られていた。

 

「お兄さん、なかなかきつそうだね?」

「お、おお…」

「乗り物酔いかぁ〜。こりゃダメかな?」

 

車内で吐き気と戦っていたナツに話しかけてきたのは髪を結った不思議な男だ。ナツがまともに答えられないのを気にしないように目の前に座って話しかけて来た。

 

「ヘェ〜、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導師なんだ。良いよね、正規ギルドのメンバーは」

「おお…」

「羨ましいね、僕のような日陰者には」

 

返事を求めていないようにツラツラと言葉を続けていく。

 

「知ってるかい?フェアリーテイルは闇ギルド(僕ら)の間でなんて呼ばれてるか」

「な、なんだってんだ」

「ハエだよハエ」

「あ?」

 

====

 

「シリル、もっと早く行けんのか!?」

「これでも全力でやってます!事故ったら元も子もないでしょう!」

「無茶言うなよエルザ!これ以上魔力入れたらSEプラグがパンクしかねないだろ!」

 

ナツを乗せている列車を追う一行は焦りを感じながら、シリルの運転の元、全速力でひた走っている。

 

「3人とも喧嘩しないで!」

「ほら、見えてきたよ!あの列車だ!」

「追いついたみたいですね」

「止まっててよかったぜ」

 

非常停止レバーを下げていたことで止まっていたことが幸いし、どうにか追い上げることができたことに安堵した。しかしその安堵も長くは続かない。止めていた理由が判明したからか、再び動き出そうとしていた。

 

「くっ、もう動くのか!?」

「もう少しの時に…」

 

あと二、三両行けば乗っているはずの場所に着くというタイミングに焦り始めるが、その瞬間、窓ガラスを割って飛び出してきたのは、探していたナツだった。

 

「ナツ兄さん!?」

「どうなってんだよ!?」

「なんでお前らいんだよ!?」

 

スピードを出していたことと、飛び出した高さが相まってナツと屋根に乗っていたグレイが頭をぶつけ、2人揃って魔道四輪の後ろへと投げ出されて行った。

 

「とりあえず2人のところに行こう!」

「そ、そうですね。ルーシィ姉さん、少し肩を…」

「大丈夫?結構疲れてるみたいだけど…」

「後はエルザ姉さんに任せようかと…」

 

魔力を急激に使ったシリルはルーシィに助けられながら喧嘩している2人の元へと歩くと、ナツが置いていったことに怒っていた。

 

「お前ら酷えじゃねえか!俺を置いていくなよ!」

「すまなかった」

「ごめんね」

「す、すいません」

「オイラもごめん」

「なんで俺にだけ喧嘩腰なんだよ」

 

少しトラブルもあったが、全員無事に集まれたことに安堵して魔道四輪に戻ろうと話しながら歩き始めた。

 

「だが、無事でよかった」

「無事じゃねえって、途中で喧嘩ふっかけられたしよ。なんつってたかな、アイゼンヴァルドのカゲ?」

「何!?」

「まさか!?」

 

先程は酔いによって頭が回っていなかったことと、途中でエルザの一撃で強制的に眠らされていたナツは事情を知らずにいたのだ。ただ、偶然にせよ目的のギルド、アイゼンヴァルドと遭遇したことは奇跡的とも言える。

 

「でもこれってチャンスじゃないですか?」

「確かにな。あの列車を追ってりゃ目的の奴らに会えるしよ」

「そういえば笛を持ってたなぁ。三つ目の髑髏っつーかなり変わった笛だったけど…」

「三つ目の髑髏…笛…子守唄…もしかして…」

「どうしたルーシィ?」

 

ナツによってもたらされた情報と、今までに知り得た情報を繋ぎ合わせていくととても不吉な予感がしていくルーシィは、自然と体が震えていく。

 

「もしかしたら、そいつらの持ってる笛って私たちの追ってる『ララバイ』かも!」

「何!?」

「ララバイ、子守唄って意味でしょ?曲を奏でる笛で三つ目で闇ギルドの連中が持ってるってなるとほぼ確実にそうなんじゃないかなって」

「なるほど、急ぐぞ!シリル、今回は後ろで休んでろ、私が運転する!」

 

ルーシィの的確な推測とエルザの迅速な判断を噛み合わせ、先ほどの列車が向かう方へとひた走る。


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