フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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どうもです。今回は少し文字数少なめですが、それでもよろしければどうぞ。


第39の唄 古代都市の上を目指して

「すごい!私も負けられないね!」

「そんな……イブリス……私を置いて逝ってしまうなんて。絶対許さないわよ、生命の巫女!あの『フヨウ村の壊滅』同様、消し去ってやるわ!」

 

愛する弟を失い、平静を装うことすら出来ないほどに我を忘れる。

 

「まずは貴女からよ!『四元素の人形劇』よ、その女を切り刻め!」

「お姉ちゃんたちには手ェ出させないよ。略式詠唱『神の啓示書3の6・鬼門!ショックウェーブ』!」

 

修行の成果か、数字の低い啓示書なら詠唱を略して唱えることが出来るようになり、囲う人形どもを闇に飲み込み、破壊し尽くす。

 

『ギャオー!!』

「いいとこに来た!『波乗りの型』!」

「何よあれ、破天荒すぎるわ」

「一気にGO!『シャドーバイク』!」

 

水の魔獣に跨り、一気に詰め寄り、ガードの上からカスピエルを張り倒し、喉輪を蹴って水面を横滑りしながらダメージを与えていく。

 

「ひゃっほう!」

「げほっ、ごほっ!野蛮な女ね。『水上の太刀』!」

「よっ、はっ!」

「(舞った!?剣を踏んで飛ぶなんて……)」

「『淵黒握』、シュート!」

 

太陽を背にした少女の拳が顔面にあたり、上を見上げていたカスピエルはそのまま全身を川に叩きつけられ、後頭部が岩にあたり、還らぬ人になった。

 

「私の拳は痛いよ」

「流石ねユリア、私の知らないところで強くなってるんだもの」

「これでこっちは片付いたし、ルーシィ姉ちゃんもどうにかしたみたいだね。ねぇ、1つ聞いていい?」

「何かしら?」

「さっきの敵、『フヨウ村の壊滅』って言ってたんだけど、知ってる?」

 

何気ない質問をしたつもりだった。気になる事を言っていたのだ、それを知っていれば聞こうと思ってのことだ。

 

「……確かにその村の壊滅は知ってる。でも今はその事を話せないわ、どうしても、誰にもね」

「そっか、でもいつかは話してよね!」

「ありがとう。その心だけで私は救われるわ」

 

少し難しい顔をしていたシリルは束の間の笑顔を見せる。その時、一際大きな揺れが起きて森を揺さぶる。

 

「揺れが……」

「お姉ちゃん、あれ!」

「黒から白になってるわね。もしかしてこれって……」

「段階が進んだんだ、より一層精神への干渉力が上がったと思ってくれ」

 

腕を負傷したヒビキが説明をしてくれた数段階あるうちの二段階目があの白い光の柱だという。しかもあそこまで行けば本体のニルヴァーナ出現までそう遠くない。

 

「ルーシィくんはもう既に動いてくれてる。僕らも出よう」

「そうですね。(フヨウ村……私の産まれた村を壊滅させたのはあいつら、ね。今はそれしか分からない、だからこそいつか……)」

「(お姉ちゃん……難しい顔してる。よし、私が頑張らなきゃ!)」

 

ニルヴァーナをこれ以上復活させてはならない。それぞれのやるべきことのため、ただひたすらに突き進む。

 

====

 

「ふふふ、これで万端。出でよ、ニルヴァーナ!白を黒に変え、それを正義へと塗り替えよ!」

「やらせん!」

「邪魔させねえぜ。いけ、キュベリオス」

「くっ!」

 

毒蛇の脅威を身を以て知っている彼女が避けている隙にニルヴァーナが地中から姿を見せる。直近にいた彼女とジェラールは空に浮かばされながらも手を取り合い、脚柱にしがみつく。

 

「捕まれ、ジェラール!」

「エルザ!」

 

離れた森を突き進むシリルとユリアも顕現を視認し、空を舞う。

 

「あれがニルヴァーナ……ユリア、飛ぶわよ!」

「アイアイサー!」

 

味方になった天眼ホットアイとジュラも柱を登り、側面から上を目指す。

 

「ジュラさん、気をつけるデスネ!」

「うむ!」

 

ニルヴァーナが姿を現し、本性に赴くままに動く中、希望を携えた者たちはそれを破壊するために乗り込んでいく。未来を変えてみせるために。地上に残った連合のメンバーはそれぞれヒビキの指示により、ある計画を実行するために1箇所に集まる。

 

「みんな乗り込み始めたよ!僕の指示に従ってクリスティーナの墜落地点まで急行してくれ!」

「了解した」

 

====

 

「これがニルヴァーナか。まさかこんな古代都市があったなんてな」

「この魔法はかつてニルビット族が作り上げた善悪反転魔法だ。これさえあれば我らの目的も成就出来よう」

「で、どこに向かうんだ?」

「ニルビット族末裔のギルド、『化け猫の宿(ケットシェルター)』だ」

 

コブラとブレインは古代都市を操り、目的の障害を封印するため、歩みを進める。


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