フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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二週間近く空いて申し訳ないです。お久しぶりです。
次は一気にゼロ戦になるかと。


第40の唄 善悪の狭間で戦え

「ニルビット族?なんだそれは?」

「このニルヴァーナを創り上げた一族であり、封印する術を持つ忌まわしい奴らよ」

「成る程な、そいつらを片づけりゃあこの魔法も封印されなくて済むって訳か」

 

創造者なら操り方から封印法、破壊の仕方も熟知してておかしくないし、そのような者たちが居たら計画も瓦解しかねない。一番最初に狙うべきはそこになる。

 

「進もう。この都市は我らの根城となる!」

 

進路を『化け猫の宿』へ。本格的に起動した瞬間、空から奇襲が起こる。ナツだ。

 

「俺が止めてヤラァ!」

「こいつは……!コブラ!」

「おうよ!キュベリオス、飛べ!」

「なっ!?あの蛇、飛べんのかよ!」

「テメェはここで止めてやる」

 

羽の生えたキュベリオスに乗るコブラと相対するナツ。自分の体質上地面に降りれないことから、空中で拳を交えることとなる。

 

====

 

「着いた」

「ここが、ニルヴァーナ……まるで国のようね」

「でも誰も居ないよ?」

「封印される前のものがそのまま残ってたのかしら?」

 

シリルとユリアがたどり着いたのは旧都西部。長年の間使われていなかったのか、朽ちかけた建物が多い。この都市の中にあと数人は敵が残っているのだ。動かなければ何も始まらない。

 

「シリル、ユリア!無事か!」

「グレイ兄さん、ルーシィ姉さん!ジュラさんも!」

「あれ?四角い人敵じゃなかったっけ?」

「今は味方だ、ニルヴァーナの影響でな」

「愛、ラブこそ至高!」

「すごい変貌ぶりですね」

 

追いついてきたグレイたちと共に来たのはホットアイだが、かなりの変貌ぶりに少しばかり引いてしまう。

 

「……まぁ、敵対する気がないならこれでも良いでしょう。この後は?」

「この魔法を止める方法、あるいは破壊法を探らねばな」

「あの塔のてっぺん怪しくねえか?」

「目立ってるね」

 

グレイが指差した方にはたしかに怪しげな塔が聳えたち、威圧する。その塔の天辺には何か操縦する方法が見つかるかもしれない。もしかしたら敵がいるかもしれないが、その敵を倒せば何か聞き出せる可能性がある。目指して損はないだろう。だが、それを止めるようにやって来たのはミッドナイトだ。

 

「まさか本当に裏切るなんてね、ホットアイ」

「私は自分の心に従ったまでデスネ。貴方も心を入れ替えるべきデス。そうすれば見える世界も変わりマスデスネ!」

「軟弱になったね。ここで消し去る」

「皆さん、塔に向かうのデス!ミッドナイトは私が相手します!」

 

まさかの同士討ちが始まる。ジュラが心配そうに声をかけるが、自分の本名を告げると共に、無事に戻ることを告げて先を急かす。

 

「ジュラさん!ここはホットアイ、いえ、リチャードさんに任せましょう!」

「うむ。ここで彼の心遣いを無駄にしてはいかんな」

 

それぞれの思う未来のために、2つの祈りは戦いを決意する。

 

「君が挑んでくるなんてよっぽどだね」

「私も変わったのデス。行きますヨ!」

「落ちぶれたね、君も」

 

====

 

「どうやら傘下ギルドのようだ」

「囲まれちゃったかしら?不味いわね」

「こういう時にやることと言えば1つじゃないですか、ルーシィ姉さん」

「だな。ぶっ飛ばす!」

 

リチャードと別れ、塔に向かう一行を取り囲んだのは『流れる七星』の傘下ギルドだ。どうやら空を飛ぶ術を持ち合わせていたらしく、上空から現れた敵に囲まれる。

 

「よくもイブリス様とカスピエル様を!敵討ちじゃあ!」

「Shoot...」

「えっ?ブベラッ!」

「よ、よくも同士を……かかれぇ!」

「手伝うぜ。アイスメイク・ランス!」

 

どうやらあの2人の堕天使の直接の配下らしく、激昂しながらやってくる野郎どもをチーム力を持って撃墜していく。聖十のジュラもさすがと言うべきか、傷一つ負うことなく全員を蹴散らす。

 

「ふん!」

「グハァッ!」

「こいつらには聞きたい事が。先に塔へ」

「シリル、もしかして……」

「ええ、そういうことです。行ってください」

 

少し切り傷ができたものの、大方片付き、皆を先に行かせる。その後ろ姿が見えなくなったところで意識の残っていた男を問い詰める。

 

「十五年前の『フヨウ村の惨劇』を知ってます?」

「な、何のことかねぇ……」

「惚けても無駄よ。これ以上傷を増やしたくなかったら素直に答えなさい」

「くっ……俺たちは頼まれただけなんだ、イブリス様によ。とある魔法の詰まった箱を運べと」

 

観念したのか、滔々と語り始めた。曰く、あの日、堕天使どもに頼まれて箱を運び、開封するようにと。その中には病原菌に似た魔法が詰められており、あの日の悲劇の原因となるものが拡散されたこと。それを直前まで聞かされておらず、なぜあの村を狙ったのかは聞いていないこと。

 

「そうですか。分かりました、貴方はこのままにしておきましょう。本当なら色々と吐かせたい気持ちがありますが、私にもやることがあるのでね」

「まさかあの村に子供が居たなんて……今更だけど、本当にすまねぇ」

「ふん。その言葉、信じますよ……今からでも真っ当な生活を送りなさいな」

 

その場を立ち去り、皆に追いつくために駆け出した。その先にある絶望を知らずに。


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