フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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クリスマスイブですが、何も特別なイベントはないです。以上


第46の唄 始動

「さて、こっからどうするんだい?あたいはアースシリル達と一緒に行動するけど?」

「私はもう一人の私を連れて王都に行くつもりだぜ」

「行く場所は一緒か、やっぱり」

「本当にこの人たち私たちなのよね?」

「まぁ、間違いなさそうですね。特にルーシィ姉さんは見た目も一緒ですし」

 

王都に向かう中で一度確認を込めての作戦会議を開いた。もちろんナツ達の目的と一致しているため、王都に向かうことは確定事項だ。ここで別れるか、同行するかである。

 

「私は別れるべきだと思うわ。ナツ達にはここに来る前に伝えたけど、一網打尽だけは避けたいとこなのよ」

「同感だ、私もシャルルと同じ考えだ」

「あたいは戦力の分散は避けたいねぇ。国王軍に手ェ出した以上、戦争は不可避だぜ?」

「エドラスのお姉ちゃん、私たちはシャルルの言うことに納得して別れてたんだ。そこ分かってくれないかな?」

 

まっすぐで純粋なその眼差しはかつての妹分を思わせる目だ。これに弱いのを知ってか知らずか、エドシリルに向けていく。

 

「はぁー……分かったよ。お願い聞いちまったからな、最後まで従うよ。でも、自己責任だよ?」

「私が手を出さなきゃ良かったんです。ごめんなさい」

「いいよいいよ、どっちみち避けられねんだ。是非もねえさ」

「男よりさっぱりした人ね、エドシリルは」

 

話が固まったところで此処から離れ、実際に行動に移すことと相成った。シリルとユリアはエドシリルと、ナツ達はエドルーシィと動く。

 

「そんじゃあここを嗅ぎ付けられる前に動こうか。頼んだよ、妖精のリーダーさん?」

「そっちもしくじんなよ、傭兵さんよぉ?」

「任せろや。こちとら伊達に傭兵として働いてねぇかんな」

 

====

 

「あたいらはあいつらの援護だよ。先に王都に入って工作しとかなきゃね」

「工作?なにすんの?」

「まさか混乱のために騙し討ちとか?」

「混乱を呼ぶのは合ってるし、騙し討ちっちゃあ騙し討ちかね?怪我人を出す程度に爆破と、兵力分散さ。これはあたいが作った時限爆弾だよ」

 

なんでも用意しておくのが傭兵として生き残るコツだと不敵な笑みを浮かべて答える。本来なら中のラクリマが時間と威力を制御するが、今回は魔道士が二人もいるとなればその魔力を使って属性と威力を上げることになった。

 

「あたいには情報がある。抜け道も知ってるし、奴らの考えそうな捕縛ややり口もあらかた抑えてある」

「頼りにしてますよ、『私』には」

「どうすればいいの?」

「そうさねぇ、奴らの目を欺きながら倒しつつこの爆弾を仕掛けるって感じ?」

 

えらく愉快そうだ。それだけ不満が募っており、自分の夢を実現できるかもしれないと気分が高揚しているのが表情からも読み取れる。

 

「さて、行きましょうか」

「あっちも待ってくれなさそうだし」

「(見ててくれ、ジェラール。あんたの夢でもあるからな、幼馴染として、あんたとの未来作り上げてみせるよ)」

 

決意を固め、王都へ向かう道を歩いていく。

 

====

 

「陛下、今回の収穫、数ヶ月分の魔力に相当しましゅ。使い方次第では向こう半年は安泰でしゅな」

「おお、すげぇっつうかヤベェっつうか!」

「すごいです!」

「んん〜、素晴らしいね」

 

ここは城内会議室。数名の将隊長に参謀や補佐役、そして国王が今後の魔力の有効活用法を探る会議を開いていた。魔力の元は今回得られたマグノリアを指している。

 

「足りぬ。その程度では気休めでしかない」

「陛下、何かおっしゃいましたか?」

「我が望みは永遠に安泰なる魔力よ。即ち、この国の繁栄だ。足りぬ、もっとよこせ」

「……ははっ」

 

====

 

「こちらの世界線のユリアさんはどんなお方ですか?」

「国王軍の1隊長でよ、うちの後輩なんだわ。でもって、かなり冷静沈着だな。アースユリアとは真逆だよ」

「もしかして私馬鹿にされてるのかな?」

「んなわけねえって。それに昔の頃とそっくりだったからよ。あたいのことをお姉ちゃん、お姉ちゃんって追っかけてた頃が懐かしい。いつからか変わっちまったがな」

 

エドユリアは男装の麗人という言葉が似合う女性らしい。昔は仲良く遊んでいたが、軍部に入る頃には様変わりしていたという。

 

「昔は素直で手はかかったけど可愛い妹分だったのによ」

「そう、ですか」

「私たちは仲良くやってるから大丈夫だよ。それより、街が見えてきた」

「そんじゃ便利な足を呼ぼうかね。おい、魔導四輪を持ってきてくれ!レギアの町だ、今すぐに!」

 

懐から念話式電話(マジックテレフォン)を取り出し、電話口に誰かを呼び出す。どうもこのままではユリアの体力が心配だと判断したのか、魔導四輪を持ってくるように伝えている。

 

「……明朝には着くって?ああ、無茶言ってんのは承知してんのよ、ありがとさん。ほれ、明日には新しい足が来る」

「聞くのも失礼ですが、お相手は?」

「傭兵の知り合いでよ、名前はチキだ」

「え!?お母様ですか!?……いや、それはないか」

「はぁ!?あんたの母さんと同名なの!?」

 

まさかの名前に驚きを禁じ得ない。しかしながら同姓同名の人間がいてもおかしくないのがここエドラス。名前が一緒でも姿や特徴は大きく違うだろう。

 

「とりあえず今日は休もう。ほれユリア、もうちょいだぜ」

「やっと休める……疲れたよう」

「ここは、だいぶ賑わってますね」

「王都に近づくほど一般の人々からすれば治安がいいからね、商売は繁盛するさ。ま、闇市の数は減るけどな」

 

確かに人通りもよく、元気に往来で買い物をする姿が見て取れる。近場の宿で休み、明日の具体的な行動を練ることにした。

 

「王都全体の地図だ。ここに地下道があんだが、おそらくここを通る可能性はあっちも把握済みだろうさ。前にここから侵入しかけたやつがいたんでね」

「となればここはやめたほうが良さそうですね。こちらの側道は?」

「魔法部隊の巡回先だし王の間の近くだから、警備がきついだろ。そうだなぁ、魔法を有効活用するのが一手あるが」

潜入任務(スニーキング)みたいだね」

「ああ。時間としては夜間より昼間がいいだろ。警備の人員の警戒心が夜より劣りやすい。場所は裏手がいいだろ」

「何か当てでも?」

「まぁな。当てを外しても逃げ切れるだけの場所だしよ」

 

こうして携えた策を実行に移すために彼女たちは王都へ向かう準備を整えている。もう一人のユリアと相見えるのも時間の問題だ。決戦の狼煙は密かに昇っていく。

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