「なあ二人とも、アースナツたちが捕まったみたいだよ」
「どうしますか?作戦変更は余儀なくされそうですが」
「とりあえず助けに行こう。爆弾は忘れずに、だけど」
「混乱を呼んでその隙に進みたいねぇ」
朝のホテルに入った情報では、昨夜に地下通路を通ったナツたちがエドエルザの襲撃を受け、一網打尽にされたそうだ。ナツ、ウェンディ、ルーシィは王都の牢の中に、ハッピーとシャルルは
「王都の方にまず向かうよ」
「あれ?見つかったらまずいんじゃ……?」
「そっちに被害が出りゃあ軍を動かすんでね。中の兵を減らすんさ」
「その間に突入ですね。やりましょ、未来を変えてみせる!」
宿を抜け、大通りを通り、そこに爆弾を次々に仕掛けてゆく。途中の王都軍を蹴散らし、的確に四方八方に広がる位置に仕掛けていく。
「シリル元隊長だ!ユリア隊長より捕縛許可が出てる、行くぞ!」
「もう嗅ぎつけたか。でももう遅いぜ、アースの私、やっちまいな」
「理解しました。発破!」
作戦は形が変わったが遂に始動した。
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「ねぇ、エクシードってこの世界じゃ天使と同じ扱いなんじゃないの!?」
「分からないわ、でも多分反乱じゃないかしら」
「でも今ならナツたちを助けられるよ!」
手錠をつけられたルーシィを連れ出せたハッピーとシャルルは、地下にいるだろうナツとウェンディを助け出すべく、ひたすらに移動を急ぐ。だが、ある扉の前には大剣を持つ女将、ユリアが待ち受ける。
「そこまでです」
「あれって……」
「妖精の尻尾の魔道士たちよ、我が名はユリア・フェンリス、貴女たちをここで倒す!」
振るわれた大剣を大剣で弾く音がする。シリルら別働隊だ。表での一仕事を終えて城下まで爆弾を使いながら突破してきたのだ。
「おっと、そこまでだぜ、ユリアちゃんよぉ」
「出ましたね隊長。いえ、シリル」
「堅苦しいのは変わってねえな。ある意味安心したよ、あたいは」
「ゆ、ユリア!?あれが!?」
「外は良いの?騒ぎが起こってるってのに」
「部隊の者がそちらに向かってますので、私はここの警護です」
エドユリアに立ち向かうのはアースユリアにエドラスとアースランドのシリルだ。もうすでに爆弾を街や城内に仕掛けて発動させており、敵の混乱を図っている。
「良いご身分だねぇ。おい、ルーシィとエクシードども、あんたらは先に行きな!」
「ここは我々が止めます」
「ありがとう。行ってるね!」
「行かせない…ここで死ね!」
「焦らないであたいらと遊ぼうじゃないの。昔より派手にね!」
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「陛下、賊たちが攻めてきました。兵器の使用許可を」
「何をためらう、殺せ」
「はっ!」
「陛下!城内城下に爆弾が仕込まれた模様!あちこちで被害が上がっています!」
「無駄がないところを見る限り内部を知る者の犯行かと!」
「よもやまさかシリルではあるまいな……勝手に脱退しておきながら、裏切りに飽き足らず遂に牙を剥いたか!早く捕まえて連れて来るのだ!」
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「シリル、貴女は陛下のお赦しを仇で返すつもりなのかしら?」
「ふん、あんな老いぼれなんぞの為に死ねねえっての。それにそんな赦し、された覚えはないよ」
「不義者め」
「あたいは別の道理、義理を見つけた。あんたはこのまま滅びゆく国と共に果てるつもりかい?」
「私は国のためなら、陛下の仰る通りに動く……」
「しがみつくなよ、その言葉に!あんた自身の決意で動きな!」
鍔迫り合いは火花を散らし、お互いの覚悟と心中をぶつけ合う。
「足元、隙だらけです!!」
「上から行くよ、『シャドーハンマー』!」
「良い連携だよ、しゃあ!」
冷静さに欠いて進むエドユリアに対して、クリティカルダメージを与えるように足を奪い、胴の防御を開けさせ、一気に攻め立てる。
「まさか鎧を壊されるとは……(ならば守りを捨てて瞬攻のトンファーで)」
「二人とも気をつけな。あのトンファー、仕込み銃付きだよ」
「ならばこちらは高速で攻めるのみ。神依『拳』、『脚』発動……神の子の名において貴女を倒し、仲間を取り戻す!」
睨み合いが起こる中、思わぬ形で終幕が訪れる。
「隊長、こちらは我々が…そろそろ竜撃砲の準備に移ってください。国王陛下も御出でになるとのことです」
「足止めしておいて。時間を稼げばいいの、危険になったら退いて頂戴(自分の言葉、決意…あの人には分からないわよ、私の気持ちなど)」
「ははっ……シリル隊長、恨むなとは申しません。部隊にいた頃の恩義で、貴女を殺したくありませんが、仕方ないのです」
「構わねえよ副隊長さん。あんたには妻子がいるし一軍人だからねぇ……でも、ただではやられないぜ、あんた自身の覚悟を問うよ」
人混みに溶け込むように去ろうとするエドユリアをこのままにしておくつもりはないが、目の前の部隊をどうにかするしかない。別れるしかない。
「逃げるのね……ユリア、ここに残るか、彼女を追って」
「行ってくる」
「分かったわ。私はこの人たちの相手をします、着いてきて」
「おう。副隊長さん、あんたの相手は二人のあたいだ」
「始めましょ。『弾血乱舞』!」
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「陛下、これより竜鎖砲を稼働させる準備に入ります。ご同行を」
「うむ、心得た。エクシードの支配は終わる。我ら人間の真なる自由は目の前だ」