フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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どうもです、ぽおくそてえです。今回は1日目の競技、隠密開始前までになります。


第55の唄 演武、開幕

「一年ぶりですな、豊命神様」

「元気そうで何よりですよ、国王殿、ヒスイ姫、アルカディオス大佐」

「女神様、今年は見ていかれるのですか?」

「今年は波乱に満ちた大会になりそうだもの、無論よ」

 

久しぶりの妖精の尻尾(フェアリーテイル)の実力者たちが出る大会になる。見学や応援は当然するつもりでいる。この数年間最下位という苦汁を舐めさせられた状態だが、今年ばかりは期待が膨らむのだ。ヒスイ姫の要望で一緒に見ることになった。

 

「そうとなれば三年ぶりでしょう、警護の方も厳重にせねば」

「相変わらず真面目ねぇ。それはそうとして、何か秘匿して無いでしょうね?」

「はは、何のことやら。我々は万全を期しているだけですので」

「信用して良いんでしょうね?」

「もう、大丈夫ですよ」

 

隠していることや後ろめたいことなど一つもないと言わんばかりに即座に姫や騎士団長から否定の言葉が出たが、何かを隠すようにその瞳には何かがよぎる。

 

「それじゃ、今年も頼みますよ(ジェラールたちの頼み、暴かせてもらうわよ)」

 

ジェラールたちの言っていたゼレフに似た魔力の正体を明かしたい。危険なものなら即排除しておきたい。様々な因縁や思惑の交差する大会の幕開けは近い。

 

====

 

「夜の12時、宿に集まり待つようにか。一体何があるのだ?普通は昼間に会場では?」

「まぁ一日街を観れたんだ、良かったじゃねえか。しかしまぁ確かに時間は気になるがな」

 

深夜の宿に到着している一行はこの不可解な時間指定を訝しむ。大会本番は昼間からだと聞いていた為、この夜の宿の到着指定は休息以外に何か裏があるんじゃないかと考えてしまう。4人が揃った中でまだウェンディとシャルルが帰ってこないのもまた心配の元になっている。そこにやってきたのはエルフマンとリサーナで、飲み物や食糧などを届けに来てくれたのだ。

 

「おう、差し入れついでに様子を見に来たぜ!」

「お、エルフマンにリサーナか!エルフマン、お前だいぶデカくなったな」

「鍛えたからな。そういえばウェンディが居ねえみたいだが」

「まだ戻ってこないの。心配なんだけど時間がないし……」

「この宿にいなきゃなんねえしな」

 

立ち寄ってくれたタイミングが良かったので、彼らに捜索を頼もうとしたところで外から音声が響く。立体映像を使った大会本部からの連絡だ。

 

『お待たせしましたカボ!』

「なんだ?外からか」

『今回は以前に比べて多数のギルドの参加がありましたが、年々内容が薄く感じるとの指摘もありましたカボ。そこでカボ、今回参加している全113のギルドやチームから本戦に参加する8つのギルドを厳選すべく予選を行いますカボ』

「予選だぁ?」

『5人全員で競争競技『空中迷宮(スカイラビリンス)』に参加していただきますカボ。ゴールの会場ドムス・フラウに向かっていただくカボ』

 

この宿への帰宅指定はこのためにあったのだ。予選会の為なのか、各ギルドの予選参加メンバーの宿が変形し、そこから道が中央に浮かぶ大きな球体に向かって伸びていく。

 

『なお、途中での事故等には一切責任を持たないつもりカボ。そして5人全員でゴールして貰わないと失格カボ。魔法制限は特になし、自由にお使いください。時間は8チーム目がゴールに到達するその時か、深夜3時まで』

「やべえぞ!ウェンディが居ねえとどっちみち失格だ!」

『それでは、開始!』

 

出場予定だったメンバーのうち1人が欠けているというまさかのアクシデントがある中で無情にもスタートが切られる。だが、ここで頼れる漢が我こそはと言わんばかりに皆を抱えてスタートダッシュを決める。エルフマンだ。

 

「ウェンディが居ないと嘆くより、俺が漢として進んで道を切り開こう!行くぞぉ、メンバー変更じゃーい!」

「……こうなったら頼むぞ、エルフマン!」

「おうよ!任せな!」

「リサーナ、ハッピー!ウェンディの捜索を頼むぞ!」

「了解!ギルドのみんなにも伝えておくから頑張って!」

 

====

 

「始まったわね。予選会なんて考えたわね」

「流石にギルド数が多いので。本戦で冗長にならない為の対策、されどより長く楽しんでもらうための手段です」

「そう……厳選ってことね」

 

たしかに予選を行えば濃密な大会になる事は間違いない。各々のギルドが出発し、中を巡ってゴールへと向かう姿が目の前の大型モニターに映し出される。隣で共に眺めるヒスイ姫やその護衛役のアルカディオスと共に見ていたが、カノンはジェラールたち魔女の罪の依頼もある為、この時間を利用して少しずつ動き出す。

 

「しばらく動き無さそうだし、仕事に戻るわ」

「ではまた後ほど」

 

観戦用モニターのある部屋から去り、先に来ていた巫女のクレスを呼び、この大会や諸々の動向を聞く。カノンと八つほど歳の離れた彼女だが、巫女としては申し分無い。

 

「ふむ、貴女はどう見る、クレス」

「今年が例外なようですカノン様。今までもたくさんのギルドが参加してましたけど、予選なんてなかったみたいでしたし」

「何か裏があるか、ただの気まぐれね。裏を探るにも危険、か」

「この大会自体急に7年前に始まりましたからね。確かに怪しいですけど」

 

国王の意向とされているが、それにしては黒魔術師(ゼレフ)の気配がするのはおかしいというもの。裏で何かを手引きしている者がいると考えられる。主催者の裏で暗躍する者でもいるのだろうと推測する。

 

「とりあえず様子見ね。お疲れ様、明日からしばらくお休み、少し大会を見ていきましょうか」

「はい」

「(クレスが探りを入れてても何も反応しなかった。まだ動くほどでもない、って判断かしら?アルカディオスの目からして何かあるに違いないけど)」

 

====

 

「よおし、ゴールだ!」

「結構早かったわね!もしかしてかなり良い順位なんじゃない?」

「俺たちの手にかかればこんなもんよ」

「いやーお疲れ様カボ。おめでとう、本戦出場決定だカボ!」

「うむ、当然だ」

「で、順位は?もしや1位か?」

「8位、最後ですカボ。ラッキーでしたね〜」

 

迷宮を突破してゴールをした妖精たちは、結構速かった為に好成績かと思っていたが、蓋を開けてみれば8位。次のギルドが惜しい所まで来ていたらしく、かなりギリギリだった。落ち込むナツたちだったが、これで本戦に参加できるのだから、いくらでも巻き返していけるチャンスはある。

 

「マジか、こんな頑張って最下位かよ」

「ま、まあ本戦出れるからまだ良いんじゃない?こっから巻き返せば良いもの!」

「そうだな、シリルも見に来るっつってたし、ユリアも本戦出たがってたしな」

「活路はまだ開けるな」

「本戦の入場式は明日の朝10時からカボ、今日のこのメンバーでお願いしますカボ」

「他の7チームどこなんだ?」

「それは明日のお楽しみカボ、こちらから伝える事は今出来ないカボ」

 

残り7チームは明日からぶつかる敵になる。本番に向けて一行は宿へと戻る道中に向かう。

 

「ウェンディ大丈夫かな?」

「シャルルと一緒なんだったか?」

「そのはずなんだが……」

 

その少女の行方、安否など気にかかることがまだ残っている。希望と暗雲の見え隠れする状況に、夜の帳が降りる。

 

====

 

「ウェンディー!」

「シャルルー!」

「どこ行ったのかなー」

「待って、これウェンディの鞄!」

「ここ、庭?」

 

捜索を任されたリサーナとハッピーはギルドのみんなに手を借りながら観光名所やウェンディたちの立ち寄りそうな場所を隈なく探していく。見つからないことに焦りを感じる中、ハッピーはウェンディの鞄を見つけ出した。この近くにいる、そう信じて城の庭を走り回る。

 

「ウェンディ!シャルル!」

「あ、リサーナさん……ここは?」

「落ち着いて。王宮近くの庭よ」

「私たち、ここに来てから急に……」

 

意識が朦朧としていた2人を見つけ、医務室に運び、ギルド付きの薬剤師ポーリュシカに診てもらうと魔力欠乏症による頭痛と失神、全身の倦怠感が見られると告げられた。その事をマスターや捜索に乗り出してくれたみんなにも知らされる。

 

「そうか、何者かに襲われたと」

「ひどく怯えていたわ、しかも魔力の欠乏が酷い状態だってポーリュシカさんが。なんでも黒い猫みたいなのを見かけた瞬間こうなったって」

「テメェのガキが傷つくとは……どこのどいつか分からんが、生半可な状態で帰れると思わねえこった」

 

マスターの怒りは静かながら確かに言葉の端々から漏れ出てくる。自分の大切な子供達に手を出されて黙っていられる程、マカロフは軟弱では無い。

 

「しばらく戻らない間にそうなるとはね」

「シリル、少し治療をしてやってくれ。しかしだ、ワシら妖精に手ェ出したからには容赦せんぞ」

「心配しなさんな、こっちの治療は任せな。妖精の尻尾(フェアリーテイル)顧問薬剤師の名にかけて必ず本戦の七日中に治しておくよ」

 

====

 

「ワシらは精一杯応援するまで。今日はシリルも見守ってくれる、勝ってくれよ、ガキども」

「3ヶ月の成果の力でもって観客や私を魅せて欲しいわね」

 

仲間の見守る中、遂に大会本番は幕を開ける。7回目となる今回は復活を賭けた大一番であり、優勝すればギルダーツとの約束を果たせるというもの。それだけにマスターは子供達になんとしても勝ってもらいたい。

 

「さあいよいよやってまいりました、大魔闘演武本戦!実況は私チャパティがお送りします!解説には元評議会議員ヤジマさん、ゲストには青い天馬(ブルーペガサス)よりジェニーさんに来ていただいてます!」

「よろ()く」

「頑張ってね、みんな!」

「更に今年は別席にビッグゲストお二人にもお越しいただいています!生命神チキの後継者にして現人神の豊命神カノン様、そして我が国の誇るロイヤルファミリーのお一人、ヒスイ姫です!」

「今年は楽しみにしてるわ〜」

 

シリルはゲストとして見る立場になり、参加はできる見込みは無い。しかし、妖精たちの奏でる魂の協奏曲を楽しみにしており、それの為にわざわざ来ているという側面がある。

 

「さあこれから本戦に出場できたギルドを紹介していきましょう!8位での入場は妖精の尻尾(フェアリーテイル)!過去の失われた栄光を取り戻すことが出来るか!」

「想定通り通過してきたわね、流石だわ。頑張ってねー!私たちが応援してるわよー!初代もわざわざ天狼島から応援に来てるんだからねー!」

 

会場から響くブーイングやバッシングの嵐の中で彼女の叫びは、確かに妖精たちの耳に入る。それだけで前に進む原動力になるというものだ。応援してくれる人、信じてくれる仲間がいるだけで気持ちが前を向ける。

 

「大半がブーイングかよ。こりゃ予想以上の酷さだな」

「挽回するまでだ、ウェンディや皆のためにもな」

「初代も応援しに来てくれてるようだしな」

「シリルもがんばれってさ。これは無駄には出来ねえよ」

 

決意と覚悟を決めた所で次々と出場チームが呼び出されていく。まずはマスターと旧知の間柄にあるマスター・ゴールドマインの率いる猟犬軍団だ。男が大半を占めている熱血ギルドだ。

 

「続いて参りましょう、7位は地獄の猟犬軍団、四つ首の番犬(クワトロケルベロス)!今年はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか!」

「ワイルド〜、フォー!」

「存分に暴れてやれ野郎ども!」

 

更に次に呼ばれたギルドには男性陣が特に反応が大きかった。

 

「女性限定ギルド、大海原の舞姫、人魚の踵(マーメイドヒール)が第6位です!」

「そんなギルドがあんのか?」

「あそこのフードのやつ、なんか匂いに覚えがあんな」

「あの猫耳、どこでだ?」

 

1人だけフードを被っており、ナツの鼻になぜかヒットした。過去にどこかで出会ったのか、記憶を掘り起こしてみるが結局思い出せなかった。

 

「5位入場は漆黒に煌めく蒼き翅、青い天馬(ブルーペガサス)!」

「なんだあのウサギの着ぐるみ?」

「あんな奴いたっけ?」

「さあ?あんな奴見た事ねえな」

 

こちらも謎の着ぐるみに注目が行く。トライメンズと一夜はかつて一緒に戦ったが、その時にはこのうさぎは居なかった。誰だか全く予想の立たない中で4位のチームが呼ばれる。

 

「4位は愛と戦いの女神、聖なる破壊者、聖十大魔道のジュラを擁する蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!」

「なんで4位なんだい!手でも抜いたのかい、馬鹿者!」

「ご、ごめんなさい。ドジしちゃって」

「なんだ、いつもの愛を連呼してる奴が居ねえじゃん」

「こいつはシェリア、シェリーのいとこだ。強いぞ」

 

何も無い所で転んではいたが、異様な魔力を持ち合わせており、確かにただならぬ力を身につけているようだ。グレイとリオンの間で何やら賭けが行われているようだが、グレイはそれに関しては露骨に話したがらなかった。

 

「第3位は……おっと、意外なところからの参戦だ!初出場ながら第3位に入ってきました!真夜中遊撃隊、大鴉の尻尾(レイヴンテイル)だぁ!」

「なんじゃとぉ!あそこは闇ギルド同然じゃぞ!」

「最近になって正規ギルド認定されたのよね、チャパティさん?」

「ええ、そのようですね。7年前には既にギルドとしては存在していたようですが」

 

ギルド同士の確執、親子の確執から両者に険悪な雰囲気が流れる。そして仮面の男が話しかける内容によって更に爆弾が投下される。

 

「フェアリーテイル、あの小娘は挨拶がわりだ」

「お前らが……ぜってぇぶっ潰す!」

「さあ残りあと2ギルドとなりました!」

 

観客の方では剣咬の虎の突破は既に予想されており、残るもう一ギルドがどこなのか其処彼処で議論が巻き起こる。初参戦のギルドなのか、無名のギルドなのか等議論がなされたが、まさかのギルドが入ってきた。

 

「第2位!墜ちた翼で再び大空を羽ばたけるか!?まさかまさかの参戦です、『妖精の尻尾(フェアリーテイル)Bチーム』!」

「んなっ!?ありかよそんなん!」

「ガジルにラクサスにユリアとか何よ!戦力過多じゃない!」

「ミラにジュビアまでかよ!聞いてねえぞジイさん!」

「今回はこっちで参戦だよ。ナツ兄さん、この前の決着、パワーアップして挑戦だよ!」

 

しかし同ギルドで2チーム進出していることに会場は戸惑いの声が飛ぶ。今回からのルール変更で一ギルド2チーム10人まで出せるということになったためだ。同ギルド同士で戦えるのかという声もあったが、協力して大会を乗り切れる可能性もあるため有利な展開でもあるし、これはある意味実力を発揮したからだろう。そして最後のギルドが呼ばれる。皆予想できていたのか、ここで歓声が上がり、開会式で一番の盛り上がりを見せていく。

 

「一位はやはりというべきか!ここ数年での一番人気、王者の風格を見せつけてくれることでしょう!覇者の連覇と相なるか、『剣咬の虎(セイバー・トゥース)』の登場だ!」

「よぉ、楽しもうぜナツさん」

「あ?」

「ガジル……」

「何ガンたれてんだ、クソガキ」

「神の子に雷竜か、俺の黒雷のチリにしてやる」

「そこの虎柄ズボンのあんた、妖精を甘く見てると灰になるわよ?」

「全くだぜ、だが落ち着けユリア」

 

お互いに睨みあい、一触即発の両ギルド。ナツとガジルは双竜と謳われるスティングとローグに対して、ユリアとラクサスはオルガの挑発に対してあくまで冷静にだが睨み返していく。

 

「これよりカノン様に挨拶を」

「私は命の輝く瞬間を楽しみにしている。命の産み出す煌めきこそ至高、さあ私を楽しませてくれるのは誰かしら?虎か、妖精か、鴉か、蛇か、天馬か、人魚か、猟犬か?輝きを放つため、頑張ってちょうだい」

「ありがとうございました。では、これより全体日程の説明をさせてもらいます」

 

この大会は途中で休日を設けて七日間のうちの五日間試合が組まれる。初日の今日から四日目までは競技パートとバトルパートの二つで構成され、最終日はバトルのみだ。1チーム5人と万が一、怪我人や離脱者などが出た場合に出場できる交代要員(リザーブ)が1人の計6人で戦い抜く。具体的な競技やバトルの組み合わせは事前には知らされず、直前になって公開されるという。各チームの控え室に皆移動した後、早速競技パートが幕を上げる。

 

「今日は『隠密(ヒドゥン)』です!」

「隠密という事は隠れるか隠すか何かなのかね?」

「その通りです。今回は隠れんぼように互いを探しながら戦うというものです。うまく隠れることが勝利のカギかと」

「続きはこっちで話すカボ。と、その前に各チーム代表者1人を選ぶカボ」

 

この競技パートは各チーム一名ずつ代表を立てて行かなければならない。情報のない段階で如何にメンバーを選ぶか、チーム全体と個人の質が問われるのがこのパートの一つの楽しみ方とも言えるし、今後の勝敗を分ける。そこで妖精の尻尾の両チームはグレイ、そしてジュビアの志願で決まった。

 

「ここは俺が行く」

「頑張れよグレイ」

「グレイ様が行くなら私も」

「ファイトだよ、ジュビア姉さん!」

 

他のギルドからはリオン、イヴ、イエーガー、ルーファス、ベス、ナルプディングが参戦を決意し、各々のギルドの代表者が決定する。8人の戦士たちが会場に降りると、大会マスコット兼審判マトー君から隠密専用の幻影都市への移動が伝えられると共にルール説明もなされる。

 

「会場に転移してもらうカボ。時間制限中にいかに多くの敵を倒せるかでポイントが上がったり下がったりするカボ。しかし、都市の中には偽物も紛れており、それに攻撃したと見なされたらマイナス一点カボ。終了時に一番多くポイントがあるチームから大会得点が得られる仕組みカボ」

 

このように真偽を見極める審美眼と攻撃方法の多様さ、会場を如何に動くかなど戦う上での重要な能力が試される、ある意味頭を使う競技とも言える。

 

「しかし、妖精たちが2人いるとなると他のチームが不利じゃありませんかねぇ、審判さん」

「そうとも限らないさ。記憶が正しければ、そこを突く手段はいくつかあるものだからね」

「こっちも異論はねぇべ」

「あちきも。自分が頑張ればいい話だもんね」

「ちっ、甘ちゃんどもめ」

 

本会場から幻影都市へと飛ばされ、各々バラバラの地点に降り立ち、出場メンバーの幻影が大勢歩いたり座ったりしている中に取り残される。宵闇に惑い、真なる声を聞き出すことが出来るのか。

 

「それでは、隠密(ヒドゥン)、開始!」


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