フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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かなりお久しぶりですね。
2日目後半から一気に3日目まで書き切りました。そしたら一万四千字超え……お待たせして申し訳ないです。


第57の唄 加速する妖精、そして大会の裏の闇

「今日の試合、痺れたぞ。漢をあげたなエルフマン」

「すげぇ度胸だったな。流石だぜ」

「よせよそういう死者を悼むような言葉。痛えっ……こっから先は参加できそうにねぇからよ、後は頼むぞウェンディ」

「任せてください!出遅れた分は取り戻してみせます!」

 

浮上するきっかけを掴んだエルフマンは怪我のためにこの先の出場が厳しくなり、本来出るはずだったウェンディにバトンを渡し、次の勝利を託す。そして、この先この治療室を襲われないための対策の為に雷神衆が守りに当たることになった。

 

「さ、次の試合だよ。もうすぐ始まるから敵の視察をしよう」

「おう。また後で来るからよ」

「ここの守りは我々雷神衆がきっちりしておくから安心して観に行け」

「私たちはこれから応援の方に向かうから」

 

====

 

「しかし、まさかルーシィが狙われるとはな。大鴉の尻尾は何を狙ってたんだ?」

「戦力ダウンじゃないかな?それくらいならやりそうだよ?」

「それにしてはやりすぎだし、実際には未遂で終わってる。しかも標的のミスまでしてるのよ?些か詰めが甘くないかしら?それに、私とウェンディを襲ったレイブンの『魔力を奪う魔道士』が居ながらそいつを使ってこなかった……正直あの小動物だけで出来る点を考えるとね」

 

大鴉の尻尾の不気味な魔道士オーブラを使えば、こんな杜撰な作戦をしなくてもいいのではないかとシャルルは考察する。実際方法としてそれをすることも十分可能な筈だった。しかしながらその推理に疑問もある。

 

「参加者は会場から離れられないし、もしかしたらバトルパートに参加する可能性もあったんだから、考えすぎじゃない?」

「だと良いけど(問題はルーシィとユリアを狙ったことそれ自体かもね)」

 

襲撃に時間がかかれば怪しまれると踏んだのか、その作戦を行ってこなかった。疑問や疑念を抱えながら応援に向かうと、3試合目はエルフマンの姉、ミラジェーンと青い天馬に所属する7年前の『彼女にしたい魔道士』人気魔道士ジェニーの対戦になっていた。

 

「さあ第3試合に参りましょう!妖精の尻尾Bチームのミラジェーン対青い天馬のジェニーです!」

「うえっ!?エルフ兄の次はミラ姉!?」

「お、リサーナじゃない。エルフマンはどうだった?」

「傷だらけだけど元気そうだったよ」

「おお、シャルル!もう動いて良いのか?」

「問題無さそうよ。なんか参加者以外はこっちらしいわね」

「オイラさみしかったよう!」

「それより応援よ。(まぁ気にしてても仕方ないわね……しっかりしなきゃ!)ミラ、なんとしても勝ちなさい、よ?これ、どういう?」

「うむ。実はな……」

「2人ともグラビアやってたから……」

 

まさかの殴り合いではなく、グラビア対決という男性陣やマスター・マカロフの喜ぶ展開となっていたのだ。審査は解説者3人が行うという。このカード、両者ともグラビア経験があり、かつ変身魔法を使えるため、この形式で試合する事になったのだ。

 

「なによそれ、最低ね」

「仕方ない、2人ともオッケー出してしまったからな」

「ミラに至ってはノリノリだよ?」

 

実際に見やると、そこには2人でノリノリになってポーズを決めている姿があった。公開グラビアなだけあって会場も異様な熱気と盛り上がりを見せており、男性陣の中には写真に収めようとする者までいる始末である。

 

「こんな感じ?」

「こっちよ、ほら?」

「うふふ、どうかしら」

「は〜い」

「「ど、どうなってんだこりゃあ!?」」

「ば、バトルパートってこんなことするんですか?」

「と、特例じゃないかしら?」

 

女性陣はといえば恥ずかしくて顔を紅潮させていたり戸惑ったりしている者が大半だ。しかし、一部はこの盛り上がりの中に飛び込む蛮勇を見せる者まで現れ、何故か皆で乱入しながら楽しむという事になってしまっている。

 

「これは、ちょっと見るのが恥ずかしくなってくるわね」

「何故か皆さん乱入してますね」

「……私は行かないわよ。流石にみんなの前で肌を晒すのは……その、恥ずかしいわ」

「わ、私も流石に王族ですし。こ、こういう時こそ節度は大切ですよね?」

「そ、そうね。本当に誰よこんな試合の組み合わせにしたの?」

「お父様がアルカディオスとそれっぽい話をしていたような……」

 

見守っていたカノンとヒスイ姫は立場もあるし、気恥ずかしさから乱入せず、目を逸らしながら試合と言っていいのか分からない混沌とした会場を眺めていた。

 

「まさかの乱入がありましたが試合は続行です!次のお題はスク水!その次は眼鏡っ娘、そしてボンテージ!」

「どんどんマニアックになっていきやがる!?」

「やりたい放題かよ!だがそれが良い!」

「何考えてんだよ、もっとやれ!」

「流石にやるわね」

「ジェニーこそ。でもこういうので良かったわ、あまり殴り合いとか好きじゃないから」

「まぁ、私もこういうのは嫌いじゃないわ」

「さて、決着がつかないので残念ではありますが、最後にしたいと思います!」

「(来た!どんなお題が来ようと私には勝てる作戦があるわ!)ミラ、ここまで3試合賭けが有ったし、私たちも何か賭ける?」

「いいわね、張り合いがあって面白いもの」

「じゃあこれでどう!?負けた方は週ソラでヌード掲載よ!」

「「なにぃ!?」」

「良いわよ?」

「「「ほあっ!?」」」

「正直負けても良いかと思っちまった」

「悪い、俺もだ……」

 

負けた方がヌード掲載というとんでもない賭けが成立し、妖精の尻尾の中でも負けても良いやという男性陣の声が出てしまう。正直どっちが負けても得してしまうと思ってしまったのだ。

 

「と、とんでもない賭けが成立してしまいましたね。では最後の形態は戦闘モード!」

「(ふふ、私の勝ちね。7年ぶりに歳をとっていないミラが帰って来たとあらば週ソラとしても取り上げない訳がないもの)これが私の戦闘形態よ」

「じゃあ賭けが成立したんだし、私からも一つ……最後くらいは力のぶつかり合いでどうかしら?」

「あれは私の知る最強のサタンソウルの一つ『ミラジェーン・シュトリ』だ。これは勝ったな」

 

変化した姿はサタンソウルの内の最強格の変身。最後はグラビアらしからぬ本来のルールでの力のぶつかり合いとなり、勝者はミラになり、これで妖精の尻尾の両チームが12点と並ぶ。点数が大いに伸びた1日になった。

 

「勝者ミラジェーン・ストラウス!」

「それじゃあジェニーの生まれたままの姿、楽しみにしてるわね?」

「いぃやあぁ!うわぁああぁん、あんな賭けしなきゃ良かったぁ!」

「凄えなありゃあ。まぁ勝ち点10点だ、まだ行けそうだな!」

「ユリア、あいつとエルザだけは何があっても怒らせんなよ?じじいでさえビビって手がつけられないレベルだからな」

「りょ、了解……強い女性ってあんな感じなのかな?普段あんなホワホワした空気出してるのに……」

 

第四試合は剣咬の虎から星霊魔道士のユキノが、そして人魚の踵からエースのカグラが対面した。2人の間に賭けられたのはお互いの命を差し出すというもの。いざ試合が始まり、先手を取ったのはユキノだ。黄道十二星座の2つ、天秤宮のライブラによる重力操作と双魚宮のピスケスによる攻めで攻勢に出る。しかしカグラも負けじと鞘に納められたままの刀を振るう。結果としてカグラが納刀したまま勝利を収め、ユキノの命は預かることとなった。

 

「これで今日の大会の予定は終了!!また明日お会いしましょう!」

 

====

 

「クレス、今日の試合どうだったかしら?」

「良いものですね、ギルドというのは。それと少しばかり探りました、アルカディオス大佐近辺を中心にですが、やはり何か計画しているようです」

「やはりか。中身の方は分かったかしら?」

「それはこれからです。もう少し、あと二、三日以内には」

「お疲れ様。苦労かけるわね」

「いえ、貴女や皆の為ですから。話に聞いたゼレフと同じ魔力というものを放ってはおけませんしね」

 

例のゼレフの魔力に似た力、それが人なのか装置なのか。規模や発動の可能性、動きを見なければならず、速さと同時に慎重さも求められるのだ。

 

「何か必要なら言ってね、やれることはやるわ」

「はい、ではこれにて」

「(アルカディオス大佐が動くなら王家も何かしらで動くかもしれないし、もう少し探ったら動こうかしら)」

 

国王に謁見できる立場の人間が裏で工作しているなら、王家も一枚噛んでいる可能性が十分ある。初日の反応からして、そろそろ何か動きがあってもおかしくないと感じ、事前の情報から鑑みるに、危険を孕んだ物だろう。注意してコマを進めるべき時だ。

 

「アルカディオス大佐、計画の方は順調に進んでます」

「そうか、なら良い。星霊魔道士の確保には失敗したが、今日の試合でもう1人金の鍵を所有しているのを確認できたのは収穫だ」

「呼び込みますか?」

「手筈を整えておけ。これから先、彼女の協力が必要になるはずだ」

「ははっ!」

「ゼレフ卿にアクノロギアか。くくく、邂逅の時は近いな。待っていたまえ」

 

闇の権化ゼレフ、ギルダーツに一生残る傷を与えて妖精の尻尾の天狼島組を七年間行方不明にするきっかけを作った暗黒の翼の竜アクノロギア。それらとの対面を心待ちにしているとも取れる発言をするアルカディオスの真の目的とは一体どこにあるのか。そこにそのような疑問を抱えているダートン国防大臣が問いただしにやってきた。

 

「アルカディオス大佐、少しよろしいかね」

「どうしました、ダートン国防大臣殿」

「何故拙速に動いた?星霊魔道士の件だ」

「今が時期だからですよ。もうすぐ計画も大詰めなのでね」

「たった七年間で実行に移せるはずない」

「それが出来るのですよ。ふふふ、ここまで来れば未来も……」

「悪魔か貴様は!」

「私は国のため、国王や姫の為なら鬼にも悪魔にもなれるのだよ。貴方が反対派なのは周知の事実。ふふ、ふはははは!」

 

====

 

「今日も騒いだなぁ!」

「今日は両チームとも勝てたし、ポイントも一気に12点まで増えたし、良い感じよね」

「疲れたし、このまま寝ようかしら。宿まで送るから、その後はちゃんと休みなさいよ」

「はいはい……あれ、あそこにいるのってもしかして?」

「剣咬の、星霊魔道士の……」

「ユキノだったかしら?何故ここに?」

 

夜の帳が降りて大宴会を終えた一行は宿に向かっていたが、その宿の外で待っていたのは剣咬の虎の星霊魔道士のユキノだ。今日の戦いで来ていた服ではなく、装いを変えていた。とりあえず外で話すのもと思い、宿に全員で入る。

 

「すみません、こんな夜分遅くに……どうしてもルーシィ様と星霊魔道士としてお話ししておきたいことがありましたので」

「私に?」

「私はある決断をしてそれを伝えに来ました。それが貴女と関係してきますので」

「セイバーの奴が何の用だよ?」

「まあまあナツさん」

 

ナツは剣咬の虎に良い印象を持っていないのか、喧嘩腰になってしまうがそれを何とか抑えて話を進めると、ユキノは自分の持つ3つの鍵のうちの金の鍵2つを差し出した。

 

「実はルーシィ様に私の持つ天秤宮(ライブラ)双魚宮(ピスケス)の扉の鍵をお渡ししたいと思った次第でして。1日目の時からお渡ししようと決めておりました。もう私は出場する事は叶いませんので尚更ですね」

「もう出られない、ってことは誰か代わりがいるのかしら?それにしても、まるでギルドを辞めるみたいな言い方ね」

「仕事に出ていた方が戻られ、その上私の居場所は無くなりました。既に貴女は10の金の鍵を持っております。残る2つの鍵を揃えれば世界を変える扉が開くと古い言い伝えにあります」

 

この数年で星霊魔道士の数は減り続けており、その上星霊魔道士に関わる事件がこの大会の始まる少し前に起き、さらに減少の一途を辿っている。彼女は鍵の分散を避けるために自分の持つ鍵を渡したいと感じていると想いを伝える。そんな彼女の口にした世界を変える扉、それの存在をカノンはかつて聞いたという。

 

「『時空を超越する扉(エクリプス)』のことかしらね」

「ご存知なのですか、カノン様?」

「生命神や慈恵神、冥府神が実物を見たと聞いたことがあってね。400年前と十数年前に一度ずつだったかしら、開いたらしいわ。私は口伝で聞いただけだし、公文書みたいな書物の記録にはほとんど残ってないから真偽の程は分からないけど」

 

時空を飛び越える、それはつまり歴史の改変や本来の時間の流れの理を外れること。あらゆる時間軸に手筈を整えれば向かえるとされるため、そのような伝説が出来上がったのだろう。

 

「いずれにせよ、鍵を貴女にお渡ししたいと思います。星霊を愛し、愛される貴女こそ12の黄金の鍵がふさわしいかと」

「……それは出来ない。星霊魔法は絆と愛の魔法、そう簡単にオーナーは変われない。貴女にも2つの鍵との間に信頼があるはずだよ?そう簡単にはね」

「……簡単な決意ではなかったのですが、そうおっしゃるのでしたら。いずれ貴女の所に自然とまた集まるでしょう、では」

「宿まで送ってくるわ」

「それと……今私はフリーの身分。次お会いするときは違う形になるでしょう」

 

外に出た2人の間には静かな風のみがしばらくの間流れる。ユキノは突然にフリーになったとなれば当然行く宛がないだろう。カノンはそんな彼女に対して一つ手を差し伸べてみる事にした、かつての自分自身を見ているようにも感じたからだ。

 

「ユキノ、ギルドに居場所が無くて放り出されたということは行く先が無いんでしょ?貴女ほどの子が鍵を渡すなんてこと考えたんだもの」

「ええ」

「もし行く宛が無いなら私を頼りなさい。貴女を受け入れることくらいなら」

「ありがとうございます。でも何故そこまで私のことを?」

「私は、貴女のことを見捨てられなかっただけよ。心の奥底では不安になってるように思えたの」

「そうでしたか。いつかは貴女のご協力を仰ぐかもしれませんが、そのときは……」

「良いのよ、これくらいはね。困ったら来なさいな」

「おーい、ちょっと待ってくれー!」

 

これでお別れとなりかけた時にやって来たのはナツとハッピーだ。さっきまでの敵対心に似た感情は感じられず、むしろ何か焦っているようにも見える。

 

「ナツ、どうしたのよ?」

「いやぁ、お前悪い奴じゃねえんだな。さっきのことで謝りたくてよ」

「謝る?ナツ様がですか?」

「さっき冷たくしてたでしょ?ナツね、剣咬の虎ってだけで悪者みたいに思っているからさ。これでも少しは大人になったんだよ?」

「だからこうして謝りに来てんだろうが、ハッピー。いやー、ごめんなー」

「「軽っ!?」」

 

ナツの謝っているのか謝っていないのか分かりにくい謝罪にハモりながら突っ込んでいると、ユキノの目に数粒の涙が見られる。

 

「わざわざその為に私を追って……申し訳ありません」

「おいおい、謝られても……ってなんで泣いてんだよ!?」

「オイラたち謝っただけだよ!?」

「どうしたのよユキノ?」

「いえ、こんな暖かい言葉をギルドにいた頃は……それで、つい」

 

彼女はギルドでは常に強くある事を求められ、感情を表に出すことがほとんど無かった。そしてギルドを辞めさせられる時にマスターによって厳しく場合によっては非道とも取れる言葉と態度をぶつけられたという。そんな言葉に密かに怒りを覚えたナツは殴り込みをかけに行くという事件が起こった。結局は仲裁にマスター・ジエンマの娘ミネルバに入られたものの、仲間の結束に関して伝えて戻ってきた。

 

====

 

「何か気づいたことはあるかジェラール?」

「いや、全くだ。物ならフィルターをかけたり動かさなかったりしているのだろうし、人なら魔法を発していないのか、出場者でまだ出番がないのか、全くと言っていいほど感知できていない。シリルの方では王国内部でそれらしい動きをキャッチしたらしいが」

「そうか。むぅ……ここまで動きがないとなると何か起きる前の静けさに似ているな」

「確かにな。情報や進展があり次第彼女と連携するつもりだが、一箇所に留まりすぎると怪しまれる。またな……」

「無茶だけはするなよ。また話せる時に話そう」

「(こうして普通に話せる時が来るとはな、エルザ)」

 

罪を背負い、光と闇の世界に住む者同士でこうしてゆっくり話せる機会を感慨深く思うジェラールは宵闇に姿を消していった。そしてそんな彼と別れたエルザは帰路につく最中、フードを被った人魚の踵の女性に声をかけられる。

 

「遅くなってしまったな。宴会はもう終わってそうだ……」

「やっと見つけた!こんなところにいたんだね!」

「何奴!」

「えへへ、エルちゃん元気最強?これなら分かるよね?」

「も、もしかして……」

「久しぶりだねエルちゃん!私だよ、ミリアーナ!会いたかったよー!」

 

フードを取ったその姿を忘れることなど出来ようか、7年前に別れたかつての友人ミリアーナの元気な姿がそこにはあった。成長こそすれど、面影を残していたのだ。

 

「元気で何よりだ。今回の大会にも?」

「人魚の踵に今入っててそのメンバーとして参加しているよ。ウォーリーとショウは元気に旅を続けてるんだ、今でも連絡は取るよ」

「そうか、皆やりたい事を見つけているんだな」

「良かった、元気な姿を見れて……グスッ……」

「もう、泣かないでよエルちゃん!」

「そういうお前こそ」

 

久しぶりの心の友との再会に2人して涙をこぼし、互いを抱きしめる。旅に出た旧友とこうして会えるとは思っていなかっただけに積もる想いが溢れ出してくる。ショウとウォーリーはまだ旅を続けていることなどそれぞれの近況を話しているうちに話題になったのはやはり今日の試合で抜かずの刀で勝利を収めたカグラに向かう。

 

「しかし、お前のところのカグラだったか?剣を抜かずに勝ちを収めるとはな、見事な腕前なのだろう」

「カグラちゃんは凄いんだよ!うちのギルドのエースだもん!でもこの大会じゃ本気出さないかもね。あの刀、抜かずの太刀『怨刀・不倶戴天』って言うんだけど本気で切りたい相手以外には刀身を見せないんだって」

「なんだか物騒な名前と理由だな」

「名前を聞くとね。その相手が憎くて憎くて堪らない、絶対に共存したくない相手……全てを奪った男、ジェラールを斬る為の刃なんだ」

「えっ?」

 

なんでもカグラは自分の家族を失い、その家族はあの楽園の塔の一件に巻き込まれたのだという。そして還らぬ人となったことをミリアーナに知らされ、それ以来、ジェラールを目の敵にしているのだとか。

 

「分かるよ、カグラちゃんの気持ち。私だって憎いもん、私たちを奴隷にしてあの塔を建てたんだし、挙げ句の果てにシモンを……カグラちゃんのいるギルドに入ったのもそれが理由なんだ」

「ミリアーナ……お前……」

 

心の奥底に抱えた恨みの炎は簡単には消えてくれない。自身の過ごした幼少期の記憶は、心の傷となり、今もなお蝕んでいることが見えた夜になったのだ。

 

====

 

「さあ遂に三日目、中間地点に差し掛かりました!この3日目の結果がこの後の展開にどう影響するのでしょうか!今日のゲストは評議会からラハールさんに来ていただいています!」

「どうぞよろしく」

「久スぶりだね」

「お元気そうで何よりですヤジマさん。楽しそうですね」

「最近は充実スとるからね。この大会も楽スみの一つだよ」

「ラハールさんは強行検束部隊大隊長とのことですが?」

「ええ、大会中の不正は許しませんよ?」

 

この日は妖精の尻尾の姿を眺めようとラハールの同僚であり、7年前天狼島の動乱の現場にいたメストことドランバルトも来ていた。7年前に島の崩壊からどうにか逃げだせた彼は後悔の念に苛まれる時間を過ごしてきただけに、元気そうな姿を見れて一つ心の区切りをつけることが出来そうだった。

 

「今日の競技はその名も伏魔殿(パンデモニウム)!」

「ルール説明の前に皆に集まってもらうカボ、参加者は前へ」

「ここは私が参加する」

「頑張れよエルザー!」

「エルちゃんが参加するなら私が行くねカグラちゃん!」

「許可しよう」

「ここは私が行くよ、ユリアの代わりだ!」

「行ってこい、カナ」

 

8チームから出場者が選ばれるが、その中には懐かしい顔があった。楽園の塔の一件で知り合ったミリアーナだ。他の2人、ショウとウォーリーとは別れ、1人ギルドに入った。昨夜会ったエルザはジェラールに関しての話に戸惑っており、挨拶されてもぎこちなく返してしまった。恨みつらみを七年間の間では消えておらず、思い出しただけで悲痛な感情を起こすが、まずは目の前の競技だと気合いを入れ直す。

 

「あ、あの子!」

「ミリアーナか!通りでどこかで」

「人魚の踵に入ってたのか」

「久しぶりに見かけたわね。元気そうで何よりだわ」

 

7年前に楽園の塔の一件で友人になったミリアーナの元気そうな姿を見て、懐古の念を抱く。8人の出揃ったところで、会場には大きく不気味な建物が出現する。魔の巣食う館、『伏魔殿(パンデモニウム)』だ。

 

「今日はこの魔獣が喰らう伏魔殿に挑戦してもらうカボ」

「魔獣の喰らう?」

「そういう設定ですカボ、ただの。この建物の中には100体の魔法で出来た獣がいますカボ、その100体を倒し、一体一点として何体倒せるかで順位をつけますカボ。ああ、魔法で作った幻のようなものですから、建物から出てくる事はありませんし、会場の皆さんを襲うようなことはないのでご安心を。それと、ダウンしたらそれまで獲得したポイントまでゲットし、そこでその人の挑戦は終わりになります」

「数取りゲームだね、簡単に言えば。じゃあ1人が50体以上倒した時点で一位が決まるんだね?」

「そうです、そういうことですカボ。ただし、点数の差は無いものの魔獣にもランクがありましてね、DランクからC、B、Aと続いて一番上にはSランクがおります。Sランクは聖十大魔導といえど倒せる保証はありませんカボ。ちなみに一番ランクが低く数の多いDランクはどんなものかというと……」

 

映像に映し出されたのは一番数の多い魔物、Dランクの魔物だ。伏魔殿の内では一番弱いとされているが、それでも石の像をいとも容易く砕く姿に会場は絶句してしんと静まり返る。これやこれより強い魔物が蔓延っているこの魔宮を制する事が目的だ。

 

「ざっとこんな感じカボ。魔力が全員切れるか、順位が確定したり100体全部倒された時点で終了になりますので。では順番はこのくじにて。一人一本ずつどうぞ」

「……一番目か」

「良いじゃないか、一番多く順番が来るよ?私なんて八番手だよ」

 

2番手にはミリアーナ、続いて四つ首の仔犬のノバーリ、天馬のヒビキ、大鴉からはオーブラ、剣咬の黒雷使いのオルガ、ジュラ、そして最後にカナがくる。順番が早いエルザは一つため息をついて自分の目指す数を述べていく。

 

「ふむ、この勝負、くじ運で決まると思っていたがゲームですら無くなるな」

「どうでしょう?効率性や思考能力が重要なゲームですよ?確かに多く順番が来るのは1つ有利な条件ではありますが……ゲームを大きく左右する程とは思えませんカボ」

「それはどうだろうな。私の挑戦権は100体全部だ!」

「む、無茶ですよ!一人で陥落させるようには設定されてませんカボ!」

「構わん、私はやるしかない」

 

無謀にも思える挑戦に見えたが、その日、皆が記憶に刻みこみ、あるいは昔の記憶を思い出した。地に堕ちたはずの妖精のかつて最強と謳われた女魔道士の存在を。その紅蓮の髪が舞い、踊り、かつての隆盛を誇るかのように傷つきながらも戦場を駆ける。『妖精女王(ティターニア)』これに有り、咲き誇る一輪の緋色の華のその雄姿は皆の心に響き、刻み込まれ、感嘆の涙を浮かべる者さえいた。真の力は我らにこそ示せると言わんばかりに魔の巣窟を踏破してみせた。

 

「な、なんということでしょうか!?これが7年前最強の名を馳せていたかつてのギルドの本来の姿なのか!エルザ・スカーレット、この伏魔殿(パンデモニウム)をたった1人で完全制覇!文句なしの大勝利です!」

「凄まじい活躍でしたね。思わず涙が……」

「こりゃ参ったね、心が突き動かされたよ」

「会場からは驚きと感動の声が聞こえてきますね」

「もう、こんな雄姿は見れないと……本当に良かった」

 

緋色の華の紅蓮の意志は仲間の思いに応えて雪辱を果たす。見事と讃えられる強さは新たな伝説をこのクロッカスの地に刻み込んだ。妖精の健在ぶりをまた一つ見せたのだ。

 

「これで妖精の尻尾Aチームにさらに10点入ります!ええと、それと今回は伏魔殿が異例のスピードで攻略された為、些か簡素で地味ではありますが他のチームの順位の確定のためにゲームを用意しました。マトー君?」

「用意してるカボ、魔力測定器(マジックポイント・ファインダー)略してMPF。魔力をこのラクリマにぶつけて点数の高い方から二位としますカボ」

「これは元々訓練や魔力の質を調べるために考案されたものでしてね、我々検束部隊のルーンナイトでも導入してます」

 

この計測器に挑む残り7人の戦士たちは先程とは傾向も対策方法も変わった事に微塵も不安を見せず、それを眺める。

 

「順番は先ほどのクジを引き継ぎます。なので二番を引いた方からどうぞカボ」

「じゃあ私からだね!いっくよー、『ネ拘束チューブ』!」

「結果は365ポイント!これは、高いのかどうか比較しにくいですね」

「結構良い点数ですよ。他の項目を参照しながらですが、部隊長クラスに抜擢するくらいにはポイントが出てますね」

「成る程、ありがとうございます。そこそこの点数と言うわけですね」

 

1人目のミリアーナの叩き出した点数に比較対象がない事でどれくらい強いのか戸惑う観客もいたが、ラハールの的確な表現で補足していく。パワー押しというより比較的技術的な部分で補う彼女にとっては高得点とも言える。続く四つ首の仔犬ノバーリは124、青い天馬ヒビキが95を弾き出し、更にウェンディたちを襲った大鴉の尻尾オーブラが力を隠すためか4点しか出さなかった。それにより人魚の踵ミリアーナが暫定トップの点数になり、この時点で5位以上が確定する。

 

「ここまで4人が終えたところで人魚の踵ミリアーナが依然トップ!」

「ミャー、やったね!」

「喜んでられんのはここまでだ。俺の黒雷の前にその自信ごと打ち砕いてやる。『120mm黒雷砲』!!!」

「さ、3825点……」

「私の十倍!?何それー!?」

「やっぱりオルガくんのパワーは最強ですね!」

「(あの黒い雷、止めるのは俺だ。今から対戦が楽しみだ)」

 

ここで剣咬の虎の神殺し、オルガが黒雷の弾丸を両手から生成して打ち出した。ミリアーナの300点少々を遥かに上回る四桁を叩き出し、トップに躍り出た。強行検束部隊でもここまでの点数を取る人材は中々おらず、パワーはギルドの名に相応しい威厳を保つ。

 

「次は聖十のジュラ!この記録を超えるか注目されます」

「ジュラさん、いけるかな?」

「無論、心配ない。むしろ俺の心配は別の所にあるがな」

「全力でやっても構わんのだな?」

「もちろんカボ。遠慮なくやってください」

「では……『鳴動富嶽』!」

「なんと8000点越え!流石は聖十大魔導、その名に恥じぬ得点をはじき出した!」

「えっ?はっ?」

「何ー!?おっさんおかしいだろそれー!?」

「俺の心配はその強さのあまり聖十大魔導の出場が制限されるか否かだ」

 

オルガの後に続いたジュラが更にその二倍以上の点数をつけた。この強さは聖十大魔導5位、イシュガル四天王と呼ばれる人外とも言われる聖十大魔導上位4人を除いた中では人類最強と謳われるだけあり、この時点でトップの座を手にした。

 

「な、なんという強さじゃ。こりゃあ、ギルダーツと良い勝負じゃわい」

「ふふ、あそこに居るのはそのギルダーツの娘です。力量は十分なのでは?」

「う、うむ」

「さあ、二者連続で四桁と高得点が出てやりづらいでしょうが、妖精の尻尾のカナには頑張ってもらいましょう!」

「うぃ〜、ひっく……やっと出番かい?」

「ベロンベロンかよ。こりゃ一位は無理だな」

「よくて3桁後半から行って四桁で三位狙いだな。もし酔ってなくてもそれぐらいが限度だろ」

 

ミリアーナの点数はまだ越せるかもしれないが、上2人との点差が開きすぎている。誰が見ても絶望的、なるべく多い点を獲得しておきたいが、正直誰も期待が持てない。しかし、彼女が上着を脱いで腕を晒した瞬間、誰もが驚いた。

 

「ふぅ……さてと、ぶちかますか!」

「何あの紋章!?」

「初代、何か貸しましたか?」

「いえ、あれは妖精の輝き(フェアリーグリッター)ではありませんね。もしや……」

「(あれは私の力よ。勝つためならと、さっき貸したのよね。さあぶちかましてやんなさい、カナ!)」

 

右腕に刻まれた聖痕はカノンより譲られた大魔法の砲弾だ。この大会に勝つための秘策として、この3日目が始まる直前に渡していたのだ。それが今この場で解き放たれ、道を照らす。

 

「聖なる神の光たちよ、天照らす命の輝きと共に闇を穿て!」

「これぞ神の啓示、私の新たな力……貴女なら使いこなせるはずよ」

「永久なる灯火の唄!『蓬莱の光明(エターナル・ホーリー)』!」

 

聖なる光の穿つ先にあったのは最高記録を大きく更新する結果だ。測定器では測りきれない点数によりカンストし、そのまま破壊。皆が呆気にとられる聖者の後光は、進撃を止める者をことごとく打ち砕くが如き強さを見せつけた。

 

「な、なんてことでしょうか!妖精の尻尾がこの競技パートをワンツーフィニッシュ!このギルドは止まるところを知らないのでしょうかー!」

「止まらないよ、私たちは!なんたって永遠の冒険を夢見る妖精の尻尾だからね!」

「自由気まま、だけどやる時はやる。それがこのギルドの強みだものね」

 

歓声に答えるように、声を高らかに自分たちは最後まで優勝を狙っていると暗に宣言したカナ。この競技パートで2チームとも高得点を叩き出した。

 

試合パートでは1試合目にミリアーナと四つ首の仔犬セムスが戦い、魔法を封じる紐を巧みに使いこなしたミリアーナが勝利を収めた。彼女の腕は以前より上がり、先程のゲーム以上の強さを見せつけた。第2試合では記憶造形師のルーファスと共に六魔将軍討伐にあたった元ルーンナイトのイヴが初日以来の激突となった。雪魔法を巧みに操るイヴに、記憶から相性の良い炎の記憶を探り出し、撃破。ルーファスの勝利で第2試合が終わった。

 

「さて、3試合目は妖精の尻尾Bラクサス対大鴉の尻尾のアレクセイ!」

「レイブンだと?」

「ラクサスなら心配いらないよ」

「まぁ負けやしねえだろ」

 

相手が誰であろうと最強候補に挙げられるラクサスなら負けはしないと仲間はさも当然のように信頼を寄せている。だがいざ開幕してみると、手も足も出ない。その異変の正体にいち早く気づいたのはカノンだ。相手が相手なので少し警戒して張った生体感知魔法が目の前の光景とは違う何かを示している。

 

「(……っ!これは、幻影?)クレス、ちょっと良いかしら?」

「いかがなさいました?」

「烏に不審な動きがあるわ。ヒスイ姫、アルカディオス大佐、少し兵を借りたいのだけどよろしいかしら?大会のためなのだけれど」

「大会の為に兵を?それならば少しばかりではありますがお使いください、この大魔闘演武の円滑な進捗のためなら芽を摘んでおきたいので」

「なら借りるわね。クレス、指示を出すか試合が終わるまで闘技場の入り口で待機して」

「心得ました」

 

違和感の正体、それは眼に映る人数と魂の出す鼓動の数の違い、控え室にいるように見える4人の魂の鼓動の無さ、そして実際に感じる魂の在り処では実際には全く動きを見せない点だ。それはつまり目から受け取る情報が真実ではないということ。

 

「(見た目上は2人しかいないのに、魂の鼓動を6つも感知できている。それに、観客席にいるマスター・イワンも控え室にいる4人も魂の鼓動がない。つまりこれは……幻影を見せながら闘技場で5対1にしているってことかしら。何が目的なのかしら?)」

「ラクサスさん、一方的にやられてますね。どういうことなんでしょうか?」

「(姫にも大佐の眼にも幻影が映されてる。大勢の人間やカメラも幻覚を写す……高度な幻影術なのだろうけど、私の能力は騙せないわよ。それに、決着がつきそうだわ)クレス、準備して!」

『既に展開可能です!』

「相手は5人、30秒後に全員ひっ捕らえてちょうだい!」

『承知しました』

 

試合は幻影の解けた瞬間に終了を告げ、カノンの予測通り5人で幻影の裏から襲撃していた大鴉の尻尾は評議会や国の兵に連行されていった。

 

「こ、これは……どういうことでしょう?先程までの展開が幻覚だったのか、一方的にやられていたラクサスが立っています、そして大鴉の尻尾のメンバーが全員……」

「ラクサスさん、ご無事ですか!?皆さん、大鴉の5人を捕らえてください!」

「お前は確かシリルのとこの……」

「巫女です。不可思議な現象を感じたと、私に動くように指示を出してまして」

「まぁ勝てたから良いさ。(にしても試合中に言ってた『ルーメン・イストワール』って何のことだ?)」

「勝者ラクサス!なお5人での襲撃に、アレクセイがマスターと発覚しまして、大鴉の尻尾はこの先三年間、出場停止処分とします」

「当然だね。失格に値する事を何個もスていたからね」

 

ラクサスの文句なしの勝利だ。これで失格したことで1チーム減り、残り7チームで優勝争いを演じることになった。おそらくこの七年間の間にギルドの機密か何かを狙ってこの試合が組まれた所で揺すりに動いたのだろう。試合がマスターの孫であり、自分の子供と組まれるという偶然を狙っての事だ。

 

「イワンめ……」

「……」

 

イワンの残した『ルーメン・イストワール』という言葉、それがギルドの闇だと伝えたことがラクサスの心に少しばり残っていく。

最後の試合はウェンディと蛇姫の鱗シェリアの天空魔法を扱うもの同士の年の近い少女たちが激戦を繰り広げた。滅竜魔法と滅神魔法の奥義を繰り出す展開から最後は死力をかけた小さな拳と拳の大きな誇りをかけたぶつかり合いになり、30分に及ぶ戦いは引き分け。これでお互いのギルドに5点ずつ入り、友情を芽生えさせる握手という美しき幕引きとなった。

 

「(風の滅神魔法、いつかぶつかった時は気をつけなくては。ま、やるだけやってみるだけね。私のような存在を殺すための魔法、悪用するような子じゃないのが救いかしら)」

「見事な試合になりましたー!これでおじさん的に大会終了!」

「これこれ、まだ3日目じゃろう」

「ではまた明日」

 

これで残り7チームの順位が現時点で固まった。大鴉の尻尾失格に伴い剣咬の虎が一位に自動的に浮上した。一位から最下位までは過密になっていて、どこもまだ逆転圏内だ。

 

その日の大会が終了してからカノンはユリアと共に夕焼けに染まる街並みを練り歩きながら今日の試合に出ていたシェリアについて語り合っていた。

 

「ユリア、あのシェリアって子のこと知ってる?」

「この七年間でできた友人だよ。神殺しの魔法使いなんだけど、まだ完璧ってわけじゃないみたいでね。神殺しって言ってもクリティカルヒットになりやすい程度みたいだと本人から聞いててね。多分あの黒雷のオルガも神殺しだと思う」

「ふむ、神殺しがふたり、か。ねえユリア……貴女なら邪神の殺し方を考える時にどんな選択肢を取る?」

「私?ああ、あの例の堕天使たちが崇拝する悪魔のこと?私なら姉さんやシェリアたちの力を活用するけど」

「なるほどね、やっぱりそうなるか。私の方でも調べてね。あの悪魔は同時に邪神でね、ナーガによって数百年間にわたる封印を施されたの。その封印の解除が流れる七星の目的、そして闇で世を制することなの」

 

あのギルドが結成されたのは200年以上前のこと。ゼレフの力に魅入られた後、方々の封印の印を探しているうちに今の形になったのだ。その後、大量の魂や血が必要になると考えた彼らは封印の緩むのを待ち、100年前に起きた大戦やこの数年の闇ギルドや違法なる存在の行った行為に便乗して、あちこちにある封印の解除や魂狩りを行ってきたのだと考えられる。

 

「残る封の数も僅か。おそらく近々に完全復活を目指すはずよ」

「備えなきゃね。世界を混沌にしない為にも」

 

神殺し、そして邪神。堕天使たちの動きが少しずつ秘密裏に加速する中で2人はどういう答えを出すのだろうか。


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