では本編どうぞです!
「これから死の旋律を奏でる。テメエら、妖精どもの相手を頼むぞ」
「ナツ、グレイ、奴を追うんだ。このままでは何が起こるか分かったものじゃない」
窓をかち割り、飛ぶように去っていった男を逃してはならないと喧嘩する2人に追跡を頼んだ。
「俺とこのクソ炎が?」
「テメエ、エルザ!仕切ってんじゃねえぞ!」
「行ってください。私からも…お願いします(これ以上姉さんを怒らせないほうがいいですよ)」
「(そ、それもそうだな)」
「(シリルに頼まれたら仕方ねえか)」
強い眼差しで2人に訴えかけ、災厄の防止のために、そしてエルザの怒る前に動くように急かす。そして走り去っていった2人を見送り、それをさらに追うカゲヤマとレイユールという紐のような魔法を使う者が足止めせんと動き出した。
「シリル、魔力は持ちそうか?」
「この数なら大丈夫でしょう。それに姉さんたちもいますから、ね?」
「わ、私も頭数に入ってたのね」
「ええ。頼りにしてますよ、ルーシィ姉さん?」
有無を言わさず、戸惑うルーシィを引っ張り、3人で並び立つ。それに対して
「まさか女3人で俺たちに勝とうとはねぇ」
「3人ともいい女だ、このまま殺すにはもったいねえな」
「ひひひ、妖精の脱衣ショーとでも行こうか
ねぇ」
「下衆どもが、どうなっても知らんぞ」
「死んでも文句は言わないでください」
その言葉とともにエルザは剣を虚空から呼び出し、シリルは両腕から血を垂れ流していく。
「あれは魔法剣か!」
「それにあっちの血はなんだ!?」
「細けえことは気にすんな!数でおしつぶせ!」
「魔法剣士ならこっちにもいるんだ!怯むな!」
彼らの言う通り数の上では3対数十人という物量差があり、一度に攻めかかっていく。が、そんなものは関係ないと言わんばかりにエルザの剣が敵を切り裂き、シリルの血が弾丸となって次々になぎ倒していく。
「あれがあの2人の魔法…」
「まだだよ、エルザにはまだ先があるんだ。シリルも本気を出してないと思うよ」
「あれ以上が!?ってホントだ、剣以外にもハンマーとか槍とか出してる!」
エルザの出す剣や槍の交換の速さにルーシィだけでなく敵も目を見張るばかりである。そしてシリルの血が変幻自在に姿形を変え、時に弾丸、時に鞭のように敵を翻弄していく。
「なんなんだあいつは!?」
「とんでもねえ換装速度だ!」
「それにあっちの小娘もエグいぞ!」
思っていた以上に強かったからか、はたまた甘く見すぎていたからか、2人の強さについていけずに倒れる仲間を前に顔を真っ青にしていた。
「このままではラチがあかないな。シリル、下がっていろ」
「了解。ルーシィ姉さん、エルザ姉さんの本気が垣間見れますよ」
「本気?」
「一気に片付けてやる、換装!」
その瞬間、エルザの着ていた鎧が取れ、光に包まれていく。
「おお!」
「な、なんかエロい!」
「ここからですよ」
そして光が弱まる頃、そこに居たのは全く別の羽のついた鎧を着たエルザの姿であった。背には剣が数本、円を描くように浮いている。
「あれがエルザの換装の真髄、鎧と一体となった魔法。その名も、『ザ・ナイト』!」
「あの天輪の鎧は手数に優れた攻め向きの鎧ですね」
「か、カッコいい!」
「え、エルザだと?」
敵のカラッカはエルザの名前に聞き覚えがあるのか、その名前についてあれこれ思い出そうと頭を捻る。
「舞え、剣たちよ。天輪・
「ぐえええ!?」「ぬおお!?」「ぎゃあっ!!」
「わぁ、すごい!一掃しちゃった!」
背に浮かんでいた剣が周りにいた魔導師たちを次々撃破していき、飛び交う剣が狙いすましたように相手をのしていく。
「このアマが〜!俺がぶっ飛ばしてヤラァ!」
「ま、待て!そいつはやばい!こいつはフェアリーテイル最強の女魔導士…」
「目障りだ…ふん!」
「グホァ!」
フェアリーテイル最強の女魔導士、
「ビアードが一撃かよ…や、やべぇ」
「やったぁ!勝ったあ!」
「ひ、ひいぃ!」
「逃げるか。ルーシィ、シリル、ハッピー、奴を追え。頼む」
「ええ〜…」
シリルが先に向かう中、なんで私がと言わんばかりに抗議の声を上げるルーシィ。しかし…
「頼む!」
「は、はいい!」
その抗議もエルザの威圧感を前に無に帰してしまった。ここに居ては何をされるかわからないと感じたルーシィは全速力でシリルの後を追っかけた。
「ふぅ…さてと、エリゴールを探すか」
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「それにしてもどこ行ったんだろ?」
「見つかりませんね」
「このままじゃエルザに怒られるかも…」
「こ、怖いこと言わないで!」
残る最後の幹部、カラッカを追っている3人だったが、一向に見つけられていない。先に動いていたシリルだが、途中で見失ってしまったのだ。
「行き止まりに行ったはずなのに、気づいたらいなかったんです。壁でもすり抜けたんでしょうか?」
「もしかしたらそうかも。でも、エルザにどう説明しよう?」
「これ以上探していてもラチがあかないね。エルザに怒られるの承知の上でこのことを話そ?」
その時、突如として大きな爆発音が鳴り響き、駅構内にいる全員にそれがはっきりと聞こえた。
「なんでしょうか、今の?」
「ナツじゃないかしら?」
「それしかなさそうだね。行こう!」
何度も何度も繰り返し起こる大きな音を頼りに走っていると、たどり着いたのは既に皆が集まった小さな通路だ。そこには先程までナツと戦っていたと思われるカゲヤマが背中から血を流している。
「何事ですか!?」
「事情は後で話す、とにかく止血と治療を!」
「わかりました。グレイ兄さん、ルーシィ姉さん、手伝ってください!」
「おうよ!」
「了解!」
死神が笛を吹くまでのタイムリミットが刻一刻と迫る中、果たして妖精たちは彼を止めることができるのだろうか…。