フェアリーテイル 生命の唄   作:ぽおくそてえ

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第72の唄 悪魔たちと魔を交える

「くそ、敵が多い!」

「こっちには負傷者もいるってのに!」

「突破口さえあれば入れるんだがな!」

「ミラ達の命もかかってる!押し切るしかねぇぞ!」

「こうなったら突破口を作るしかないわね。私の力があれば……」

「待て、地面が!」

 

敵の本拠地に乗り込んだのは良いものの、侵入路が見つからず、戦闘のできないラクサス達を背負いながら敵の対処に追われていた。そんな最中に突如として地面が盛り上がり、突き抜ける様にキョウカを攻撃しながらエルザが出てきた。

 

「エルザ、無事だったのか!」

「なんだこれは、重力が……」

「詳しいことは分からないけど、この面の重力が本来とは逆になってるの」

「とにかく突破口が出来た!突入せよ!」

「ナツとリサーナは無事だ。後はミラを!」

「わかった。必ず姉ちゃんは助け出す!」

 

エルザの作った突破口を元に次々と中へと突入していく。フェイスの封印が解かれ、その解除法を探ってくるようにすること、それとラクサス達を助ける為の敵の血液を忘れないようにと伝え、キョウカの相手をエルザとカノンが務める。

 

「私はエルザの援護に回る。ミラ達の事は任せたわ、ユリア」

「分かった。気をつけてね、姉さん」

「すまないなシリル、お前を巻き込んでしまって」

「1人より2人で相手した方が良いからね。気にしないで、私の意思だから」

「豊命神カノンと妖精女王(ティターニア)が相手か。くくく、実に面白い。此方の血が沸るのは久方ぶりぞ」

「相手が誰であろうと容赦しないわ。血縛鎖牢!」

「ふんっ!」

「弾かれた……気功掌!」

「つぇあ!」

 

手を鞭の様に振り回し、血の鎖を弾き、気功の攻撃も霧散させて見せる。更に剣の様に柱を切り裂き、ブロックにして投げ飛ばしてくる。それを弾いたり打ち消したり、切り裂きながら突き進んでいく。

 

「其方らとの戦、楽しめそうだ」

「こっちは楽しむつもりは一切無いのよ。気功掌!」

「黒羽月閃!」

「せいっ!」

 

剣戟に砲弾、鞭に斬撃と様々なものが飛び交う。だが、互いに大きなダメージを与えられない。しかもキョウカはまるでこの戦いを楽しむかの様に戦っている。

 

「まだまだこれからぞ」

「厄介な奴だな」

「もっと連携して攻めるしかないわね」

「私が前に出る。シリルは援護を頼む」

「ええ、任せて」

「飛翔・音速の爪!」

「速かろうとも捉えられぬ訳ではない!」

「エルザ、避けて!砲術・神の愛(ディオ・アモーレ)!」

「ぬぉっ!」

「危ないではないか、巻き込まれるところだったぞ」

「悪かったわ」

「流石女神を名乗るだけある。なかなかの威力だ」

「頑丈ね、貴女も」

 

全力で放った砲撃もダメージがあったものの、耐え抜いてみせた。流石は冥府の門(タルタロス)の九鬼門であり、実力は一流と言える。だが妖精の尻尾(フェアリーテイル)としても負けられない、退けない理由があるのだ。

 

「面白い、実に面白い。此方を楽しませてくれる」

「その強気、いつまで持つかしら」

「行くぞ、天輪・五芒星の剣!」

「見切った!」

「気功掌!」

「はっ!」

 

攻防が続き、一進一退の硬直状態が全くとけない。互いに小さな傷が増えていく中、キョウカが何かを察したのか、撤退を開始した。それを逃すまいと追いかける。

 

「(魔力が消えてない。まさかフェイスの発動が失敗したのか?)ここは任せたぞ」

「言われなくとも」

「お前は!?」

「ミネルバ!」

「ネオ・ミネルバじゃ。悪魔として転生した力を見せようぞ」

 

====

 

「この程度の雑魚なら楽勝よ!冥府神の大一声!」

「ぐぇあ!」

「ぎゃあ!」

「ミラ達はどこにいるの?」

「銀髪の女なら、あっちの部屋に……」

「ふむ、ありがとう。寝てなさい」

 

冥府の門(タルタロス)奥深くまで辿り着いたユリアは敵を薙ぎ倒しながら突き進んでいた。そんな状況で敵から情報を受けつつ進むと、ようやくミラとリサーナに遭遇できた。

 

「ミラ、リサーナ、無事で良かった!」

「ユリア!」

「どうやってここが?」

「倒した敵に聞いてね」

「そうなんだ……エルフ兄ちゃん、捕まってるかも」

「大丈夫、さっきまで一緒だったから」

「その通りですわ」

「誰!?」

 

再会を喜ぶ3人のもとに現れたのは九鬼門の一人で、エルフマンにギルドの爆破を命じたセイラだ。エルフマンに命令(マクロ)の呪法を使い、ギルドの爆破に成功したものの、誰一人巻き込めなかった事を嘆いている。

 

「あの男のせいでキョウカ様の前で恥をかきましたわ。この怨み、姉の死でもって償おうか」

「貴女が私の弟を……へえ?」

「あの爆破、そういうことだったのね。仲間に手を出した以上容赦しないわよ」

「その人、色んなものを操ってくるから気をつけて!」

「本まで操るなんて……冥府神の大一声!」

「道が出来たわ、はぁあ!」

「ぐっ!?これでどうです!」

「うわっ!」

「はぁ!」

 

本や落ちているブロックなど様々なものを操り、飛ばしてくる。しかもこの部屋は研究室である為、彼女が武器として使える無機物が多く存在しており、有利だ。だが、2人での協力プレイでどうにか凌いでいる。

 

「我らはゼレフ卿の元に還る為に戦っているのです。邪魔はさせませんわ」

「こっちも仲間の為に戦ってるの。負けられないわ」

「ゼレフの盲信者ね……死の恐怖を刻み込まん」

「術式!?いつの間に!」

「動きながらよ。天照二十八式!」

 

ハデスも用いた天照術式を発動し、大規模な爆破を伴う攻撃を放った。だが、煙が晴れるとそこには傷だらけになりながらも立っているセイラの姿がそこにあった。

 

「無事なんて……頑丈だよ」

「まさか、私の命令(マクロ)が効かない相手が2人もいようとは」

命令(マクロ)?」

「多分エルフマンを操ってた呪法じゃないかな?」

「この呪法の支配下に一度でも置いた者は、いつでも遠隔操作できますわ」

「まさか!?」

「今すぐ弟を自害させられますの……ん?」

 

能力の使い方について伝え聞いたところで、誰かにやられたのか九鬼門の1人エゼルがカプセルに傷だらけの状態で現れた。少女にやられたと言っていて、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中ではおそらくウェンディの事だと思われる。しかし気になる言葉が出てきた、復活だ。

 

「復活?」

「そう、ここは我々冥府の門(タルタロス)再生(リスポーン)地点『ヘルズ・コア』ですわ。例えやられても、ここで再生する。私たちは不死のギルドなのです」

「じゃあまずはここを破壊したほうがいいわね」

「まさか、そんなことできる訳……」

 

出来ないと思われてたカプセルの破壊だが、ミラにはそれが出来るという。実のところ、このカプセルは悪魔の力で成り立っている。つまり、接収(テイクオーバー)して破壊を命ずればここを壊せる。それを成してみせたのだ。復活途中にあったエゼルらは木っ端微塵に散ってしまった。

 

「こうなったら最後の手段を……命令する、私の制御(リミッター)を解除せよ!」

「変身した!」

「おぉっ!」

「くっ、接収ができない!?きゃあ!」

「ミラ!この!」

「しぇあ!」

「パワーが格段に上がってる!なんとか抑えて……地獄の業火(ソウル・フレア)!」

 

悪魔と化したセイラを抑え込むのもやっとで、分身を使って抑え込み、秘技をぶつけてみたものの、まるで効いてないかの様にケロッとしている。

 

「くっ、大したダメージになってない」

「この状態の私に勝とうなぞ無謀ですわ。はぁっ!」

「きゃあ!」

「うわっ!」

接収(テイクオーバー)さえ出来れば!」

「無駄ですわ」

「それはどうかしら?ふんぬっ!」

「な、何を!」

「私の力で貴女の接収(テイクオーバー)を受け付けない体質を『殺す』わ」

「ぐっ、身体が熱い!」

「ありがとうユリア。お陰で能力を少し接収(テイクオーバー)出来たわ。命ずる、『エルフマン、家族を守って!』」

「うおぉっ!」

「ガハッ!」

「姉ちゃん達は俺が守る」

 

敵の命令する能力と、一度支配下に置いたらいつでも命令できる効果を応用し、接収(テイクオーバー)してエルフマンを呼び寄せて奇襲作戦に出て、見事セイラを倒してみせた。

 

「なんとか倒せたわね。最後の方なんて分身してやっと抑えられたよ」

「私も魔力がほぼゼロよ」

「危なかった……」

「とりあえず皆と合流しよう」

「そうね」

 

====

 

「せぃ!」

「はぁっ!」

「流石は妾の見込んだ者たちじゃ、我が力を存分に使えようぞ」

「私達、貴女と遊んでる場合じゃないのよ」

 

ネオ・ミネルバと激しく争うエルザとカノンは連携しながら攻めるが、領域(テリトリー)による瞬間移動や入れ替わりによって攻めあぐねていた。その時、ウォーレンの念話が聞こえてくる。

 

『皆、聞こえるか!』

「(聞こえてる、何かあったのか)」

『ミラとリサーナ、エルフマンは無事だ。ユリアもここにいる』

「(良かったわ、無事だったのね)」

『ウェンディとシャルルがフェイスを止めたわ。敵の計画もここまでよ!』

「(流石だな)」

 

更にハッピーから告げられた言葉に二代目マスターのハデスが光を解き放つように、とあった。これはマスターしか知らない極秘魔法が関わっている。そんな中、急にウォーレンが苦しみ出した。

 

「ウォーレン、どうした!」

「雑音が急に!」

『魔道士ギルドの妖精の尻尾(フェアリーテイル)、だったかな?』

「念話ジャック!?誰!」

『冥王マルド・ギールだ。だが覚える必要はない、貴様らに明日はないのだからね。アレグリア発動』

 

なんと拠点が生物となり、体内にいる様々な者を取り込むのだ。取り込まれる喜び(アレグリア)は敵味方問わずあらゆる者に対して発動される。

 

「な、なんだこの壁は!」

「エルザ!くっ、吸い込まれる!」

「妾の獲物に何をするか!」

「これ、離れない!どうなってるの!?」

 

妖精の尻尾はこれで壊滅したかに思われてたが、何と1人だけこれを逃れた。幸運か凶運か、その1人とはルーシィだった。

 

「あいたたたっ。あれ?ナツ、どこ?」

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