前に活動報告で最終回と申した記憶があるのですが、どうしても書きたくなって数十分で書き上げました。
エドラスのその後の物語を少しばかり書きました。
これはエドラスとアースランドの交わりが無くなって1ヶ月後の頃の話だ。エドシリルは国王の座を譲り受けたミストガンことジェラールと話していた。
「なあ、ジェラール」
「どうした、シリル?」
「あたいはもう一度国軍で働いて良いか?」
「ふむ」
「確かに一度軍を抜けた身だ、今更そう易々と戻れるとは思っちゃいないよ」
「……」
「でもね、外の世界を傭兵として生きてきた経験がある」
その経験から今国民が必要としている事は分かるつもりだ。それを活かして少しでも国の為に働きたいとシリル自身思っている。もう1人の自分が頑張っているだろうから、自分も出来る事からやっていきたいのだ。
「だから、どんな立場でも軍で頑張ってみたいんだ」
「そうか。だが、お前にはお前の最適な立場がある」
「なんだい?」
「国で抱える傭兵として国内の情報を集めて報告して欲しいんだ」
「……!」
「私の居ない間も傭兵として国の為に動いてくれていたのはアースランドのシリルから聞いた。頼めるか?」
「幼馴染の頼みとあらば、頑張る所存だよ」
「ありがとう」
それからというもの、自らの足で動き、耳で聞き、情報を集めていく。ここに同行したのはエドユリアだ。国軍の将軍として前国王を止められなかった反省から同行を志願したのだ。自らの姉と慕うシリルの役に立ちたいという思いがあったのも大きい。
「姉様、お疲れ様です」
「昔の様に仲良く仕事が出来る日が来るとはねぇ。アースランドの連中には感謝しなきゃな」
「髪を伸ばしてるんですね」
「シリルに貰った髪飾り、使わなきゃ損ってもんだろ?これは彼女との絆の証なのさ」
「たった数日でしたが、彼女達のお陰で失わずに済んだ物が沢山ありますね」
「だな。感謝しかないね」
あの一件の最後に交換した物を身につけて仕事に専念する。彼女達が齎したものは大きく、国を変えてみせた。
「報告書だよ」
「ありがとう、シリル」
「ま、まぁ、これもあたいが望んだ道だ」
「妖精の尻尾も本格的に始動したみたいだし、今後は彼らと連携せねばな」
「そうだね」
「しかし、お前が国の為に自ら動くとはね」
「アースランドの2人に触発されたんだ。それに、それ以外にも理由があるんだ」
「それは?」
一瞬天井を見上げ、なんと言葉を発せば良いかひと思案してから、再び目をジェラールへと向ける。こうなったら言ったほうが楽だろう。
「すべてはあんたの為だ」
「私の?」
「ああ。あたいはあんたの事が昔から好きだったんだ」
「そうか」
「叶わなくても良い。それでもこの気持ちを伏せたまま暮らすなんてあたいには無理だ」
「辛い思いをさせたな」
「良いってもんよ。あんたもあんたなりに国を憂いて行動していたんだろう?」
「そうだな……今となってはそれが正解だったか分からないが、アースランドで得た知見は無駄にはしない」
これからは国王として動かねばならない。責任は重大だ。そんな重圧を少しでも支えられる立場になりたいのが、シリルの望みだ。まだ気持ちを伝えて傭兵として行動するしか出来ないが、それでも己の気持ちに嘘はないし、つきたくもない。
「これからは私と共に生きてくれ」
「っ!それって……」
「そういう事だ。これからは隣で支えてくれ」
「お、おう!」
「(アースランドの皆には感謝せねばなるまいな)」
これはアースランドの超えられない壁の向こうに住まう隣人の物語の、その後の世界だ。再び交わる事は無いだろうが、それでも強く生きていくだろう。全てはより良き世界の為に。