「さてと、後はこの変な笛をどうにかすりゃあ終わりか?」
「評議会に渡すのが道理であろう。いささか面倒だが、封印するとなると彼らが適当だろう」
「そうだな」
「ははは、油断したなハエども!ララバイは俺が頂いた!」
「ちょっ!?」
「くそ、あいつ無茶しやがって!」
「追うぞ!」
深傷を追いながらもなお、残った全ての魔力を振り絞ったカゲヤマの足掻きに驚きながらも追いかけようと走り出す。
「グレイ兄さん、氷の魔道四輪を作ってください!私の魔力で動かします!」
「おう!」
少し回復した魔力を頼りに先行く災厄を追わんと全速力で走っていく。
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笛を奪って線路を走ること数時間、怪我の痛みと魔力の少なさのせいで倒れこみそうになりながらもカゲはどうにかマスターたちの定例会が終わる前に会場へと辿り着いていた。
「くそっ、思ったより魔力を使っちまったか。こんなに疲れるとは……(だが、後はこれさえ吹いちまえばっ!)」
「おーい、そこの若いの。こんな所で何しとる?」
「えっ?うおおっ!?」
先程まで誰もいなかったボンネットの上にはフェアリーテイル三代目マスター、そしてカゲヤマの標的、マカロフの姿があった。
「(くっ、今日はつくづく
「ん?お主怪我をしとるようだのう。病院に早く戻るとええぞ?」
「え、ああすいません。僕は楽器が趣味なんですけど病院じゃあ滅多に吹かせてもらえないものでして…折角ですから一曲だけでもどうです?」
少し顔をしかめていたが、この怪我ではと納得したのか、了承して一曲だけ聞くために座り直した。
「こっちも人を探さんといかんでな、早めに頼むぞ」
「ええ…(よし、勝った!あとは…あとはこいつさえ吹いてしまえば…!)」
「……(あの笛、ただの笛じゃないな。こやつ、何か隠しておるのぅ)」
カゲヤマには微塵も見せていないが流石は一大ギルドの総長を数十年勤めてるだけあって人を見る目はある。隠し事、しかもそれがかなり大ごと、ということは察した。それ故、笛を口につけたまま躊躇いから固まっている若き青年に重い口を開くことができた。
「名も知らぬ若人よ、お前さんにその笛は吹けまい。なにせ、それを吹いたところで何も変わらぬからな」
「っ!?な、なんでそれを…」
「ワシには見えた。お前さんの目にある光と迷いをな。お前さんはワシと違ってまだ若い、やり直すなら今のうちじゃ」
「くっ……参り、ました…」
マカロフから語られた厳しくも暖かい言葉、カゲヤマの心中にあった違和感、そして今日出会った妖精たちの言葉が、戦うことや笛を吹く意義を奪い、ここにひれ伏せさせた。
「それで良い」
「くっ…」
「マスター!」
「じっちゃん!」
「ぬおっ!?なんでお主らがここに!?」
探し人、即ち自分のギルドの子供達がここにいることに驚きを隠せない。仕事で出かけているとはミラから聞いていたが、まさかこの笛と若人を追ってきていたとは知らなかったのだ。
「流石です!今の言葉、胸が熱くなりました!」
「痛っ!離さんか、エルザ!」
「ふぅ…心配は無用でしたね。ああ、疲れた…」
「お疲れ様、後は任せてゆっくり休んで」
今日1日で魔力を無理に引き出したせいでシリルは全身に疲れが出て動くことがままならず、ルーシィに背負ってもらうことになった。
「これで追いかけっこも終わりだな。ったく、手間取らせやがって」
「マスター、お手数ですが、この笛を評議会までお願いできますか?」
「ふむ、妥当な判断じゃな。任せい」
これにてようやく一件落着、そうなるはずだった。
『カカカッ、情けない奴らばかりよ』
「っ!?」
『こんな奴らに任せておくわけにはゆくまい。我が食ってやろうぞ…』
置かれた笛より邪悪な声がこだまする。そして…
『貴様らの魂をな』
ララバイ、真の姿を現した。
次も未定のままです。もしかしたらまた一月ほど開くことと思われます。申し訳ござらぬ。