いや、書きたいことは出てくるんですけど、それを纏めるのは大変ですね。
日々精進です。
さて、今回は天龍田姉妹のお話です。
…ん?遠くで何か爆発音のような音が…これは…砲撃音でしょうか?
恐らく演習か何かでしょう。皆さん己の研鑽に余念がないですね。素晴らしいです。
さて、先程鎮守府の事務の方に確認を取ったところ、丁度遠征部隊の方達が戻ってきたみたいです。
補給庫にそのまま突撃しても良いんですが、流石に補給やらの最中にお話を聞くのも不躾な話ですし、休憩室あたりでお話を聞きましょうか。
はい、休憩室に着きました。さて、天龍さんいますかね~?
「うっし、今日は此処までにしとくか。明日に備えてきっちり休んどけよ?」
「はい!天龍さん!」
「ん、良い返事だ。補給忘れんなよ」
「了解です!」
「よし、じゃぁ明日もこの時間に集合だ。以上、解散!」
「はい!お疲れさまです、お先に失礼します!」
そんなやり取りの後、駆逐艦と思われる子たちが元気よく挨拶しながら解散していきました。
…先生です。先生がいます。なんでしょう、スゴイ微笑ましい。
さて、解散後に残った軽巡の方を改めて観察します。
黒っぽい服装、眼帯、男っぽい性格、その割におっきい胸部sゲフンゲフン事務の方に聞いた特徴と一致しますね。…軽巡なのに私よりおっきいとかまじ解せぬ。
…別に悔しくなんかないんですからね?誰に言ってるって?私以外の誰かです。察しなさい。
話がそれました。ふむ、あの方が天龍さんで間違いなさそうです。
という事は、奥のカウンターで飲み物を受け取っているのが姉妹艦の龍田さんでしょうか。
「お疲れ、天龍ちゃん」
「おう、お疲れ、龍田」
「睦月型の子達の様子はどう?」
「練習航海にも慣れてきただろうし、そろそろ次に進ませようかな」
「ってことは、実戦も視野に?」
「でもあいつ等まだ演習先で弾撃ってねぇからなー。まずは簡単な警備任務辺りから入らねぇと…なんだよ龍田」
「ふふ、天龍ちゃんやっぱり先生みたいだなーって」
「いやそこはせめて『教官』って呼んでくれよ…」
龍田さんに一票。『天龍せんせー』って呼ばれてても違和感ないですね。
さて、見た所休憩室に居るのはあのお二人だけのようです。早速お話を伺いましょう。失礼しまーす。
「ん、アンタは…?」
おや、最初に気付いたのは天龍さんでしたか。どうも、私青葉といいます。実は斯く斯く然然でして。
「へー、提督の話をねぇ」
…便利な表現ですよね。何話も使ってますからねぇ。何回も同じセリフもどうかと。え、定型文?それはそれでめんどいです。
ともかく、天龍さんにお話を伺いたいわけですよ。
「あー、だからさっきからコッチを窺ってたのね~」
…龍田さんバッチリ気付いてたんですね。一言いって下されば…
「誰を探してるのかな~と思ったから」
まぁ確かにそうですけど…完全に私あやしい人じゃないですか。
「まぁ仕方ないわよね~」
…おうふ。
「…まぁ、それは置いといてだ。提督の話だろ?」
あ、龍田さんの仕打ちには慣れろってことですね分かります。えぇ、先程、とある方に提督は『武闘派』だとお聞きしまして。天龍さんはどう思います?
「武闘派ねぇ…アンタはどう思うんだ?」
え、私ですか?…うーん、イメージと違うかな…と。
「…なんでそう思うんだ?」
先程この艦隊の活動報告を見させていただきました。
それによると司令官さんは艦娘の皆さんを失うのを嫌っているようですし、てっきり『厭戦的』な方と思ってました。
「…まぁ、そうだよな。でも考えてみろよ。アイツは『兵』じゃなくて『将校』だ。自分の意志で此処にいる」
…えぇ、そうですね。
「此処に来た経緯は俺も知らねぇ。だが理由はどうあれ、自分から進んで軍に入るような奴が、本当に『厭戦的』か?」
…確かに、そうなのかもしれませんね。
「俺達の轟沈を嫌うのもアイツの一面だ。でもそれだけがアイツじゃない、と俺は思う」
成程…天龍さんは司令官をよく見てるんですね。
「…別に、付き合いが長いだけだ」
「提督に投げられたこともあるもんね~天龍ちゃんは」
何ですと!?
「ちょ、コラ龍田!あの時の話は…!」
「あの時の…なに?」
「…イエ、ナンデモアリマセン」
…なんでしょう、龍田さんが怖い。いや、終始笑顔なんだけどその笑顔が怖い。
「ちょっと前に天龍ちゃん、提督とケンカして投げ飛ばされたのよ」
軽巡娘を投げ飛ばしたんですか…とんでもないですね。
「…アレは俺が中破してたかr」
「何か言った天龍ちゃん?」
「ナンデモナイデス」
なんだか良くわかりませんが、取り敢えず『龍田さんは敵に回すべからず』って事は把握しました。
「あの時の提督の動き、かなり手馴れてた感じがしたわね~」
「…あぁ、ありゃ素人の動きじゃなかった」
ふむ、『対人戦』の心得があると。
「と、所でもう一個提督の話があるんだが…聞くか?」
自身の気まずさを誤魔化すように、天龍さんが話し始めました。
「ありゃ俺の件からしばらく後だ。ちょっとした話の流れで、ウチの提督と余所の提督が剣道で勝負することになったんだよ」
また随分突飛な話ですね。どういう話の流れだったんですか?
「ざっくり言うと、ウチの提督…ややこしいな、神林提督に絡んで来たんだよ、そいつが。で、なんでも向こうが剣道の腕に覚えがあるとかで、勝負だ、ってな」
絡んで来といて自分の得意分野で勝負しかけてきたんですか…なんかその提督の程度が知れますねぇ。のる必要ないでしょ。
「ところが珍しく、神林提督も乗り気になってさ。相手の取巻きがいる中、勝負することになったんだ」
ほぅ…で、結果は?
「神林提督の瞬殺・圧勝。打突一発で相手を吹っ飛ばした」
うわ。
「相手は泡吹いて失神。取巻きも真っ青でさ。で、提督が放った言葉が…」
言葉が?
「『真剣じゃなくて良かったな』だと」
うわぁ…
「『能ある鷹』どころじゃねぇよ。普段大人しいくせに、内にはとんでもなく長い牙を隠してた。さすがに驚いたぜ」
確かに…『猛禽』より『猛獣』って感じですね。打突で瞬殺ってあたりが。
「確かにあの人には『優しさ』や『甘さ』って一面もある。でも本質は本物の武人だよ。…俺に言えるのはこの位かな」
成程…ありがとうございました。何というか、不思議な方ですね。神林司令官って。
「でも、だからこそ皆あの人についてくのよ~」
先程まで話を聞いていた龍田さんが呟く。
「…あぁ、そうだな、その通りだ」
天龍さんも同意見なようだ。
しかし、増々司令官の過去が気になりますねぇ。昔何があったんでしょう。
「さあな、さっきも言ったが、俺はこれ以上の事はしらねぇ。龍田は?」
「私も天龍ちゃんと同じ位に配属されたから、知ってることはほぼ一緒ね」
ですよねぇ。もっと初期に配属された方がいれば分かるかもしれないんですが…
「最初の艦娘…か。まだいるんじゃねぇか?この艦隊に」
へ?
「いや、うちの艦隊の活動報告を見たんだろ?」
はい。
「うちの艦隊で、轟沈してる奴はいないんだろ?」
そうですね。大したもんですよ。全く。
「…なら、最初に配属された奴もまだ居るかもだろ」
た…確かに!
「多分、駆逐艦娘だな。軽巡以上の奴が最初に配属されたって話は聞いたことがねぇ」
成程、了解しました!天龍さん、龍田さん、ご協力ありがとうございます!
「…なんか聞くだけ聞いてどっか行っちまったな」
「軽巡よりフットワークが軽い重巡って珍しいわね~」
「確かに」
青葉が去った後も、天龍と龍田は休憩室で雑談していた。
今日はもう遠征の任務もない。二人でのんびりだ。
「それにしても…初めて聞いたわよ~」
「ん、何の話だ?」
「さっきの提督の話よ。酷いじゃない天龍ちゃん。そんな話黙ってたなんて」
「おいおい、別に黙ってたわけじゃ…」
誤魔化す様に、手元の湯呑を傾けて、
「あ、もしかしてカッコいい提督の話を秘密にしときたかった?」
「ぶほっ!!」
龍田の発言に盛大に吹いた。
「あら、図星だった?」
「げほっ…そんな事…ねぇし」
そういう天龍の顔は少々紅い。まぁ、咽たから…という事にしておいてあげよう。
それとも、無意識に秘密にしていて、指摘されて恥ずかしくなったか。…なんとなく後者な気がする。
「ねぇ、良かったら話してくれない?カッコよかった提督の話」
貴方しか知らない、秘密の話。
不器用な姉を持つ妹として、実に興味深い。
「…しょうがねぇな。…アレは俺が謹慎明けてから―――」
そういって話す天龍の顔は、どこか誇らしげで、それでいて憧れのモノを話すように輝いていた。
まるで、初めて観たヒーローショーを語るかのように。
なんか尻切れトンボな締めになっちゃいましたねぇ。
文章って難しい。
天龍さんの話は、陸奥さんと同じく外伝扱いで後日書こうと思っていますので。
さて、次回は『最初の艦娘』に迫ります。
提督が始めて逢った艦娘。―――実は青葉さん、既に一回逢ってます。
…もう、お解りですね?