お 待 た せ
あらすじ
タッグマッチが終わった6月、彼らはとある場所へ向かおうとしていた。
第41話 連休の日常
HRが終わってお昼頃、ヴィンセントは学園専用の港前に来ていた。
「クロエ~、準備はできたか?」
「久しぶりに動かすから分からないけどとりあえず行けるよー。」
どうして二人はいるのか、それはおよそ二時間前のことである。
「お兄ちゃん!」
「ん、どうしたクロエ?」
「昨日あのチケットもらったでしょ?」
「ああ、まだ持っているけど・・・。」
ヴィンセントはそう言って財布にしまっていたチケットを取り出す。クロエはそれをキラキラさせながら持つと、
「お昼から、買い物に行こっ!」
「別に構わないが・・・・時間かかるz「私がトーリスと同化して翔べばすぐ着くよ♪」・・・・・そういやそうだったな・・・・・。」
クロエが一緒に行く気満々で髪の毛を銀色に染めてヴィンセントの手を繋いでいた。ヴィンセントは繋がれてない方の手でやれやれ、といった顔をしながら、
「よし、お昼から臨海学校に向けて買い物に行くか!」
と、こんなことがあったのである。
時間軸を戻して、現在、クロエは愛機トーリスの最終点検をしていた。ヴィンセントもそれを手伝う。
「足のスラスターは海に浸かっていたが大丈夫みたいだな。クロエ、行けそうか?」
「うん!いつでも行けるよ!ちょっと待っててねお兄ちゃん。」
そしてクロエの声は聞こえなくなる。同時に腹部からグォングォンと駆動音と共にその巨体の目に灯火が点る。そしてその後その巨体の機体はヴィンセントに手を伸ばし外部スピーカーから、
「行こう!お兄ちゃん!」
と音声を出す。ヴィンセントはそれに答えるようにジャンプしてトーリスの手のひらに飛び乗る。手はそのまま上がっていきコックピットの前で止まるとハッチを開けた。
「さ、乗って乗って!」
クロエの明るい声と共にヴィンセントは手のひらからコックピットに移る。乗り込んだ直後にハッチは閉まった。
「・・・・・飛ばしすぎるなよ?」
「分かってるよ♪HADES使わない状態での最高秒速を出すだけだからさ♪」
「全然大丈夫じゃない!?」
ヴィンセントの驚きもむなしくトーリスはクロエの意のままに飛んでいく。学園はあっという間に見えなくなり、前方には町が見えてくる。
「さあて、飛ばすよ、ヴィンス!」
「もうどうにでもなれ!」
ヴィンセントは半ば諦めたのかシートにしっかり座って衝撃に備える。そしてその数瞬後、トーリスは現状出せる最高速度で大空を舞った。
時は戻ってヴィンセントたちが準備をしていた頃、モノレールの駅舎に一夏とシャルロットはいた。
「待たせたな~。」
「い、いや、私もここに来たばかりだから全然待ってないよ。」
「そ、そうか。・・・・・時間ももったいないし行こうか。」
「う、うん・・・・。」
二人は同時にうなずくと改札へと繋がる階段を降りていく。そしてそれを見つめる影が自販機の裏から見えていた。
「ははは・・・・・。シャルロットさんと一夏さん、表情こそ代わりありませんが恐らく中身は喜んでるんでしょうね・・・・。」
「あいつらなんかやましいことしたらぶっ転がす!あんたもそうでしょ!?クロエ!!」
裏に隠れていたセシリアと鈴がそのさらに後ろに隠れているクーに問う。クーは先ほど購入した午前の紅茶のペットボトルを自販機から拾い上げながら静かに滑らかに、
「私は生きているだけで幸せなのでよくわかりません・・・・。」
とだけ返した。鈴はその返答に納得がいかなかったのかさらに問いただしていく。
「じゃあクロエはヴィンセントが一夏みたいなことになってもいいって言うの!?」
「御兄様は私のことも気にかけてくれますがやはり御兄様は御兄様のままでいてほしいな、って思ったりします。・・・・・まあ、やろうにも姉さんからはほぼ逃れられないので実質不可能かと思いますけど。」
「ああ・・・・・・・。」
二人はヴィンセントとクロエがいちゃいちゃしている様子を思い浮かべると何となく想像がついて納得した。が、
「あ!一夏さんとシャルロットさんを見失いましたわ!」
「ゲッ!?それ不味くない!?」
「一応何かあったときのために前もってラウラ様に先行して目的地と思われる場所にて待機してもらってます。。次の便で追いかけましょう!」
「わかりましたわ(わかったわよ!)!」
三人は一致団結するとひとまず次の便を待つことにした。そしてそれを写し出していた監視カメラがあり、もちろん原因は、
「うんうん!くーちゃんはうまく生活に馴染めてるみたいだね♪よかったよかった!」
「だからと言ってストーカー紛いの行為は止めてくださいよ~?」
「これはストーカーじゃないよエルちゃん、立派な観察だといってよ~。」
「だからそれをストーカーって言うんです!」
約1000kmほどの距離から原因である束と優雅に紅茶を飲んでいるエルの姿があった。束は眼にも止まらぬスピードでハッキングを繰り返しておりその様子はエルちゃんからみてもドン引きするほどのものだった。
「で、ところで博士。さっきから製作をほっぽりだしてるのはどういうことですかね?」
「い、息抜き位許してくれるよね・・・・?」
「まあ別にいいですがしっかり来る日までに完成させないとダメですよ?ついでにデュラハンとルーリスのメンテも忘れずにしてくださいよ?」
「分かってるよ・・・・てかいつのまにキャバルリーのことルーリスって呼ぶようになったのさ・・・。」
「いつまでもキャバルリーをキャバルリーキャバルリー言ってるのがめんどくさくなったのでルリーからルーリスって名付けました。」
「割と納得が行く理由だから困る。」
「・・・・・・・・バカばっか。」
「ファッ!?んもーディサイスちゃんじゃない、驚かせないでよ!」
静かに忍び寄りボソッと呟くそれは数人しかいないここだともっと怖くなる。エルちゃんが発したディサイスという名前に彼女はむーっ、と言った感情を表現していた。
「ディーちゃん文句でもあるの?」
「今の私はディサイス何かじゃない・・・・。ルーリスを補佐する存在、それがルリの役目。」
「「?」」
エルと束は二人して顔を見合わせると首をかしげていた。ルリは続ける。
「キャバルリーに人格を移植した際にデータの上書き保存により性格が上書きされただけ。それだけのこと。」
「うん、それ色々不味くない?」
博士が奇妙な発音で聞くがルリは動じない。が、目頭には涙がたまっていた。そして・・・・・・・、
「うわああああああんん!!!私だってクロエと一緒に出かけたいですよぅ!!でも肉体維持が研究所の中でしか維持できないから出ようにも出られない!ペイとトリスは好きにでかけられるから良いんだろうけど私はなにもできないんだよぅうわあああああああああん!!!!!!」
「ギャアアアアアアアウルサァァァイイイイ!!!」
「エルちゃんどうにかならないのォォォォ!!!」
ルリの大泣きの轟音のなかペイは絞り出すようにエルに叫ぶが当の本人はとっくに機体の中に溶け込んで逃げていた。
「ナアアアアアントカシテヨオオオオオオオオオオォ!!!!!」
「分かったから!分かったから頼むから泣き止んでえええええええええ!!!!」
・・・・結論だけ言うと数時間後に泣き止んだ。
「・・・・・何だろう、今ものすっごい悪寒がしたんだが。」
「気のせいだと思うよ?」
「だといいが。」
一夏達より先についたヴィンセントとクロエは海辺にトーリスを隠し偶然なのか否か一夏達が向かっている大型複合モールに来ていた。あらかじめ買うものを決めていた二人は効率よく買い物を済ませ余った時間をどう使うか悩んでいた。ただでさえ前世は軍人・・・・・ましてやクロエは実験体として自由な時間もなかったために何をしようか全く考えていなかったのである。今の時間はお昼を少し過ぎた辺り。特に空腹でもない二人はいい意味で途方にくれていた。
「さて、どうしたものか・・・・・。」
「IS反応からして一夏達もここに来ているみたいだけど、邪魔をするのも悪いしね。」
「何処か静かな場所で休憩したいところだが・・・・・・。」
行くあてもなくフラフラと荷物を片手に持ちモール周辺の小さな商店街を歩いていた二人だが、やがて目を引く店を見つけた。
「お、この喫茶店懐かしいな・・・・・。クロエは珈琲って飲めるか?」
「一応ブラックは飲めるよ?」
「おすすめのケーキがあるからそれ食べて帰るか!」
「うん!」
余った時間の目的を見つけた二人はその喫茶店へと入っていった。店舗内部にはマスター以外の人はいなく、そのマスターもグラスを磨いているだけだった。
「いらっしゃい。いつものか?」
「ああ、二つ頼む。」
「おーけー、少し待っててくれ。」
マスターは二言返事で奥の厨房の方に向かっていった。ヴィンセントとクロエは空いていたカウンター席に座り待つことにした。
「ここのマスターが作る珈琲はその人にあった濃さで作ってくれるからとてもスッキリするんだ。親と一緒によくここに来てな。」
「研究所でも珈琲は飲んでたけどインスタントだったからね・・・本当の珈琲がなんなのかもっと知りたい!」
そうクロエがワクワクしてると奥にいたマスターが珈琲と一切れのシフォンケーキを持ってきた。
「ブラック珈琲と今朝の焼きたてレモン風味のシフォンケーキだ。こう見えてもこのケーキは自分でも美味しいと自負している。」
「そこまでおっしゃるとは・・・・・期待してもいいんですよね?」
「最高傑作とでも言っておこうか。」
「ではその言葉に偽りがないと信じて、いただきます。」
「いただきます!」
二人は焼きたてのシフォンケーキを一欠片切り取ると口の中に含んだ。と、次の瞬間。クロエの顔がにやけた。
「ほんのり酸味があって美味しい!それでもってこの珈琲も何処か懐かしさを感じる・・・・・。」
「・・・・・この珈琲の味・・・・・。何処かかで味わったことのあるような・・・・・何処だ?」
揃って同じ疑問を抱えてしまったヴィンセントとクロエだったが不意にマスターが口を開いた。
「・・・・・・・・・・・・・まさかこの味を忘れたとは言わせんぞ?
中隊副隊長さんよ?」
「「!?!?」」
To be continued.....
つ、つかれた、遅れてごめんね♪
次回予告
二人がカフェでであったのはとても馴染み深いあの人だった。一方、一夏達は水着選びに四苦八苦、果たして無事に帰ることができるのか?
今後、どのキャラ視点での話が欲しい?
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クロエ
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ヴィンセント
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HADES三姉妹
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束&千冬
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囚われた鈴達