「はぁぁぁぁ・・・・・ヴィンセントだ。」
「んもー、やっと前書き出れるんだよ?シャキッとしよ!どうも!クロエです!」
さて、今回は本来出すはずのなかった二作品を先取りしてお送りしていきます。黙示録はみんな大好きペイルちゃんでお送りする今回、どんな風になるのか!!
「「・・・・・・喋る出番なかった・・・・・。」」
あらすじ
前日の深夜に箒は久々に連絡を取ることに成功し近々会うことを約束し就寝しようとしたところ、丁度防水加工を施している最中のトーリスを見てしまい恐怖で足早に帰ってしまう。同じ頃、束はレウルーラの艦長であるグレミーが恐ろしい言葉を言おうとした所を謎の少女が止める。果たして彼らはどうなるのか。
翌日の朝、多少アクシデントはあれども時間通りに一夏達は臨海学校の目的地である旅館に発った。その際、ヴィンスとクロエが二人寄り添って寝ている姿を見たセシリアやシャル達が嫉妬し他の生徒もブラックコーヒーを一気飲みするなか、クーだけは二人の寝顔を見ながら周辺の警戒もしていた。
「な、なあクー、そこまで警戒しなくても良いんじゃないか?」
「いえ、この前のようなことがあっては博士になんと報告すれば良いのか面目が立たないので・・・・・。」
「あー、そうか、あの博士のことだから確かにやりかねないか。」
一夏はすぐに疑問の答えに納得すると自分の席で再びリラックスし始めた。数分後、流石にクーも長時間警戒しているのが疲れたのか静かに寝息が聞こえ始めた。
「うん・・・・・まあ、そうなるよな。」
「今は静かに寝かせてあげましょう。途中で起きて暴走されたらたまったもんじゃありませんわ。」
「私も流石にそれには同感だな・・・・・。」
そしてバスは海岸線沿いを後にした。
「ふー、隊長は元気みたいね。戸籍上じゃあのトーリスのパイロットの・・・・・クロエちゃんだっけ?と妹とかいうことになってるし。あいつらが幸せならそれで良いか♪」
少し離れた島の影で一人の少女が観察していることには誰一人として気づかなかった。
その頃、一夏達が向かっている旅館の真反対側に位置する大きな漁港には一隻の戦艦が停泊していた。その名こそアクシズ重力下戦線前線移動司令戦艦基地旗艦【レウルーラ】である。その内部では一人の兎とレウルーラの艦長がいがみ合っていた。
「・・・・・なんであんたがここにいるのさ?」
「決まってるだろ、ここは私の艦だ。」
「あっそ、ルリちゃん達は?ちゃんと丁重にもてなしているんだろうな?やってなかったら今ここで存在を消しても良いんだよカスが。」
「あー、・・・・・・其なんだがな・・・・・。」
「ああ?」
艦長の濁す発言に束は常備していたナイフを艦長に向ける。が、部屋の放送スピーカーからの音声で二人の動きは止まった。
『うーん!気持ちい~!!』
『この感覚・・・・この動き・・・・、懐かしいわ・・・・。』
『・・・・・・バカばっか。・・・・・・でも、楽しいと思えるのはなんで・・・・・?』
室内のスピーカーから聞こえてくるルリとペイとトリスの各々の感想。それを聞いた束は表情を変えて問うた。
「・・・・・・何をしたの?回答によっては今ここで消す。」
束の発言を聞いた艦長・・・・・・もといグレミーは息を詰まらせながらも自分の艦長席に深く座り込み束を背にして話し始めた。
「・・・・・お前も知っている通りあのMS・・・・・トーリスシリーズは我がネオ・ジオン軍が10年の歳月をかけ改修を行った機体達だ。それ故アレの特性をよく知る優秀なメカニックも多い。数十分で整備を終わらせてもらいあの三人にその使い心地を試してもらうがてらあのMSで遊ぶ許可を出したら・・・・・・・このザマだ。」
束はグレミーの話にキョトンとしていた。
ーMSを数十分で直す子!?ー
ーそんなのが実際にいるとしたらISの宇宙進出へ向けて大きな一歩を踏み出せるかもしれない!ー
ーそうと決まれば!ー
束はいくつかの意見をまとめあげグレミーにその書類を渡した。そして、
「・・・・・・うん!今の君の発言は信用を取るに値する人間だとわかったから殺すのはなしにしてあげる!それにペルリちゃんやトリスちゃんたちのトーリスも修理してもらったしね♪これだけでも感謝しきれないくらいだよ!」
「そうか・・・・。・・・・・言っとくが私はISと言うものがだいっきらいだ。」
「じゃあ私もはっきりいうよ?・・・・・私もあんたみたいな人がだいっきらいだよ。」
二人は顔をガン見しながらいがみ合い、にらみ合い、そして、
「「・・くっ、アハハハハハハハハハハハ!!!」」
二人は吹き出したかのように笑うとさっきまでの嫌悪感はすっかり消え去っていた。
「・・・・・・何やってんだか・・・・。」
「まあグレミーのことだしね・・・・。」
「マスターのことなら仕方あるまい。」
室外からこっそり聞いてた三人からは呆れにも見えた愚痴が溢れた。
「此れからお世話になる旅館の従業員の皆さんだ。迷惑をかけないようにしろよ。」
千冬の声がバスから降りた生徒全員に告げられ生徒達はほぼ全員がそれにたいして返事を返した。その後、簡単な日程説明や留意事項等が告げられ各々はそれぞれ振り分けられた部屋に荷物を置きに行く。もちろんそれはヴィンセントとクロエにとっても例外ではないわけだが、
「・・・・御兄様、少し位ならまだ荷物を持てますけど・・・・。」
「心配しなくても良いよクー、こんなもの戦争じゃざらにあったからな。・・・・・だがクロエがまだ起きないのは想定外だったが。」
ヴィンセントは今だ疲れがとれないのかスヤスヤ眠っているクロエを担ぎながら自分の荷物とクロエの荷物を持って部屋へ移動していた。クーはこれ以降も何度か手伝うと進言したが全て上手く交わされた。数分後、指定された部屋に来た三人は荷物を置き、ヴィンセントは寝ているクロエを起こさないようにそっと下ろした。因みにあの説明のあとの解散からは夕方まで自由時間なので女子達は否が応なく海へ向かっているがヴィンセントはクロエが起きるまで待っていようかと考えた。そしてその時は意外にも早く来た。
「・・・・・・・うゅ?あれ、いつの間にか寝てたの・・・・?」
「やっとお目覚めか・・・・・。」
「あれ、ヴィンス、ここって旅館だよね?」
「?ああ、そうだが。」
クロエが突拍子もない質問をするのでヴィンスは少し不思議に思ったがいつものことだと思ったのかすぐに返答を返した。するとクロエは何かを察したように、
「なんで付近にNZの感応波が出てるの・・・・・?」
「っ!?」
彼女はそう戦闘モードの顔で呟いた。ヴィンスもNZという単語に反応して状況整理を頭の中で行う。何が起こっているのか分からないクーはただ二人の後ろ姿を眺めながら自分の荷物を整理していく。、やがて推測を建て終わったヴィンスが口を開いた。
「クロエ、恐らくNZの・・・・・いや、クィン・マンサの感応波はプルツーのものかと思う。」
「プルツーちゃんの・・・・・?元々彼女の専用機だしあり得なくはないと思うけど・・・・。」
『多分そうだろうね。今レウルーラにいるルリちゃんたちに連絡を取ったら近くで何故かプル三姉妹が警備をしてるらしいよ?IS学園の職員には恐らくバレてないし許可ももらってないと思うけど・・・・。』
「そうかそうか、プル達もここに来ているのか・・・・・・ん?」
「今レウルーラって・・・・。」
「レウルーラ・・・・・?」
「ああ、クロエと一緒に身を寄せていた組織の艦だ。いやだが、そんなはずは・・・・・。」
ヴィンセントは思いたくもない予測を次々に建てていく。そしてそれは運悪く、
「あ、GPSから反応あり。この島のちょうど間反対の漁港に停泊してますね。」
「おおう・・・・・・・・。」
ヴィンセントは頭を抱えた。只でさえレウルーラがいるだけでも厄介なのにそれが間反対の港で停泊中ともなれば頭を抱えたくもなる。事実、クロエも頭を抱えていた。クーは二人をなだめようとしたが瞬間、ヴィンセントがガバッと立ち上がり、
「よし、俺たちはこんな話なんて聞いてもないし見てもいない!とにかく今日のことは忘れる!」
「うん、いちいち考えたらキリが無いもんね!」
「そうときまったら早くいきましょう!もうかれこれ1時間は費やしてしまってますよ?」
「わかってる、急いで着替えて思いっきり遊ぶぞ!」
「「おお~!!」」
結果論としてだんまりを決め込んだヴィンセント達は少し遅れて海岸に向かい日がくれるまで泳ぎまくっていたという。その最中、意外にもクーの水泳能力がずば抜けていたりクロエがヴィンセント程ではないがカナヅチだったりと一夏達は見ていた最中で知らざる知識を得たことによって少々驚いているようだった。
時は過ぎて旅館の大広間に場面は写る。一夏達は既に大広間に用意された夕食を食べに行くべく渡り廊下を歩いていた。もちろんそれはヴィンセント達も例外ではなく反対側から談笑しながら大広間へと向かってきていた。
「一日目からあんな一面を見られるなんてな・・・・ヴィンセントにもあんな弱点があるなんて思わなかったぞ。」
「そうですわね。元軍人とは言えサバイバル訓練くらいはしていると思いましたのに。」
「バカいえ、元々俺は宇宙暮らしだったんだ。宇宙に海があるわけないだろ・・・・ったく、こんなことなら誰かに泳ぎを教えてもらうべきだったよ・・・・。」
ヴィンセントがそう愚痴りながらメインのおかずである赤身と白身の刺身の盛り合わせを頬張る。クロエもそれを見たのかとなりにあった緑のペーストを思いっきり乗っけて赤身を頬張った。クーはその緑のペーストがなんなのか知っていたため若干顔がひきつった。勿論一夏達の中にもクロエとおんなじことをしている人は居たわけで・・・・・。
「「!?!?!?!」」
セシリアとシャルロットが同時に顔をひきつらせた。クロエは表面上こそ平常な顔をしているがヴィンセントはその内なる本当の表情がわかったため躊躇なく冷水を入れたコップをクロエのそばにおいた。クロエはそれにいち早く反応しHADES起動時より早い反応速度でコップを掴むと一気に流し込んだ。そして出た言葉が、
「・・・・・ぐぬぅ・・・・・辛い。」
クロエは流し終えたコップを置くと荒い息を整えながら冷や汗だくだくの顔を首に巻いていたタオルで拭った。しかしながらまだその表情は辛そうな顔をしている。ヴィンセントは何度かこの手の物は食べていたのでなれてはいたがクロエやセシリア達は言わば外国人なので日本のわさびを知らなかったのだろう。クロエは脱力してヴィンセントに持たれた。
「辛い・・・・うぅ・・・・。」
「うん、よく耐えたから・・・・うん。」
数分後、大広間の食事会場では大量のわさびの消費が報告されたという。
その夜のこと、セシリアは自室に戻るため渡り廊下を歩いていた。途中鈴達がふすまの中から聞こえてくる一夏の声の真相を聞こうと聞き耳を立てていたところはスルーしてヴィンセント達の部屋の近くまで来ていた。ヴィンセント達やセシリアの部屋・・・・・もとい海側の部屋は一部吹き抜けになっているのでさっきのわさびの味を忘れようと夜風に当たろうとしていた。
「明日から本格的な訓練とはいえ、このまま何もなければよろしいのですが・・・・・。」
そうぼやくセシリアの隣の部屋ではクロエとヴィンセント、そしてクーが明日の対応について考えていた。
「十中八九明日は恐らく博士が乱入してくるであろう事が容易に予想できるんだが・・・・・いまルリ達はどこにいる?
」
『・・・・・・・寝てますね。位置を把握できない。』
「寝ててもHADESの波動で位置は特定できるはずだけど・・・・。」
「あまり気にしてても意味はないと思いますよ?たしか御兄様の戦友の常呂にあの子達は居るんでしたよね?」
「それを言えばそうなんだが・・・・・・どうにもな・・・・。」
「欲を言えば一度敵対されたこともあるし許せないというかなんというか・・・・・・。」
ヴィンスが口ごもるのでクロエが補足を加えるがそれでもクロエもぼやいている。クーはあまりこの事について深く踏み込まない方がいいと判断したか話題を切ろうとした。
「そうですか・・・・とりあえず明日にならないと分からないですしそろそろ寝ましょう。」
「お兄ちゃん!隣で寝よ!」
「もう慣れた自分が怖い・・・・・。」
「では私も便乗して・・・・・・。」
その日はヴィンスは一睡もできなかったと言う。
To be continued.......
所々シーンははしょっていますけどそろそろ夏休み編(SAO編)やりたいんですよね・・・・・。
次回予告
二日目の実機訓練、専用機持ちは岩場にて本国から受領した試作兵器の運用試験を行おうと集合していたがその中には箒も居た。首をかしげる全員に現れたのは皆が知るあのウサギとヴィンセントとクロエがよく知るISに似た何かのマシーンだった。
今後、どのキャラ視点での話が欲しい?
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クロエ
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ヴィンセント
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HADES三姉妹
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束&千冬
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囚われた鈴達