IS ~MISSING LINK~   作:ふぇるみん

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いよいよ、終盤戦です!!




第67話 収束

出撃したクロエとヴィンセントはティーレと分かれて前線基地を破壊するためスラスターを吹かしていた。二人の装備は揃ってダブルハイパーナックルバスター(Blast)装備。海上を低空飛行している二人にとって前方にいるこの程度の敵などおやつ感覚にしか過ぎなかった。

 

 

「ヴィンス、これならバズーカ要らないね。サブ兵装のメガビームランチャーを使って一掃するよ!」

 

「りょーかいだ!!ったく、いつからクロエはこんなに破壊したがるようになったんだか.....。」

 

そう言うと二人は左に持っていたナックルバスターを背部ラックにマウントすると代わりに背部から久しぶりに起動するメガビームランチャーの本体を取り出した。そしてコードをジェネレーターに直結させると一気に全出力をメガビームに収束させていく。

 

「出力設定完了、いつでも行けるよ!」

 

「おーけー。クロエは右を、俺は左を殺る。」

 

「了解!出力最大!メガ・ビーム・ランチャー照射!!!」

 

ヴィンセントの指示を聞くや否やクロエは既にフルチャージしていたメガ・ビーム・ランチャーを戸惑いもなく前線にぶっぱなした。余波でクロエが少し仰け反るが被害を食らうセイレーン側からしてみればそれすら生ぬるい事態に陥っていた。

 

 

 

「ナ、ナンダ!?」

 

「基地周辺が焼かれているの・・・・!?」

 

上位個体が前線から撤退する際に見た前線基地に注がれる2条のビーム。そのビームが示す先には爛れた成れの果てがそこら中に転がっていた。片方の上位個体が海上を後ずさりするが何かに当たって進めなくなる。

 

「何処に行くのかな?」

 

「・・・・なんだ、お前は!!」

 

「何、ただの援軍さ。さっさと朽ち果てろ。」

 

そう無慈悲にいい放ったヴィンセントは念のため余らせていた照射エネルギーをバーストさせて上位個体に接射した。ゼロ距離バーストランチャーされた上位個体はしゃべる間もなく爆散した。一仕事を終えたみたいな表情をしたヴィンセントは辺りを見渡した。だがあるのは見渡す限りの焼け海原である。そこに右を掃除したクロエが右腕に抱きついてきた。

 

「・・・・ふぅ、最後の最後で援軍出されたから一掃するのに時間がかかっちゃった、ごめんね。」

 

「あれでまだ遅いのかよ、ほんとお前は.....。」

 

そこまで言ったヴィンセントだったがその後の答えが紡ぎ出されることはなかった。目を紅くしたクロエがその手にサーベルの柄をヴィンセントの首に当てていたからだ。

 

「・・・・ヴィンス?また私を怒らせたいの?今度という今度は私でも我慢できないよ?」

 

「なんでそうなるんだよ...早とちりすんなし....。」

 

「・・・まぁ、私にしかできない芸当だし仕方ないっちゃ仕方ないかもしれないけど。」

 

「クロエ基準に考えられても全然上が居ないからクロエにとって張り合いが無いのは分かるけども....取り敢えずその物騒なサーベルをしまえ。うっかり起動したら俺の首が飛ぶ。」

 

「冗談のつもりだったんだけどね?」

 

「お前がやると冗談に見えないのだが?????」

 

「お兄ちゃぁん????」

 

「アッハイナンデモアリマセン。」

 

サーベルから解放されたヴィンスが愚痴ったとたん今度は透かさずナックルバスターを突きつけたクロエ。隙がない。これにはヴィンスも固まらざるを得なかった。

 

「さて、基地は壊滅させたしティーレちゃんたちの援護に行くよ!」

 

「了解、時間はないはずだ、急ぐぞ。」

 

そう二人は話し終えるとスラスターを勢いよく吹かして未だ砲火が鳴り止まぬ本土へと帰還するのだった....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ナハトとバターンは窮地に陥っていた。

 

「バターン!?」

 

「くっ....使い物にならなくなったら切り捨ててなお処分....ピュリの性格にそぐった奴ね...ほんと。」

 

「貴方が使えなくなったらこっちは餌にしてまとめて殺すだけよ、それが私たちセイレーンの定め。」

 

「私もとはセイレーンじゃないですけどね!!!」

 

「どちらにしろ同じよ。さて、落ちなさい!!」

 

そう言うとオブザーバーはテスターに指示する。テスターは了承し無数の砲弾を無数に放つ。ナハトは残っていた三式徹甲弾を装填してバターンの前に立つと庇うように砲弾を迎撃する。

 

「・・・・ナハト....私はもう脚部ホバーエンジンが死んでるの....まともに動けないよ。」

 

「なら曳航して港に戻るまで!!」

 

ナハトがバターンの右手を掴み全ホバーエンジンを全力稼働させ後退を始める。勿論その間にも迎撃は止めない。テスターから撃たれる無数の砲弾はその大半が迎撃されるが確かに既にバターンとの戦いで消耗した耐久に負荷をかけていた。そしてついにその時は訪れた。

 

ボゴォン!!

 

「あうっ...負荷をかけすぎちゃったか....!!!」

 

「ナハト!?」

 

「ごめん....私の破損状況だとこれ以上は.....!!」

 

「・・・・弾薬残量0....収束エネルギーもほとんどない....ぐぅ・・・!!」

 

二人して機動力を削がれ打つ手無し。正面にはテスター。もはやこれまでかと二人が諦めた。が、ひとつ重大なものを彼女等は見落としていた。

 

 

「・・・・さあ、これでとどめよ!!」

 

 

 

 

 

「させないよ!!全門投射!!」

 

「何っ!?」

 

突如別方向から飛来したビームと砲弾の群れにたまらずテスターは後退する。二人は何事かと飛来した方向を見る。そして二人は驚愕した。

 

「・・・・え?」

 

「あれ、私たちと同じビッグ・トレー級・・・よね?」

 

「ええ、そのはずだけど...何か...。」

 

 

 

 

 

 

「「えらく速度出てる上にドリフトで旋回性能抜群ってどう言うこと!?!?」」

 

二人が見たのはドリフトしながら水上をホバー走行する改ビッグ・トレー級の一隻、それもヴィンセント達が転移するときに使った戦艦ティーレ。正式に言えば【水陸両用高速巡洋砲撃戦艦ティーレ】なのだが。そのティーレがテスターを圧倒しながらこっちに近づいてくる。そしてそこから声が聞こえてきた。

 

「そこの二人とも、大丈夫かな!?」

 

「大丈夫ですが脚部エンジンが大破してしまって...。」

 

「背部砲台までは飛んで上れる?」

 

「それくらいの推力なら...」

 

「なら上ってきて!!このまま北部方面へと移動するから!」

 

「でも!?テスターは!!」

 

「大丈夫!!今あの二人が前線基地を壊滅させたって報告が来たからあいつらも時期に撤退するはず!さあ急いで!」

 

「「は、はい!!」」

 

二人は残った推力をサブエンジンに回して背部砲台に飛び移った。そして二人をのせたティーレはそのまま北部へと風のように消えた。そして残されたオブザーバーとテスター。

 

「・・・・オブザーバー、追跡はしないのか?」

 

「あら、この戦況でまだ追撃をすると言うの?謎の援軍によって先程前線基地が壊滅した今、もうこの地に用はないわ。それにこの戦闘で本来の目的は達した。ならこの辺でお暇させていただきましょう?」

 

「・・・・そうか。」

 

テスターが渋々納得する。オブザーバーはキューブを取り出すとちゃちゃっと操作する。そして二人の姿は一瞬にして消えた。

 

 

 

そしてその二人の消失を持ってセイレーンの襲撃は幕を下ろした。

 

だが、二人は身を持って知ることとなる。援軍に来た者達のしつこさを....。

 

 

 

 

 

 

To be continued.......





さて、一旦区切りをつけるため、つーかあと3話でセルフコラボ収束させないと成らんため強引に切ります。

次回は改装、そしてティーレの処遇かな?

クロス編で出す艦

  • ダブデ改級陸上戦艦
  • 1934型
  • ビッグ・トレー改級陸上戦艦
  • Yubarinrin
  • 爆破オチ担当

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