サブタイトルに特に意味はなーい
あ、今回久しぶりにあのネタが出ます。
部屋にいた全員は数秒間動くことができなかった。ましてや、驚きの方が大きすぎて動かないくらいである。今ヴィンセントはなんと言った。この三人が元は無機物だった?あり得ない。それが集まった全員の反応だった。特になまじ影響の強かったセシリアとラウラは放心している。
「ま、いきなりそんなことを言われても分からんか。」
「いや、まずその理論がおかしいよ!?何をどうしたら艦がこんな少女になるのよ!?」
そう問いたてるのは学園の生徒会長である楯無である。その楯無が持っている扇子には【理解不能】と達筆で書かれていた。それに対して答えたのはリーダー的な存在であるティーレだった。
「まあ、簡単に言うならば戦争で沈んだり自沈した艦の願いや想いが具現化し人の形を持った存在とでも考えてもらえれば。」
そう言ったティーレは何時もの軍帽をかぶり軍服の格好へと姿を変える。一瞬で姿を変えたそれに全員が追い付いていけない。しかしラウラはその格好を見て震えた。
「そ、その格好はナチスの軍服・・・・!!帽子についているアクセサリーも間違いない.....本当にお前は艦だったのか....?」
「ええ、ですからそう言ったではありませんか。私の名前は1934型の2番艦のゲオルク・ティーレ、またの名をZ2。先のオルク・レティは偽名です。」
ティーレの告げた一言。だがその一言は服装や成りも相まって全員は納得せざるを得なかった。その様子を見ていたシュタイナーは、
「はぁ....あの子が喋ったなら私も正体を明かしますね。私の名前はイギリス海軍H級嚮導駆逐艦ハーディです。ま、あまり名前は変わりませんかね。」
そう言ってハーディも自身の騎士帽をかぶり騎士服にその姿を変える。ティーレと同じように一瞬で姿が変わったことに全員はティーレほどの驚きはなかったが、やはり怯むことは怯む。
「じゃあ、女王陛下に仕えているというのも.....。」
「はい、私たちロイヤルネイビーのロイヤル騎士隊の頂点に君臨する戦艦クイーン・エリザベス。その彼女の護衛です。」
「クイーン・エリザベス....聞いたことがありますわ。昔大きな戦果を残した艦が居たと。」
セシリアがそう言うとハーディは嬉しかったのか少しばかり顔が微笑む。
「まあ、正体を明かすのはここまでにしといて、だ。つぎはハナヨ達三人だ。」
ヴィンセントがそう言うとハナヨとハヤナ、そしてハーミヤの顔が険しくなる。同時にクーもある程度出自を察してしまっているのか顔が暗い。
「やはり、分かりますか....。私たち三人は御姉様を越える目的で作られた所詮アドヴァンスド個体の改良型、即ち【マイスター個体】に当たるもので本来なら実験後、御姉様達の基地を襲撃し乗っとる算段が取られていました。」
ハナヨからの衝撃の事実を聞きラウラはおろか、この部屋にいる全員が固まった。それもそうなのだろう。ラウラ達の基地を襲撃し自分のものとする予定だった。誰もがそれを聞いて警戒せずにはいられない。
「けど、ヴィンセント達の【アクシズ】ってところの見慣れない三人組が助けに来てくれて今こうしてこの生活が送れてるってわけ。」
「・・・・ああ、マリーダ達のことか。あいつらも境遇は似たようなものだから分からなくもないがな。」
「だね、プルちゃん達、ああ見えて御人好しなところがあるし。」
「そして私たちは救助された後アクシズの遊撃部隊として再スタートを切った。もちろんそこには御姉様もいたのでそこに編入して姉妹四人での再スタートになったわけですが。」
そうして三人はその服につけているバッジのようなものを取り外すとテーブルの上に置く。その模様は天使の羽が青い円上のもの、そのバッジでいうなら地球を包み込むような感じのものだった。
「そして私たちは今紆余曲折を経てちゃんとした戸籍ももらいこうしてここで生活できてるわけです。」
「成る程ねぇ.....。あの博士が手伝うとなればラウラと血縁関係が深いのは確定....となるとクーとの血縁関係も確定、か。まあ博士が認めるならこちらとしては何の問題もない。」
ヴィンセントが納得すると、他の全員もその説明である程度わかったのか首を縦に振っている。
「・・・・さて、ここまでで何か疑問はあるか?答えられる範囲なら吝かではないが。」
ヴィンセントがそう言うと真っ先に疑問を呈したのは教師である千冬だった。
「・・・・何故この明石だけ説明されてない。私の読みからして彼女もティーレ達と同じ存在なのだろう?」
「・・・・いや、まあ、同じ存在ではありますけど....正直宛にしない方がいいというか.....守銭奴な奴ですし....。」
「・・・・ですね。あんまり明石に肩入れすると財布のダイエットが上手く行きますよ.....。」
「「「「あっ.....。(察し」」」」
「何そんなダメな目で見てるニャ!?!?工作【艦】としては右に出る者はいないニャ!!!」
「・・・・みるからに外装からして工作【戦艦】にしか見えないのは気のせいか?」
「言い返せないのが腹立つニャー!!!!!!」
そう、ただ一人空気だった明石だが決してヴィンセント達が忘れていたわけではない。ただ少しばかり守銭奴すぎて忘れ去られていただけなのだ。
「で、別に明石に過去なんてないと思うけどな。護身用に改良型メガ・ビーム・ランチャー持ってるだけで。」
「「「「「「「なにそれこわい。」」」」」」」
「ほら見たことかニャ!!!!だから戦艦に改造されたくなかったニャー!!!!恨んでやるニャあの兎ィ!!!!!」
「へぇ....私が何だって?」
「ニャァァァァァァァ!?!?!?!?」
「「「「「「「博士!?!?」」」」」」」
明石が絶叫し他の千冬以外の全員が驚く。束は当たり前のような顔をして、
「ふふん、私がここにいないとでも思ったの?改装を受けてた合間に正式に【アクシズ】の技術顧問としてこの【ビッグ・トレー級陸上戦艦4番艦【ティーレ】】に住み着くことになったし、【アクシズ地上本部】の副司令補佐としての任もあるからね!・・・・ところで、アーちゃん?少しお話ししようか?」
「い、いやニャ・・・・・三枚下ろしにされるニャ!!!!殺されるニャー!!!!!」
「酷いこというねアーちゃん。ただ単に5体を100まで切り刻んで存分に焼くだけだよ?」
「「「「「流石にそれは止めてあげて!?!?」」」」」
束のガチギレに必死で止めようとするクロエ達と明石を連れ去ろうとする束。しかし抵抗むなしく明石は束に捕まった。そして部屋を出る際束はヴィンセント達の方を振り向いて、
「あ、そうそう。ヴィー君、クロちゃん、クーちゃん。三人ともここ【地上本部】のそれぞれ総司令、総司令補佐、副司令の座に就くことになるからよろぴくね~。」
そう言い残して束は明石を引きずって消えていった。残された全員は明石に対して祈りを捧げるしかなかった。が。
『だぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁらぁぁぁぁぁぁ!!!』
『ごふっ!?』
『私はぁ!!ペイ等と言う渾名ではなく!!!!』
『ゴハァッ!!?』
『RX-80PR!!!』
『フベラァッ!?!?』
『ペイルライダーという名前で読んでくださいと!!!!!』
『ニャァァァァァァァ!!!!』
『何度言えばぁ!!!!!』
『お、落ち着いてペイちゃ....。』
『また言いましたね!!!!もう容赦しません!!!HADES最大出力!!!』
「・・・・・・哀れ博士。次の博士は上手くやってくれることでしょう。」
「あの程度では流石に束は死なん。」
『アーダメダメダメ!?!?流石にそれ刺されたら束さんでも死ぬ!?!?』
「・・・・・前言撤回、ヴィンセント、あの暴走を止める術はないのか?」
「・・・・・自爆してもいいなら?」
「束、骨は砕いて捨てておく。」
「「「「「「酷い!?」」」」」」
千冬ですら止められないペイの暴走。哀れ束よ。
『古より伝わりしヨハネの騎士は!!!命を刈り取る鎌となりて!!!!その剣に定めるは我が姉妹の奥義!!!』
『い、嫌っ、やめ....。』
『死して嘆け、
そのペイの声と共に外部が静かになった。あまりにも突然の出来事に全員が固まってしまっていた。そこに、ドアが開いた。
「あ、クロエちゃ~ん、明石、ここにおいとくね♪」
「ペイちゃん....血濡れてるよ・・・・?」
「いーのいーの、さて、私はあのラビットミートをもう少し懲らしめないといけないからもう行くね?」
「・・・・程々にね?」
「だーいじょうぶだって、ただ5体を500に切り分けて粉砕するだけだって♪」
『この子笑顔でとんでもないことを仰ってるよ!?!?』
そう言い残すとペイはドアを再び閉めて行った。その直後、
『さて、この肉をどう調理するかな.....。』
『お願いですアクシズの女神様御許しください....!!!御許しください....!!!』
『駄目だよ....あとでトリス達にも引き渡してやることがいーっぱい、在るんだから、ね?』
『イ、イヤァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!』
遠ざかる束の断末魔と共に今度こそ部屋に静けさが訪れる。それを崩したのはやはりヴィンセントだった。
「・・・・大丈夫か、明石?」
「怖かったニャァァァァァァァ!!!!!」
大泣きしている明石をなだめるヴィンセントの構図。しかしてそれは在るものから見ると憎たらしいものなので.....、
「お兄ちゃん、ギルティ。」
「ウェッ!?」
「御兄様、後でお話があります。」
「ファッ!?」
両肩を捕まれたヴィンセントに未来はない。哀れ。その様子を見ていた一夏達も流石に哀れに思ったのか、
「・・・・今日のところはこれでお開きにしようか。流石にこれ以上ヴィンセント達の邪魔もできないし。」
「一夏ァ!?」
「そうだな。姉さんも心配だがなんとかなるだろう。」
「ヴィンセントさん、強く生きてくださいまし....。」
「狂三さぁん!?ちょっと待って、みんな見捨てないで!?」
どうすることも出来ないヴィンセントはあわてふためき助けを求めるが誰一人として応答することはなく部屋を出ていく。一人、また一人と消えていく度に青ざめるヴィンセントの顔、クロエとクーの黒いオーラ。そして残ったのはいつもの6人だった。
「・・・・あ、あのー・・・?」
恐る恐るヴィンセントが反応を確かめるが、肩をつかんでいる二人の反応はと言うと。
「「お兄ちゃん(御兄様)?」」
「(あっ、これはダメな奴だ。)」
「(手に終えませんね、ええ。)」
「(閣下、強く生きてください。)」
帰ってきたのはほぼヤンデレと化した二人の顔。この瞬間ヴィンセントは自分が生きて帰れることはもうないだろうと察した瞬間だった。
その日の夜、
「お兄ちゃん、私にもアレ、して?」
「えっ。アレって、あれ?」
「明石だけするいよ!」
「そうですよ!最近私たちに構ってることが少なくなってきてます!」
「・・・え、明石のことじゃないの。」
「「私たちも明石みたいなことして!!!!!」」
「・・・・・おいで、二人とも。」
「「・・・・うん!!」」
その夜、一人の少女の悲鳴と三人の男女の心地よい寝息が学園を風靡した。
To be continued........
たまにはこんなネタだらけのはっちゃけ回あってもいいよね!!!!!
あ、ペイペイ乱打の三段剣は実はバトオペのカウンターが元ネタだったり。
(´・ω・)っスッ
-
874
-
887
-
863