正直これどうしようか迷ったけど夏編でヤツを持ってきておいて助かった感。
それは必然だった。
一つ、所有主が意識を失っていること。
一つ、相手が乗り越えるべき壁だと言うこと。
一つ、そこに手がかりがあるということ。
今、この状態はまさにそれをクリアしていた。それだからか。
「!?......誰!?」
「....20秒はちと短いが、やれんことはない!!」
ヴィンセントの声から出る別人の音色。それとともに形をなしていたトーリスがどろどろに溶け落ち新たな形をかたどっていく。
特徴的なカラーは落ち着いたブルーと白の配色になり、主兵装のハイパーナックルバスターは新たに大口径の大型ビームライフルへと変わっていた。
「今できる変化はこれだけか....だが!!」
声の主はクロエに目もくれることなくそのライフルと背部にマウントされていた連装メガビーを戸惑いもなく目の前にいた敵....フラグメントに向けていた。
「....!?」
「この世界に二人もキャロルは要らない....!!ファイア!!」
放たれたビームはいとも容易くフラグメントに穴を開けた。それを見て全員が驚愕に包まれるのは時間にそう掛からなかった。
「!?」
「......今回はここまでだ。が、そうまた会えるのも遠くはあるまい。こいつの身体は主導権を渡す代わりにこっちの技術で治療を施したから問題はないだろう。」
「......あなた、名前くらいは名乗りなさいよ。」
主導権を失いつつある体に向かってクロエはそう話した。その少女はこちらを振り向くと、
「....キャロルだ。」
「あ、ちょっと!?」
クロエが引き止めようとするが、流石に限界なのかそのまま倒れた。それと同時に色合いも元に戻っていった。
ここにようやく襲撃戦は幕を下ろしたのである。
「で、感想は?」
「殺せぇッ!!」
キャロルはコア制御プログラム内に戻るや否や言動を思い出し悶え苦しんでいた。流石にこれにはエジソンも庇えなかったのか哀れみの目で見ていた。
「はぁ、無茶してカッコつけようとするからこうなるんですよ。まだ十全に使えるわけじゃあるまいし。」
「何もしないよりかはマシだっただろうが。それよりも、襲撃元の特定はできたのか?」
「そんなものこのエジソンちゃんにかかればちょちょいのちょいです!」
エジソンは既にまとめていたデータ書類を展開するとスライドしてキャロルの方に流した。それを見たキャロルは密かに顔を強張らせる。
「やはりか、リデルがこの世界にまで影響を及ぼし始めている。これは、あいつを連れてくるしかなさそうだな。」
「......あの子今フェルミと一緒にクーロンの護衛に出てますよ?」
「....仕方あるまい。フロイトに連絡して引き継がせろ。」
「りょーかい。全く、人使いが荒いんですから。」
「私は元は敵だぞ?人使いが荒くて何が悪い。」
「今の会話アリスちゃんに丸投げします?」
「お願い悪かったからエジソンそれだけはやめて。」
やはりキャロルとて対核戦とは戦いたくないらしい。
「....エジソン、アレの作成を急いでくれ。」
「....りょーかい。」
同時刻 戦艦ティーレ中央制御区画
この艦のNo.4である束は一時的に起こったヴィンセントの体質変化や武装変化について詳細な調査をしていた。
「.....やっぱり。」
「やっぱり?」
「うん、ヴィー君、君はダイブ適正を手に入れてるよ。それも電子世界へのダイブを。」
「....やはりあのALICEとやらの影響か。」
「みたいだね。体の一部が電子化しかけてる。今はまだ大丈夫だけどこのままあれを使い続けたらいずれ完全に電子化しちゃうよ。」
「それはどうだかな.....。」
「!?誰!?」
完全なる外部からの声に二人は武器を身構えあたりを見渡す。すると入り口に二人の人影が見えた。
「....数日ぶりだな。」
「....キャロル!?」
目の前にいた束と同じような服装をした少女が目の前にはいた。そしてそれをヴィンセントは知っていた。束は自分と同じような服装をした彼女に疑惑の目を向けたままその銃を降ろさない。
「あんたは誰だよ?返答によっては殺すぞ。」
「おいおい.....救世主に向かってこの挨拶とはな....。まあ良い、私はキャロル。お前たちが保管していた大型サーバー【ALICE】の創設者であり、数少ない電脳世界....言わば私達の世界を行き来できるメンバーの一人だ。」
「.....嘘ぉ!?」
「残念だが本当のようだ。既にキャロルの他にも6人この世界で活動しているらしい。」
「.....それで?なんで今更出てくるわけさ。」
「言っただろ?会えるのも遠くはない、と。」
「んぐぐ.....。」
束は悔しそうにしているが、当の本人はどこか上の空である。
「で、だ。さっきも言ったように俺と同じくこの世界で活動しているやつは6人いる。とは言ったが実際は10人だ。」
「10人?」
「ああ、組織名としてはアイドルグループ【Vivid10Dolls】という名前で活動している。」
「!?VTDだと!?」
「嘘でしょ!?」
「え?お兄ちゃん!?え?なになに?どういうこと!?」
「クロエ、こいつはVTDの実質的なプロデューサーだ。」
ヴィンセントの爆弾発言に頭が追いつかないクロエ。しまいには
「はーーー????」
と、声を荒げ倒れた。それを知りもせずキャロルは話を続けていく。
「さっきクロエが代弁したが改めて紹介しておく。実質的なリーダーのキャロルだ。その他にも今はいないが娘の【アリス・リデル】、トップアイドル【クーロン】、技術チート三人衆こと【ニュートン】、【ダ・ヴィンチ】、【アインシュタイン】。そしてアカデミア姉妹の【エジソン】、【フェルミ】、【メビウス】。そして狂三、お前だ。」
「狂三も?」
「こちら側の世界に一度紛れてきたことがあってな。その時に電子とリアルを行き来する適正を手にしている。」
「あら、嬉しいですわ。けど、勝手にメンバーの一人にされてるのは少々酷いですわ。」
「仕方がないだろう。今はゴタゴタで酷いことになってるんだ。特にセブンアカデミアズが現状解散した段階でかろうじて今ここまで持ち直している段階なのだから。」
「それは....まあ仕方ありませんか....。」
「だけど、それだけじゃ理由にはならないよ?」
「....そこまで言う必要があるか?」
キャロルがなぜか妙に嫌な顔をするので余計に聞きたくなるヴィンセント達。キャロルは観念したのか渋々吐き始める。
「....かんたんに言えばこの世界を滅ぼしかねないコンピューターウイルスがばらまかれ始めた。」
「ヘェっ!?」
「今はまだあまり感染は拡大してないがいずれ不味いことになりかねん。だがら俺たちVTDが事態を収集すべく現実世界に進出がてら来たってわけだ。」
「....ちなみに感染源は?」
「俺だ。」
「キャロルか。......ファッ!?」
「そう驚くこともあるまい。お前らも見たのだろう?あのデカくて丸っこいやつを。」
「ああ。フラグメントだったか?」
「あれは俺の怨念の残留思念の欠片、とでも呼べ場聞こえは良いが実際はこの世界を滅ぼしかねないウイルスだ。現在急ピッチで技術チート3人に今回の戦闘データからワクチンプログラムを精製してもらってるが....。」
「....ははぁ。つまりキャー君は私達にその開発を手伝ってほしいわけ?」
「いいや、博士たちにやってもらいたいのは実働の方だ。フラグメント自体は多数でボコせば鎮圧はできるがウイルス除去はできないんでな。それならワクチンプログラムを大量に積み込んで一撃で葬った方が早い。実際、もう被害は出始めているしな。」
「!?」
キャロルはそう告げると空間から取り出すように指をスライドさせると電子パネルを展開してこちらに見せてきた。
「既に各国の無人ISが暴走している事件については知っているな?」
「ああ、以前俺達も遭遇したが。」
「この事件の殆どにフラグメントが関わっている。」
「!?....どうしてそれを知っているならそのときに出てこなかった!!」
「.....すまん、色々内乱で、な。」
「えぇ....。」
遠い顔を見せるキャロルにこの場にいた全員が困惑していた。と、丁度そこに。
「パパ!!」
「「「パパァ!?」」」
「.....リデルさぁ....。」
「あら?いけなかったかしら?」
突然部屋に入ってきた少女。しかもキャロルのことをパパ呼ばわり。これには全員声を上げるのもおかしくなかったが、何より困惑していたのはそのパパ呼ばわりであるキャロルである。
「はぁ....来たから説明しよう。彼女は【アリス・リデル】。大型サーバー【ALICE】においてハートの女王で、フラグメントに現状私以外に唯一対応できるVTDの切り札。そして、私のただ一人の娘だ。」
「「「情報過多!!」」」
「ふふ、パパから紹介されましたが改めて。私の名は【アリス・リデル】。人類の切り札にしてパパの可愛い一人娘です!」
そう目の前の赤髪の少女こと【アリス】はそう答えた。
To Be Continued........
ここまで遅れた理由。
・キャロルとアリスをどのタイミングで突っ込もうか悩んだ挙げ句今にした
精霊編を本格的にブッ込むか否か
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入れる
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入れない
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Fate要素増やして