IS ~MISSING LINK~   作:ふぇるみん

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くっっっそ遅れたねごめんね


第94話 マドロック、起動

あちらの戦況が少々不味いことになっているさなか、シェルター内に避難していた彼等は壁に拳を打ち付けていた。

 

「クソっ!どうして最後まで彼奴等の力になれないんだ....!!」

 

「お前だってわかっているだろう、今の実力では行っても無駄だと.....!!」

 

「....千冬姉....。」

 

一夏が千冬の方を見るとすでに拳から血が流れている姿が映った。誰よりも救援に行きたいのは千冬だって同じなのだと。

 

「ああそうさ、私だってアイツを....束を助けたいさ!!だが今の実力では足手まといにしかならない!!」

 

「っ....。」

 

 

 

 

 

「そんなことを言うと思っていたよ。」

 

「束!?」

 

「束さん!?」

 

「「「「!?」」」」

 

シェルター内の画面に束の姿が映し出される。だがその姿は痛々しかった。所々から血が流れておりいつ死んでもおかしくない状態だった。

 

「お前....!?」

 

「あはは、直撃もらっちゃった....。」

 

「脱出できんのか!?」

 

「ちーちゃんだってわかっているでしょ?もう私も長くない。最後くらい私の言葉を聞いていってよ。」

 

「......手短に言え。」

 

「千冬姉!?」

 

それはまるで覚悟を決めたかのような....。

 

「私はね、自分の意志までここまでこれた、それならこうなってしまっても悔いはないよ。最後まで夢を見れただけ、マシだよ。」

 

「お前....。」

 

「だから最後に一言だけ言うね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        最後まで罠にかかってくれて本当に助かったよ。」

 

 

「....何?」

 

それを気に物理と通信は切れてしまった。

 

「束、お前......。」

 

 

 

 

 

 

ーー絶対なんか仕込んだな?

 

全員が心の中で初めてシンクロした瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、直撃をもらったティーレ艦橋では.....

 

 

「さて、全員がここまで罠にはまるとは思わなかったよ....。」

 

『ですね、まさか全員が同じ行動を取ってくるとは思いませんでしたが、想定内です。それで、マドロックを?』

 

「うん、起動するよ。はーちゃんもサダルスードとラジエルを連れてやーちゃんのもとに行ってあげて。まあ、やーちゃんのことだし愉悦してると思うけど....。」

 

『ハーミヤのアイズはどうします?』

 

「そうだね、まだ最終調整が終わってないしスルーで。」

 

『了解。ではご武運を。』

 

通信が切れると束は壊れた艦橋を見渡す。

 

「ふっ、初めての家とこれでお別れか....。【自爆シーケンス起動】。」

 

 

ーーready 自爆シーケンスをカウント60で設定します。

 

束は音声命令で自爆を起動し後部ハッチへ移動する。そこにはISでない何かがそびえていた。両腕に銃口が2つついたライフルを装備し肩に至っては本体並みの大きさを誇るキャノン砲がついている。

 

「....初の試験機、最初に運用するのが私とはね、皮肉なものだよ。」

 

鎮座していた機体に飛び乗りハッチを閉める。既にハナヨも準備が整っていたのか頭部ツインアイを光らせていた。

 

「マドロック起動シークエンス開始、メインジェネレーター起動。流動パルス各位正常フローエネルギー供給正常値で安定、いける!」

 

その声に呼応したのか、マドロックに真紅のツインアイが光った。

 

自爆まであと15秒。

 

 

後部ハッチが開くとともに砲撃に耐えられなかったのか爆発が始まる。

 

「束、行きますよ!」

 

「オッケー!マドロック、発進!」

 

「サダルスード、マイスターハナヨ、行きます!!」

 

炉が爆発する寸前にバレルロールし爆発を回避した2機は戦場の最前線へと赴く。主がいなくなった旗艦ティーレ。遂にその役目を果たし砲座から、ジェネレーターから、艦橋から爆煙を上げ、最後には真っ二つに折れ爆発した。

 

 

しかし、一つ味方にも敵にも誤算があった。

 

一つ、その旗艦の中にまだアレが残っていたこと。、

 

一つ、ヴィンスがすでに触媒を手に入れていたこと。

 

一つ、彼女が彼に恋していたこと。

 

爆炎の中、一つ、光る一対の目があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、その光景はシェルター内にも映っていた。

 

「あぁ....!!」

 

「そんな...!?」

 

セシリアと一夏が爆発の瞬間を見て悲痛な叫びを上げた。他の面子も声にはならないが顔を覆ったりしている。

 

「....。」

 

シェルター内は完全に意気消沈するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、旗艦ティーレの撃沈の報を聞いたヴィンス達も、多少なりとも影響は出ていた。

 

 

「....そうか。墜ちたか。」

 

「.....使う?」

 

「....ああ。」

 

 

「ほう?決意が固まったみたいじゃねぇか。」

 

両手にダガーを持った機体からの通信が聞こえてくる。

 

「随分と手洗い歓迎をしてくれたみたいだからな....。」

 

 

 

ーーーアイン、HADES

 

ーーーツヴァイ、起動

 

ーーードライ、全シーケンスオールグリーン

 

 

「「「トーリスリッター、起動!!!!」」」

 

まるで最後の出撃と言わんばかりに三人は高らかに宣言した。瞬時、ISが解除され、その代わりに出てきた機体に乗り込む。

 

「....さあ、誰だか知らないが最終ラウンドだ.....!!!」

 

大海原のど真ん中で死の騎士、最後の戦いが幕を開けた.....。

 

 

To be Continued....





さて、途中でできたツインアイは誰なんだろうなぁ

あと5話弱で終わるのかと思うと感慨深いよね

精霊編を本格的にブッ込むか否か

  • 入れる
  • 入れない
  • Fate要素増やして

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