IS×MGS - Another Solid - 『カセットテープ風 ショートストーリー』   作:No.20_Blaz

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流石にネタが短いので、複数の話を入れたネタ集的な感じにしてみました。

そんな最初はイチカ編。
ただあくまで会話内容は作者の知識と作中キャラたちの視点からの内容なのでかなりいい加減なところもあります。そこはどうか生暖かい目で。


イチカ編
『銃社会』『ノーラッド・トラックス・サンタ』


 

 

 

 『銃社会』

 

 

 蛇「アメリカでの生活はどうだった?」

 

 一「テレビとかで見るよりはいい経験になったよ。特にアメリカに移住して数日は怖くて外にも出られなかった」

 

 蛇「出られなかった? なんでだ? ホームシックになったわけでもあるまい」

 

 一「いや……アメリカは銃社会であるってことを知っていたからな」

 

 蛇「なるほど。平気で銃が手に入り、持ち歩けられる国に慣れていなかったということか」

 

 一「ああ。アメリカが日本と違って銃の所持を認可してるから、それを知っていたせいで当時は独りで戦々恐々としてたんだ。もしかすれば後ろから撃たれるんじゃないか、誰かにつきつけられるんじゃないかってな」

 

 蛇「まぁ、お前自身の経歴のこともあるからな。狙われると思って恐怖するのも無理もないことか」

 

 一「それに、日本は銃刀法違反で銃をもつなんてやくざとかの裏社会系の人間しか持ってないって考えてたから、日本人としての感覚が残ってたあの時は余計にな」

 

 蛇「今はどうなんだ」

 

 一「銃を持ってるってことを差し引いても、今は慣れたかな。けど、未だに近づいてくる連中には警戒しかしない」

 

 蛇「まぁそれはお前の育ちの環境が影響しているのかもしれないが……イチカ、別に銃社会だからといって、ポストアポカリプスみたいに狂喜乱舞で銃を乱射しているわけじゃないんだぞ」

 「そもそもアメリカが銃を持つことを認めているのは日本とは逆の意味で銃による命の簒奪という行為をわからせるためにあるんだ」

 

 一「逆の意味?」

 

 蛇「そうだ。日本では銃や剣といったものは法律で禁止されている。目に見える法というもので、日本は戦いにつかれた国民をまずは安心させる必要があった。それに銃刀法を制限すれば、それだけそういった銃を使う犯罪は少なくなり、他国が付け入る隙……言って見れば銃の密売などを防げる」

 

 一「確かに……日本の犯罪、殺人事件のほとんどは置物の鈍器や果物ナイフ……銃の事件はむしろ珍しいほうだ」

 

 蛇「ああ。逆にアメリカはそういった法律を作らず、国内外で銃のライセンスや製造を行っている。そのせいでアメリカは野蛮な国……なんて陰口をたたかれているが、それは銃がもつ意味を知っているからこそ、あえて制限をしてないともいえる」

 

 一「……そうか。銃の力か」

 

 蛇「そうだ。銃というのは相手を傷つけることに特化した武器だ。確かに持てばそいつはある程度強い力を手にすることができるし、当たり所が悪ければ相手を殺すことだって簡単なものだ。

 だがな。それが逆にアメリカでは役に立っているといってもいい」

 

 一「銃の制限をしていないアメリカでは銃は容易に手に入る。でも銃を自分が持てるということは、逆に相手も銃を持てるということ……か」

 

 蛇「自分だけが銃を持っていると言って息巻いてても、アメリカでは銃は誰でも手に入ってしまう。それは銃を持っているというアドバンテージを崩す意味も持っているんだ」

 

 一「だからあえて銃に対する規制をせず、その危険性を利用しているってことか」

 

 蛇「日本には「暗黙の了解」という言葉があるな。あれと同じで、銃の意味を知っているからこそ銃の恐ろしさを理解している。だから闇雲に銃を許しているからと言って、それが無法社会へと直結するわけじゃないからな」

 

 一「身近にあるものだから、その意味を知っているからこそ……そういう意味ではアメリカは銃に関しては一番よく知ってる国なんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

  

 『ノーラッド・トラックス・サンタ』

 

 

 

 一「そろそろクリスマスか……今年も終わりか」

 

 蛇「俺より年寄り臭いことをいうなお前……」

 

 一「最近、オタコンにも「君、ちょっとお爺さんみたいなこと偶に言うね」って言われる」

 

 蛇「若いのに老化が早いのは感心しないな。訓練でもして体を若返らせたらどうだ?」

 

 一「……考えとく。それに、トレーニングをする前にサンタにならないとな」

 

 蛇「サンタに?」

 

 一「ああ、サニーとマドカにプレゼントを渡そうと思ってるんだ。二人とも、あの歳だけど「サンタはいない」って言ってるから、取りあえず雰囲気だけでもってな」

 

 蛇「サンタね……」

 

 一「サンタを信じてるのか?」

 

 蛇「昔はな。前にノーラッドがサンタを追尾しているって話をしたら、仲間に大笑いされたよ」

 

 一「え、なんで?」

 

 蛇「え……?」

 

 一「……ああ。そっか。スネーク、もしかして「ノーラッド・トラックス・サンタ」のこと知らないのか?」

 

 蛇「……初耳だぞ」

 

 一「ノーラッドがサンタを追尾してるって話。俺も最初はジョークだと思ってたんだけど、実は実際に今でもノーラッドがサンタを追尾しているっていうイベントがクリスマスに行われているんだ」

 

 蛇「そうなのか!?」

 

 一「ああ。事の始まりは冷戦真っただ中の1955年。当時ノーラッドの前身であるコーナッドで行われていたもので、それが今でも継承されているんだ」

  「当時アメリカの大手企業が子供向けのサンタクロースのホットラインを開設したんだけど、そのホットラインの広告の番号に誤りがあったんだ。なんの因果か、サンタのホットラインじゃなくて、それがコーナッドのホットラインの番号で、しかもそれが当時の司令官のホットラインナンバーだった」

 

 蛇「思い出してきたぞ……確か、それで子どもが誤ってそのラインに連絡を入れたから」

 

 一「軍事基地としてはただのいたずらか、それともって焦ったんだろうな。けど、司令官は「サンタは北極から南に向かった形跡がある」って答えた」

 

 蛇「それがノーラッド・トラックス・サンタの始まりか」

 

 一「始まりはなんて事のないいたずらだった。けど、それがやがて一つの流れとなった。当時、米国の防空網を請け負うノーラッドだけど、あまりに根詰めすぎると失敗にもつながるからな。ストレス解消の意味も含めて、このイベントを恒例化させたんだと思うぜ?」

  「それに、今でもノーラッド・トラックス・サンタは続いてて、もう六十周年になるんだ」

 

 蛇「ただの間違い電話が米国防空網を担う基地の恒例イベントになるとはな……しかも六十年も、とはノーラッドも相当暇なんだろうな」

 

 一「暇っていうより、何もないからこその娯楽なんじゃないか? ネットが普及した今では電子メール、動画、GPSなんかを使って追跡を続けてるって話だぜ。

 一人の子どもの間違い電話がこんなイベントになるなんて、電話した当人はどう思ってるんだろうな……って、どうしたボス?」

 

 蛇「いや。なんでもない……」

 

 一「……?」

 

 

 蛇「あの眼鏡(ヒューイ)……」

 

 


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