イナズマイレブン 光のファンタジスタ   作:suryu-

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どうも皆様、お久しぶりです。

suryu-です。

ええ、見事に体調を悪くしていました。春と冬の繰り返しによって完全に体力切れました。皆様も本当にお気をつけください。
また、オリジナルキャラの提案を皆様ありがとうございます。これからも当作品を宜しくお願いします!


妹の友人登場。その理由は?

■【三人称】■

 

 

 

「あーっ、負けたぁ」

 

「女子の集まりなのに、男子よりサッカー上手いんだよなぁ」

 

「一体どうしたらそうなるんだよ」

 

海鳴市にあるとある小学校。そこでは少女達が集まり男子に対抗するようにサッカーをしていた。

結果は女子側の三得点で、女子が圧倒的に勝っていたのだ。

そのメンバーはと言うと、なかなかの美少女の集まりで群を抜いて可愛いと思える。その中には、龍斗の妹。はやてがいた。

 

「よっしゃ。ウチらの勝ちやな! やったでなのはにフェイト!」

 

「うん。はやてちゃん。私たちの勝ちだね!」

 

「なのはの得点力は相変わらず高いよね」

 

なのはと呼ばれた少女は、茶髪のサイドテールを揺らしながらもえへへ。と、得意げに笑う。

フェイトと呼ばれた金髪をツインテールにした少女は、サッカーボールを手に持ちながらも楽しそうに。そして何かを想うように空を見つめる。

 

「なんやフェイト。もしかして龍にぃのこと考えてるんか?」

 

「ぅえ!? そ、そそ、それは!」

 

「妖夢さんがいても負ける気は無いわねーフェイト。ね、すずか」

 

「そうだねぇアリサちゃん。姉としてアリシアちゃんはどう思う?」

 

「略奪上等って所じゃないかな? 私としても良い男の人だから」

 

アリサと呼ばれた金髪を長いストレートにした少女は、すずかと呼ばれた漆のような黒と紫の混じったパーマのかかっているような少女と共に笑っている。

アリシアと呼ばれたフェイトによく似た少女はフェイトの姉らしく、金髪を靡かせながらもフェイトの肩を叩いた。

 

「まぁ、龍斗さんにアタックするならお姉ちゃんも手伝っちゃうよ!」

 

「私としては妖夢お姉ちゃんの事もあるから簡単に応援出来んけどなー」

 

そんな楽しげな会話をしているのだが、フェイトはもじもじとしたまま一枚の写真を取り出す。

その写真はジュニア時代の龍斗と共に撮った写真だ。まだ幼い雰囲気を残している龍斗とフェイトのツーショット。それはフェイトがずっと大切にしていた。

 

「なんやかんやでサッカー教えてくれたのは、龍にぃとリュークにぃやからなぁ」

 

「そうね。私たち女子サッカーのチームを作ろうって話をした時、手伝ってくれたのが二人なのよね」

 

「そうそう。で、妖夢さんも後に来てシュートとか教えてくれたし」

 

はやてとアリサ。すずかは思い出すように笑っているのだが、フェイトはずっと写真を見たままだ。

その様子を眺めていたなのはとアリシアは少し考えてからよし。と決めた。

 

「フェイトちゃん。龍斗さんに会いに行こうよ!」

 

「うんうん。それがいいかも!」

 

「え、えぇ!? 迷惑じゃないかなぁ」

 

「平気平気!」

 

なのはとアリシアはフェイトの手を取ると、勇気を出せるように後押しを重ねる。

二人は、龍斗とフェイトが結ばれればと思っている。その為には、フェイトを積極的にしなければならなかった。

と、そこではやてが少しばかり悩んだように手を頭に当てる。

 

「龍にぃなぁ。今は必殺技復活の特訓をしてるやろなぁ。最近復帰したはええけど、昔のように打てへんらしいんよ」

 

「それは厳しいわね……それなのによくやれてたわね」

 

「幸いにも、龍にぃは昔の下地があるからやな。普通のシュートでも相手のウイークポイントを攻めるのが得意やから」

 

「そういえばそうだったね。……ん?」

 

そこでアリサとすずかはフェイトを見る。思い出してみればフェイトにシュート技を教えたのは。

 

「そういえば、フェイトに必殺技を教えたのって龍斗さんよね」

 

「そうだね。そんなこともあったなぁ」

 

フェイトは思い出すと、にこやかに微笑んだ。とてもいい思い出なのだろうと理解できるのだが、自分が役に立てるのなら。と内心で考えていた。

そして、様子を見に行く事を漸く決めると、フェイトは行動に移すことにした。

 

「それじゃあ、今から行こっか。龍斗さんのところに」

 

「その気になったんだね。了解!」

 

「ふふ、久しぶりに会いに行くわね」

 

「皆で行こっか!」

 

「よーし、お姉ちゃんもついてっちゃうよ!」

 

「全く。龍にぃはもてもてやなぁ」

 

そんな女子達はなんやかんや言いながらも龍斗のもとへ向かう事を決めては早速行動する。

原動力のある乙女は強いとは言うが、それはさてはて龍斗の力となるのかは、神のみぞ知る所であった。

 

 

 

■【八神龍斗】■

 

 

 

「っ、まだか……」

 

くるりと紫蓮との試合を終えてから、ある程度のコツを掴んできたものの、僕は必殺技に出来ないことから焦りを感じていた。

ただ、くるりと紫蓮に会う前ほどの焦りじゃない。感覚も掴めたのだから、あとは形にするだけだった。

紫蓮のブルームショットは恐らく僕の必殺技を使いやすくしたものだと理解して、その動きを再現する。そこからあとはあの頃の感覚を思い出すだけなのだ。

 

「けど、足りない」

 

一体何が。どうして。そんな思いでボールを蹴るも答えは出ない。と、その時視線を感じて後ろを見ると、そこには妹達がいた。いや、なんで?

 

「龍斗さん!」

 

そんなことを考えていると、その中の一人が抱き着いてきた。名前は覚えている。フェイト・テスタロッサ。

僕がジュニア時代に、妹とその友達にサッカーを教えたけど、その中の一人。そして、唯一僕の必殺技を使えた女の子だ。

 

「お久しぶり。フェイト。どうしたの?」

 

そんな僕が、今では必殺技を打てない事を知っているかはわからないが、問いかけてみる。

どんな答えが返ってくるかは、今の僕にはわからない。けど、何か悪くない予感はしていた。

 

「龍斗さんが今は必殺技を打てないと聞いて、なにかお手伝い出来ないかなって」

 

「……え?」

 

「はやてちゃんから聞きました。龍斗さん。今とっても苦しんでるって。だから、私。龍斗さんのお役に立ちたいんです!」

 

はやてがその事を言うのも驚きだったが、そんな自分に幻滅せず、手伝いたいと言われて少し固まる。

だが、手伝いをしてくれるというのは嬉しかったし、言葉に甘えることにした。

 

「それじゃあ、フェイト。僕のシュートを見て、何か気になる所があったら教えてくれるかな」

 

「はいっ」

 

そうして僕はボールに向かって集中する。時の流れは遅くなり、ゆっくりと近づくように感じる中、右足を後ろに引く。

あくまでも初動は普通のモーション。そこからだ。ちょんと爪先で触ると軽く上げる。くるりとその場で回転すると足元に落ちてきたボール蹴る。

光を纏ったボールは回転しながらゴールに突き刺さるのだが、思ったように威力は出ない。回転力は上がってきているのだがどうにもなのだ。

 

「あっ、もしかして……」

 

「なにか気づいたの?」

 

フェイトはコクリと頷いた。そして、僕の代わりにボールに触る。そして、同じ動作をした。

最初は軽く爪先でボールを上げる。その高さに僕は違和感を感じた。その先くるりと回転しては右足で蹴ったその時だ。

 

”ゴッ!”

 

大きな音が響く。それと同時に光を纏ったボールは異常な程の回転と威力を見せる。これは、まさしく。

 

「僕の、シャイニングブラスト……」

 

フェイトの放った必殺技は、僕が嘗て開発した必殺技。シャイニングブラスト。

あまりの威力に当時は止められるキーパーが存在しないとまで言われたその必殺技は、僕が封印していたもの。

それをフェイトはこうして使っている。自分の教えた技を。

感動を覚えると同時に先程の違和感がなにかを探っていた。一体それは。悩んでいると、フェイトが手を取った。

 

「ボールを上げる高さですよ。龍斗さん」

 

「高さ?」

 

「龍斗さんは昔と同じ高さと回転で上げてるんです。でも、龍斗さんの体は成長してる。つまり……」

 

「……そうか。高さと回転。落下タイミングが噛み合ってないんだ」

 

そこまで気づけば、フェイトを撫でた後にもう一度ボールをセットする。フェイトは気持ちよさそうにした後に離れた。

今の僕の身長。そして力等を考えれば。今度は先程よりも高めに。さらに回転をかけてボールを上げる。

くるりと自分が一回転。先程よりも少し遅い回転だがこれでいい。

落ちてきたボールに集中すると、目を閉じた後にゆっくりと見開いた。

放つは必殺の一撃。何をも貫くその力。今秘めた力を、もう一度!

 

「シャイニングブラスト!」

 

溜めに溜めた光は今。一本の剣となって復活する。

 

”轟ッ!”

 

僕の放ったシュートは風を発生させ、更にはゴールネットを回転しながら突き抜けた。

あまりの光景にフェイトは口を開けたままぽかんとしている。遠目から見ているはやてとはやての友達もそうだろう。

 

「……あれ。もしかして、やり過ぎた?」

 

「り、龍斗……さん」

 

フェイトに名前を呼ばれて、本当に僕はやらかしたんじゃないかと思っていると、そういう訳では無さそうだった。

むしろ震えていると思ったら急に抱きついてきた。最近多いなぁ。

 

「凄い! 凄いですよ! 光のファンタジスタ。八神龍斗ここにありって感じで!」

 

「そ、そうかな? 僕は今はもうそこまでじゃ……」

 

「うぅん。龍斗さんしか出来ませんよ。昔も、今も。私はそう思います」

 

そんな事を言いながら僕のことを見るフェイトの瞳はとても綺麗だ。色とか、そういう意味じゃなくて、とても純粋に僕を慕ってくれている。

凄く有難いな。なんて思いながらも今はこちらからも抱きしめていた。

 

 

 

■【三人称】■

 

 

 

「フェイトちゃん。幸せそうだなぁ」

 

「あんな乙女の顔は久しぶりに見たわね」

 

「可愛らしいなあフェイトちゃん」

 

そんなフェイトたちを見つめているのはなのはにアリサにすずかにはやてにアリシア。という面々が見事に抱きしめられているフェイトの様子を口にしていた。

 

「あれやな。龍にぃは女たらし属性を持ってたんやな」

 

「いやー、お姉ちゃんもいいなって思うよっ」

 

そんな会話をしながらもフェイトと龍斗を彼女等は眺めていると、後ろから二人の人物がやってきた。

一体誰だろう? そう思って振り返った時には、にこやかな音無と妖夢がそこにいた。

そう、笑顔。笑顔なのだがなにか恐ろしいものを見ているような。

 

「あ、あの。妖夢さん?」

 

「えっと、マネージャーさんかしら……?」

 

「ふ、ふふ。ふふふ……」

 

「龍斗さん。……なぜ私でなくあの子を?」

 

妖夢と音無はそのまま龍斗とフェイトに近づいていく。そんな事にも気づけない龍斗とフェイトは抱き合っているのだが、妖夢と音無が龍斗の肩を掴んだ。

 

「……あ、あれ。妖夢? 音無さん?」

 

「龍斗さん。私たちと」

 

「少し、お話しませんか?」

 

「えっ、ちょ。まっ……」

 

その後、どうなったかは語るのはやめておこう。強いていえば、断末魔が響いた。とだけは言えるのだが。

 

 

 

■【豪炎寺修也】■

 

 

 

「おい。おい龍斗。木戸川清修との試合だぞ」

 

「ヨウムトオトナシサンコワイ」

 

木戸川清修との試合。というのに龍斗は何故かこのような状態が続いている。

何故かマネージャーの音無と妖夢のヤツのことを恐れているみたいだが、何かあったのかもしれない。

と、そこで妖夢と音無を見ると、なんともいい笑顔をしていた。

 

「豪炎寺さん。ツッコミはいけませんよ」

 

「そうそうっ。だから、ね?」

 

……今ばかりは、龍斗に同情していた。


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