どうも、suryu-です。
なんだかんだ言って十六話。UAがもうすぐ一万に到達しようとしているあたり、この小説にもファンがいるのかな。なんて勝手に思っていたり?
そんなこんなで木戸川清修の後半戦ですが、今回も奇稲田姫様。愛称姫様のキャラが活躍しています。
前回も言いましたが、木戸川清修がかませにならないためには仕方ないよね。是非もないよネって感じで書いてますが、結構楽しかったりします。
こんなふうに読者様から提案されたキャラを使うのは大変なんですが、大変なりの楽しみがあります。
これからも、もしかしたら投稿されたキャラを使うかもしれません。未だに投稿が来るのでとても嬉しいですよ。
そんなこんなで語りましたが、それでは、今回もごゆるりとなさってください!
■【三人称】■
「……後半。さらに点を取らなければ」
「そうだな、兄貴」
裕也とエミルの二人は、今現在ピッチに立ちながらも龍斗を見据えている。木戸川清修が同点になる事など、早々ない。それ故に、裕也とエミル二人を除いて、木戸川清修の選手達は多少の焦りを感じていた。
雷門中がここまで強いということは、誰も思いもよらなかったからだ。フィールドの魔術師と呼ばれる一之瀬や、妖夢に龍斗。豪炎寺に鬼道の存在を知ってはいても、ここまで噛み合うという事を、実際に相対するまで気づけなかったのだ。
「認めるぜ。あいつらは一流のプレイヤーだ。……ウチと兄貴ももっと本気を出さなきゃならねぇ」
「……同感だ。チームメイト達にも指示を出してくれ、エミル」
「分かってるさ、兄貴。……八神と鬼道を超えなきゃ、勝ち目はないからな」
「……勝つぞ」
「おう」
そんな二人を見ていて、イライラを隠せていないのが木戸川清修の武方勝。かつてはチームの中心だったはずの彼は、今はエミルと裕也に奪われたままなのだ。
「……俺達がやらなきゃ。みたいな」
だから、自分が注目されるようにならなければ。イライラと焦燥感が、今彼を動かす力になっていた。
そんな兄の勝を見ていて、弟の友と努は心配を隠せない。だから、どうにかしてエミルと裕也と和解しなければならない。そう思いつつも、後半戦になる前に、彼らは二人に話しかけた。
「ちょっといいですか?」
「相談があるんだ」
「ん?」
「……」
そこまで言うと同時に、彼らは頭を下げる。それが最善だと信じて。
「俺達に、シュートを決めさせてくれないか?」
「兄さんは、以前はチームの中心だったけど、貴方達が来てからそれを奪われたと感じてるんです。……貴方達が褒めれば、何か変わるかもしれないんです」
「……なるほどな」
そこまで聞くと、裕也とエミルは少しばかり悩んだように頭に手を当てる。
裕也とエミル自身の活躍が、勝のプライドにここまで響いているとは、とても考えられなかったのだ。
だが、そこから先の判断は早かった。やれることをやるだけだと、そう決めて。
「なら、いい案がある。ウチらとシュートを繋がないか?」
「……え?」
■【八神龍斗】■
「……さて、どうなることやら」
後半戦。今回はミッドフィールダーとして、妖夢も加えて開始する。僕はその開始時に何か起きる。そんな予感がしていた。
具体的には何が起きるか。という所だけど、裕也さんとエミルは、きっと攻勢に出てくる。それをどうにか止めなければ、勝利に至るまでが大変な道程になると、内心で分かっていた。
"ピッ!"
ホイッスルの鳴る音が、後半戦の開始を告げる。さて、どう来るか。相手の手を読もうとした時、僕は少し油断していたことを悔いた。
「行くぞ!」
前線の武方三兄弟が、キックオフで後ろに下げた後、一気に上がってくる。
そう言えばこの三つ子は、連携プレーが得意という事を事前に聞いていたから、一度パスが回れば危ない。
僕はそう思うと同時にパスコースをカットする動きに回った時だった。
「まて、八神! アイツらが来る!」
「っ、そうか!」
そこで、もう一つの相手のキーを見過ごしていたことに気づく。
エミルさんと裕也さんだ。あの二人がこの状況を、見逃すはずかない。
「兄貴。もう一点はもう一点だ!」
「……あぁ。俺達木戸川は……絶対に負けはしない!」
「ウチらの想い。止めれるもんなら……」
「……止めてみろ!」
二人がボールを斜め前に蹴りあげると、ボールが黒と白のオーラを纏う。そして二人はそのまま走り込んで蹴り放った。
螺旋を描くように、白と黒のオーラと共に、高い威力をもったそれは。
「マーブル!」
「スパーク!」
「っ。止めてみせる!」
「俺もやるっす! ここで……ザ・ウォール!」
僕は蹴り返そうと足を伸ばし、壁山さんは必殺技で軽減する。
だが、そこで予想していなかったことが、目の前で起きた。
「行けっ! 勝。友。努!」
「言われなくても、みたいな!」
シュートの軌道が少し逸れたかと思えば、木戸川清修の武方三兄弟の足に収まる。それを蹴りで繋げた技は……
「トライアングルZ!」
「っ、ゴットハンド!」
あのシュートにチェインして合わせられるのかという驚きと、三つ子の連携から生まれた、威力のあるシュート。それらが合わさって円堂先輩のゴットハンドに当たり、突き破る。
二点目。再びのリードを許してしまったことに対して、しまったという気持ちと、それなら必ず追いついてみせる。という意思を燃え上がらせた。
「エミルと裕也に、勝が合わせた……」
「……そうだよな、忘れた訳ではないけど、やっぱり俺達のキャプテンではあるんだよな」
木戸川清修が今のプレーにより士気が上がりきる前に、追い抜かないとならない。
ならば、どうするか? 答えは既に出ている。ボールをセンターサークルに置くと、僕はきっと猛禽類のように笑った。
「妖夢。取り返そうよ」
「勿論です。私と貴方ならば、それが出来る」
僕達のボールから再開される。豪炎寺さんが触り、僕が妖夢にボールを渡した後だ。
風の如く、二人で駆け上がる。まずはフォワード三兄弟を、パスワークで切り抜ける。
「なんだこいつら!?」
「早すぎるっしょ!?」
妖夢と僕の二人は、昔のように二人でピッチを舞う。こうしてサッカーをするのは、復帰してからまだ少ない。けど、こうして合わせられるのは妖夢だからだ。
ミッドフィルダーは股の下を通す股抜きで躱す。これくらいならまだまだ余裕だ。
「なんなんだよ、それ!」
「と、止めるぞ!」
ディフェンダーはボールを持った妖夢を止めに近寄ったその時だ。妖夢は風を纏ったかと思えば、一気に間目指して駆け抜ける。
強い風が妖夢の周りを一周すると、敵ディフェンダーを通り抜ければ、吹っ飛ばした。その必殺技の名前は。
「風車!」
「ナイスだ妖夢!」
「はい! あとは決めてください!」
そして追い抜くタイミングでボールを受け取ると、僕は爪先でボールを上げる。そう。この始動は僕が思い出した必殺技。
くるりと回って落ちてきたボールをダイレクトにシュートすると、光を纏ったボールは回転と威力と共に、貫く剣となる!
”豪!”
「シャイニングブラスト!」
『出たァ! ついにこの技が戻ってきた! 伝説の八神龍斗の復活だ!』
実況の声が聞こえ、観客のどよめきが聞こえる。そうだ。僕はこの感覚を思い出して、とても嬉しく思う。
嘗てのように試合の中で注目をされる中で、ファンタジックなプレーをする。
それが僕のピッチでの生き甲斐なのだ。それを再び感じながら、ゴールに突き刺さるボールを見た。
「ははっ。結構待たせたけど、お待たせってね」
『ゴォォオオオル! 光のファンタジスタ! ついに完全復活! 誰がこの威力を予想できたでしょうか! キーパーを吹っ飛ばすどころか、ゴールに入ってなお回転するボール。これが世界に認められたプレーヤー!』
実況が解説する中で、エミルさんに裕也さんは面白いものを見たという顔をしながらこちらを見る。借りは返させてもらった。
「へっ、あれが八神龍斗か。残り二十分。逆転させてもらおうじゃねえか。な、兄貴」
「……あぁ。奴を超えて、木戸川清修は勝ち進む!」
そして、僕達の試合は続く。未だどちらも得点を決められないまま、同点であと五分になった。そして今僕がボールを持っている。これが、ラストチャンス!
「行くぞ!」
試合を。ピッチを俯瞰的に見る。高い所から見下ろすイメージを出せば、上がってくる三人に気付いた。
円堂先輩。一之瀬さん。土門先輩。その三人が揃うのならば!
「頼みますよ! 円堂先輩達!」
「おう!」
「俺達に任せてくれよ!」
「これで決める!」
その三人の前に、木戸川清修の西垣さんというディフェンダーが立ちはだかる。三人を止めるつもりだ。
「やらせない! スピニングカット!」
蒼いバリアのような膜が形成されるが、三人は吹っ飛ばされないどころか、トライペガサスの色が変わり、これは……
「俺達は勝つんだ! ザ・フェニックス!」
不死鳥が舞い上がる。そのシュートを止めようと、武方三兄弟や裕也さんにエミルさんがゴール前にて立ち塞がった。
「冗談じゃないっしょ!」
「このままじゃ木戸川清修が負ける!」
「そんな訳にはいかない!」
「ウチらで止めるぞ!」
「ああ!」
そして、五人のブロックで威力は弱まる。だが、そこで終わらせない! なぜなら、僕と豪炎寺さんがいるから!
「豪炎寺さん!」
「あぁ。龍斗!」
僕はザ・フェニックスを豪炎寺さんとのツープラトンシュートで押し込む。そして、ゴールキーパーごとボールはゴールネットに刺さった。
「……やられちまったか」
「……無念だ」
ホイッスルが三回鳴る。試合終了だ。僕と豪炎寺さんは拳を合わせる。僕達なりの会話の一つだ。
そんな中吹っ飛ばされた武方三兄弟の所には、木戸川清修のチームメイトが起こしに行って褒めているのが目に映る。良いチームだと、敵ながら内心で褒めた。
「それにしても、龍斗。よく合わせたな」
「当たり前じゃないですか。豪炎寺さんの動きは、ジュニア時代から見てますから」
「ふっ、言ってくれるな」
そんな会話をする僕達の所にエミルさんと裕也さん。武方三兄弟がやって来た。
どうやら、晴れやかな表情をしているから、お互い清々しい気分で会話出来そうだ。
「豪炎寺クン。聞いたぜ、妹さんのこと」
「誤解をしてしまっていたようですね」
「お前ら……」
「ったく、相変わらず上手いプレーだぜ。ウチも楽しかった。八神龍斗」
「……俺もだ。久々にワクワクした」
「裕也さん。エミルさん。僕もですよ」
僕らはこうして試合を終えた後、談笑出来る時間が好きだ。お互いが全力を出した試合ほど、こうして話す事が楽しく思える。
「それにしても、ウチらを負かしたんだ。絶対に決勝で勝てよ!」
「……あぁ。俺達は負けはしたが、お前らを応援するくらいは出来る」
「ありがとう。裕也さんとエミルさんに言われたんならね。特に美人に言われたんだ。やらなきゃね」
「なっ!?」
そんならしくない事を言って微笑んだ後に、空を見る。やっぱりサッカーは楽しいなぁ。
■【影山零治】■
私は、どうしても彼の試合を見てしまう。サッカーをあれ程憎んでいたはずなのに。
どうしてだろうか。彼のプレーは、私の父も彷彿とさせる。
何故だろうか。彼は私に、サッカーの希望を教えようとしているようにも見える。
だから、私はその希望を拒むように、彼をサッカーから切り離すようにした。
だが、彼は戻ってきた。八神龍斗。彼はまた、相棒の魂魄妖夢と共に。憎き雷門と共に。こうして、私の前でまたもや希望を見せる。
「……私は、サッカーが好きなのか?」
自問自答するも、答えは見えない。プロジェクトZはあの人により推し進められたものだ。
サッカーを憎んでいると思っていたはずだから、私はこれを受けた筈だった。
だが、本当にそうなのだろうか。よく分からなくなりそうだ。
……私は、サッカーが好きなのかもしれない。だが、そのサッカーを悪事に使う。
「本当にこのままで良いのか?」
私は、自分の心を分かっていない。先のことが見えていない。
だが、彼と直接対決をすれば、気づけるかもしれない。サッカーに対しての思いが。
それ故に、プロジェクトZを用いて、雷門に挑戦させる。雷門に居る、八神龍斗に。
「……見せてくれ、八神龍斗。お前の放つ、希望を」