どうも、suryu-です。
いやはや、最近はとても忙しく、小説を書く時間も取れない上、休みの日は眠るしかできないという。
ストレスが原因かなーとか思いながらもこうして続きを書けてちょっと安堵してます。
そんな状態ですが、今回もごゆるりとなさってくださいな。
■【音無春奈】■
合宿初日の夜。私は少し上機嫌だった。そのお陰で、興奮して眠れていない。
八神さんは、絡まれた時に助けてくれて、私の事を大事と言ってくれた。私はそれがとても嬉しかったし、期待を持てる。
もしかしたら、妖夢さんだけでなく、私の事も見てくれるんじゃないかって。
「八神さんの、大事な人。かぁ」
正直言ってとっても嬉しい。八神さんは今まで基本、妖夢さんの名前が多く出ていたから。
勿論、妖夢さんが嫌いな訳じゃない。八神さんが妖夢さんと過ごしてきた時間を否定するわけでもない。
ただ、私のことは目に入らないのかな。なんて、思ってた。けど、そうでないことも分かった。
「八神さん。私の事を意識してくれてますよね」
きっと、おそらくだけど。そう信じたい。でも、一体何が八神さんの心に触れたんだろうか。そこはまだ分かってない。
でも、これなら妖夢さんに負けないかもしれない。そう思うと、俄然勇気が湧いてきた。まだまだやれる!
「お兄ちゃんにも、相談してみないと……八神さんの事。何か教えてくれるかもしれないし」
そう決めたら一直線。お兄ちゃんに早速メールを送って……って、返信が早いっ!?
「えーっと、"八神は豪炎寺と妖夢に弱い。あとは女心に対しては鈍感だから、押すしかない"……妖夢さんは分かるけど、豪炎寺さんに?」
そういえば、何かと豪炎寺さんは、八神さんに色々言う度、八神さんはそれをこなしていたような。
勿論パシリとかそういうのじゃないんだけど、豪炎寺さんのウォームアップ相手は基本八神さんだ。
豪炎寺さんの相手なら、お兄ちゃんでも出来る。でも、豪炎寺さんは何かと八神さんを指名していた。
なんとなく信頼関係があるんじゃないかな。なんて思っていたら、ちょっと納得できた。
「豪炎寺さんにお願いしたら、八神さんが聞いてくれるかも。これは大きいなぁ」
八神さんは基本、断ることは無いんだけど、もしもの時は。程度に考えておく。
自分からお願いするのが普通だから、余程の事がない限り、使わないと決めた。
「それにしても」
最近練習をしている時の、写真を撮ることにしている。その中で一番多いのが、八神さんの写真。
どれだけ自分が、八神さんに惹かれているか分かる事実だ。
因みに、自分でも意外なのは妖夢さんの写真も結構多い事。
サッカーをしている時の妖夢さんは、凛としていてカッコイイ。素直に憧れるから、いつの間にか沢山増えてしまった。
ライバルだけど、憧れる部分もある。それに、仲も悪い訳じゃないし、お互いがお互いを理解しようとしている。
「妖夢さんは、私も好きだなぁ」
そんな事を呟くと、後ろからぽんぽんと肩を叩かれた。
「そう言ってくださると、嬉しいですね」
「あ、妖夢さん」
どうやら、妖夢さんは私に話があるのか、合宿中での私の部屋に、いつの間にか来ていたようだ。
ノックの音さえ聞こえないくらいに、私は集中していたらしい。
「それにしても、音無さんも龍斗さんが好きなんですね」
「はい。いつの間にか惹かれちゃって」
「ふふ、分かりますよ。私もです。幼馴染みとしてすごしていたら、いつの間にか欠けてはならなくなりました」
妖夢さん。案外私と近い所があるのかも。なんて思いながらも、妖夢さんに体を向けた。
「妖夢さん。妖夢さんはやっぱりこの時を待ち望んでいましたか?」
「それは勿論ですよ。こうして龍斗さんとサッカーを再び出来ること。それは何よりも望んだことです」
「ですよね。サッカーは絆ですもんね」
妖夢さんは私の言葉に頷いた。サッカーは八神さんと妖夢さんの絆。それを知ったからこそ、重みが分かる。
そんな私を見て何を思ったのか。妖夢さんは私を見て微笑む。
「龍斗さんはきっと、音無さんのこともちゃんと見てますよ」
どうやら、私が先程まで考えていたことを、妖夢さんは理解していたみたい。
私の求めていた答えを、改めて再認識した所で、お礼を言う事にした。
「妖夢さんからそう言われると、そうなんだって分かるから嬉しいです。龍斗さんの幼馴染みだから、考えていることが分かるでしょうし」
「ふふ、そうですね」
妖夢さんは、穏やかな笑みを浮かべたままだ。それにしても、妖夢さんと話すのは楽しい。だから。一つ思いついたことがあるから、提案してみよう。
「妖夢さん。今晩は一緒にお話しませんか?」
「勿論良いですよ。久しぶりに夜ふかししたくなりました」
「そうこなくっちゃ!」
こうして私達は夜を過ごす。それが乙女の楽しみなもかも? なんて、ねっ。
■【豪炎寺修也】■
「やっぱり、龍斗のやつは頭一つ出ているな」
龍斗と久しぶりにサッカーをしてから思っていたことは、この一つだ。
俺や円堂達と違って、一人だけ基礎力がとてつもなく違うのは目に見えている。
その証拠が、個人技だけで必殺技をかわす能力があるという事だ。
「俺ももっと練習しなきゃならないな。……くるりや紫蓮の奴も、強くなっていたしな」
かつてのチームメイト。舞鶴くるりは、練習試合の時には円堂のゴットハンドを破る強さを見せた。
龍斗の元チームメイト。花月紫蓮も同様だ。俺がまだまだであることを、感じ取れた一戦でもあった。
まだまだやることは沢山ある。龍斗と勝負していた時よりも。今よりも。前へ。前へ。
「さて、久しぶりに基礎の基礎からやるか」
リフティング。ボールコントロール。次第にそれは個人技へとシフトしていく。
忘れていた感覚を、龍斗の顔とともに思い出す。ここ迄基礎練習に熱くなったのは久々かもしれない。
そんなことをしていると、いつの間にか龍斗が立っていた。驚いたものを見るような顔つきで。
「なんだ、見ていたのか」
「はい。基礎練習をここまで熱くやっている豪炎寺さんは久しぶりなので、どうしたのかなーって」
嘘偽りのない言葉だろう。それを向けられて俺は笑う。
「お前のお陰さ」
「……え? 僕の?」
それは本当だろうか。と問い詰めたそうな顔をしているのは確かだ。
勿論、俺も自分がここまで熱くなることが予想外だったが、楽しくなってしまった。
ボールを蹴る喜びを。少しずつ個人技のキレが上がることを。そういう物が、繋がり始めるからだ。
「龍斗。お前の個人技を教えてくれないか? 動画等では見た事があるとはいえ、お前ほどキレがあるのはA代表の選手しか居ないからな」
「ちょ、どうしたんですか豪炎寺さん!? それに僕はそんな凄くないですって!」
「光のファンタジスタが何を言ってるんだ。……それに、俺はお前を認めてるからな」
俺の言葉に「え?」と口を開けてぽかんと呆けたその顔を見て、こいつは本当に、自分の強さには無頓着だな。とつくづく思う。
だからこそ、だが。俺は此奴を越せるようなプレーヤーになる。そう決めた。
「それにしても、個人技って何を?」
「お前の代表的な、マルセイユルーレットや、エラシコ。逆エラシコ。それに、たまにシャペウやチップキックとかもやるだろう?」
「ああ、後半は爪先でコントロールするのを練習してますからね」
「なるほどな」
だから、こうして話しながら、此奴の技を見て。吸収して。いずれは超える。そういう意気込みで行った方がいいだろう。
「それじゃあ、こんな感じでボールを爪先でコントロールする事から始めます」
「あぁ」
こういう時間を続けて、俺は龍斗の事を理解していく。超えるだけじゃなく、龍斗個人を知る。その上で、きっと先に繋がるんだろう。
俺はただ超えるんじゃなくて、こいつのライバルになりたいのかもしれない。その時は、真正面から真剣に、熱くなるような対面すればいい。
そんな考えを持ちながらも、龍斗の基本的な技を使えるようにしていく。
「さぁ龍斗。サッカーやろうぜ!」
「はいっ」
■【久遠冬花】■
「……マジン・ザ・ハンド。まだ出来ない、か」
「何か違う所がまだあるのかな?」
私は今、守君と、マジン・ザ・ハンドの練習を進めるために、特訓ノートを見続けている。
龍斗君とかにも聞けば、まだまだ何か改善点が見つかるのかもしれない。でも、それはしなかった。
「簡単に答えにたどり着くのは、違うよな」
守君の言葉に、龍斗君は驚いた顔をしてから、そうですね。と笑ってくれた。
元々そこまでキーパーのことは分からないと言ってたけど、それでも一番いい意見をくれたから。
「ようは気なんじゃないですかね? 何とも言えないけど」
その言葉を信じて、守君は気を高める。するとどうだろう。どんどん守君は、マジン・ザ・ハンドのコツをつかみ始めた。
でも、ある程度から先に進まない。その為に、こうきてノートを読み返している。
「それにしても、助かるよ、ふゆっぺ。俺一人じゃどうにもならなかったかもしれないし」
「ううん。私は守君の役に立てるなら嬉しいよ」
「そっか。そう言ってくれると嬉しいな」
こうして、時間は過ぎていく。守君はまだまだ練習を続けるし、勿論私もそれに付き合う。
守君を支えたいから。それに、秋さんや夏未さんにも負けられない。
あの二人は、守君が好きなんだ。だからこそ、私も頑張らなきゃ。
そんな時だった。グラウンドに出て、一之瀬さんや鬼道さんなどのシュートを受けていると、一人の男の人? が空から降りてきた。
「八神龍斗はいるかな?」
「……そのユニフォーム。世宇子中の」
鬼道さんは忌々しそうに男の人を見ている。龍斗君に興味があるみたいだけど。
「無駄な抗いはやめるべきと言いに来たのと、八神龍斗の実力を見に来たんだが、居ないようだね」
「八神だけじゃない。雷門は負けない!」
守君が反論すると、「それじゃあボールを受けてみるといい」と言って、ボールを持った……!?
いつの間にか、ボールと男の人が消えて、ボールが守君に直撃していた。
一体どうしたら、こんな一瞬で。そう考えるも答えが出ない。
守君が大丈夫か。そう思って駆けよると、立ち上がった。
「っ……まだ、終わってねぇ!」
「無駄な事を。まぁいいさ、決勝で会おう」
そう言って、男の人はどこかに行ってしまう。悔しそうな守君を、私は見つめることしか出来なかった。