しばらく見ない間に、イナズマイレブン小説界隈の入れ替わりが激しくて、今更戻ってきても平気なのか戦々恐々としております。
そんな私ですが、皆様が再びこの作品を閲覧してくれることを、切に願っております。どこかのタイミングで閲覧してくれた方は、再びごゆるりとなさってくださいな。
■【三人称】■
「では、フットボールフロンティア優勝校。雷門イレブンの皆様に、コメントを頂きましょう!」
雷門イレブンはフットボールフロンティアで優勝したことにより、それぞれ取材を受けることになっていた。女性レポーターは、まずは円堂にマイクを向けると、質問することを一瞬だけ考えてから、口にする。
「それではまずキャプテンの円堂守君。フットボールフロンティアを優勝して、どんな気持ちですか?」
「えっと、まずは嬉しい。かな。それと、皆よく頑張ってくれたなって」
円堂は、若干緊張しているもののの、それでも質問に答える姿勢を見せる。レポーターも、それならば。と、次の質問に移ることにした。
「伝説のイナズマイレブンの再来と言われていますが、無名だった雷門イレブンがここまで来れたのは、どう思いますか?」
「それは、特訓の成果でもあるし……俺以外に、豪炎寺や鬼道。一之瀬や八神も、引っ張ってくれたからだと思います。皆、あいつらのプレーをどうやって超えるか。とか考えてたから」
「なるほど。スタープレイヤーが居たことも、影響しているんですね」
「そうですね。でも、やっぱり最後は皆の頑張りだから、俺は皆を褒めて欲しいかなって」
「分かりました。円堂君、ありがとうございます」
そうして、円堂のインタビューが終わると、次々と皆にインタビューをしている。そして龍斗の番が回ってきて、龍斗はいつもの様に自然体で、インタビューを受けることにした。
「それでは、今大会のもう一人のヒーロー。八神龍斗君に、インタビューさせてもらいましょう!」
「ヒーローかぁ、そんな大層じゃないんだけどなぁ……」
「いやいや、ヒーローですよ。無名の雷門中に突如現れて、そこから伝説と呼ばれたプレーをもう一度披露したんです」
「や、本当に褒めすぎです。恥ずかしいです」
レポーターの女性は、なんとなく可愛いな。なんて感想を抱きつつも、本題に移る事にした。
「八神君は、長い間ブランクがあったはずですが、どのような特訓をして、今の段階まで戻したんですか?」
「まずは、基礎から徹底的にやりました。足先のコントロールを良くするために、リフティングやドリブルしながら走り続けたり。あとは、個人技……有名なものですが、エラシコやマルセイユルーレット。シャペウ。ヒールリフト……やれる限りの事を詰め込みました」
「なるほど、とにかく感覚を戻すことから始めたんですね」
「そうですね、必殺技云々以前に、基礎的なテクニックや、ちょっとした技を実践で使えるようにするのは、大事でしたから」
なるほど、と記者達もメモをする。レポーターはここまでしっかりした返答は、久しぶりだなと思いつつ、次の質問に移ることにした。
「では、さらにもう一つ。八神君は、参考にしているサッカープレーヤーはいるんですか?」
「参考にしている、プレーヤーですか」
今までのメディアは、その辺を聞いてなかったはず。彼女はだからこそ、そんな質問をしたのだが、どんな答えが帰ってくるか楽しみにしていた。というのも、彼女は若手ながら、沢山のサッカー選手を取材してきた。その時に参考にしていたプレーヤーを知ることで、さらに深く選手の事や、その選手の参考にするサッカー選手を理解する事が出来る。だから、答えに期待を膨らませるのだ。
「……影山東吾と、新しい日本代表のファンタジスタ。坂本徹平。それと……ETUの星と言われた、達海猛、ですね」
「なるほど、ありがとうございます!」
■【八神龍斗】■
「……あのフットボールフロンティアから早一日か。まったく、本当によく優勝できたよな、僕達」
体がなまらないように、いつものように僕はボールを転がしながら歩く。車に気をつけながら、ゆっくりと進んでいるのだが、雷門中に今日は用がある。なにせ、昨日のテレビ取材が放送されるから、みんなで見ることになったのだ。
すっかり馴染んだと感じるのは、僕が皆を信頼しているからかもしれない。まぁ、相変わらず豪炎寺さんとかには全く逆らえないし、そこら辺の力関係は変わってないんだけどね。で、今日も雷門中に向かってる途中に、一人の女の子に出会う。
「おはようございます。八神さん」
「おはよ、音無さん」
サッカー部のマネージャーの一人である彼女は、僕にとって大切な存在だ。だって、帝国の時とか、その他でも彼女からは勇気を貰っている。妖夢とも近い存在、なのかもね。
「それにしても八神さんも、朝が早いですよね」
「あはは、まぁね。僕は自主練もしてるしさ」
「あ、そうですよね。ランニングもしてるって言ってたし……」
そんな話をしていると、いつの間にか到着していた。サッカー部の方に向かうと、妖夢の姿が見えた。
「……遅いですよ、龍斗さん」
「……なんか不機嫌だけど、どうしたの?」
そんな彼女は、なんとなく不機嫌オーラを出していて、音無さんはなんとなく嬉しそう。よくわからないけど、とりあえず部室に向かう事にした。触らぬ妖夢に祟り無し。
「とでも考えてませんよね? 龍斗さん」
「……なんで分かるのさ」
「付き合いの長さを考えて下さい」
とりあえず、何時ものように妖夢は僕の腕に抱きつく。まぁ、こういう所が可愛いから、離す気にはならない。そうすると、大抵音無さんが反対の腕に抱きつく。なんだろう、この光景は慣れてきた気がする。そのまま部室に入ると、鬼道さんは苦笑いして、僕の事を迎え入れた。
「……相変わらず、苦労しているな。八神」
「もう慣れましたよ、僕は」
「……いや、そこは慣れていいのか?」
「うーん、多分ですけどね」
むしろ、二人の体の感触とか、意識するよりマシだと思うんだけどなぁ。だって、いちいち気にしてたら後が大変だし。とりあえず鬼道さんは、なんとなく苦労してるな的な目線を向けてきて、きっちり三つ並んだ椅子をあけてくれる。うん、なんだかんだ言って優しい。
「それにしても一人遅れてるみたいですね」
「いつもの事だ、一人遅れるとしたらあいつしか居ないだろう」
「……あいつ?」
鬼道さんの返事には、なんとなく覚えがある。そういえば、いつも大事な時に限って、あの人は遅れてくるんだよなぁ。いや、御影専農の時の、僕が言えたことじゃないんだけどね?
「待たせたな」
「遅いぞ、豪炎寺!」
部室内で、既に待機していた面々のうち一人。円堂先輩が、豪炎寺さんを手招きする。相変わらず、遅れる癖はまだあるんだなぁ。
そんなことを考えてたら、睨まれた気がする。うん、僕が悪いからさ、許して。ね? ね? とか考えてたら、テレビ放送が始まった。
「お、今までの試合のハイライトだ!」
「うわ、野生中相手の一回戦、円堂先輩あんなゴールを守ってたのか……」
僕は野生中の時だけ居ないから、それを知らなかったけども。帝国と張り合ったあそこを封じるのは、大変だっただろうなぁ。
「それにしても、やっぱりハイライト見てたら分かるけど、円堂と八神。豪炎寺の三人が、一番多いよな」
「あれだな。スーパープレーも多いし、八神と豪炎寺は顔もいいし、円堂はキャプテンだし人気だし」
そんなことないんですけど。なんて僕がツッコミしようにも、他の人まで否定することになるから、なんとも言えなくなった。と、そのあとは女子組のシーンになった。なになに、美人マネージャーと、美人選手?
「ああ、音無さんたちと妖夢か」
「みたいですねっ」
「いつ、撮影したんでしょうか……」
音無さんは嬉しそうにしていて、妖夢は色々気にしていて。まあ僕は撮影した人を知ってて、なんとも言えないんだけどさ……確か夏未さんの執事だもんね、あの人。とりあえず、放送を見ていて優勝したことを僕に実感させた。兄さん。どこかで見てるかなあ?
■【音無春奈】■
「ねえ、八神さん。少しいいですか?」
「ん、なんだい?」
テレビ放送も終わって、なんとなく皆が色々な話をしてる中、私は八神さんを連れ出した。今なら、誰にも見られることなく、話をできるかもしれないから。
「ねえ、八神さん。私達って同学年ですよね?」
「まあ、そうだね」
「それに、今はもう結構長い時間を、一緒に過ごしましたよね?」
「……そうだけど、どうしたの?」
少しでも、距離を縮めたい。あわよくば、なんて考えもある。少し恥ずかしいけど、それでも私は進まなきゃ。だって、そうでもしなきゃ勝てないもの。だって恋は戦争なんだから。
「私のことを、名前で呼んで欲しいなって……それと、私も敬語を外していい、かな?」
「ああ、なんだ。そんな事か。ふふ、僕は大丈夫だよ」
「それじゃあ。普通に話して普通に……ありがとう、龍斗君」
改めてみると、なんだか照れくさい。けど、それがなんとなく心地良い。八神さん……ううん、龍斗君も、多分そんな気持ちなんだろう。いつもと違い少し恥ずかしそうに、頬をかいた。
「ん。こちらこそ。春奈」
「ふふ、龍斗君……」
「……春奈?」
このまま、このまま龍斗君と距離を縮めて、ゆっくり、ゆっくり。距離をゼロにするために、手と手が触れる。あと少し、あと少しで__
”どんがらがっしゃーん!”
「うわ!?」
「きゃっ!?」
いけたのになぁ。いつの間にか、見ている人がいたみたい。そして、重なって倒れているところを見る限り、何人も、なんだろうなぁ。キャプテンが居ないのは意外だけど、その代わり豪炎寺さんは居るみたい。妖夢さんは、その後ろからでてきた。
「まったく、油断しました。危ない危ない」
「……もしかして、重なってる皆を倒したのって」
「はい、私です」
妖夢さんは悪びれることも無く、クスリと笑っている。悪戯は成功したから、それでいいと思っているのか、それとも。龍斗君は渡さない。という意思表示なのか。どちらにしろ、一本取られたかな? 本当に手強いライバルだなぁ。
「とりあえず龍斗さん。少しお話しませんか?」
「……あのー、妖夢?」
「大丈夫です。普通のお話ですから、ええ、大丈夫です」
「アッハイ」
まあ、今回はダメだったけど、いずれ龍斗君と。なんて考えたら、また頑張ろうって思える。とりあえず、龍斗君を妖夢さんから助けないと、ね!