展開が書いていて早いような気もしますが、あまりにも初代イナズマイレブンがうろ覚えなためにしっかりと、詰め込めるのが2と3という……それでもゆっくりと書き続けるつもりです。
それでは今回もごゆるりとなさってくださいな。
オリキャラ枠他に追加するかなやんでるのは、内緒ですっ!←
■【八神龍斗】■
新しい監督はどうするんだ。という問題に目がついてから一日経った。あれからというものの職員室等をあたったりしたが引き受けてくれる先生は居らず自分達は困っていた。
帝国学園と戦うのは明日。ということから自分も何とか探していたのだがめぼしい人物は居ないために仕方ないから腹が減ったと商店街のラーメン屋。来々軒に立ち寄る事にした。
「失礼しまーす」
「……らっしゃい」
「あれ? 八神じゃないか!」
すると。何故か自分の目の前にいたのは円堂先輩。ここの常連なのかなーと思考を回しながらも席に座る。
メニューを見てから久しぶりに食べるラーメンと言うことで少しばかり豪華にしようと頼むものを決める。
「すいません。チャーシューメンください」
「あいよ」
かく言う自分は前から食べ歩きなどを趣味としている事からこうして地域の店を訪問する事が好きだったりするために、今日はどんな食にありつけるか。成長期によって空かせた胃の辺りを撫でながら楽しみに待つと決めた。
そんな自分に何を思ったかは知らないが、円堂先輩は自分の隣に座る。先輩も何か注文するのかなーと思いきや、真剣な目をしていた。
「八神も響木さんに監督になってもらいに来たのか?」
「……はい?」
「え、知らなかったのか? 響さんはイナズマイレブンのGKだったんだ!」
「な、なるほど」
真剣な顔から告げられた事実はなんとも現実味を帯びていないのだが、そういえば確かにイナズマイレブンは四十年前程の伝説だから有り得なくはないかと響木という名前の店主を眺める。
黒い被り物に白髪。黒丸のサングラスに目元に傷。白髭はなんともふさふさしていて、体格はかなり大きい。そして、何となく。だけど風格も感じられた。
「チャーシューメン。あがったぞ」
「あ、ありがとうございます」
取り敢えず今はラーメンに集中しよう。円堂先輩は何か言いたげにしている気もするがどうあがこうが自分の視界にあるものはラーメンなのだ。
まずはスープを一口。うん。これは予想外に美味い。醤油味だが旨味がありつつもあっさりと食べることが出来る。
麺に関しては茹で加減は最適。メンマもしゃきりとして歯ごたえも良くさらには焼豚はとろりとしている。これぞラーメンと言える逸品なのだ。
とかなんとか考えているといつの間にか円堂先輩と店主の響さんが言い合っていた。いや、なんで?
「八神! お前も響木さんが監督になってくれるよう説得するのを手伝ってくれ?」
「……ゑ?」
食べ終わってから数分後である。店の近くの空き地へと誘導されるとそこにはなんとサッカーのゴールが置いてあった。
いや、なんでこんな空き地に普通においてあるんだろうとか、ツッコミすると間に合わないから今は気にすることをやめた。それにしてもどうやって説得するのだろうか。と思っていると響木さんは、どこからかボールを取り出して地面に置く。
「円堂。お前がまずは俺のシュートを三本止めてみろ!」
「望むところです。響木さん!」
どうやらこの流れだとPK対決をする事になるのだろうと理解をした上で言ってはなんだが中年男性である響木さんが例え元イナズマイレブンであろうとそこまでのシュートを放てるのだろうかという疑惑はあった。が、それはすぐに無くなった。
「いくぞ!」
「っ、熱血パンチ!」
「……嘘、だろ?」
ボールはドゴォ! という激しい音とともに円堂先輩の元へと飛ぶ。熱血パンチという炎を纏った拳で殴る技で辛うじて止められたそれは紛うこと無き強さを持ったシュートである事が見受けられた。
身体が震える。悪い意味ではなく、興奮を覚えたからだ。
「もう一度だ!」
「熱血……パンチ!」
二本目も円堂先輩はその手で止める。こんな勝負は久しぶりに見た。まさに胸熱そのものだと気分が燃え上がる。そして運命の三本目。ボールをセットしなおした響木さんを見たあとに、それが本気だと理解した。
「これで最後だ。受けてみろ!」
「はいっ!」
蹴り出されたボールはまっすぐ円堂先輩へと向かっていく。最後の一本はまさしく本気そのもの。必殺技でないにしろ高い威力を持つそのボールを円堂先輩しっかりと見据えていた。
そして、構えで察した。最後はあの技で決めるのだ。と。
「ゴットハンドッ!」
「なにぃ!?」
円堂先輩はゴットハンドという必殺技を持っている。嘗て伝説のイナズマイレブンが使っていたゴールキーパーの技。その力強い光の掌をボールにぶつけては見事三本目を止めることに成功した。
「やるな円堂。それを見せられては監督になる事を拒む訳にはいかない。ましてや、決勝の相手は影山零治だからな」
「それじゃあ!」
どうやら響木さんは監督を引き受けてくれるようだ。と素直に僕はこの時安堵していた。が、そこで視線を感じて気になった。響木さんは自分を見ていたのだ。
「お前のサッカーも見せてもらおうか」
__その言葉に僅かな驚きを感じつつも、進まなければと感じはじめていて__
「一本、シュートを撃ってみろ」
「……はい」
自分の中でスイッチが入る。御影専農の時のように、やれる事は残さずやろうと意思を固めながらボールに触れる。
まだトラウマは消えない。だがそれでも自分のサッカーは出来るはずだ。そう信じるとともに一歩下がる。
「来い」
響木さんのその一言だけを聞いた後に前を見た。久方ぶりのPK勝負。自分の魂を込めると決めたからには。
次の瞬間、自分はボールを蹴っていた。星は見えた!
「な、これは!」
響木さんは驚いたような表情をしている。動けないままゴールにボールは突き刺さる。どういう事か理解したのかふっと、笑みを見せた。
「なるほど、体の体重のかかり方を分析したのか。そして、その逆を突いたと」
「はい。そうすれば動けないので」
理にかなっているなという響木さんの言葉はとても嬉しい。だが、その後はサングラス越しに何か見定めるような目をしていた。
どうしたんだろう。自分が首を傾げると響木さんは手を挙げた。
「鬼瓦。お前がここに居るという事はそういう説明だろう」
「そうだな、響木」
自分の後ろから現れたのは無精髭の生えたこれまたコートを着込んだ中年男性である。
いったい何があるんだろう。円堂先輩はなにか悟ったような驚いているような。
だから、次に出てきた言葉は驚き以外に何も無かった。
「魂魄妖夢というお嬢さんの知り合いだな。あの試合の真実を知りたいか?」
「……え?」
「魂魄妖夢は、影山零治の圧力のせいで、怪我をさせられたのさ」
■【音無春奈】■
新しい監督が決まってサッカー部は今日決勝の帝国学園で戦う事が確定しました。その為に今はロッカールームに居る。それはとても嬉しい事です。響木さんは色々チェックを入れていましたけどね。それにしても、八神さんがいつに無く暗い表情をしていました。
私も私でお兄ちゃんの事がとても気になっています。影山零治という人は豪炎寺さんの妹さんや八神さんの幼馴染みさんを傷つけたという話を聞いてからなんでそんな人の元に居るのか。その理由を、私は知りませんし教えてくれませんでした。
そして今日はその決勝の試合なのに八神さんは未だに暗いまま。豪炎寺さんはそれを見つめたまま何か思案しているようです。
「八神さん。元気を出してください!」
「……あぁ、音無さん。僕は平気だから」
だから、私は今私に出来ることをしようと思って八神さんを元気づけようと頑張ってみていますが、八神さんは暗い顔から戻ってきません。むしろ、これは影山を恨んでいるような……
「……どうすれば良いんでしょう」
私が呟いた一言を聞いたのかは分かりません。ですが八神さんは私の事を優しく撫でました。って、ぇ?
「音無さんも、鬼道さんの事で悩んでるんだよね? なら、無理をしないで。僕は恨みに身を任せるくらい愚かになったつもりはないさ。それに音無さんは笑顔の方が可愛いよ」
「……はいっ」
逆に元気づけられてしまい苦笑いを浮かべてしまいましたが、でも。とても嬉しいです。可愛いなんて言われたこともありませんから。
もしかしたら私って結構安直な女なのかもしれません。ですがそれでも。
「八神さん」
「何かな……えっ?」
私は八神さんを抱きしめました。ぎゅっと優しく。誰かが見ていようと構いません。安心してくれればそれでいいんです。
「八神さん。八神さんも無理をしないでくださいね。私たちは仲間なんですから」
「……ありがとう」
少しばかり気恥しい気もしますけどゆっくりと八神さんを離すと何時ものように私らしく振る舞うことにしました。
だから、明るくなってくださいという意味も込めて、笑顔で!
「八神さん。頑張りましょうッ!」
「……ああ、そうだね」
漸く八神さんは笑顔を見せてくれました。そして帝国学園のロッカールームからピッチへと向かう八神さんの後ろ姿はとてもかっこよく目に映って、私の心に残りました。
■【鬼道有人】■
__俺の望んでいたサッカーは、こんな形だったのか?__
ふと、悩んでしまった。総帥は自分達を卑劣な手を使ってまで勝たせようとしている事が目に見えている。だから、ピッチに出てきた雷門中の面々を見てから上を向いた。無機質な鉄骨は落ちてくることはないだろうとここに居る誰もが思っている。
__俺と、影山総帥を除いて__
だからこそ、俺は決別を決めた。皆と共に、今後本当のサッカーを楽しむ為に。
「円堂守。試合開始前に、皆で後ろに下がってくれ」
「え? わ、分かった」
これで何とかなるだろう。そう思えば試合開始のホイッスルを待つ。自分達のキックオフから始まるのだが、主審がホイッスルを口の前に構えた所で自分は分かるような合図を出した。
雷門イレブンは即座に後ろに下がると、先程までいた場所に鉄骨が落ちたことにより場は騒然とする。やはりという事を理解した自分は、意思の篭った声ではじめて影山零治という男に反発した。
「これが貴方の求めるサッカーなのか! 影山総帥!」
「これが私のやった証拠だと誰が決めるのかね?」
自分の質問には総帥は答えない。だが、どこからか一人の中年男性が現れて、雷門イレブンは驚いた顔をした。
「こいつが証拠だ。影山! 作業員からも言質はとったぞ。現行犯だ!」
どうやら刑事だったらしい。これでちゃんとした試合が出来る。そう思えば急ぎで撤去される鉄骨を眺めた後に珍しく自分から笑った。
「これで対等な勝負が出来るな。勿論、俺達が勝つがな」
「望み通りだ。鬼道!」
__あぁ、俺は久しぶりにサッカーをやる時に笑ったのかもしれない。__