いつかどこかの鎮守府で・Appendix   作:華留奈羽流

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急に思いついたオバカな小ネタで一本。


第4話

ヒトヨンマルマル 鎮守府 サロン

 

「ん?」

 

通りかかった長門の目に

大きな姿見の前で、おかしな動きをしている港湾棲姫の姿が映った。

さかんに首をあちらこちらに傾けては唇を突き出している。

 

「何をしている、姫」

 

つい気になって声をかけると

 

「あら長門。ちょっとね……キスの練習してるの」

 

相変わらず鏡に向かって首を傾けながらこんな答えが返ってくる。

 

「はあ?……なんでまたそんな」

 

「それがねー……さっき執務室を覗いたら、提督がソファで居眠りしてたの」

 

「……たるんどるな」

 

普通なら昼休みも終わって執務中のはずである。

 

「でね、提督の寝顔って、けっこう可愛いなーと思って」

 

「ああ、寝てるときは皮肉も言わんし憎まれ口も叩かないから

 可愛いも……いやそれでどうしたんだ」

 

「ちょっとキスしちゃおうと思ったんだけど」

 

「それはイカン!!」

 

「何で?」

 

「な、何でって……そういうことは二人が同意して初めて許されることで……!

 寝てる間にコッソリとかいい思いつき……じゃなくて、ズルイ!」

 

ワタワタしながら必死に説得(?)を試みる長門。

だが

 

「長門だって、この前の慰霊碑建立式典の前の晩、提督に不意打ちでキスしてたじゃない?」

 

と返されて愕然とする。

 

「なっ!?…………見てたのか?」

 

後半はそれまでとうってかわって小声に。

 

「どうせあたりは真っ暗だと思って油断してたんでしょうけど、私たち、夜目が利くから」

 

「~~~!!その……このことは、他の者には……」

 

「言ってないわよ。ま、そういうわけだから

 私が提督にキスするのもお咎めなしでお願いね?」

 

ガックリと肩を落とす長門。

 

「……その……一回だけだぞ!一回は、まあ、その、許す。

 で、何故練習が必要なのだ?」

 

「そうそう、それなんだけど……キスしようとして、顔を近づけたら

 提督のおでこに私の角が刺さっちゃって

 寝てる隙にキスしようとしてたのに起こしちゃったのよ」

 

姫がちょっと悲しそうな顔で、額から伸びた角を撫でる。

 

「あー……その角は刺さるな……」

 

「何かいい角度とかないかしら?」

 

「正面からキスしようとすればアレだが、横からなら大丈夫だろう?」

 

「横?どんな感じ?」

 

「そうだな……ちょっとそこのソファに、仰向けに横になってみろ」

 

姫が言われるままにソファに横になる。

 

「……こう?」

 

「そう。で、こう近づいていって横から顔を近づければいいんじゃないか?」

 

「そうかな……ちょっと交代して?キスするの私なんだから、長門のほうが横になってよ」

 

「はいはい……」

 

交代して、今度は長門がソファに横たわる。

そこに近づいていって、顔を近づける姫。

 

「ほら、刺さらないだろ……って近い近い!ちょ、なんで目を閉じてる!?」

 

長門がジタバタするが、顔を抑えられていて思うように抵抗できず

目を閉じた姫の顔はどんどんと近づいてきて……

 

「……何をしているのかしら」

 

「うわぁ!?」

 

不意にサロンの入り口から声がして、長門が思わず叫ぶ。

 

「あ、センちゃん」

 

入ってきたのは戦艦棲姫―センちゃんだった。

 

「えっとねー、キスの練習してたの」

 

あっけらかんと姫が答えると、センちゃんが呆れて

 

「練習って……それなら、私とすればいいのに」

 

長門が思わず

 

「そ、そうだ!センちゃんと練習するといいな!」

 

と起き上がろうとするが

近づいてきたセンちゃんに再び顔を抑えられる。

 

「え?」

 

「いくわよ、長門……練習なんかじゃない、本気のヤツ」

 

「待て練習したいのは私じゃなくて姫んむぅ!?」

 

ぶちゅー

 

「なるほどー、こんな角度ですればいいのねー」

 

「……んぷぁっ!ちょ、待って、舌入れるのやめんうぅっ!?」

 

んちゅー

 

「でも、やっぱり角が邪魔になるかもー」

 

「……んはっ!ちょ、どこ触って、待ってちょ待ってんんんーっ!?」

 

むちゅー

 

「やっぱり角取ったほうがいいかしらー」

 

キュポン

 

「「取れるんかい!?」」




取れません。たぶん。
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