地球で交わした約束を
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かつて彼は特殊部隊としてある時は人質となった要人を奪還し、またある時は危険な組織を殲滅してきた。数々の修羅場を切り抜け、不可能とされた任務を遂行してきた。
国を陰から支える最強の守護者
気付けば、史上最短で特殊部隊長に任命され、この二つ名を手にしていた。
影の守護者として長いこと従事していた彼だったが、ある日を境にその座を降りた。それは自分の愛おしい存在を守ることに専念するためであった。
体の弱い妻が残したかけがえのない宝、命に代えても守ると誓って…
それからは田舎で親子二人、穏やかな日々を過ごしていた。
だが、悲劇は突如として降り注ぐ。
娘が原因不明の病に罹ったのだ。
ありとあらゆるコネクションを駆使し、病の正体に辿り着くまでに時間は掛からなかった。しかし、辿り着けたのはそこまでだった。
宇宙から飛来したウイルスが原因の病は、致死率100パーセント そのうえワクチンどころか根本的な治療法すらなかったのだ。
方法はないのか……藁にもすがる思いで探る日々
そんなとき、とある男が接触してきた。
U-NASA関係者と名乗る男は、彼の所有する研究施設でマイケルにこんな話を持ち掛けた。
『そちらの出す条件を呑む。その代わりに火星における抑止力になって貰いたい』
怪しげな男のその言葉、普通の人間なら断っていただろう。
『例の病を治すことはできるか?』
長年の経験によって養われた直感、それが脳裏に語り掛けていた。この男はできると
『今はできない。しかし火星からサンプルが入手できれば完治できると断言しよう。
君がこの話を承諾してくれるのならば、君の任務が終わるまで万全の状態で娘さんを守ると誓おう。それくらいの価値が君にはある。君の実力、そして
さあ、承諾してくれるかな?マイケル・メイトリクス君』
やはり……ならば迷う必要はない。娘が救えるのなら
「わかった。娘の病を完治させること、俺が任務から戻るまで娘の命を守ること。この二つを果たすというなら火星でも木星でも行こう」
こうしてマイケルはアンタレスのメンバーとなった。
アンタレスとしての役割も火星における役割を命懸けの危険なものではあった。しかし、彼にとってそんなものは何てことないものだった。
娘の命を救えるのなら、何が待ち受けていようとも叩き潰す その思いだった。
そして時は流れ、火星へと出発する一週間前
この日は出発前娘と顔を合わせられる最後の日だった。
「パパはお星さまのところに行くんだよね?」
「そうだ、星のかけらを持ち帰る仕事だからな」
当然、娘には命懸けの戦いがあることなど伝えていない。
余計な心配などさせないように、君が笑顔で待っていられるように
「パパなら大丈夫だと思うけど、無事に帰って来てね 約束だから!」
「ああ、約束だ」
「絶対だからね!」
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俺は必ず帰る……
俺は必ず地球へサンプルを持ち帰る
そして必ず約束を!!!
「マイケル、ストップ!!!」
「それ以上やるとミンチより酷いことになるから!!!」
仲間の声で我に返る。見れば白と黒の肉片が辺り一面に転がっている。
「すまない…やりすぎたな……」
「……息のある奴を探してサンプルにする」
「「「了解」」」
息のあるテラフォーマーを探すことになったものの、その大半は息絶えていたため以外にも苦労することとなった。
………これに関しては小吉含めた戦闘員全員の気合が入りすぎていたことも原因ではある。
「小吉さん……申し訳ない」
「気にする必要はないさ、俺もやりすぎちゃったし!あと前から言ってるけど、俺に対してそんな堅くならなくていいから!もっと気楽に………ん?これは」
「それはさっき襲い掛かってきたテラフォーマーですね…手から煙みたいなのを噴射してましたが」
マイケルによって吹き飛ばされたテラフォーマーの死骸、小吉が気になったのはその手である。
手のひらにはぽっかりと孔が空いている。両手に、元から存在する器官として
それと同じものを小吉は知っていた……そしてそれが火星で失われたことも……
「奴ら……まさか死体を!!!?」
その発見は、火星における死闘が想像を超えた激しいものになることを予感させた。
―火星の洞穴―
自然にできた空間
そこに広がるのは火星にはない―なかったはずの赤い液体
そして機械の部品や昆虫の体の一部…ただし、昆虫に関するものの大きさはよく目にする昆虫のものより遥かに大きい…
そんな中、動くものがいる。
それは、石のナイフで何かの解剖に勤しむ一頭のテラフォーマーだった。
「じょうじじ」
切っては取り出し、切っては取り取り出し、時よりナイフを置いて単なる石で壁に何かを刻む。
そして手元に置かれた一枚の布を見る。まるで何かを確認するかのように……
布に描かれていたもの、それは―――
人体の解剖図であった。
害虫の技術革新、そして陰謀が静かに、見えないところから確実に戦士へと襲い掛かろうとしていた。
おまけ
小吉「もっと気楽に話していいのに……もしかして苦手なタイプとか!?」
マイケル(上司相手だとどうしてもそういう対応になるだけです…)