Parallel Chance   作:モクロック

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今後も書けるか怪しいですが書けるところまで書いて、書けないときが来たら設定を上げて最後の展開まで掲載する予定です。




登場人物話  屠り復讐を誓う

少女が生まれたのは北の大地、寒く小さな街だった

元軍人の父と主婦の母のもとに生まれたが、優しく伸びやかに育てられ、大人しい性格で争いとは無縁の日々を送っていた……

 

 

 

「はやくはやく!出し物大会終わっちゃうよ!!!」

「まってよレイラ…そんなに早く走れないよ…」

 

その日、広場で小さなマジックショーが行われると聞き少女とその友人は広場までの道を急いでいた。

週末でにぎわう街 いつもと変わらない穏やかな日

 

そのはずだった

 

 

『全部隊、突入』

 

 

街に響き渡った一声を皮切りに軍用車や武装した改造車が街になだれ込んできたのだ。

 

軋む音、悲鳴、混乱、散らばる物、止まらぬ赤染の車の隊列

 

 

 

「今のなn

 

ぐしゃり そんな音を最後に友人であったその子どもは姿を消した。少女の視界に広がるのは一面の赤と鉄の怪物たちだけだった。

 

その瞬間彼女の耳から音が消えた

 

『薙ぎ払え』

 

その無常の言葉も

 

雷鳴のように響き渡る銃声も

 

人の呻き、嘆き、嘲笑、絶叫も

 

何も少女の耳には届かなかった

 

少女は目の前の理不尽に突っ立ていることしかできなかった

 

 

『この地は我々が支配する』

 

 

 

 

街の人間の多くが命を落とす中、彼女は偶然にも救い出された。

父を含む街の外へと追い出された人々の中に彼女はいた。

しかしこの時の彼女には、生きていたことを喜ぶ気持ちも友を失った悲しみも、これからの未来への不安もなかった。

 

「パパ、戦い方を 教えてください」

 

 

少女に灯ったのは激しい憎悪

 

この日を境に少女は守られるだけのちっぽけな存在であることを辞めた

 

 

―――――

 

「政府も軍も……グルだ   俺たちの声は握りつぶされた」

 

この事態を打開するために様々な場所に助けを求めた

しかしその声は届かず打ち消された

反吐が出るほどに腐敗した上の人間、組織に最早希望など抱けない

 

もう、方法はこれしかなかった

 

 

 

「我々は故郷を取り戻すため、あのならず者共と戦う」

 

 

 

元軍人である少女の父が頭領となり、戦略や物資調達を指揮し、奪われた者たちは一丸となり協力し力を蓄えた。

訓練を繰り返し、街を取り戻せるほどの力を着実に付けた。

 

少女は成長し大人へはそう遠くない歳となっていた。しかし彼女の心に灯ったものは変わらず消えず心にあり続けた。力も父と負けず劣らないほどになっていた。

 

皆、今までの努力と勝ち取るという強い意志を胸に抱き、準備は万全なものになっていた。

 

 

 

そして火蓋は切って落とされた。

 

奇襲によって混乱するならず者、作戦と培った力によって反逆者たちは着実に制圧していった。

あともう少し、あともう少し 焦る気持ちを抑えながら彼らは確実に役割を全うしていく。

もう手の届くところに勝利がある。誰もがそう信じた。

 

 

『 人為変態 』

 

 

彼らは誰も知らなかった。人間を異形にする力が存在することを

一人の力で簡単に戦況がひっくり返ることを

今までの積み重ねを無に帰すことなど悪魔にとって造作もないことを

 

 

 

 

 

生物の力に覆われた怪人たちによって多くの血が流れ、勝利を掴みかけた手は惨たらしく踏みにじられた。

流れた血の中には彼もいた……

 

 

「パパ……」

 

頭領を討たれないように、希望だけは繋げるためにと多くの人々によって彼は戦場から押し出された。しかし実際にできたことは頭領が瀕死であることをならず者共に知らせないようにすることだけであった。

 

「メリア……すまない、お前に皆に…普通の幸せを渡すことができなかった……」

 

「もう喋らないで…傷が開くから」

 

「メリア……もう戦わないでくれ……もう……ここから出て残った者たちと幸せを掴んでくれ……これが……お前を戦いの道に引きずり込んだ酷い…父の……最後の願いだ……」

 

「パパ!?」

 

「しあ…わ……せに……」

 

 

 

「私はパパを裏切る……幸せは街を奪い取ってから皆と分かち合う………皆、これ以上の苦痛に立ち向かう覚悟はある?」

 

その光景を見届けた者たちは一言も発することはなかった。静かにうなずくだけ。

 

「私たちは奪い取る 力も故郷も、そして幸せを どんな手を使っても」

 

この日を境に彼女が頭領となった。

 

 

―――――

 

 

彼女がBOSSとなってから数週間した頃、運命が訪れた。

 

「BOSS、正気ですか!? そんな訳のわからない人体実験に参加するなんて…」

 

「ああ、やる この実験で得られるもの…それこそアイツらが使っていた変身能力だ…」

 

彼女たちが見つめるパソコンの画面、そこに表示されているのはとある研究所からの人体実験の被験者募集の内容だった。

勿論、裏世界の情報を探る中で見つけ出したものだ。記載されている成功率なんてあてにならないはずだ。そもそも行ったところでどんな目に合うかもわからない。

しかしこの内容を、彼女を含めこの場にいるものは無視できなかった。

 

成功事例の画像、その姿は自分たちを地獄に追いやり反撃の手を踏みにじったあの生物の姿そのものであったから

 

 

 

「ここで手術を受ければ、アイツらと同じ力が手に入る……そうすれば今度こそ奪い取れる 私はここに行く」

 

「やめてください! それならわたしが! ここでBOSSを失ったら…」

 

『その通りだ こんなヤブ医者以下の連中に身を任せることはしないでほしい』

 

 

画面越しに突如現れた男に、周囲は一気に緊張状態に入る。

 

 

「お前は何者だ? いったい何が目的だ?」

 

『失礼した。私はとある世界規模の研究に関わっている研究者だ。 今回は取引のために中継を繋がせてもらった……私と取引をしてもらえないか? メリア・ザハロフ? 』

 

彼女自身の名前を簡単に告げられた事実に、内心驚愕しつつ彼女はそれを顔に出さず警戒を続ける。

 

『君たちに関わる情報のほとんどは把握済みだ。君たちの境遇についても、君たちが敵とみなしている連中の正体もだ…

話が逸れたな……今回取引したいのは君だ、メリア・ザハロフ。君の持つ素質、それは我々の研究に必要なものだ。我々はぜひ君には研究に参加してもらいたい…もちろん報酬は出す。我々ができる範囲であれば君が望むことを叶えよう』

 

「無茶苦茶な話だな… それほどの価値が私にあると?」

 

『ある』

 

彼女の問いに男は一拍置かず答えた。

 

『我々は人類の存亡を賭けた戦いを前に準備を進めている。そのために世界各国から我々の求める素質を持った人物を集めている。世界を救ってもらえるのであれば金に糸目を付けるつもりはない。君はそれだけの存在だ』

 

「……質問だ。 私は具体的に何をすればいい?」

 

『詳しい話はまた別の機会になるが……簡単に説明すると、君は人間以外の生物の力を埋め込れ、火星で戦闘を繰り広げてもらう

他に質問は?』

 

「手術の成功率は?」

 

『本来は36%だが君の場合、私が執刀するから90%以上だ』

 

「…随分な自信だな」

 

『それだけの腕がなければ今回の研究と計画ができなかった。それだけのことだ』

 

画面の男は鼻にかけるわけでもなく、淡々と語った。

 

「……」

 

『信用できないのは当然だ。ではこうしよう、明日物資を君たちのいる基地に届けよう。私も現地に行き、さらに詳しい話をする。そこで信用できないならそれでも良し、信用してもらえるのならぜひ研究に参加してほしい』

 

「…わかった それでいい」

 

『では明日』

 

 

翌日、本当に物資とともに男は現れた。

 

「2週間分の食料だ。少しは信用してもらえるだろうか…」

 

男は淡々と話を進める。そして彼女に問う

 

「さあ、メリア・ザハロフ 君は何を望む」

 

「……私はどうなってもいい。その代わり武力提供をしてほしい。あの忌々しいならず者共を一人残らず葬れるほどの武力を……」

 

「武力提供は構わないがそれは君が任務を終えて地球に戻ってからだ」

 

「なぜ!?」

 

「任務で得られるものが重要であるからだ。それに君がBOSSである以上、君が指揮しなくてどうする?」

 

「……」

 

「君が戻るまで物資の支援とここの護衛は行える。それで手を打ってはくれないか?」

 

「わかった… それでいい」

 

「それでは近々迎えを寄越す 協力感謝する」

 

 

 

 

そして彼女は踏み出した。復讐と勝利を願い、新たな戦地へと

 

(私は必ず戻る 皆のために)

 

 

 

メリア・ザハロフ  参戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――

 

『彼女は協力すると  ああ、君の言う通りだった…  

しかしよく私の情報を探し当てたな…… 執念か?それとも同郷の友を救うためか? まあ私が聞いたところで何もしないさ 

それで君はどうするつもりだ  北国一の魔術師の君は?』

 

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