ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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27.災難と災難(笑)

 我々7人は今、チャーターした船で海路を進んでいた。

 

 あの後、偽テニール船長が船腹に開けた穴を簡易的な修理を施した。海上よりかなり高い位置だったので、さほど問題はなかったようだ。そしてその次に、予め手配していたテニール船長の代理を加えた。ただ船員達は「側面の穴」も「代理の船長」についても、何が何だかわからないといった様子で説得するのに少し時間がかかった。結局船内に連れて行って、私が肉の芽で都合よく記憶を上書きしたのだがな。

 そしてようやく出航……かと思いきや、出航間際に密航者を発見………礼神はこの密航者の事も知っていたらしく、家へ帰るための資金を握らせて密航を諦めさせた。ちなみに握らせた資金はジョセフの財布から出た……その資金も元は財団の金だが……

 ……………要するにかなりの時間をロスしてしまった。

 

「どうだ承太郎」

 

「……まだ何も見えねぇな」

 

 双眼鏡で暗い水平線を見つめる承太郎は、目を離さずに私の問いに答えてくれる。

 今承太郎には警備を務めてもらっている。礼神が「海上でもう一度敵に襲われる」と言ったからだ。そいつは貨物船に乗っているらしい。

 

「それはそうとお前らなぁ…学生服はどうにかならんのか。その格好で旅を続けるつもりか?」

 

「学生は学生らしくですよ…という理由はこじつけか…」

 

「僕はブレザー好きだし」

 

 ジョセフの言い分もわかるが本人がそれでいいというなら別に良いと思う。花京院と礼神はこの格好で旅を続けるつもりのようだ。承太郎もたぶん同意見だ……ただジョセフの言うことを無視して夜の海に目を凝らしている。

 もう少し祖父に優しくしてやってやれ……

 そういえば承太郎がまだ小学生の頃…ホリィが「誰が一番好き?」って質問していたな。全順位は忘れたが、私はジョセフと貞夫より上だった。

 

「礼神は女の子なんだから色気出した方がいいぜ?せめて学生服でもスカート履くとかさ……」

 

「ポルナレフ…君は僕への愚弄を忘れたのかな………何臭いガキって言ったっけ?」

 

「あ……ぅ……」

 

 完全に弱みを握られている……というより、ポルナレフの扱いが上手いな。

 

「でもよ〜、長い旅だし目の保養も必要だと思うのよぉ」

 

「それ以上言うとポルナレフの夕食にタバスコぶっかけんぞ」

 

「そう言えばそろそろ夕食か……どれ、私が適当に作って来よう」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「こいつは驚いた」

「おぉ…うちのコックより腕が良いな」

「なんだこれは⁉︎うんまいなぁ‼︎」

 

「レオンさんの料理は好評みたいだね」

 

 僕は夜の潮風に吹かれ、夕食を頬張りながら独り言を零す。今のところ航海に問題は無く、船員達も夕食がてら休息を取っている。

 そこで僕はあることに気付く。レオンさんがいないのだ。

 

「レオンさんは?」

 

「そういえばいないな……どうしたんだろう」

 

 今僕は甲板に座って花京院と夕食を頂いているんだが、レオンさんの姿が見えない。ジョセフさん達は見つけられたんだけど、レオンさんだけが何故か見つからない。今は夜だけど甲板は備え付けのライトで照らされてるから視界が悪いわけじゃない。

 

「………ちょっと探してみる。ご馳走様」

 

「女神の君がいるんだ。可能性は低いが新手の幽波紋使いかもしれない…僕も行こう」

 

 空になったプレートをキッチンに戻し、その足で船内を見て回る。するとレオンさんはすぐに見つかった。

 レオンさんは甲板の陰に隠れて座り込んでいる。

 

「どうしたんですか?もしや具合でも?」

 

「いや…休んでいただけだ」

 

 そう言うレオンさんの息は少し荒く、額から汗が滲み出ている。不完全究極生物は体調が不安定なのかな…

 そう思っていると花京院がレオンさんの首筋に手を当てる。

 すると…

 

「…ッ⁉︎ 凄い熱だ‼︎…まさか…コレはホリィさんと同じ‼︎」

 

「待て……それ以上は言わないでくれ」

 

 花京院の口を片手で塞ぎ、レオンさんはゆっくり立ち上がる。口を塞がれて花京院の台詞は途中で止まったが、僕はもう察しがついてしまった。

 

「………この事は口外するな……わかったな?」

 

「いや……ですが……」

 

「私は化け物だ。スタンドに食われたりはしない……ただ主人の言うことを中々聞いてくれなくてね。ジョセフはこの事を知っている……余計な混乱を招くだけだ…皆には言うな」

 

 レオンさんが微笑んで僕らにそう言ってくる。

 汗さえ無ければその表情は安らいだ笑みなのだが、息も荒いのでやはり大丈夫そうには見えない。

 だが表面を偽ってまで隠そうとしているし、レオンさんの言っていることも間違いではないと思う……だから僕らは黙っておくことにした。

 

 立ち上がったレオンさんが一度深呼吸すると、辺りが冷気に包まれる。

 ……気化冷凍法だ……レオンさんは能力で、無理矢理体温を引き下げて無茶している。今は夜だけど、朝になり日に当たればまた体温が上がるかもしれない。

 

「……大丈夫かな…」

 

 不安を口にしたその時……

 

 ーーーーードゴオォォォンーーーーー

 

 闇夜に爆発音が響き船体が大きく揺れた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 甲板はたちまちパニック状態になったが、そんな中花京院は手摺に掴まり、船腹に向けて眼を凝らす。

 

「爆発だ………おかしい…彼処には爆発物なんて無かったはず…」

 

「なんだと?」

 

 私と共に探索した花京院がそう言うので、私は同じように手摺に捕まり身を乗り出す。確かに船腹に大穴が開いて海水が入ってきていた。しかし私は船腹とは別に、遠くの海上を見つめていた。それは小型のクルーザーだった。

 

「あいつの仕業か?」

 

 吸血鬼とはいえ視力にも限界はある。暗闇に包まれた海の上でクルーザーを見つけただけでも凄いのだが、犯人の顔を見ることはできなかった。

 おそらくあのクルーザーに乗っていた者が、海面付近の船腹に爆発物でもつけたのだろう。

 

「沈没するぞ‼︎ 皆、脱出の用意をしろ‼︎」

 

 私が声を張り上げるとそれを聞いたクルーが働きだし、せっせと脱出用ボートの準備を始めた。

 私も甲板に移動して皆の状況を確認する。

 

「レオン。ほらよ…」

 

 するとやがて、ポルナレフが私に向かって紙袋を投げてくる。それの中を確認し、私は殺気を放ちながらポルナレフに顔を向ける。

 

「…………」

 

「俺を睨むなよ俺を‼︎あんたらの信頼する女神さんの助言だろ?俺に八つ当たりするなよな!」

 

 買い間違えたのは貴様だろ。

 にしても……「あんたらの信頼する」…か………

 

「貴様は信じていないのか?」

 

「ん?…まぁ……急には無理だわな…ウオッ‼︎」

 

 浸水が進んだせいか、船体が大きく傾いた。脱出用ボートを用意し終えた乗務員たちは避難誘導に移る。

 

「……はぁ………乗り気じゃないが、やるしかないのか?」

 

 泣きそうな声で私はそう呟き、甲板の陰に隠れた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 ジョースター御一行が脱出すると、やがて船は転覆。一同は救難信号を打ち上げて海を彷徨っていた。するとその救難信号に気づいたのか、巨大な貨物船が一同の前に現れタラップを下ろす。

 もちろん一同は乗船する以外に選択肢はなかった。

 

「おかしな船だな、誰もいない……船内か?」

「誰かいる事には違いねぇだろ」

 

 転覆した方のクルー達が先陣を切って甲板に上がる。すると誰も触っていないクレーンが突如動き出し、先端のフックがクルーの頭めがけて直進してくる。

 

「危ないですよ」

 

 しかしそのクルーは、一人の美女が突き飛ばしたお陰で一命を取り留める。

 

「あ、ありがとうございます……ヘヘッ…」

 

 晴天のような水色のチャイナドレスを身に纏った銀髪の女性を見て、助けられたクルーは鼻の下を伸ばして笑みを浮かべる。

 その様子を見てポルナレフが、チャイナ服の女性に耳打ちで話しかける。

 

「思いの外似合ってるじゃねぇか」ボソッ

 

「ポルナレフさん、ぶち殺しますよ?」

 

 美女は柔らかい笑みを浮かべるが、全身から漏れる殺気がそうでない事を告げている。

 

「お、落ち着けって…そんな鋭い殺気を出したらエテ公にバレんだろ‼︎」

 

「こうなったのも全て貴方の所為です」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 《過去に遡ること半日…》

 

『それじゃ……………そろそろ次の予言をしようと思います』

 

 港がまだ薄っすら見える位の距離になると、礼神がそう切り出して一同を収集する。もちろんそのメンバーの中にクルーは含まれていない。

 

『この海路を進むと、多分高確率で船が転覆します』

 

『何?爆弾は処理したじゃないか』

 

『アヴドゥルさん。出港する前に、この海で2回敵と出くわすって言ったよね』

 

『…なるほど。2人目の幽波紋使いが転覆の原因か…』

 

『うん…2人目…って言うのかどうかわからないけど』

 

 礼神が曖昧な言葉を呟くと、一同が首を傾げる。

 

『敵のスタンドは「(ストレングス)」……幽波紋使い以外にも姿を見せる、貨物船型の巨大スタンドだよ。原作では海の真ん中で偽船長の爆弾で転覆し、救助を装ってその貨物船がやってくるの。今回爆弾は取り外したから、多分向こうは何らかの手段で転覆させて貨物船に乗せようとしてくる』

 

『そいつは強ぇのか?』

 

『貨物船そのものがスタンドで変幻自在……奴は無線室の近くの檻に入ってるんだけど、下手に攻撃したらその檻が強固な壁に変わったりするかもしれない。檻から誘い出して戦っても、換気扇のプロペラが飛んできたりするから結構強いよ』

 

『ちょっと待て、檻の中?そいつは動物か何かなのか?』

 

『うん。オランウータンだよ』

 

 礼神がそう言うと、ポルナレフが腹を抱えて笑い転げる。

 

『オラ、オランウータンって…ギャハハ、だったらバナナでもやって手懐けようぜ?』

 

『ポルナレフ五月蝿い……で、対処法なんだけど、奴はエロい性格しててね…原作では港で追い返した少女が貨物船でシャワー浴びてると襲ってくるの。そこを承太郎が助けに入って終わるんだけど………一般人を巻き込むわけにはいかないし、あのまま連れて行くとあの子途中で足引っ張るので追い返してしまいました』

 

 礼神が少し困った様子で頬を掻くと、「ならどうする?」と花京院が聞いてくる。

 

『そこでその少女の代役を僕がやろうかなぁって……僕だったら幽波紋使いで戦えるしさ』

 

『テメェが囮になるのか?そのなりでか』

 

『承太郎も五月蝿い‼︎知ってるよ僕が中性的だってのは‼︎だからこれを買ったんじゃん‼︎』

 

 そう…礼神が香港で買った服はこの時の為の物だ。

 貨物船で彼女がシャワー浴びれば済む話かもしれないが、見られることを知ってて浴びたくなんかはない。

 やがて礼神は、紙袋の中からおもむろに服を取り出してみる。それは薄い水色の可愛らしいチャイナドレスのような服だった………が……

 

『…………ポルナレフ……これは大き過ぎるよ』

 

『あ……悪りぃ』

 

 ポルナレフに頼んだのが間違いだったのか…それとも承太郎がトラブったせいなのか……ポルナレフが購入した服は非常に大きく、礼神のような低身長が着たら、ウエディングドレスのように裾を引きずってしまう。

 

『……仮に誘き寄せれたとしても、これじゃ動きにくいよ。ジョセフさん女装する?昔みたいに』

 

『礼神…原作と違いジョセフはドイツ軍に乗り込んでいない。だから女装もしていないぞ』

 

 あ、そうなんだ……と呟き、礼神が謝る。しかし一同がジョセフを冷たい目で見つめる。

 

『…で、どうすんだ?ジョースターさんが女装するにしてもガタいよすぎて100%バレるぜ?』

 

『ポルナレフ‼︎ワシがするていで話を進めるな‼︎』

 

 冗談混じりでポルナレフが言うと、屈強な老人が顔真っ赤にして怒鳴り散らす。

 

『でもどうしようか……ワンピースのサイズからして長身細身……しかも中性的な顔立ちじゃないとダメだし………あ』

 

 みんなの視線が一人のイケメンに集まる。その視線に気づいた人外は顔を引きつらせた。

 

 ーーー

 ーー

 ー

 

 ………そんな訳でレオンは今女装している。

 胸にはさっきまで着ていたタンクトップを詰め、髪は吸血鬼の能力で長髪まで伸ばしている。声は単に裏声を使い、ソレっぽい言葉遣いをしている。

 

「何故私がこんな目に……」

 

「まぁそう言うな。似合ってるぜ、レンちゃん?」

 

 レオン……もといレンは、ポルナレフに軽くボディブローをかまして先へ進む。すると前を歩いていたジョセフが足を止めて声を張る。

 

「わしらは船の素人じゃ、変なことせずに固まって動こう。船長(代理)、先頭を歩いてもらえるか?ワシらは後をついて行くからの」

 

「わかりました」

 

 そうジョセフが提案し、船長代理はそれに同意する。何故このような提案をしたかというと、原作ではクルー達が勝手に別行動をとって原因を探ろうとし殺されたからだ。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 ………はぁ……足がスースーする。

 チャイナドレスを身に纏った私は、船長を先頭とした列に加わり歩いていた。

 

「ゴメンねレオンさん…こんな事させて」ボソッ

 

「いえ……………………仕方ない事です。礼神ちゃんはお気になさらないでください」

 

「プッ…」

 

 後ろを歩くポルナレフが噴き出しかけたので、私は周囲にバレないように肘鉄を鳩尾に放つ。

 

「ガハッ………⁉︎」

 

「あら…ごめんあそばせ♪」

 

  (レ、レオンさんが激オコだ……さっきの返しも間が広かったし………)

 

 背後でそんな事があるともつゆ知らず、先頭を歩く船長は無線室を見つける。

 

「誰もいないのに機材は正常に動いている……うーむ、わからん。しばらく調べてみます」

 

 そう船長が言うと、クルー達が辺りを調べ始める。

 

「では俺も……ヘヘッ」

 

 私が助けた男も私に一礼してから作業に入る。ちなみに彼らには「ストーカー行為が激しいので、声を低くし普段は男性の格好をしているんです」と、嘘をついてある。もし信じてもらえなかったら肉の芽を使うつもりだったが、彼らは私の姿を見てスンナリ信じた。

 私としては逆にそれが辛い………

 

「レンさん……アレ」

 

 ドレスの裾を引っ張り、礼神が無線室の奥にある扉を指差す。

 その扉は開いていて、更にその奥にオランウータンが入った檻がある。

 

「予定通りお願いします」ボソッ

 

「わかりました」

 

 誰にも言わずに奥の部屋に向かと、オランウータンは既に私を見ていた。

 

「あら…こんばんは」

 

 膝をついて能天気なお姉さんキャラを演じて話しかける。もちろんオランウータンは言葉を返してきたりはしない。かわりに鉄格子の隙間から手を出して、檻の錠前を指差す。

 

「出して欲しいのかしら…でもゴメンなさい。鍵がどこかわからないし、出したら怒られてしまうわ」

 

 そこまで言うと、後ろからジョセフが話しかけてくる。

 

「おぉーい、レン。ここは安全のようだからここにいなさい。ワシらは操舵室を見てくる」

 

「わかりましたわ」

 

 そう返事をすると、一人残らず全員が退出した。最後に部屋を出たあの男は残ろうとしたが、船長に肩パンされて退出…男に惚れるとは運が悪い……まぁどの道肉の芽で記憶を上書きするつもりだしいいか。

 私は無線室に戻り別の扉を開ける……そこはシャワールームだった。

 

「海水被ったし借りちゃおうかしら……お猿さん、覗いちゃダメよ?」

 

「グフッ」

 

 言葉の意味を理解したのか、オランウータンは人が使わない単語を呟く。そして私はシャワールームに足を踏み入れて適当に個室を選ぶ。

 

「…あ、ちゃんとお湯が出るのか……」

 

 蛇口を捻ってシャワーからお湯を出しっぱにすると、その個室を出てからカーテンを閉めた。すると、壁の反対側で奇妙な音が聞こえる。

 やがてその音はシャワールームの扉の向こうで止まる。

 

「グッフォ……」ガチャ

 

 扉を開けてオランウータンがシャワールームに入ってくる。そしてシャワーの音がする個室の前に移動し、勢いよくカーテンを開けた。

 

「……グフ?」

 

 しかしそこに私はいない。何故なら………

 

「船の天井にしがみ付くのは今日で二回目だ」

 

 声を戻して天井から話しかけると、驚いた様子でこちらを見上げてくる。チャイナドレスのお姉さんが天井に張り巡らされた鉄パイプを掴み、天井に張り付いてこちらを見下ろしているのだ……驚いて当然だろう。

 そういえば船自体がスタンドだったな、鉄パイプを変形される前に攻撃しよう。

 

「エギャァァァア‼︎」

 

 人差し指の爪を額に付けて横に振り抜くと、傷口がパックリ現れそこから夥しい量の血が流れ出る。

 

「悪いな…これからする事は全部八つ当たりだ。だが私は悪くない……ドレスを着る羽目になったのは承太郎がトラブル起こし、ポルナレフが買い間違えたせい……更に元を辿れば貴様の性癖のせいだ。私は悪くない……むしろ結局貴様が悪い」

 

 オランウータンの胸倉を掴み殺気を放ちながら話していると、こいつは天井のある一点…プロペラを見つめている。それを飛ばして攻撃でもしたいのだろう……しかしそれは無理な選択だ。

 

Refusal(拒絶)……W-Refはあらゆるエネルギーを吸収する、スタンドエネルギーも含めてな。既にスタンドを出していても、私のこの手が貴様に触れている間、貴様はスタンドを操作できない」

 

 両手両足ではなく片手……それも利き腕だけなら1分間発動できる。しかもクールタイムは2秒だけだ。持続力Eでも使い方によっては長持ちするのだよ。

 そもそも工夫して時間が伸ばせるなら「E」とは呼べないのか?原作を知らないから正しいステータスを表記できない。

 

「恨みは無いが仕方ない。悪いのは貴様だからな…DIOの手下となり、我々の敵になることを選んだ貴様が‼︎」

 

 そう言って手を離し顔面を殴りつける。

 いつも以上に怒っているのが自分でもわかる。女装とはこんなにストレスを溜めるのか……恥じらいの量だけ怒りが湧いて出てくる。

 それに気付くとまた、こいつの性癖のせいだと思い睨みつける。既に奴は戦意を失っているがな。

 

「そう言えば昔、私は猫を飼ったことがあるんだ。とてもヤンチャな子でね……でも去勢手術をすると大人しくなったんだ………………君もそうなるかな?」

 

「ヒギャァァァイ‼︎ギャンギャン‼︎」

 

 種族が違う私にも伝わる意思表示……部屋のすみで蹲り、オランウータンは怯えている。

 オランウータンが好きなわけではないが動物は好きだ。ここまで怯えている動物を痛めつける気は流石にない。

 

「……はぁ…わかったよ。そこまではしないでやる」

 

 かなり頭が良いんだな…私の言葉の意味を理解して表情が少しだけ柔らかくなる。

 

「だが貴様は敵だ、逃すわけにはいかない………性転換はしないでやるが、再起不能になってもらおうか」

 

 そう言って波紋の呼吸をしながら頭を鷲掴みにする。指先から流れた波紋は、一瞬で奴の意識を刈り取った。

 

「………なんかスッキリしないな……残りのストレスはポルナレフにぶつけるか……」

 

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