ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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47.この愚か者めが‼︎

 ーーージリリ、ジリリ、ジリリ、カチッーーー

 

 金物が一定間隔で奏でる不協和音。

 それが今日、僕が最初に耳にした音だった。

 

「……うー………」

 

 まだ寝たいが状況が状況……命を狙われる旅の真っ最中。

 睡魔を抑え重たい瞼を必死に持ち上げる。視覚のピントも合わず天井を見上げる。見上げているが見てはいない。ただ虚空を見つめて脳が覚醒するのを僕はジッと待っていた。

 そこでふと、目覚ましのアラームが止まっている事に気付く。

 僕が目覚める要因の不協和音は、思い返せば「カチッ」と言う音を境に鼓膜を揺らすのをやめていたのだ。つまり誰かが時計を止めた事を意味する。

 それができるのは僕と同室に泊まっているレオンさんだけ。イギーも同室で、犬だが頭の良い彼なら止められるかもしれない。しかしどちらが止めたかを予想するなら、普通レオンさんだろう。

 

(まぁ、見てみればわかるんだけど……)

 

 景品も何も無い勝手なクイズの答えを知ろうと、僕は頭を持ち上げないまま右を向いた。ホテルの枕がフカフカなこともあり顔の半分が枕に沈むが、沈んでいない左目が白髪の人外の後ろ姿を捉える。

 

「………おはよ……どったの?」

 

 既にベッドから降りていたレオンさんは、不審にもキョロキョロと辺りを見回していたのでおもわず挨拶と共に声をかける。

 すると肩をピクリと動かし、彼はこちらへと振り向く。やがて朝焼けのような綺麗なレオンさんの瞳……

 

 ……ではなく、闇のように暗く沈んだ眼が、僕を捉えた。

 

 白目も存在しない黒一色の瞳……レオンさんがしゃがむことで、それが僕の眼前に近付いてくる。

 

 寝起きで脳が元々上手く動かなかったが、あまりの恐怖でフリーズする。その目はポルナレフがJ・ガイルを追う前に見せたあの目だった。何の感情を抱いているかもわからない漆黒の眼……まるで僕を飲み込むかのような深い闇を携えた()()()()()()()()()()は、僕の眼前でゆっくりと口を開いた。

 

『…おはよう。葎崎 礼神』

 

「…………なんだ、アンちゃんか…驚かさないでよ」

 

『ふむ…すまない』

 

 ノイズ混じりの声を発して、彼………否、彼女は立ち上がって部屋を見回した。

 彼女は反比例を能力とするアンラベル。レオンさんの持つ意思あるスタンドだ……故に勝手に出てくる問題児。

 

「身体を乗っ取る事もできるのね」

 

『意識の反比例。"眠り意識を手放す=目覚め意識を覚醒させる"だ』

 

 つまり身体を乗っ取れるのは、レオンさんが寝てる間だけなのか。

 ちなみにレオンさんの身体は無傷だから、力のあるスタンド体(自分の身体)は出せないとの事………やっぱりアンちゃんが戦うには、レオンさんが傷付く必要があるのか。不便。

 それでも今のまま人外の体でW-Refを使う事はできるらしい。

 

「波紋は使えないの?」

 

『波紋や合気道は、主が長年の修行で得た力だ。主の記憶を頼りにした見様見真似では戦力にはならない。できないことを無理して実行する事に価値は無いだろう』

 

「……ところで、なんで起きてるの?」

 

『………理由は特にない』

 

 ずっと発現しないよう抑えられていた反動か、出る事自体が新鮮で色々な物に触れたいのだろう。その行動はまるで子供のソレだ。

 そんな彼女を眺めながら身体を起こして布団をどけると、僕の両頬にアンちゃんは手を添えてくる。

 

「………何か?」

 

『温い』

 

「………そっすか」

 

 そう言われてみると、彼女の手(といってもレオンさんのもの)は少しヒンヤリしている。そういえばレオンさんって平均体温が低いんだよね。気化冷凍法とか使ってるからかな?

 

 ーーージリリ、ジリリ、ジリリーーー

 

『……ムッ…』

 

 そこでまた時計のアラームが鳴り響く。そういえばここのホテルの目覚まし時計も、電源を落とすまでスヌーズモード。繰り返しアラームが鳴る仕組みだった事を思い出す。

 

『…………』

 

「どうしたの?…って、え? あ、ちょ」

 

 急に目を瞑りアンラベルは前のめりに倒れる。

 そして正面にはベッドに腰を下ろしたままの僕がいる。添えていた両手は僕の両頬を通り過ぎ、そのままレオンさんが倒れてくる。つまり………

 

(…………押し倒された…何このToLOVEる…)

 

 今日2回目の脳内フリーズ。

 部屋には未だにアラームが鳴り響くが、耳元で微かな寝息が漏れる。そしてついに、耳障りな止まぬ音でレオンさんが目を覚ました。

 

「………ん…………ん?」

 

「……………」

 

「……………」

 

 起き上がろうとついたレオンさんの手は、ちょうど僕の腕を押さえる形になり、反対の手はまさに床(ベッド)ドン状態……その異変に気付いてか、レオンさんと目が合い仲良くフリーズ……

 

「………寝相は………悪く無いはずなんだが……」

 

 片手で自分の顔を隠して言って、ばつが悪そうに顔を背け離れる。ようやく時計は電源を切られ、部屋は気不味い静寂に包まれた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 まさかこの歳で104歳も年下のJKを押し倒す事になるとは………

 謝罪を述べたらスグに礼神が事情を説明して、私の無実を公認してくれたから良かった。だが気不味い事には代わりなく、なんとなく距離を置く。

 

「レオンさん、僕気にして無いから……」

 

「勝手ですまないが、少し話しかけないでくれないか? 私にだって恥じらいはある。正直 君の顔が今見れないんだ」

 

(あ、本当だ。レオンさん無表情だけど、ほんのり赤い)

「本当に気にしないで! ほら、出発の準備しよ?」

 

「まだ慌てる時間じゃない」

 

「わかったわかった。わかったから せめて()()()()()()()⁉︎ね⁉︎」

 

『…ウグッ……』

 

 W-Refを嵌めてアンラベルの首を対象に関節を決めている私の腕に、若干焦っている礼神が掴みかかってくる。別に何度でも蘇るので問題ないが、そんなアンラベルを気遣うとは優しいのだな。しかし礼神が揺すった事で、腕が更に締まりアンラベルが呻く。抵抗もしようとはするが、"覚醒率0.1%"のアンラベルにそんな力はない

 

『ググッ…と言っても、我に首絞めは駄作だな主よ。呼吸も血液の流れも我には関係な 「ゴキリッ‼︎」……首を180度回転させるとは思わなかったぞ主よ……』

 

「うわぁ……朝っぱらから嫌な汗掻いた。シャワー浴びてくる」

 

「わかった」

 

 首をへし折られたアンラベルが消えると、少し頭も冷めて冷静さを取り戻す。まるでアンラベルが憂さ晴らし用サンドバッグのようだが、私のスタンドだし原因だしデメリットも無いので別に良いだろう。うん、私は悪く無い。

 

 それを見届けた礼神は苦笑いを浮かべてシャワー室に向かった。

 

 その間に私は出発の準備を進めておこう。

 洗面所の鏡を見つめ口を開け、自身の歯の長さを確認する。

 

「………少し長いな。ムッ…親知らず…」

 

 吸血鬼というのも不便な物だ。歯を弾丸代わりにした私が悪いのだが、歯を抜いて以降、歯の成長速度がおかしい。抜いた分が1日で生え治るのはまだいいが、デフォルトより長くなったり本数が増える事もあるので困る。

 おかげで手入れを怠ると口内炎の原因になる。

 

「いーー…よし」

 

 専用の歯ブラシ(ヤスリ)をしまい洗濯したスカーフを口元に巻く。

 次に荷物を開けて武器の手入れを始める。鞭、刃のメンテをしてからベルトをパンツに通し、予備の刃を装填し鞭を引っ提げる

 

「昔は射出すれば付け替える必要があったが、今は自動装填か……知らぬ間に改良されていたか」

 

 支度を終えた私は時刻を確認し、時間が過ぎるのを待った。

 

「…イギー、お前もそろそろ起きておけ」

 

 

 

 

 

 ……で、各自の支度も終え腹ごしらえ。と思われたのだが…

 

「……遅いな」

 

「先に注文だけしとくか」

 

 お冷やの水を飲みながら朝食の場に全員集まるのを待っていると、承太郎がそう意見し店員を呼び寄せる。

 

「承太郎、勝手に頼んだらイチャモンつけられるかもよ?」

 

「フンッ…遅れるのが悪い」

 

 椅子に踏ん反り返る承太郎は、気にも留めない様子でそう答える。そこでイギーに大人しくしていてもらう為にガムを与えながら、ジョセフは口を開いた。

 

「それもそうじゃの。にしても2人揃ってどうしたんじゃ?」

 

 今この場にいないのは花京院とポルナレフの2人だ。ポルナレフならまだしも、花京院まで寝坊するとは考えづらい。

 もしや彼らの身に何か起きたのかと思ったその時、迎えに行くまでもなく2人は食事の場に現れた。

 

「遅いぞ2人とも」

 

「いやすまない。シャワー浴びてたら遅れた」

 

 頬を掻きながらポルナレフは平謝りして席に着き、花京院も何事も無かったかのように席に着いた。

 

「ところでここのボディーソープとかって、一体何使ってんだ?」

 

「そこそこ質の良い上級品らしいが、それがどうした?」

 

「なんかサッパリしないんだよな。身体がザラつくというか……」

 

「それで今朝もシャワーを?」

 

「いや、今朝は寝違えて首痛かったからほぐすのを目的に……」

 

 ポルナレフの言葉に私が受け答えしていると、ポルナレフは腕を回す動作をしてコリをほぐそうとしている。

 

「確かに今朝の寝相は酷かったからな。ポルナレフの奴、ベッドから頭を投げ出して寝てたんですよ」

 

「そうそう‼︎ 頭を北に向けてグッタリとな‼︎」

 

「グッ…ゴクッ…ゴホゴホッ‼︎」

 

 今朝の出来事を笑い話にしようと、戯けた口調でポルナレフが言う。それを聞いてか礼神は口に含んでいた水を吹きそうになっていて、花京院がそれを見てすかさずハンカチを差し出す。

 

「大丈夫かい?」

 

「大丈夫だよ…んっんん…フゥ」

 

 しかし礼神はポルナレフを凝視していて差し出されたハンカチに気付かず、ブレザーの裾で自分の口元を拭いすぐに咳を収めた。

 それを見たジョセフは笑いをこらえようと握り拳に力を入れる。気持ちもわからなくないが花京院に失礼だろ……

 花京院は使用用途が無くなったハンカチを自分のポケットへしまった。

 そもそも何故急にむせた。そんなに虚をつかれるような話では無かっただろう?

 

 そう思うのも束の間……私はポルナレフの現在の状況を察した。

 

「北枕? ポルナレフ……まさか貴様、既にスタンド攻撃を受けているんじゃ?」

 

「…………は?」

 

「ちょっと待ってね」ゴソゴソ

 

 礼神は前にジョセフに使った螺子の振り子をポルナレフに向けて使った。すると振り子は規則を乱して、見事にポルナレフに吸い寄せられた。

 

「……なん…だと?」

 

「うん。磁力を帯びてるね」

 

 呆れた様子で礼神が項垂れる。今回こそ回避できたと意気込んでいたから、その分ショックなところもあるのだろう。

 

「いつからだポルナレフ」

 

「いや知らねぇよ‼︎ 俺が聞きてえくらいだぜ⁉︎ 予言聞いてからはコンセントの類には極力触れてねぇし、使う時だってレオンに安全確認してもらった‼︎」

 

「ならそれより前か?」

 

「それより前⁉︎ それこそねぇよ‼︎ ホテルに着く前は一度たりとも触れてね…………アッ⁉︎」

 

「何だッ⁉︎ 思い当たる節があるのか⁉︎」

 

「じ、実は………」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 時は昨日に遡って……

 

「レオン、ワシはちょいとトイレに行ってくるよ。店のトイレは普通そうじゃ」

 

「そうか。私はアヴドゥルに確認を入れるから、ポルナレフ。代わりにイギーと付き添ってやってくれ」

 

「ゲッ⁉︎ 俺かよ……しかもよりによって此奴と〜?」

 

「イギーは鼻が良いからな。あと野生の勘が。ほら、賄賂だ」

 

 俺がそう不満を吐くと、イギーが俺を睨みつけてくる。此奴、犬のくせに人間様の会話を理解するたぁ生意気だぜ。

 そんな俺の表情など気にも留めず、レオンは強引にガムを俺に握らせる。

 

「ワイロって……成る程ね…」

 

「じゃあちょいと行ってくる。その間に旅路の確認とかも任せたよ」

 

「あぁ、任された」

 

 レオンは早速あの小さな機械を取り出して使い始め、学生共は知らん顔しやがる。助け舟は………ないか。

 

 渋々ジョースターさんの付き添いとして歩き出し、ガムをちらつかせてイギーも歩かせる。

 やがてトイレに着きそこでイギーにもガムを渡す。此奴の機嫌が悪くならないうちに早く戻って来ねぇかな。

 しかしトイレには順番待ちをしてる輩がいた。ジョースターさんは二番目。

 

「ポルナレフ、ここまでで良いよ。トイレに用のないお前まで並んではややこしい」

 

「ん、そうだな」

 

 トイレの列から少し離れ時間潰しに煙草を咥える。すると……

 

「あぁどうしましょう。なんてことなの…」

 

 そこで可愛い子ちゃんの甘い声が聞こえた。

 困っているようだったので、もちろん俺は声の主の方へ目をやり咥えてた煙草を箱に戻す。

 

「どうかしたのかい?」

 

 そこにいたのはフードを被った小麦肌の美女だった。その美しさといったらもう、今まであってきた女性の美女・美少女ランキングで五本指には入る程だ。

 

「いえ、実は母の形見である指輪をこの横穴に落としてしまったのです。命の次に大事にしていた物なのに」

 

 そう嘆く美女が指差すのは蓋の外れた排水口。目を凝らすと少し奥に金物の光が確かに見える。

 

「手を伸ばせば取れるのですが、その………奥が暗い事もあって少々怖くて………」

 

「いいよいいよ、俺が取ってあげるよ♪」

 

「そんな! 今会ったばかりの貴方様にそんな事は頼めません」

 

「いいっていいって。じゃ、ちょっと離れてくれよ」

 

 小麦肌の美女に離れるよう促してしゃがみこみ、排水口に腕を突っ込む。最初に目視して確認した位置的に、手探りで余裕で取れるはずだ。

 

「よし、取れた…イッ⁉︎」バチッ

 

 まるで感電したような痛みを感じ、腕を引く。ちゃんと指輪は回収できたが………

 

「どうなさいました?」

 

「いや……ちょいとバチッとね」

 

 まさか…礼神の言っていたスタンド…

 

「それはいけません‼︎ すぐに手を‼︎」

 

「え? 何を……って、えっ⁉︎」

 

 小麦肌の美少女は何を思ったのか俺の指を咥え吸い付いてきた。

 やがて口を離すと一度地面に唾を吐き、彼女はハンカチで俺の指を丁寧に拭ってくれた。

 

「ドブネズミの巣かと思いましたがこの排水口、もしや毒蜘蛛も潜んでいたかもしれません。血も止まりましたし、すぐに吸い出したので大丈夫かと思いますが…………」

 

 血なんか出てたか? まぁこの際どうでもいい。

 

「へ、へぇ〜 毒蜘蛛ね。助かった……のかな? ゴメンね、俺の手汚かっただろ」

 

「いえ、私は貴方様のような、誰かの為に手を汚せる人の手は大好きですよ」

 

 そう言って彼女は握ったままだった俺の手をギュッと抱きしめる。

 あ、手に柔らかい感触が………我が生涯にいっぺん悔いなし‼︎

 

「それでは私はこれで失礼させていただきます。このご恩は一生忘れません」

 

「お、おう。帰ったらちゃんとウガイするんだぜ」

 

 そう言って彼女と別れると、丁度ジョースターさんが戻ってきた。

 

「…ん? どうかしたのか、ポルナレフ」

 

「べっつに〜〜? ただ素敵な出会いがあってな♪」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「貴様という奴は…」

「まったくだぜ」

「バーカ」

「Oh My God…」

「呆れて何も言えません」

『この愚か者めが』

「アギッ」

 

「…………面目無い」

 

 我々の集中砲火により、ポルナレフは力なく頭をテーブルに押し付ける。

 

「本当何やってくれてんだか〜。せめて報告してよ。それをただの自分1人の思い出にしちゃってさー」

 

 ポルナレフに顔を上げさせ、礼神は持っていた螺子の丸い部分を額にグリグリと押し付ける。そして手を離すと磁力の影響もあって螺子はポルナレフの額に対して垂直に立つ。至極滑稽だ。

 

「まったく…そんなハニートラップに引っかかるとは。なんなら去勢して貴様の性欲を消し去ってやろうか? 波紋で種だけを死滅とかできなくもなさそうだが」

 

(あ〜、ワシも息子の件がバレたら同じ事を言われるんかのう……)

 

「………ジジイ、目が死んでるぜ。どうした?」

 

「お客様、お先にこちら、失礼させていただきます」

 

 そこでウェイターが何かの3つのケースを持ってくる。

 レストランでお冷やの他に料理前に出される物……ってまさか⁉︎

 

「待て‼︎ それを近付けるんじゃない‼︎」

 

「へ?」

 

 目を丸くしたウェイターは驚いて立ち止まり、周囲にいた数少ないセレブ客もキョトンとした表情でこちらに視線を向ける。

 

「…お客様? 何かお気になさらない事でも……」

 

「だからそれを近付けるな‼︎」

 

 質問しながら歩み寄るウェイター……もちろん歩み寄ってくれば、必然的に持っているケースとの距離も縮まる。

 その時、ケースがカタカタと音を鳴らし中身が飛び出して来た。

 料理前に出される物……料理前に用意されなければ困る物……すなわちそのケースの中身は、フォークやナイフ、スプーンだ。

 

法皇の緑(ハイエロファントグリーン)‼︎」

 

銀の戦車(シルバーチャリオッツ)‼︎……グッ⁉︎」

 

 咄嗟に花京院が触手で絡め取ったが、全ては防げず食器類がポルナレフを襲う。それを食らったポルナレフは仰向けに倒れ込んだ。

 

「大丈夫か⁉︎」

 

「あぁ、なんとか。しかし厄介だ…磁力がスタンド能力ならスタンドの甲冑まで反応しちまうのか」

 

 そう言うポルナレフのその身体の上には、彼のスタンドの銀の戦車(シルバーチャリオッツ)が横たわっていた。上手く身動きが取れないようで、諦めてポルナレフはスタンドを消す。

 

 ナイフ類は銀の戦車(シルバーチャリオッツ)の甲冑に弾かれたが、ポルナレフが倒れた要因は、磁力の影響でスタンドと衝突したせいのようだ。

 

「もももも申し訳ございませんお客様‼︎ わ、わた、私のせき、責任」

 

「落ち着いてくれ、彼は別に怪我はしていない。だが用事ができた…注文はキャンセルさせてもらう」

 

 スタンド能力のせいなのだが、スタンドを知らないウェイターは負い目を感じて返事をした。自分がぶち撒けたと勘違いしたのだろう。

 

「ポルナレフ、貴様は部屋に戻り待機だ。室内にある鉄製の物には気を付けろ。花京院、護衛を頼めるか」

 

「わかりました」

 

「なら残りの4人と1匹の采配だが……ここは礼神の意見を聞こう」

 

「そう? それなら……」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「ったく。何で僕が君なんかの護衛を………」

 

「オメェなぁ…みんなが居なくなった途端に本音を言うなよな。俺だって傷つくぞ⁉︎」

 

「五月蝿い。黙って包まっていろ」

 

 部屋に戻ったポルナレフはベッドの上で布団に包まって放置されていた。その理由は、万が一に鉄製品が飛んで来た時の為のクッション代わりだ。柔らかすぎる布団で少し頼りないが、室内にある数少ない鉄製品くらいなら問題無いだろう。

 そして共に残った花京院は室内にある鉄製品を探し、見つけ次第 洗面所等の別の部屋に運んでいた。

 

「……なぁ花京院。シャワー浴びてぇ」

 

「我慢しろ」

 

「だってサッパリしねぇんだもん‼︎」

 

「当たり前だ。君は今 磁石人間なんだからな」

 

「それとどう関係すんだ?」

 

「君はバカか? サッパリしない原因は身体に張り付いた砂が洗い流せないからだろ。その砂はおそらく砂鉄だ」

 

「マジかよ…」

 

 頭まで布団に包まれたポルナレフから呆れ声が聞こえる。

 それに対し「呆れてるのはこっちだ」と言いたげに、花京院はバレないのをいい事に睨みつけ、ポルナレフの荷物を軽く蹴飛ばした。

 




電話相手、スタンドなどの声は「」ではなく『』で表記しております。

ポルナレフ
「この愚か者めが………ってアンラベルが言ってたのかよ」

アンラベル
『うむ』
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