「行くぞイギー」
「ガウバウッ‼︎」
(本当にレオンさんの言う事は聞くんだ……)
そんな事を思いながらエレベーターに向かう2人を見送り、僕らもすべき事をする為に歩き出す。
「……で!どう探すんじゃ⁉︎」
「………それが問題なんだよね」
探知能力のあるレオンさんも、鼻の良いイギーも別行動。
一応どうするべきか考えてはいるんだけど……
「何だ、まさか打つ手が無ぇのか?」
「あるにはあるよ承太郎。ただ危険性が高くて……却下した」
「ひとまず言ってみろ」
相変わらず名前は思い出せないが性格は覚えてる。
原作では承太郎とポルナレフを分断してポルナレフを幼児化……つまり一人一人を弱体化して一人一人始末しようとする傾向があるはず。
……って事は
「……更に別れるのは却下じゃな。それは策とは呼ばん。無謀じゃ」
「ですよねー…………って、アレ⁉︎」
一瞬目を疑ったが、僕はガタイの良い2人を掻き分けてその先を勢い良く指差す。つられて2人が指差す先へ顔を向ける。
「……ッ!まさか、
「YES!YES!YES‼︎ 急ごう!見失っちゃう‼︎」
ホテルのすぐ前でガラス越しにガンを飛ばす1人の男……
その男の身体つきは良く筋肉質…サングラスを掛け横に幅を取る髪型をしていた。オマケに髪には、鈴のようなアクセサリーが10足らずぶら下がっていた。
そしてガンを飛ばしこちらが男の存在に気付くと、男は人混みに姿を消した。
「2人とも急いで‼︎」
「ま、待て!どいつじゃ!どいつなんじゃ⁉︎」
僕が見つけたその男こそが新手の幽波紋使いだと察して、せめて顔を確認したいジョセフさんだが既に姿を消され伝える術がない。
ひとまず承太郎は、信じて僕を追って走ってくれている。なら僕は前だけ見て、消えた奴を発見する事に目を光らせるだけだ。
「あぁもう‼︎ 何で出入り口が回転ドア何だよ⁉︎」
苛立ちながら転げるように外へ飛び出し、すぐ後ろを2人が付いて来るのを確認すると僕はまた走り出した。
そんな僕らは気付かなかった。ホテル内から投げ掛けられた敵の視線に…………
ー
ーー
ーーー
「……何だったんだ今の外国人達は…」
「老人は英国の言葉だったが後の2人は何語だ?」
「まぁ俺たちにゃあ関係無いだろ」
「ちげぇねぇや」
旅人3人がホテルから出て行ったと同時に、ロビーにいたホテル利用者達はそんな雑談を交わす。
雑談が無くとも騒がしく人の行き交う空間では、不審な行動を取っても周囲の人は案外気付かないものである。
「おい、あんま離れんなよ」
「わーってるよ。レオン・ジョースターの見回りが終わったら仕事を始めんぞ」
この様な何を企んでるかもわからない会話も、すぐ隣を通り過ぎる人ですら気にも留めない。
そんな会話を交わしたのはこれと言った特徴の無い2人の男。服装からしてホテルの従業員だろう。
「一般人が上階の客室に行くはエレベーターを使うしかない。そしてそのエレベーターは部屋を借りた者に渡されるカードキーでしか動かない」
「だが俺達には関係ない。
通路脇にある関係者以外立ち入り禁止の鍵付き扉。ソレを鍵の様なもので解錠し、扉を押し開け何の装飾も施されていない階段を上る。客には見せない通路なのだから装飾が無いのも当たり前なのだが、同じホテルでこれだけ落差があると新鮮味をむしろ感じる。
「うげぇ〜……」
気が遠くなる階段の長さを下から見上げ、片方の男が情けない声を口から漏らす。
「はぁ……これが終わったら報酬弾んで貰いますぜ、DIOさんよぉ…」
「おい…」
階段を上るために足を動かし始めると、もう1人の男が呼び止め下から睨みあげてくる。
「お前は金があれば裏切るのか? 巫山戯るなよ」
「じ、冗談だよ……」
「……………」
階段下から見上げる様に睨む従業員から視線を外し、また上へ上へと登り始めた。
(こいつ……肉の芽を植えられスッカリ信者になっちまってるな)
前を歩く男は後ろを歩く男に対してそう思った。そしてこの前までは自分より金にがめつい男だった事も思い出す。
ーーーや、やめてくれよ!なぁ頼む!ーーー
脳裏に彼の
ーーーそんな物 付けな…ま、待ってくれ‼︎ーーー
それを思い出すだけで背筋が凍り付く。
狭い個室…動けない男…汚い悲鳴……
……蠢く触手…妖艶な笑み…支配者…
「俺は………あぁなりたくねぇ」ボソッ
「…あ?何か言ったか?」
「いや、何も」
そこからは2人共黙り込み無言で足を動かす。
もしかしたら百を超える程の段数を上ると、ようやく男達は扉を開けて通路に出た。
「番号は……っと。通路を曲がった先だな」
ー
ーー
ーーー
「……………」
「……………」
最後の会話を終えてから何分たったんだ?布団に包まり黙る俺はふとそう思う。部屋には花京院もいるが不機嫌で話しかけたくない。
「………………」
「………………」
何の音も響かないというのも辛いな。普通無言でも、室内には時計の針が時を刻む音が聞こえる。だが金属類はもれなく別室に移動されたのでそれも無い。もう布団は退かしてもイイと思うんだが……
「暑い」
「黙って被ってろ」
………これだもんなー。
「仕方ねぇだろ。ここどこだと思ってんだよ!」
「ホテルだろ」
「それもエジプトのな‼︎ずっと被るとか死ぬわ‼︎」
我慢できずにベッドから起き上がり布団を投げる勢いでどかす。その後に室内を見渡してみると、金属の類いは見る限り存在しなかった。
花京院も意地悪だな〜。片付いたなら言ってくれれば良いのによぉ。
「怪我しても僕は知らないからな」
「へぇへぇ、わかったよ」
服の中に手を伸ばし掻き毟るとザリザリと音を立て肌触りも最悪。手の動きに合わせて砂鉄が肌の上を走り回り更に不快感が煽られる。
「あぁークソッ‼︎ レオン〜〜早くしてくれぇ〜〜‼︎」
「おい!五月蝿いぞポルナレフ‼︎」
不満を叫ぶと花京院からの辛辣な言葉が飛んでくる。苦手ってわけしゃないし悪い奴じゃないんだけど、花京院は俺の事をあまり良く思ってない気がするな。
承太郎はまだわかる…年が近い男子だからな。だが礼神相手にもアヴドゥルにも「さん」付けだ。もちろんレオンとジョースターさんにも……
だが俺は呼び捨て。別に全然嫌じゃないんだが、こう厳しく言われる
俺も傷付くというか、気にせざるを得ない………よし。
「花京院は俺に厳しいよな。なんだ?俺って嫌われてんのか?」
「別に嫌いじゃないが、もう少ししっかりとして欲しいというのが僕の本音だ。君がしっかりしていれば今頃みんなと共に行動できたはずなんだぞ。J・ガイルの時だって……」
「わ、わかったよ。反省してるって!」
思い切って聞いたが聞くんじゃなかった。
まったくもって耳がイテェよ。
………本当によ…
「……………本当……しっかりしないとな。俺は助けられてばかりだ」
この旅で俺は迷惑をかけてばかりだ。
それを今また再確認して目を瞑り俯くと、花京院が雰囲気を先程と変えて声をかけてくれる。
「…………わかればいい。僕も君の事を頼りにはしているんだ」
ーーーピンポンーーー
「………」
「………」コクリ
そこで突如と部屋の中にインターホンの音が短く鳴り響く。
それを聞いてからアイコンタクトを済ませ、俺はベッドから降りていつでも戦えるよう臨戦態勢に入る。
「……誰だ?」
「ワシじゃ。新手の幽波紋使いは始末した。部屋に入れてくれ」
その声に一瞬安堵するが、俺達は何とも言い難い怪しさを感じた。
「ジョースターさん…………?」
此方の質問に帰ってきた声はジョセフ・ジョースターの声だ……しかし俺と花京院はそんなジョースターさんに不信感を抱き、花京院は俺に耳打ちをしてくる。
(……どう思うポルナレフ)
(どうも何もお前と同じ事を考えてると思うぜ)
(君も気付いたか……そうなんだ。承太郎達が出て行ってからまだ十数分しか経ってない………いくら葎崎さんの予言があるにしろ早すぎる)
俺に術をかけたマライアを追いかけてるのがレオンとイギー。承太郎達の方に探知技能を持った人材はいない……花京院の言う通り戻って来るのが早すぎるんだ。
(事前にメモってあった番号があるだろ。かけてみようぜ)
花京院は一度頷くと、部屋に備え付けてある電話に手を伸ばす。かける相手はジョースターさん。
もし部屋の前にいるのが本物なら、携帯機器を手に取るはずだと思っての行動だ………しかし
「ッ⁉︎花京院!
「なっ⁉︎」
跳んでソレを躱す花京院。
ソレの危険性を知っている花京院は着地する前に壁を蹴り更に跳躍……俺が寝ていたのとは別のベッドに背中から着地する。
「花京院、大丈夫か⁉︎」
「……いや…一瞬触れてしまったようだ」
そう言う花京院は冷や汗を流し、少しずつ目に見えて縮み始めた。
そして花京院が縮んだ原因は平面から立体へと姿を変え、内側から部屋の鍵を開けた。
「1人でポルナレフの護衛してたのォ?偉いネェ〜〜」
ドアを開けて入って来たのはムカつく面した髪型が特徴的な男と、ジョースターさんの姿をした誰かだった。
「テメェら‼︎新手の幽波紋使いか⁉︎」
「まぁ……
「ぶった斬る‼︎
自分のスタンドまで引き寄せちまうなら、最初から密着してればいい。少し動きにくいがその状態で攻撃を仕掛ける。
「仲間の変装をするなんて生意気な野郎だ!まずはテメェからだ‼︎」
姿と共に晒された奴の殺気が、ジョースターさんの偽物だとすぐに知らせてくれた。
だから俺は迷わずに斬りつけるが、
「何ッ⁉︎…コレは…まさか‼︎」
チャリオッツの甲冑に付着した液体はジェル状に蠢き、甲冑を溶かして煙を上げていた。
「ぬ、脱ぎ捨てろチャリオッツ‼︎」ボンッ‼︎
甲冑の下や俺を侵食する前に、甲冑を弾ける様に脱ぎ捨てさせる。
しかしその甲冑も俺に向かって飛来するので、スタンドを解除しチャリオッツごと甲冑を消す。本来は防御を捨てて攻撃に転じる技だが仕方ない…
それよりも問題は奴の能力だ……
「お前はレオンに再起不能にされたハズじゃ…⁉︎」
「ハ?…何の話だ?人違いだろ」
「人違い?確かに俺は奴を見た事は無いが……黄色いスライム、擬態、衝撃吸収、捕食…間違いでなければシンガポールで聞いた…って危ねぇ‼︎」
黙りこくってた男が俺に向けて影を伸ばす。その影を床ごと斬る為に新たに出したチャリオッツでレイピアを振るうと、慌ててスタンドを奴は戻した。
「ったく…人違いなら誰なんだテメェら‼︎
「フンッ…俺様はセト神の暗示の幽波紋使い。アレッシー様だ」
「俺の名は
ーーー節制のカード…イエローテンパランスーーー
やはりラバーソウル…シンガポールでレオンにやられたと聞いたが…
今はそれどころじゃねぇな。名前も確認したしよ…
「馬鹿正直に名乗ってくれてありがとよ!俺は一度オサラバさせて貰うぜ‼︎」
「逃すか‼︎」
「チャリオッツ‼︎」
花京院を抱えて窓を開けると、ラバーソウルが何かすると感じレイピアの刀身を飛ばし先制攻撃。誰にも言ってない
「速い……だが無意味‼︎俺のスタンドには通用しねぇんだよ‼︎」
呆気なく打ち出した刀身は弾かれ、奴らの後ろへと飛んでいく。だが……
「弾いたはいいが……今の俺はよぉ、
「……は?」
「だからよぉ…
「ギニャァァアッ‼︎⁉︎」
首をかしげるラバーソウルの背後でアレッシーとやらが情けない悲鳴を上げる。そんな男の左肩には、弾かれたはずのレイピアの刀身が後ろから不自然な角度で刺さっていた。
もちろん狙って飛ばしたぜ!磁力の影響で上手く狙えなかったが、俺と刀身の間に敵がいれば磁力の力でドンドン深く突き刺さる。後は勝手に………
「ギャァァァア‼︎」
「今だ‼︎」バッ
「………チッ…逃げられたか」
刀身が肩を貫き俺へと帰って来たところで窓から飛び降りる。
「消えろチャリオッツ‼︎そして出ろチャリオッツ‼︎」
一度消す事で刀身を無事再装填。
落下中にホテルの壁にレイピアを突き立て、壁に派手な傷跡を作りながら落下速度を減速させていく。
「…よっと、到着。大丈夫か、花京……院…?」
そこでようやく気が付いた。俺が花京院を
学ランの襟から花京院と同じ髪色がはみ出ているが顔は見えない。
意を決して俺は花京院を下ろし顔を確認する。
「……………」
「……………」
「…花京院………俺が誰かわかるか」
「……ぽる……えと…ぽ……?」
……外見からして年齢は7,8歳くらいか?
それはそうと…………
「…お兄ちゃん、どうしたの?」
…………妹がいた身の俺は、保護欲が刺激された。
ー
ーー
ーーー
前後左右、360度、四方八方…あらゆる場所に目を光らせ、3人で注意深く奴を探す。
しかし目的の人は見つからずジョセフさんを頼る。
「任せろ。
道端て地面に手刀を振り下ろすジョセフさん。
その手には荊が巻きついており、地面に触れると砂が集まりここら一体の地図を作り上げる。そんな地図上を1人でに動く小石が1つ…
「ワシらがいるのはココ。この動いてる小石か新手の幽波紋使いじゃ」
「そこの角を曲がった先だな」
場所を確認して僕らは走り出す。地図上の小石か指し示した場所が目で確認できる所まで行くと、奴が此方を見て余裕の表情を浮かべていた。
奴と言うのは影の幽波紋使いの事だ。しかし長い時間追っているのだが何かがおかしい。
「
そんな台詞を承太郎が述べた瞬間、承太郎は姿を消した。
時を止めて奴を捕まえようとしたのだろう。しかし奴との距離はまだある上に、道は人で溢れかえっている。その為、止めた時間の中で動いても、人混みが邪魔で辿り着けなかったのだろう。時が止まった世界で動いた承太郎はまるで瞬間移動したかのようで、そこからは自力で走り距離を詰めるが何故か逃げられてしまう。
「クソッ、
「っんの影野郎‼︎ 承太郎…今はどれくらい時を止められるんだっけ?」
「……3秒ほど…」
その3秒という時間の中では奴の所まで辿り着けない。だったら辿り着ける距離に入ってから時を止めればいいと思うだろうが
「これで何度目だ……流石に別のスタンド能力の疑いを強めるべきだぜ」
「……そうだね」
ホテル前から奴を追い掛けてそれなりの時間が経った。その間に何度も奴と遭遇したがバトルには発展せず、捉えるどころか何故か触れる事もできないのだ。
ジョセフさんが後一歩で捕まえると言うところで横に積まれていた木箱が崩れ落ちて道を阻み、承太郎が追い掛ければ、時止めの能力を持っても捕まえられない条件下が何故か揃う。時止めの時間を考慮した射程を考えて攻めても、射程内に入る前に姿を消される。もしくは道を何かに阻まれてしまうのだ。
僕も何度か捕まえられそうな場面を体験したが触れる事もできなかった。人が少なくここぞとばかりにケルベロスに跨り追い掛けると、運悪く看板に頭をぶつけ転落した……
これだけなら僕がドジなだけで済む話だが、この時に限って承太郎が離れた所にいた。人混みも無く時止めで捕まえられる絶好の機会に限ってだ。
一言で言うならまさに「
如何なる手を使っても捕まえる事ができないと
「敵も敵で意図かわからねぇ…戦う気がまるでない。まるで
「追わされている……まさか⁉︎
何かに勘付いたのかジョセフさんがまた地図を展開する。
「なんと……もうこんなに離れていたのか」
「……どうやら俺達は餌に釣られたようだ。してやられたな」
砂が集まりできた地図を見ると、2つのバツ印が見える。片方は僕らの現在地だが、もう1つは…………
「このバツ印ってホテル?」
「うむ。一度戻ろう」
「チョッ、待ってよ‼︎目先の敵はどうすんの⁉︎」
「……アレは一度放っておくべきだ。スタンド能力を使う気配も無い……これは勘だが、奴は葎崎の言う「影の幽波紋使い」とは違う」
…言われてみればそう思う節も多々ある。僕らから逃げるばかりで、誘ってるような素振りだった。となると……
「…狙いは花京院達って事?マライアがポルナレフにトドメを刺しに……でもレオンさんが念の為に見回りしてたし…もしかして敵は2人じゃない?」
「………そうなるな」
短く答える承太郎は眉間に皺を寄せていた。
僕らは踵返して来た道を戻るべく走り出す。すると角を曲がった先でまた奴と遭遇する。
サングラス越しに見つめる忌々しい視線が僕らを捉えている。あの影野郎め……チョロチョロ逃げたり現れたり…本当にイラつく事をしてくれる。
「…いい加減にしろよ、この陰湿行為野郎‼︎ ケルベロス‼︎」
痺れを切らした僕らは骨刀となったスタンドの尾を両手に持ち、貫く勢いで肘を伸ばす。動きは見様見真似のフェンシングのようだ。
「喰らえ!僕は剣道経験期間は1週間だァ‼︎」
自慢にすらならないどうでもいい事を苛立った拍子に口走る。
そんな初心者どころか素人の突きは、奴こと影野郎の腹部に突き刺さった……かと思ったが、頑丈なゴム風船に刺したかのような不自然な感触を体感した。
「…………?」
「
追撃を与えんばかりに承太郎がスタンドで殴りかかる。
「何だ……こいつは…」
「フッフッフッ……俺を誰かと勘違いしてねぇか?」
不敵に笑うと奴の皮が急に焼け爛れるように溶け始めた。危険を感じ、僕と承太郎は距離を取る。
「俺はアレッシーではない……
「ッ⁉︎」
咄嗟に距離を取ったのが功を奏し奴の攻撃を躱せた僕らは、そのハンサム顔とやらを拝見して驚愕する。
というか、僕は思考停止一歩手前だった。何でこうなる?どうして原作からこんなかけ離れるの?確かにバタフライ効果の事もあるよ?でもコレは無いんじゃない?
「テメェは………」
「
そこに立っていたのはシンガポールで倒したはずのラバーソウル…節制のカードの幽波紋使い………あ、影野郎の名前アレッシーか…あぁ〜やっと思い出せた。
いや、それより現状把握だ。考えろ……情報量が僕の取り柄!頭が回らなきゃそれは活かせない‼︎
「礼神…こいつは……」
「…うん…チョット話しかけないで」
「そんな事よりテメェ……どうしてここに居る?」
「それが聞いてくださいよォ〜。ポルナレフと花京院に奇襲かけたんすけど逃げられちゃいましてェ…それでアレッシーと追っかけてたらアンタラが居るわけで「俺が聞いてるのはそんな事じゃねぇ‼︎」
「お前はシンガポールてレオンに倒された筈だ。生命エネルギーをギリギリまで抜かれ、波紋で堕とされた……確かに身体に障害か残る攻撃ではなかったが、それ以前にアヴドゥルの炎で全身火傷を負っていたはずだぜ」
「……あ?何言ってんだ?」
首を傾げておちょくる様な口調でそう返すラバーソウルは、嘘を吐いていない気がした。そして僕はラバーソウルの額に蠢く触手を見た。
「さっきまで追ってた奴の正体がラバーソウル?いや、話を聞く分には違う……ッ!アレって肉の芽⁉︎」
「肉の芽じゃと?一体何故ラバーソウルに……」
「葎崎、ジジィ‼︎考えるのは後にしろ。来るぜ‼︎」
「ゴチャゴチャ五月蝿えなぁ……俺が誰に化けようと、どこで何しようが関係ねぇ。ただわかるのは、「テメェらがココで俺に殺される」事実だけだ‼︎ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ‼︎⁉︎」
肥大化する黄色いヘドロ、それは肉を捕食して大きく強力に成長するスタンド。養分は実際に存在する生き物等……それで形成される故に幽波紋使い以外にも見える特殊なスタンドだ。
周囲の一般人はそれを見て狂った様に逃げ出した。見るからに非現実的な物だからだろう。
「ケルベロスッ!」ドプッ
承太郎とジョセフさんが反撃に出る前に、僕はそのヘドロにケルベロスを突っ込ませる。
ヘドロはケルベロスに触れると同時に反射的に絡み付く。スタンドと感覚を共有している僕は、全身に粘着感が走り虫唾も走らせる。
だが代わりに、ヘドロごとラバーソウルを突き飛ばす事ができた。相変わらずノーダメージだろうけど…
「礼神!何をやっとるんじゃ‼︎そいつの能力は女神のお前さんが1番わかっとるじゃろ‼︎」
「うん。ラバーソウルに勝つのは大変……でも現状、これが最善かなと………早く行って2人とも」
「い…一体何を……?」
「……ッ!」
承太郎は気が付いた様で、アイコンタクトを一度するとジョセフさんを引っ張って走り去った。
「最善……テメェ本当にそう思ってんのか?」
「アンタはこう言った。ポルナレフと花京院に奇襲を仕掛け、
「さぁ、どうだかな……近くに隠れてるかもしれねぇぜ?」
「それは無いね。結果論だけど、僕らは君の登場に釘付けだった。隠れてたら絶好の不意打ちチャンスを逃した事になるから………よって残された可能性は花京院とポルナレフがピンチ…って事。囮役が誰かは悩んだけど、アンタの他に化けれるのってあいつしかいないし、そうなると芋づる式で
「………へぇ…頭いいじゃん…」
「…………え?…あ、そうじゃん‼︎何気に承太郎より先に気付くとかヤバくない⁉︎ヤッベ!テンション上がる‼︎誇れる‼︎」
「…………性格は残念だな」
「失敬なッ!」