『今いる場所から北に向けてランニングだ!すると道中でいじめっ子のアレッシーを見つけたぞ!』
『嫌な奴だけど仲間に加えてランニングを再開!耳塞いで鼻歌を歌うのを忘れずにね。ランラランララン♪』
『そうこうしてると、オインゴボインゴ兄弟とアレッシーはジョースター達を見つけたぞ!道中で気絶してて格好の餌食だ‼︎」
『でも焦ってはいけない。まずは厄介な能力を持つ承太郎とジョセフ・ジョースターを無力化だ‼︎』
『武器を使えばスタンドが無意識に防御してくるぞ!ここはアレッシーのスタンドで若返らせよう‼︎その間オインゴ達は影でコソコソ…』
『だがそれでもアレッシー気を抜くな⁉︎ジョセフがすぐさま起き上がるぞ‼︎すぐさま逃げるアレッシー。オインゴボインゴ兄弟も、別の道を通って追いかける』
『合流したよアレッシー。だけどまたココで別れよう。アレッシーは隙を見て奴らにまた攻撃‼︎時間が経てば敵は勝手に離れ離れに……狙うべきターゲットは巫女達だ』
『アレッシーに任せたオインゴ達はその場を離れて様子を見ます。だけど変装した男に気を付けろ!』
〜〜とある漫画の一部を抜粋〜〜
ー
ーー
ーーー
僅かな休息を兼ねてレオンさんが日陰へ移動する。その際に若ジョセフさんとポルナレフの首根っこを掴み強引に連れて行った。
その後レオンさん達が消えた方から青年の奇声、悲鳴が響き渡るんだけど、そろそろ警察が駆け付ける気がして怖い。ただでさえイエローテンパランスを目撃した一般市民が騒ぎ立てているのに………
今の所人の姿は見えないが、目撃者によって明日の朝刊に載ってしまう様な事にならなければいいが………
「すまない。待たせたな」バサッ
「わっぷ⁉︎」
戻って来たレオンさんは、何処から持ってきたかわからないロングコートを僕に被せてきた。服装がアレだったからね。紳士的配慮は助かりますよ。
「何やってたの?」
膝小僧まで隠してしまうロングコートに腕を通し尋ねる。そしてサイズの差を感じて脱ごうとすると、それより早くレオンさんが前ボタンを止めて来る。
その行動には「脱ぐな」って感情が篭ってるな。
「ジョセフに状況説明だけしておいた。ついでに知識を少々…」
コートを着せ終えたレオンさんは後ろを振り向く。つられて僕も顔を出して視線を向けると、かなりやつれたお二人さんが……
「………アー…オレハ ジョセフ……言葉ワカルカ?」
「
「あぁ……肉の芽フル活用?」
「正解だ。口で言うより合理的だし、敵の姿まで伝えられた」
どうやら肉の芽で直接記憶を植え付けたようだ。その方法に恐怖を感じて、2人はゲッソリしてるようだけど。
これで勉強嫌いの若ジョセフさんとも会話ができるんだね。ポルナレフもカタコト日本語で話してるけど、スタンドの会話があるからさほど違和感がない。
「何でポルナレフまで?」
「ついでだ」
「なるへそ」
「………で、ドウスンダ?」
肉の芽の触手を刺されたであろう額をさすり、ジョセフさんが話しかけて来る。
「礼神にはラバーソウル及び子供2人の管理、ジョセフはそんな礼神をサポート。ポルナレフは私と攻めに回る。まずはあの兄弟だ」
「あの…兄弟………?」
顔をしかめて顎に手を当てる。それを見かねたレオンさんが軽く微笑んで口を開く。
「オカシイな、きちんと送信できなかったかな。もう一回肉の芽を使おう。来いポルナレフ」
「あ、アァッ‼︎わかったわかった‼︎あの兄弟ね‼︎オッケーオッケー大丈夫‼︎」
無理矢理顔を引きつらせて笑顔を浮かべると、大声でレオンを引き止める。それを見たレオンさんはウンザリした様子で戻って来る。
「ヤレヤレ…それではまた別行動だな。イギーは………どっか消えたな。お前達は防戦に集中しろ」
「ガキどもを頼むぜ礼神。ホテルには戻れないだろうが、ここから少し離れた方がいいな……じきに騒ぎになる」
「わかってるよ。それじゃお気を付けて〜」
「オイ待て‼︎勝手に話ヲ進めんナ‼︎俺はガキの世話ナンカした事ねぇゼ⁉︎」
「………」
話が纏まりそうな所でジョセフさんが口を挟む。
するとレオンさんはまた微笑み、ジョセフさんの胸倉を掴んで路地裏に消えていった。
………そしてすぐに聞こえた悲鳴はきっと気のせいだよね?でも念の為に花京院と承太郎には耳を塞いでもらいました。
やがて悲鳴が聞こえなくなり2人の肩に手を置く。
「もういいの?」
「いいよ。いい子だねぇ」
「えへへ」
ーーーッ‼︎
えへへだって‼︎承太郎が「えへへ」だって⁉︎
これはもう精神年齢も戻っちゃってますね。
原作のポルナレフの方が幼いのにそれより幼く温厚な感じがあるのは、戦闘しながら幼くなったポルナレフと違い保護者が数名いたからだろう。それも守られる立場。
敵と対面してるわけじゃないんだから、口が汚くなる理由がない。故に昔のように可愛くなっちゃって………
「承太郎……大人にならないでくれないかな?」
「「………?」」
言葉の意味がわからず首を傾げるショタ2人。
アァーーーもう可愛すぎるだろ‼︎
「………ゴメン2人とも。やっぱりもう少し耳を塞いでてくれる?あと目も瞑っててね」
「「はーい」」
そう返事をして、小さな手で両耳を塞ぎ目を瞑る。
そうさせた理由はレオンさんが、気絶したジョセフさんを担いで出てきたからだ。
そして雑に地面に投げられ、ジョセフさんは無意識に「グェッ」と短く鳴く。
黒い瞳は上を向いて半分瞼に隠れ、無造作に開いた口の端からはヨダレが一筋流れている。まるでゲイにレ◯プされた被害者みたいだ。そのまま笑えばアヘ顔の完成だよ。子供には見せられない。
「起きろジョセフ………おい……はぁ」
気絶させた本人なのに、レオンさんは目を覚まさないジョセフさんに苛立ちを感じているようだ。
やがて足を持ち上げ………
「
「カヒョッ⁉︎」バチッ‼︎
………ジョセフさんの左胸を踏み付ける。
聞いたことのない間抜けな嗚咽を漏らし、咳込みながらジョセフさんが起き上がる。
「て…テメェ、レオン?………流石……に………それは…ねぇだろ?」
ガクガクの身体でなんとか立ち上がりレオンさんの首元に掴みかかると、弱々しく文句を口にした。
「………で、やる事はわかったか?」
「………イエッサー」
絶望し屈したような表情を浮かべたジョセフさんは手を離し、ゆっくりと数歩下がった。
「これも渡しておこう。それじゃ、行ってくる」
いつも口周りに巻いている長めのスカーフをジョセフさんに巻くと、何事も無かったかの様にその場を後にするレオンさん。それをドン引きした様子のポルナレフは、僕に携帯機器を渡してからレオンさんに付いていった。
「………ジョセフさん大丈夫?」
「バッ⁉︎………カやろう‼︎今の俺に触るんじゃねぇ‼︎」
な、なんか怒られた………
訳を聞くとまた肉の芽で記憶を植え付けられたらしい。子供の接し方とかコミュニケーション能力とか………ついでに現地の言葉と日本語知識を更に詰められ、確かに先程より流暢に喋れている。
それで気絶して起こす為に打ち込まれた波紋は血流を加速させるもの。
長時間正座してから立つと急に血流が流れ足が痺れる様に、今ジョセフさんは全身が痺れまくっているらしい。
同じ波紋使いのジョセフさんなら、1分もかからず痺れを取れるらしいけど………
「まったく運がねぇぜ。わけわかんねぇ状況に陥った挙句、レオンの奴スゲェ機嫌悪いし〜〜。一体何があったんだ?」
体勢を変えず棒立ちでそう呟くジョセフさん。だがその言葉を最後にし、波紋の呼吸をして痺れの緩和を始める。
「コオォォォォ………」ピクッ
「…ねぇ、もういい?」
「あ、ゴメンね2人とも。もういいよ」
承太郎と花京院に許しを出すと、2人は目を開け手を離す。ずっと強く瞑っていたからか、耳を押さえていた手で両目をクシクシと擦る。
やっぱり可愛い。
「で、ジョセフさんは痺れ取れそう?」
「コオォォォォ………あぁ、なんとかな」
「なら移動しよう。どこか安全な所………見通しが良くて、休める………あ、僕 方向音痴………」
「………ったく。コッチだ、付いて来い」
「え?道わかるの?」
ジョセフさんを先頭に歩くが、土地勘が無いので何処に何があるかわからない。でももし迷ってもGPS付き携帯を持ってるから事が済めばレオンさんが迎えに来てくれるだろう。
そう思って足を動かしていると噴水のある広場に出た。
道中僕の両手は子供達で塞がり、ジョセフさんは両手フリーで歩いている。
そしてずっと空気だったラバーソウルは僕らの後ろを歩いている。勘違いしないよう言っておくが、別にラバーソウルが目が覚めて自らの意思で歩いてるわけじゃないよ。
花京院の
これなら目が覚めても拘束できるし、既に固定してるから
「このスタンド操作って結構神経使う……ジョセフさん、せめてどっちか面倒見てよ!」
「あん?何で俺がガキの面倒見なきゃなんねんだよ」
「事情が把握できてなくて、現状が馬鹿馬鹿しく思えるのは仕方ないだろうけど、レオンさんに言われたでしょ?」
「ウッセェこのオッパイオバケ!」
「オッパッ⁉︎なんて事言うんだコノ浮気者‼︎」
「浮気ィ?身に覚えがねぇなぁ⁉︎それにオモリはアマの仕事だろ」
「うぅ〜…この恩知らずめぇ……元に戻った時覚えてろよ〜〜」
ジト目で睨むが、ジョセフさんはツンッとした表情でソッポを向き無視。二部のジョセフさんって思春期真っ盛りだから相手し辛いな。
ー
ーー
ーーー
礼神達と別れて早数分。
敵の現在地に関する情報もなしに、私とポルナレフは町中を走り回っていた。
「おいレオン‼こんな方法で見つかるのかよ⁉」
「正直運次第だ」
「はぁ⁉」
「他に良いアイデアでもあるのか?あるなら是非とも聞きたいものだ」
「うっ…」
頼みの綱は私の探知能力だけ。
それはポルナレフもよく分かっているはずだ。だから言葉を詰まらせ苦い顔をする。
それに、ただ当てずっぽうに探してる訳ではない。GPSマップを見た時に町の構造は粗方把握した。とある位置を中心に広がる螺旋状のように探せば、高確率である場所に誘い込むことができる。それは肉の芽でジョセフとポルナレフにも伝えてある。
予言と私の頭脳……どちらがより先を計算できるかな?
『主よ。ならば我の案を聞いてくれまいか?』
すると突如として現れたアンラベルが背後から顔を覗かせる。相変わらず表情は何故か見えないが、恐らく私を見つめているようだ。
「………何だ?」
『女体化して敵の目を欺く…「却下だ」
目を輝かせる勢いでガッツポーズを決めるアンラベルのセリフを遮り、即答で案の不採用を告げる。
「女体化?何の事だ?」
「お前は知らなくていい」
『気になるかポルナレフ。主は可愛いから「ゴッ‼︎」
回し蹴りがアンラベルの側頭部を捉え、アンラベルは頭から地面に叩きつけられる。といっても、実体を持っていない状態のスタンドなので、すり抜けるように地中に消えていった。
「………レオン、何の話だ?」
「黙れ」
変装自体は良い案かもしれないが、向こうにも予言を能力とした奴がいる。やったところで効果はあまり無いだろ。
ー
ーー
ーーー
「にしても喉乾かねぇか?なんか買ってくるから大人しく待ってろ」
「え?ダメだよ。今のジョセフさん、非幽波紋使いなんだから。1人になったら危ないよ」
立ち上がり飲み物を買いに行こうとするジョセフさんを僕がそれを咎める。
待ってる身も大変だし、ソコソコ歩いたので子供達も疲れる頃だ。ジュースでも買って休憩させてあげたいのは山々だけど………
「大丈夫だろチョイとくらい。あぁー、向こうの通りに売ってるな……」
「だからダメだっ………て、行っちゃった」
子供達2人は僕の隣で、広場の噴水の水に手をつけて涼んでいる。追いかけるにも、2人は暑そうだし………
「仕方ない…待つか」
少し遠いけど目の届く範囲だし、確かにチョットくらい大丈夫でしょ。
「ん?僕達、3人でお出掛け?」
「え?うん!」
「そっかぁ〜、
「チョット待って。それ以上近付かないでくれる?」
………油断も隙も無いな。
噴水に腰をかけていた僕は立ち上がり、ケルベロスの尾を手に持って静止するよう声をかける。ケルベロス本体はラバーソウルの拘束に使っているからそっちは使えない。
騒ぎも収まりきっておらず人混みも少ない。だからって噴水広場でもお構いなしに接触してくる?
「え…………わ…わたしに話しかけたんでしょうか?別に声をかけただけで、決して怪しい者じゃ…「ザクッ‼︎」
言葉を遮り尾骨を地面に突き刺す。すると僅かに相手の表情が曇り、一歩下がって距離を置く。
「影のスタンドも傷付くの?下手な嘘とかやめなよ。アレッシーさん」
「やっぱり巫女にはバレてるよ…ナッ‼︎」
「チョッ⁉︎」ガキン‼︎
自分の名前を出された事をキッカケに、アレッシーは諦めた様に人目も気にせず懐から手斧を取り出す。しかもそれを躊躇いもなく振り下ろして来た。それも幼児状態の承太郎に……
原作では雑魚キャラだったけど、それは承太郎達のような体育会系と比べての話………僕が受け止めた一撃は重く、尾骨に添えていた両手が痺れる。
「ジョセフさッ…」
「フンッ」ガッ
「カハッ………⁉︎」
「お姉ちゃん‼︎」
承太郎の前に立ち尾骨で
中々筋肉質なその腕はゆっくりと僕を持ち上げ、斧を手放し空いた手で僕の首にさらなる圧をかけてくる。
「ジョ………セ………さ………‼︎」
助けを呼ぼうにも気道を潰され声が出せない。ケルベロスを動かそうにも、骸鎧を解除するには関節を一つ一つ動かす必要があって少し手間がかかる。すぐに攻撃させることはできない。
(ヤベッ………意識が………)
「お姉ちゃんを離せ‼︎エメラルドスプラッシュ‼︎」ドドドドッ
「おらっ! 」ゴッ‼︎
「イッ‼︎テェェェナァァァアッ⁉︎」ブンッ‼︎
「カハッ‼︎…ハァ………ハァ………」ザッ
アレッシーは怒声と共に僕を投げ捨てる。
幼児になった花京院の技は威力も低いだろう。だがそれで怯んだ間に、承太郎は落ちてた斧の切断面じゃない方でアレッシーの脛を強打していた。
「このガキ‼︎エラくない、全ッ然エラくないぃぃぃ‼︎⁉︎」ドッ‼︎
(承太郎ッ…‼︎)
足元にいた承太郎を蹴飛ばし、アレッシーは遠距離攻撃を仕掛けた花京院に目を向ける。保護欲に晒された僕はすぐさま立ち上がり、息を乱したままアレッシーの前に立ち塞がる。
(守る…2人は……)
「ゴホッ…ゴホッ………」
咳き込むばかりで声が出ない。
「このッ⁉︎………と、テメェは殺しちゃいけねんだったなぁ?まずはガキが先だ」カチャ
(ピストル⁉︎)
手斧を拾ってしまうと、代わりに拳銃を取り出す。花京院に向けるなら射線上に僕がいるからまだしも、蹴り飛ばされた承太郎は距離的にどう足掻いても守れない!
「ーーーッ‼︎」
引き金を引くより早く攻撃を仕掛ける。だが間に合うはずもない。
振り上げた尾骨は届く距離じゃない………
(………アレ?)
………その時………僕を含めた全てがスローモーションに見えた。
走馬灯?あれ?前もこんな事なかったっけ?
(………何だろ、凄く落ち着く)
僕はアレッシーが引き金を引くより早く攻撃できない…阻止できない事を確信した。だが微塵の焦りもなく、僕は手に持っていた尾骨を迷いも無く放った……投げたのではなく
ーーーガキンッ⁉︎ーーー
引き金を引くと同時に、直径2cmにも満たない射線上に尾骨が重なる。銃弾に弾かれた尾骨は宙で回転して地面に刺さり、銃弾は明後日の方向に飛んで行った。
(でも2発目は今度こそ防げない………でも大丈夫…僕には見えてる)
僕の視線の先……アレッシーを挟んだ向こう側には、破裂したかのように飛び散る水滴と、それより速く飛ぶ反射物が見えた。
「栓を吹っ飛ばす‼︎」
「アギャァァア⁉︎」
引き金を引くはずだった人差し指の根元に栓が食い込み、堪らず銃を手放す。その手を抱えて前屈みになると同時に、アレッシーの顔面にガラス瓶が叩きつけられる。
「ジョ……フ…さ……」
「………喉をやられたのか。悪い、遅れた」
そう言ったジョセフさんは静かに拳を握りしめて僕らの前に立つ。その握力のせいで既に割れた瓶にさらなるヒビが走る。
それを見たアレッシーは「うぅ〜、うぅ〜」と涙目で唸るだけ唸り、不恰好ながらにも逃げ出した。
すると振り向きもせずジョセフさんは、「今度は逃さねぇ‼︎」と言って走り去った。
(………いや、助けてもらったけど波紋治療…せめて承太郎だけにでもお願いしたかったんだけど………てかまた離れ離れになっちゃったし)
「お姉ちゃん‼︎」
「あ…あはは。君らに助けてもらっちゃったね。情けない………」
苦笑いを浮かべて立ち上がると、心配そうに承太郎と花京院が駆け寄ってくる。蹴り飛ばされた承太郎の方が痛いはずなのに………
頼りにされないといけない僕が、子供達に守られるなんてね。
(…情けない………情けないし、カッコ悪い………)
違う意味で泣きたいよ。どれだけ気合い入れて切り替えても、空回りして足引っ張るばかりじゃんか………
………それと、久しぶりに人に対して本気でムカついたな…
ー
ーー
ーーー
「チッキショー‼︎逃げ足早すぎんじゃねぇの⁉︎」
その頃、すぐさま後を追ったジョセフだったが、ものの数分でアレッシーの姿を見失ってしまう。
逃げ足が早い上に影のスタンドを使えば内側から鍵を開け、容易く民家に侵入もできるのだから無理もない。
そのアレッシーは民家の窓から、自分を見失ったジョセフの背中をコッソリと見送った。
「う…うええ、いてえよお〜。ジョースターめ……だが奴は後回しだ。ちっ…ちくしょう…ガキに舐められて だ、黙っていられるか…大人の面子にかけて嬲り殺し、巫女もDIO様に献上してやるゥ〜〜っ」
自分の任務遂行の為の選択を下したアレッシーは、すぐさま礼神と再戦するべく動き出す。そしてまた礼神達が場所を移動したのではないかと推測し面倒に思う。が………
「ーーーッ!」
隠れた民家の別の窓から広場を見てみると、そこには相変わらず礼神達がいた。承太郎と花京院は礼神の後ろの噴水に腰をかけ、礼神は尾骨を片手に仁王立ちしている。
「……………何だあのアマ…」
アレッシーの視線に気付いた礼神は静かに睨み返し、左手の中指を突き立て、反対の手で手招きしていた。
それを見た彼は窓から身を乗り出し外へ……銃は落とした為 手斧を片手に構える。
ジョセフの乱入によって逃走してからまだ2分も経っていない。
その2分という短い時間 目を離しただけ………なのにアレッシーの目に映った少女は、何故か別人に見えた。
「何のつもりだ?」
「何って?僕らを狙いたいんだろ?僕だってお前を始末したい。だから待ってやっただけじゃん」
そう言ってロングコートを脱ぎ捨て尾骨を構える。
「ますますわかんねぇ。お前、俺に勝てると思ってんのか?」
「こちとらジョースター御一行最弱の戦力だよ。でもテメェ程度の雑魚キャラには負けたくないんだよ」
「うは!うは!うははははははは‼︎何故俺がお前に能力を使ってないと思うね⁉︎スタンド本体を使えねぇテメェは大した力のねぇガキ!元々負けないという安心感があるからなんだよォ‼︎」
「うるさいなチキン野郎。御託はいいから来いよ」
「だったらッ‼︎遠慮なくいかせてもらう、四肢削ぎ落としてでもDIO様に献上してやるぜぇ〜〜〜ッ‼︎」
………礼神は承太郎の喧嘩に巻き込まれた事が度々あった。
承太郎もスタンドを身につける前はただの人間。故に怪我をする事も稀にあった。だが毎度承太郎が勝つ為、礼神自身この時抱いていた感情に気付かなかった。
傷付いても承太郎なら1人で返り討ちにできる。
だから自分が何かをする必要はなかった。
だが今の承太郎にはそれができない。
だから自分が何を思っていたのかに気付いた。
ーーー僕の友人に手を出すなーーー
それは怒り………家族を一度に多く失ったあの日から抱いた、保護欲の塊とも言える感情の派生結果だった。
「………………ヘァ?」
手斧を振り下ろしたはずの右手が異様に軽い。不自然に思い待ちあげると、その手には何も握られていなかった。
ーーーカランーーー
その音につられて目の前の少女に目を向けると、彼女の足元に重力に従って落ちた手斧があった。その手斧の上には緩やかに開かれた少女の左手………まさに今、彼女が持っていた手斧を手放したかのようだ。
「何をッ⁉︎」
「僕の特技だ、
まずは腹部に丸みを帯びている方の先端で突く。そして下から上に振り上げた顎を打ち、その顎に先端を付け、礼神はサイズを
「グガゴッ⁉︎」ドゴン‼︎
ラバーソウル拘束の為に縮まっていた尾骨……それが一瞬のうちに元のサイズに戻った。それこそ亜音速を超える速さで。
それが寸分狂わずにアレッシーの顎を捉えたのだ。
顎は前歯ごと砕け、それでも逃げ切れない衝撃が彼を宙に吹き飛ばす。そして彼が一度隠れた民家の壁を突き破り、豪快に土煙を上げる。煙が晴れて様子を見ると、そこには瓦礫クズに埋もれた目も当てられない顔面をした男がいた。
「………ふぅ、一皮剥けた感じ」
スッキリした表情で尾骨を肩に担ぎ、礼神は脱ぎ捨てたロングコートを拾い上げた。
レオン
「………無刀取り、いつ体得した?」
礼神
「孤児院のいた頃にね。ちびっ子から物を取り上げるにもコツがいるんだよ」