アヴドゥルは腹部を貫かれ右腕骨折でリタイア
ポルナレフは数ヶ所骨折したうえで全身火傷でリタイア
私は2人を辛うじて動ける程度まで回復させ退避を命じた。
するとそこで我々は承太郎達と合流する。
館突入時に負傷した右腕が完治していた事から偽物と疑われたが、スタンドを出す事で証明した。
「…となると残るのは………」
「………我が兄、ディオ・ブランドーただ1人だ」
軽く情報交換をし、私は目を伏せてそう呟く。
……………アヴドゥルはキョトンとしている。
「ジョセフ、花京院。お前達はアヴドゥル、ポルナレフと共に安全な所へ退避していてくれ。私は承太郎と共にDIOの所へ行く」
「いえ、レオンさん。僕は別行動を取らせていただきます。葎崎さんとイギーを探さないと………何ですか?」
花京院がそういうや否や、ジョセフとポルナレフが少しニヤつく。
「…確かに花京院の
「えぇ」
フォローの意味を含めて任せると、承太郎がハッと顔を上げて後ろへ振り向く。
「どうした承太郎」
「………コッチだ。急ぐぜ!」
承太郎は我々を置いて、脱兎の如く走り出した。
ー
ーー
ーーー
「来たか、承太郎………」
「あぁ。どっかの誰かさんが何度も時を止めたおかげで、すぐに異変に気付き駆け付けられたぜ」
同類のスタンドを持つ承太郎が歩み寄りながら、DIOに向けて皮肉を吐き捨てる。
承太郎とDIOが向き合う。その奥では気絶したイギーを抱いて立ち尽くす礼神……立ってはいるがその表情に覇気はなく、彼女もまた気絶しておりスタンドが自立して守りに入っていた。
しかしそのスタンドも、仲間の姿を見て安堵したのか姿を消してしまう。
「葎崎さん!」
「待て花京院。無鉄砲に突っ込むな」
「わかってます……わかってますよ」
レオンに肩を叩かれ、花京院は焦る気持ちをグッと抑える。
そんな2人の前ではDIOと承太郎が各々のスタンドを出して戦闘の構えだけを取っている。
「承太郎、貴様が時を止められるようになったのはここ最近と聞く。はたしてお前はどの程度止まった世界で動ける…2秒か?3秒か?」
「さぁな……そういうテメェは5秒……と、いったところか」
承太郎達が会話をしている間に、レオンは花京院に耳打ちをする。
「花京院……承太郎の弱点を知っているか?」
「ッ! こんな時に何ですか⁉︎」
「答えは私達だ。止まった時の中で此方にDIOの矛先が向けば、承太郎は私達を庇うだろう……無論、気絶した礼神達も対象だ。我々は速やかに礼神とイギーを回収して場を離れなければならない………わかるな?」
「………失敗は許されないと………わかりました」
レオンと花京院は会話を止めると、二手に分かれその場を離れた。
「このDIOの相手は貴様1人というわけか……もっとも、同じタイプの幽波紋使いとなれば当然だがな」
「来な、DIO。先に制止した時の世界に入門したテメェに、後輩が引導を渡してやるぜ」
「フフン……ならば先輩が可愛がってやろうじゃあないか」
次の瞬間時が止まる。
現時点でDIOが止められる時間は5秒程…対して承太郎は4秒半………0.5秒前後の差がどう左右するかは誰にもわからない。
同様に
「
「
パワー型スタンド同士の拳が、制止した世界で重なる。その余波は少しずつ蓄積され、時が動き出すと同時に一瞬だけ突風を吹かせる。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
だが時の動きなど気にも止めず、2人はスタンドによるラッシュの手を緩めようとはしない。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
しかし、互角に競り合っているように見えるが僅かに承太郎が押されている。更によく見てみれば、
「無駄ァッ‼︎」
「グゥッ⁉︎」
「フンッ。貴様よりどれくらい
「………………」
澄ました表情で腹部の鈍痛に耐える承太郎だが、掻きたくない汗が頬を伝う。
(話には聞いていたがこれ程だとはな………)
「試すっていうのは、傷にもならねぇ撫でるだけの事をいうのか? ウール100%の学ランの前ボタンは外れちまったがよ」
完全に強がりである。
布を捲ればそこには打撲痕があり、決して軽いものではない。
それを聞いたDIOは呆れた表情を浮かべてから、その安い挑発にあえて乗る。
2人はまたスタンドの拳を交える。
一方その頃、中庭では………
「葎崎さん!起きてください。葎崎さん‼︎」
「ん……んぁ………」
「気が付いたか………」
口元を赤で染めて吐血した形跡を残した少女、葎崎 礼神は目を覚ました。そんな少女の顔を覗き込んでいるのはレオンと花京院だった。
「僕は……確か………」
「よくやった。DIOを相手によく………」
そう言うレオンは気絶したままのイギーを抱えており、礼神は花京院の手を借りて起き上がる。
「ここは………」
目覚めたばかりで状況が掴めていない礼神…そんな彼女を見て、レオンが説明を始める。
「君はDIOと戦い気絶していた。そこで我々が合流……承太郎が戦闘を始め、隙を見て君を掻っ払ってきた」
そう言うのは簡単だが、DIOの目を盗むのは生半可な芸当では不可能。レオンの観察眼と
「みんな……は?」
「君の後ろだ」
そう聞いて振り返れば、礼神の背後には承太郎を除く全員が立っていた。
ジョセフ、ポルナレフ、アヴドゥル、伊月、ホル・ホース。
彼らの顔を見て、礼神はホッと胸を撫で下ろす。
それと同時に、苦痛で表情を歪める。
「クゥッ………」
「葎崎さん⁉︎」
「…君もリタイアだな。元より、DIOと戦えるのは承太郎だけだ……ジョセフ、波紋で緩和しながら礼神を運べ。治療はココを離れてからだ。承太郎の邪魔になる」
「伊月の旦那、言わなくて良いのか?」
「あ、そうだったね。なぁなぁレオン君」
ホル・ホースに話しかけられ、何を思い出したのか伊月がレオンに話しかける。
「何だ?」
「実を言うと回復剤が切れた。一応伝えておくよ」
「そうか……仕方ないな。ひとまず移動だ。花京院はアヴドゥル…伊月とホル・ホースはポルナレフに肩を貸してやってくれ。イギーは私が持っていく」
各自に指示を出し、彼らは移動を開始した。
「急げ。まだ日が出てるうちは問題無いが、承太郎を放って我々を狙う可能性も無いわけではない」
「レオン、日没まで後何分じゃ?」
「4分36秒だ」
「即答わろた」
レオンの答えに笑う礼神だが、やがてその表情が凍り付く。
崩壊音を聞いて振り向けば、壁が崩れ中の見える館の一室から土煙が上がる。
そこはまだ影になっていて問題無い為、DIOが仁王立ちして此方を不敵に見据えていた。
「………え…承太郎は?」
そのDIOのいる場所付近に別の人影は無い。
そして………
「ウグゥッ⁉︎」ドゴォン
……彼らの少し離れた場所に承太郎が降ってきた。
背中からアスファルトに叩きつけられ、少しだけ吐血する。
「じ……承太郎ォォォーーーッ⁉︎」
胸を押さえながら、礼神がジョセフの背の上で叫ぶ。
ジョセフはあり得ないものを見たかの様に表情を固め、他の皆も唖然とし、少し間を開けてから絶望の色を見せる。
そんな中…レオンだけが室内にいるDIOを睨みつけていた。
「承太郎ッ⁉︎ ココまで殴り飛ばされたのか‼︎」
「狼狽えるんじゃあねぇぜ。やられたわけじゃねぇ」
心配して駆け寄る仲間を一瞥して立ち上がるが、どうも足が覚束無い。
すると伊月が承太郎に駆け寄って状態を確認する。そしてその後にDIOを見つめて目を細める。
「出血の無い黒い傷口……もしかして刃物で切られた?」
「ナイフで数回…」
「それでか〜。よし逃げよう」
「あ?」
「おっとっと…」
承太郎に肩を貸して場を離れようとする伊月。
それに対して承太郎は伊月を軽く突き飛ばし、どすの利いた声で短く返す。
「承太郎…君を傷付けたナイフには恐らく黒戦が使われている」
「黒戦…って、旦那の切り札………」
「まだDIOの仲間だった頃に、自家製薬物を色々とDIOに納品してたんだよね。黒戦も少量…丁度ナイフ一本を毒ナイフに変える程度のをね。多分それが使われたんじゃないかな……」
そう言って伊月は承太郎の袖を捲り腕を露出させる。
そこには黒い傷口と、それを中心に広がる黒く変色した血管があった。
「オジさんみたく脳内で薬を分泌できれば黒戦はパワーアップアイテムだけど、それができなきゃタダの毒。傷口付近の部位は凍り付いたように動かし辛いはずだぜ?」
「だからなんだ。俺はまだやれるぜ」
「馬鹿か君は…オジさん呆れちゃうぜ。この調子で戦えば勝算が低くなるだけっつってんの。ここは引いてお爺ちゃんやレオンの波紋で緩和させて調子を戻すべきだ。幸運にも、時間帯的にDIOはスグには追えない」
「………………」
「……大人になろうぜ、高校生?」
「チッ……」
悔しそうに舌打ちをすると、承太郎は立ち上がりDIOを睨んでから背を向けた。
それに続き、他の者達も背を向けて走り出した。
全てはDIOに勝つ為に………その為に皆は、日が沈みつつある街を走り抜けていった。
「伊月、イギーも頼む」
………………1人の人外を除いて。
「………ジョセフさん…」
「構うな………
DIOは日向に身体をはみ出さず、影を縫うように地面に着地した。その着地地点から5歩も歩けば日向に出てしまう……しかしDIOはそこに着地して前を向く。
そこにはレオンが立っていた。腰に備えていた鞭を投げ捨て、両手をフリーにしている。
「…久しぶりだな。我が弟よ………」
「だな……暫く姿を見なかったが、元気だったか?」
長年深海で眠っていた彼にわざとらしく挑発をすると、不敵に笑いながらもDIOは眉間をピクリと動かした。
「そう言う貴様こそどうだ? 名前はなんだったか………そうそう、エリナは今も元気か?」
「エリナか……今はもう眠っているよ。とても安らかで、綺麗な寝顔だった」
「貴様の近況や世間話。聞きたい事は山ほどある……が、今はそんな時間も惜しくてな。後でゆっくりと話そうじゃないか」
「………私を置いて追うつもりか?」
「そうしたい所だが日没まで少々時間がある……それに、貴様を撒くのは骨が折れそうだ。もっとも……レオン、お前が私の元へ来れば話は別だがな。また共に暮らそうじゃないか、昔の様に………
「ふざけるな」
自分の左胸に手を置くDIO…レオンはそんな彼を鋭く睨み吐き捨てる様に言った。
「フゥ〜〜〜………レオン……レオンよ。何故だ、何故このDIOになびかんのだ。いつの時代も、貴様は俺の敵であり続けた………何故だ?」
「共に育ったが、歩んだ道は正反対じゃないか。お前の隣に立てるわけがないし、立つ気も無い」
「……俺とお前はコインの裏表というわけか。しかし、そのセリフをいつまで吐いていられるかな?」
そこまで言って、DIOはスタンド…
壁には大きな亀裂が入り、重さを支えきれなかったのか崩れ始める。
「何を……」
「貴様の返答次第では、ジョースターの末裔どもを見逃したっていい。丁度いい事に、巫女はスタンドを奪う能力があるのだろう?承太郎の
「……答えは変わらん」
「………それは残念だ。
次の瞬間…DIOは姿を消した。時を止めて移動したようだ。
「まだ日は沈みきっていない。一体何処に……まさかッ‼︎」
レオンは崩れ落ちた瓦礫に目を向ける。
瓦礫が落下した際に一瞬影が重なり道ができたとする。1秒にも満たない一瞬だけ形成された影の道だが、時を止める
「………できない事もない」
踵返し、レオンは走り出した。
ー
ーー
ーーー
「おい君、このトラックを買いたい。売ってくれ…!」
「に…にゃんだとおおおこの野郎ッ!……ウヘホ!こ…こんなにくれるのォ?ラ…ラ…ラッキー!」
ジョセフ・ジョースターは財布の紙幣ポケットの中身を無造作に取り出し、そのままトラックの運転手に押し付けた。
金に目が眩んだ運転手の言葉も最後まで聞かずに、ジョセフとその後ろを走っていた男達はトラックに乗り込む。
「オジさんが運転しよう。爺さんは礼神ちゃんから離れられないだろ。ホル君、イギーちゃん抱っこしてて」
運転席に飛び乗り、ホル・ホースが助手席へ。残りの皆……怪我人もこの時だけは、自力で身体に鞭を打ちトラックの荷台へと飛び乗った。
「掴まって〜、怪我人は落ちないよう寝てろ〜」
「ドワッ⁉︎」
蛇行運転を繰り返し、伊月はアクセル全開で車を次々と追い抜いて行く。
荷台に人を乗せたトラックがこんな走りを見せればポリスが飛んでくるだろうが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
「レオンさん………大丈夫でしょうか…」
「レオンを信じろアヴドゥル。第一、奴はレオンを欲しておる。未だ弱点である日光克服の糸口じゃ……殺せたとしても、そう簡単に殺すとは思えん。ワシなら半殺しして生かす」
「なら早く承太郎を回復させねぇと……死なないにしろ、レオンの時間稼ぎも限界がある。日が出てるうちに………」
「ポルナレフの言う通り………僕の事はいいから、ジョセフさんは承太郎を………」
礼神の言葉を聞き入れ、ジョセフは波紋の呼吸をすると承太郎の腕を強く握り指を立てる。
「おいジジイ、コレで間に合うのか?」
「血流……血流………承太郎、
「それだ」
記憶から引きずり出した情報を礼神が伝えると、承太郎はすぐさま実行に移す。
そこでジョセフの懐から振動音が僅かに聞こえる。
「誰じゃ!こんな時にッ‼︎」
そうは言うが、オリジナルの携帯機器に通話を繋げてくる相手など数少ない。「まさか」と皆が思いながらも、ジョセフはスピーカーにして皆が聞こえるように通話に出る。
「まさかと思うがレオンか⁉︎」
『そのまさかだ。すまない、DIOがそっちに向かった。私は最後まで取っておきたいようだ…私も追ってはいるが気を付けろ。承太郎が回復するまでは逃げ続けてくれ』
それだけ告げると、レオンは一方的に通話を切った。
太陽はまだ地平線から顔を出しているが、高い建物が日光を遮り安全な場所は少ない。
「クッ……奴が醸し出している雰囲気は依然として遠くならない。確かに追ってきているのだ。奴はワシらを追ってきている!」
「………………フゥ…」
ずっと黙っていた花京院は小さく息を吐き、いつの間にか外れていたボタンを締め直す。そして一度目を閉じた。
(この花京院 典明は、自分の「
普通の人達は一生のうちに誰の為に、何の為に生きているのだろう。
小学校の◯◯君のカレンダーには遊びの予定でいっぱいだ。
父は家族の為に人生を使い、
母も家族の為に人生を使っている。
自分は違う。
ハリウッドスターはファンや世界の為に人生を使うのだろう。
自分は違う。
自分にはきっと一生、そんな使い道のある機会は訪れないだろう。
何故なら、この「
見えない人間と真に気持ちが通うはずがないし、そんな人に人生を使う理由も無い。
レオンさん、ジョースターさん、承太郎、ポルナレフ、アヴドゥル……そして葎崎さんに出会うまでずっとそう思っていた。
常に死に際を歩いているようなレオンさんや、苦しみ続けている葎崎さんの事を思うと背中に鳥肌が立つのは何故だろう………
それは、目的が一致した初めての仲間だったからだ。
そして自分が彼らの保護下で旅をし、仲間と呼ぶには後ろめたさを感じているからだ)
花京院 典明は「
そう!短い付き合いで憧れたあの人外のように
アヴドゥルやポルナレフの様に命を使ってやろう!
「……花京院?」
激しく蛇行するトラックの荷台の上で立ち上がる花京院を、葎崎 礼神は不安げに…そして怪しげに見上げた。
そして嫌な予感がしたのか、花京院のズボンを掴んで座らせようと力を込める。しかし花京院は座らず、礼神に背を向ける。
「………やめて」
その背中に礼神は見覚えがある。
ポルナレフ、アヴドゥルと同じ命を使う捨て身の背中……結果的に2人は生きていたが、礼神は花京院の行動を許そうとはしなかった。
「ーーッ!」
礼神もおもむろに立ち上がり、花京院の腰に後ろから抱き着く。胸に激痛が走るが、無視して体重をかけ無理矢理留めさせようとする。
「離してください」
「嫌だ…アッ」
容易く腕を解かれ、花京院は荷台から飛び降りようと足をかける。
「嫌だ…嫌だ……ダメ、行かないで! 許さない!」
止めたい思いだけが先走り、碌な言葉が出て来ない。
帰ったら返事をください
「待って‼︎」
「よせ、礼神ッ‼︎」
逃げる様に飛び降りた花京院を追おうとするが、そんな礼神をアヴドゥルが抑え込んだ。
そして花京院は太陽が沈んだ夜の街へ姿を消した。
「離して!何で⁉︎ 何でみんな僕の言う事を聞いてくれないの‼︎」
泣き出しそうな礼神をあやす様に座らせる。礼神も胸の激痛に耐えきれず、その場で座り込み前屈みに突っ伏する。
やがて啜り泣く様な声が聞こえてくる。
「礼神……この大人数で逃げ切れはせんのだ。レオンも花京院もそれが分かっている。だから立ち向かうのじゃ……そしてワシらはそれを無駄にしてはならん」
「……泣くんじゃねぇよ礼神。男がカッコつけてんだ、テメェは帰ってきた時の返事を考えとけばいいんだよ」
この中で1番重症のポルナレフが、苦しそうにだが笑ってそう言う。それに対して「お前が言うな、巫山戯るな」と、礼神は涙目で訴える。
そして間を空けてから礼神は首をかしげる。
「………………返事って何の?」
「何って………花京院の言った事聞いてなかったのか?」
「………………うん。止めるのに必死で。エンジン音とかが五月蝿いし」
「………………………」
その場にいる男一同は、花京院に深く同情した。
それは、普段ヘラヘラとしている伊月ですら無表情になるレベルだった。
確かに同じ荷台の上とはいえ、花京院は礼神から離れ最後部で立っていた。高速で走り風の音も十分に雑音として捉える中で、必死だった礼神が聞いてなくても不自然ではない。
「僕の言う事聞いてくれなかったんだ……僕が聞いてなくても文句言えないだろ………それに………薄々こうなる事………ポルナレフとアヴドゥルさんが無謀な事したから、花京院もそうするって思ってたんだよね」
涙を拭ってから胸を押さえ、礼神は揺れる荷台の上で座り直す。
「……花京院がその気なら、今回は僕にだって考えがある。コレで
「ッ⁉︎ 葎崎テメェ……何考えてやがる?」
「…オジさん知〜らない。とっくに忠告はしたぜ?」
ー
ーー
ーーー
「………ムッ?」
太陽が沈んだ今、DIOは人混み等を気にせず視界の良い屋根の上を跳んで移動していた。
そしてそこに緑色に光る反射物が雨の様に降り注ぐ。
「コレは……ッ!」
避けた所にまた、エメラルドの雨が横殴りに襲いかかる。
「花京院の
ー カチッ ー
跳躍して避けると、背中に何か紐状の物が当たる。そしてそれに連動する様に、またエメラルドがDIOを襲う。
「
ひと蹴りでDIOはエメラルドの弾幕の向きを蹴りの方向へ逸らす。しかし逸らしきれず、1発肩に被弾する。
「チッ………!」
そして気がつく。
目を凝らせば、自分を中心にワイヤートラップの様に
「………コレ…は…」
「触れれば発射される「
「………フッ…フフフッ!」
「何が可笑しい‼︎」
静かに笑うDIOに問い掛ける花京院。
そんな彼に視線を移すと、DIOは冷たい無表情で口を開く。
「なあに。ただの呆れ笑いだ……DIOの能力を知って尚、こんなチャチな空間で仕留められるとでも思っているのか?」
「………そんな事は考えていない」
「何……?」
花京院の考えはレオンと同じ……承太郎を回復させるまでの時間稼ぎだった。
「………ジョセフ、承太郎の気配は未だ遠ざかっている。時間稼ぎ………命を捨てたというわけか。たかが数秒使わせる為だけに……その為だけに
「犬死なんかでは無い‼︎ 全ての人間に役割が有り、理由が有る‼︎ 僕が作ったその数秒が、お前を敗北へと導くのだ‼︎」
この場を無視して承太郎を追うのは難しく無い。しかし承太郎達との距離はそう遠く無い……追えば直ぐに花京院が追い付く………止まった時が認識できないとしても、承太郎と戦う最中に背後を取られるのは面倒だ。
「いいだろう……メインデッシュ、デザートを残し、貴様らを先に惨殺処刑してくれよう‼︎」
「食らえDIOッ‼︎ 半径20m…エメラルドスプラッシュをーーーッ!」
「マヌケが……再認識するがいい……
……止まった時の世界では、DIOの周囲に張り巡らされた触手から大量のエメラルドが射出されていた。
何発かは数秒遅れていれば被弾したであろう……しかし、大半のエメラルドはあらぬ方向へ射線を向けていた。
「フンッ……止まった時でも、数撃てば当たるとでも思ったか」
心底呆れた様子を浮かべてから、
「死ねィ!花京院ッ‼︎」
鈍い音と共に、
証呂
「死なないで花京院‼︎ ここでお前が死んだら、礼神はまた罪の意識を背負うことになるんだぞ⁉︎ それに彼女に対するお前の思いはどうする⁉︎
次回、花京院 死す。デュエルスタンバイ‼︎」
花京院
「次回も絶対見てくれよな!」
伊月
「おwまwえwらwww」
レオン
「……あまりふざけるなよ」
花京院
「僕…帰ったら葎崎さんの返事を聞くんだ」
レオン
「死亡フラグまで立てるな‼︎」