ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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小説削除事件から早くも1週間が経ち、お気に入り数が350ほど戻りました。早いペースで嬉しい限りです。

削除後にこの小説を見始めた人は
「アレ?なんで急に前書きで話し始めたんだコイツ」
みたいな疑問を持つんでしょうね。

前書き後書きも修正しますが、まるで今書き上げたかのように昔の前書きなどを修復する私は、どんな心境で作業すればいいんでしょうね。

それはさておき69話、グダグダっとどうぞ


69.邪神を兄に持つ男

「………と、いう事がありました」

 

「……ハァ? つまりこの島には原住民でもいるのか?」

 

「その可能性は高いようだな。新手の幽波紋使い……なんて事は無いだろうが」

 

 岩に腰をかけた礼神はブレザーを脱ぎ、シャツの袖を捲り上げて傷口を露出させる。

 

「消毒します」

 

 不意にパイロットの男が救急箱を開け、礼神に処置を施し始める。それを大人しく受け入れながらも、礼神は顔を上げて口を開いた。

 

「死ぬ感じはしない……痺れ薬みたいな物かな………無人島で、そんなもの作れるの?」

 

「作れなくも無いな」

 

 礼神の問いにアヴドゥルが短く答える。

 

「ひとまず休め、周囲の警戒は俺が請け負う。レオン達が戻るまで……………ッ⁉︎……なん……だ?」

 

「ッ⁉︎」

 

 突拍子も無く空気が凍りつき、ポルナレフの声帯が凍り付く。

 急激な気温の変化などでは無い……あたりを掌握するかのような支配的な殺気。

 この殺気に、パイロットを除いた皆は既視感を感じた。

 

「……まさか……DI…O………?」

 

「バカなッ‼︎ 奴は死ん……だがこの気配………この精神に食い込むような圧迫感ッ‼︎」

 

「これは………まさしくDIOの()()じゃないか⁉︎ どうしてココに………そもそも何故……」

 

 アヴドゥル、ポルナレフ、花京院がそう呟き、礼神の治療を終えたパイロットは震えて尻餅をつく。何か言いたげだが何も言えずにいる。

 

 礼神も同様に凍りつき、風に混じって流れてくる殺意の風上へ視線を向けている。

 

 すると……………

 

「アギャァァァイッ‼︎‼︎」

 

「イギーッ⁉︎」

 

 視線の先にある草むらが揺れ、そこから礼神の胸に逃げる様に飛び込んできた小動物がいた。

 

 それはイギーだった。

 

 肺の空気全てを吐き捨てる様なその悲鳴は、旅の道中では聞くことのなかったもの……あのイギーがここまで怯える様子を見て、皆は更に警戒心を高める。

 

「すまない。遅くなってしま……った………どうした? 全員揃ってスタンドなんて出して………」

 

 殺意の発信源が姿を現すと同時に、彼は戦闘態勢で出迎えられた事に疑問を投げかける。

 

「レ…レオン………だよな?」

 

「………? 私は正真正銘のレオン・ジョースターだが?」

 

 そう言ってW-Refを発現させた右手で手を振ってくる。しかしその表情は黒い闇に飲まれているようで視認できない。

 

(影DIO……じゃなくて影LEONさんだ……)

 

「鳥を仕留めるのに手間取ってしまってな。腕が鈍ったか………近づく前に逃げられてしまってな」

 

 その手には仕留められた野鳥が握られているが、どうやらコレでも手間取ったらしい。

 

「レオンさん…もしかして自身の放つ殺気に気付いていないのですか?」

 

「殺気?……出てるか?」

 

「え、えぇ……そりゃもう……」

 

 恐る恐る指摘したアヴドゥルの方を向き、今尚気付いていないのか、影で隠したまま首をかしげる。

 

「……今、戻ったぞ………」ボソッ

 

 

ーーー ゾアッ ーーー

 

「ッ⁉︎」

 

 遅れて承太郎とジョセフが皆の元へ戻ってくる。

 他の皆と同じように、承太郎とジョセフも冷や汗を滝のように流している。特にジョセフの症状は酷い。

 レオンの殺気に当てられているのは明らかだ。

 

 そしてその殺気は、ジョセフの声に反応して大きく波打つ。

 

((((ジョースターさん、何をしたん(ですか)⁉︎))))

 

 瞬時に殺意の原因がジョセフにある事を感じ、心の中で皆が訴える。

 同時に…自分に向けられた殺気ではないと知り、彼らは僅かながらに安堵する。

 

「礼神」

 

「ヒャイッ⁉︎」

 

 そんな中、レオンは礼神に近付き話しかける。

 

「1つ……確認したい事があるんだが………」

 

「ななな、なんでしょうッ⁉︎」

 

 ニュアンスの乱れた口調で答えながら、背筋を伸ばし佇まいを礼神は直す。

 そして承太郎は口パクで「な・に・も・言・う・な」と告げ、ジョセフはレオンの背後で小さく指でバツマークを作る。

 

「ジョセフの事で………ん?怪我をしたのか?」

 

「あ、え、うん。実は、はい」

 

「落ち着け」

 

 テンパる礼神にそう言うが、今のレオンを前に落ち着けるわけがない。

 そこでまた花京院が事情を話す。

 

「そ、そりゃあ大変じゃのう‼︎ 今すぐにでも安全を確保……するべき………じゃと………」

 

 ここぞとばかりに声を張り上げるジョセフだったが、レオンに睨まれ少しずつ声のボリュームが下がり聞こえなくなる。

 

「…レオン。ジジイの言う通り、安全の確保は大切だぜ……そういや………もうすぐ日が沈むな……」

 

「………夜目が利く、私が1番の適任というわけか………チッ」

 

(舌打ちした⁉︎)

 

「仕方ない。私がその原住民とやらの危険性を排除してくる………すぐ戻るからな?」

 

 最後に脅し文句の様に伝えながらジョセフを睨み付け、一瞥してからレオンはまた島内へ足を踏み入れた。

 

「………なんだったんだ?」

 

 まるで厄災が通り過ぎた後の様な状況で、最初に口を開いたのはポルナレフだった。

 

 するとレオンが立ち去ったのを確認してから、承太郎はハンドサインで皆に集まる様に指示する。

 

 狼煙を上げる焚き火の近くで小さく円陣を組み、小声で会話を始める。

 

「まず……()()は何だ? レオンか?」

 

「レオンじゃ……アレがレオンじゃ」

 

 遠い目でジョセフが呟く。

 

「葎崎…確認だがジジイは不倫してんのか?」

 

「ブッ⁉︎ ゴホッ‼︎ き、急に何を………」

 

「で、どうなんだ?」

 

「……ズバッとハッキリ聞くんだね………」チラッ

 

 礼神はジョセフを横目で見ると、ジョセフは暗い表情を浮かべ何の抵抗も反応も見せない。

 

(……バレたんだ)

「してるよ。ちなみに4人目のジョジョで、4部の主人公」

 

「やっぱりな………いいか葎崎。何をレオンに聞かれても、テメェはそれを肯定するな」

 

「…もしかしてレオンさんはそれが原因で……」

 

「あぁ。俺の知る限り過去最恐の状態だぜ……正直もうバレてるとは思うが証拠が無い………ただいつ爆発するかがわからん。葎崎の証言が引き金になる可能性は大いにある」

 

「………承太郎はジョースターさんの肩を持つのか? なんだか意外だな」

 

「流石に死なすのはマズイだろ」

 

「なる…ほど……」

 

「ジョースターさん死ぬのか?」

 

「…ワシ死ぬの?」

 

「ジジイ、しっかりしろ」

 

 

 

 

 

 場所は変わって木々の生い茂る島内……レオンは1人でそこを彷徨い、花京院の言っていた危険性を排除すべく歩いていた。

 

「………………………」

 

 道中は常に無言で、彼は何処と無く上の空だった。

 無論…原因はジョセフにある。

 

 証拠は無いが、ジョセフの反応からして不倫しているのはほぼ確定………あまりのショックで少し思考が麻痺しつつあった。

 

 できれば自分の間違いであってほしい……ただただそう願っていた。

 

「……………ジョジョに顔向けできん」

 

 重々しい足取りで歩いていると、彼は1つの異変を見つける。

 

 それは枝で作られた小さなトラップだった。

 木の枝が重なっている様に見えるが明らかな人工物………おそらく鳥を取る為のものだろう。

 

「……確かに誰かがいる様だ………む、涙が出てきた」

 

 ………不倫のショックは大きいらしい。

 

「………………誰だ」

 

 ショックを引きずりながらも、凛とした声でそう言うが返答は無い。

 代わりにレオン目掛けて何かが飛来してくる。

 

「無駄だ」

 

 先端の尖った木製の槍…ソレを片手で掴み、即座に来た方向へ投げ返す。

 普通ならソレで当たり終わる作業だが、悲鳴が上がらない事から躱されたようだ。

 

 ………が、躱した時の風圧が草むらを揺らし音を出す。

 レオンはソレを追う様に跳躍し、頭上から奇襲を仕掛ける。

 

「ヌォッ⁉︎」

 

「捕まえた………ん?」

 

「き、貴様………まさかッ‼︎」

 

 僅かな月明かりに照らされ、互いの顔を認識する。

 レオンが捕らえた人間は老いた老人だが筋肉質だった……だが昔の面影が残っており、レオンは老人の上から退いて立ち上がる。

 

「なんだ……()()()()()()()か」

 

「なぁんだとは何だ貴様ァァァア⁉︎」

 

 興味無さげに着崩した服を直していると、噛み付く様に老人が怒鳴りつけてくる。が、何処と無くその表情は嬉しそうだった。

 

 しかしレオンの眼中にはなかった。

 

「それじゃあな」

 

「待てぇい‼︎ 待たんか貴様ァァァ‼︎ かつての戦友と再会した反応がソレかァァァア‼︎」

 

「黙れ、唾が飛ぶ」

 

 急いで承太郎達の元へ戻り不倫の真実を正そうとするレオンだったが、死んだはずのドイツ軍人…ルドル・フォン・シュトロハイムに引き止められてしまう。

 

「そもそも何故生きてる。貴様は死んだ事になっているぞ」

 

「フン。気になるか? ならば特別に教えてやろう‼︎ スターリングラードの戦場で起きた真実をナァッ‼︎」

 

(そんな事よりジョセフ……ジョースター家の血統でありながら………もし不倫が事実なら然るべき対応を……)

 

 話を聞く限り、シュトロハイムはスターリングラード戦線で戦死………ではなく、捕虜として捕まったらしい。しかし敵国に連れていかれている最中に逃亡……本国に帰還しようと小舟を盗んだが嵐に会い失敗。

 

 結果、気が付けばこの島に遭難していたとの事だ。

(レオンは耳を傾けていない)

 

「そうか、災難だったな。それでは……」

 

「だから待たんカァァァッ‼︎………そもそもレオン、貴様はこんな所で何をしている」

 

「私はある目的で仲間と旅をしていてな………その帰りに遭難した」

 

「レオン…レオンよ……ひとまず足を止めたらどうだ」

 

 シュトロハイムに腕を掴まれて尚、レオンは戻ろうとする足を止めない。

 

「信じたく無いが……ジョセフが不倫したかもしれん。貴様は長年を経ての再会に歓喜し、積もる話もあるのだろう………だが私はそれどころじゃないんだ」

 

「………その殺気の理由はソレか」

 

 昔死んだと知らされた男との再会……感動こそしなくとも驚愕するのが普通だ。

 だがレオンのそういった感情は今は麻痺し、ジョセフへの殺気のみとなっている。故にシュトロハイムと再会したところで、どうしても塩対応になってしまうのだ。

 

「もっとこう、ないのか? 再会の感想は……」

 

「ハゲてないのが意外だ」

 

「ヴゥァァアカにしているのか貴様ァァァアッ⁉︎」

 

「相変わらずだな。それでは……」

 

「だから待てと言っておろうがァァァア‼︎‼︎」

 

 このやり取りがバカバカしくなってきたのか、結果的にレオンは殺気をある程度収めていた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 ………うぅ、正直自信ない………あぁ〜〜今この瞬間だけは原作知識を抹消したい。

 誰か死神13(デスサーティーン)のマニッシュボーイ連れてきてくれない?……無理?………あ、そう。

 

 ………まぁ、それはさておき……

 

「〜〜〜。ーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎」

 

「レオンさん……こちらの方……は?」

 

「シュトロハイムだ」

 

 短くそう答えるレオンさんの隣では、野生児みたいな出で立ちをしてる屈強な老人がいた。

 

 少し前、レオンさんが島内から戻ってきた時は皆が緊張を張り詰めていた。しかしその緊張とは裏腹に、レオンさんから醸し出されていた殺気は抑えられていた。

(ジョセフさんと目を合わせたり声を聞くと殺意が波打ってるけど)

 

 そんな殺気の代わりに引き連れて来たのがこのお爺さんだった。

 

「まさかワシらが遭難した島に…お前さんがいるとは……のう」

 

 波打つ殺気を感じて次第に声が小さくなるジョセフさんの肩を、シュトロハイムはバンバンと叩く。

 

『このシュトロハイムもこんな所で出会うとは思っていなかったぞ。お前と共にいたイギリス人は元気か?』

 

「…シーザーか……元気じゃよ」

 

『フハハハハ‼︎ 随分と声が小さいな⁉︎ この程度の殺意で平伏すようでは一人前の男とは言えんなァッ⁉︎』

 

『…騒がしい爺さんだな」

 

『ムッ⁉︎そう言う貴様はジョセフの子孫か…年齢的に孫といった所か‼︎ にしても7人と1匹でどんな旅をしていたのか。レオン!紹介せんか‼︎』

 

「はしゃぐな。怠い」

 

 塩対応で適当に流すレオンさん。

 シュトロハイムはその反応にすら少し嬉しそうな笑みを浮かべる。長年一人だったからだろうな……レオンさんもそんな老人が相手なんだから会話してあげればいいのに。

 

「それにしても………」チラッ

 

「……………」

 

「……起こすのは流石に申し訳ないか」

 

「………ホッ」

 

 横たわる僕を見て呟くレオンさんの言葉に、ジョセフさんはついつい安堵の息を零す。

 

 ………はい、寝てません。

 

 かといって狸寝入りとかバレる可能性大なので、能力を使って仮死状態になっております。

 

 ただ1つだけ問題……というより、予想外の出来事が……

 

(……僕の寝顔ってこんな感じなのか…)

 

 ケルベロスの進化による能力変化だろうね。

 

 能力に幽体離脱が追加されました……総合的に魂を操作する事がケルベロスの能力みたいだ。

 

【幽体離脱】

 ・肉体から離れ魂のみで一人歩きする状態

 

 皆に背を向けて仮死状態になっているのにシュトロハイムの表情の変化に気付けた理由も、幽体として彷徨ってるからなんだよね。

 

(早速レオンさんの意見とか聞きたいけど………今は我慢)

 

 魂だけでフワフワと彷徨っていると、ふと………レオンさんの方から視線を感じる………え?

 

(いやいや見えてたらもっと早くリアクションするでしょ。みんなもノーリアクションだし見えてるわけ………ない!)

 

 そう自分に言い聞かせてレオンさんの方へ振り向く。

 

(………………)

 

『………………』

 

 幽体離脱した僕の姿をレオンさんは認識できない……そして見えないの対義語は勿論………

 

(………見えてる?)

 

『うむ』

 

 レオンさんに背後から抱きつくように姿だけ現しているアンラベル(アンちゃん)は、顔をこちらに向けたまま短く返答する。

 

「ん?アンラベル、何か言ったか?」

 

『うむ……と言った』

 

「………………?」

 

『……ジョジョ、何故レオンは独り言を言っているのだ⁉︎』

 

 幽波紋使いでは無いシュトロハイムが怪訝な表情で何か言っている。幽波紋使いではないから、僕には何を言ってるかわからない。

 

「アンラベル……どうかしたのか?」

 

『どうしたも何も、そこに葎ムグッ』

 

(ダメッ‼︎ 僕の事は言わないで‼︎)

 

 咄嗟にアンちゃんの口元あたりに手を伸ばして塞ぐ。あれ?触れた………もしかして今の僕って幽波紋使いにも見えないスタンド扱い?

 それともアンちゃんの性質のせい?

 

「……アンラベル?」

 

『………ムグムグ』

 

 僕が抑えてる為何も話せずにいる。

 

(お願いだから何でもないって言って!そして僕については触れないで!)

 

『ムー』

 

「何をムグムグ言っている。ハッキリ言え」

 

『レオンよ。何の話を誰としておるのだ?』

 

(………………) ソッ

 

 これ以上は不審に思われる為ゆっくり手を離す。するとアンちゃんは間を空けて話し始めた。

 

『……何でもない』

 

(………ホッ)

 

 良かったァ〜〜。ちゃんとお願い聞いてくれ………

 

『と、言うように葎崎 礼神に言われただけだ』

 

 ………てない。

 

「………礼神? そこで寝てる礼神の事か?」

 

『うむ。あと彼女については触れないように頼まれてな。だから何でもない』

 

(アンちゃーーーーーーッん‼︎⁉︎)

 

『む、今のも言ってはいけなかったのか……』

 

「………W-Ref」

 

 レオンさんはW-Refを発現した右手を持ち上げてアンちゃんの視線の先………つまり幽体の僕に手を向けた。

 

 殺気が少し増幅するのを感じた。

 

「………何故何も無い所から、礼神のスタンドエネルギーを感じるんだ?」

 

「き、気のせいじゃないですか?」

「これだけの幽波紋使いが集まってるわけですしね」

「そうだぜ!気のせい気のせい」

「アギッ」

『だから何の話だ⁉︎ このシュトロハイムにもわかるように話してくれい‼︎』

 

 アヴドゥルさん、花京院、ポルナレフが立て続けにそう言うが、レオンさん相手にそう言っても意味ない気がする。

 

 親族の承太郎とジョセフさんはそれがわかってるからか、何も言わずにレオンさんの反応を緊張した面持ちで伺っている。

 

 そして二人は危険を感じたのか額に汗を滲ませ、腰を僅かに持ち上げた。

 

「………なるほど。何か企んでると思えば、私を騙す気でいたか…………」

 

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ッ ‼︎‼︎

 

「なななんの話じゃ⁉︎」

 

「ジョセフ……貴様は謝罪の意など無いのだな? 謝る気などさらさら無く、私を欺く事を選んだ………」

 

「ち、違うんじゃレオン‼︎ 別にレオンを騙そうなど………」

 

「言い訳など聞きたくは無い。真実を知る礼神に仮死状態になってもらい口封じをしたのがその証拠ッ‼︎ 最初は謝罪の方法でも考えているのかとも思ったが………」

 

 ゆっくりとした動きで腰を持ち上げるレオンさんの殺気は、今までとは比にならない明確な物になっていた。

 

 無数の針で身体を貫かれているような鋭い殺気には、流石のシュトロハイムも警戒して慌てる。

 

『おお落ち着かんかッ‼︎ 貴様の気持ちもわかるがジョセフも男ッ‼︎ 火遊びの1つや2つは「部外者は………」オッ⁉︎』

 

 ジョセフさんとレオンさんの間に立ちはだかるシュトロハイムの肌を、レオンさんは撫でるように掌を滑らせる………そう思った時には既に、シュトロハイムの身体は宙へ投げ出されていた。

 

 

黙っていてくれ

 

 ーーー ズドンッ ーーー

 

 そこで僕は瞬きを挟んだが、次に瞼を持ち上げた時には事が済んでいた。

 シュトロハイムの頭部は浜辺の砂中に減り込み、首から下はだらし無く地上で伸びていた。

 

「シュトロハイムが……一捻り………じゃと」

 

「逃げろジジイ‼︎ 殺されるぞ‼︎」

 

「物騒な事を言うじゃないか承太郎…素直に謝るなら考えもしたさ………男たるもの火遊びも結構………だがその歳でその遊び心は如何なものか………」

 

「な、何が考えもしたじゃ‼︎ 誤って殺しそうな勢いじゃ「シュゴォォァア‼︎…ピッ」………」サー…

 

 ジョセフさんの言葉を遮る様に、紫色の線がジョセフさんの頬を掠めた。霊体をいいことにレオンさんの顔を覗いて見てみれば、左目が黒く潰れている。

 

「私が匙加減を見誤るわけがないだろ?」

 

 そう言い放つレオンさん…否……影LEONさんは姿勢を下げ、今にも駆け出そうとする。そんな彼の足を、半透明の剛腕が掴んだ。

 

『オォォルゥァァァアーーーーッ‼︎‼︎』

 

 その剛腕の正体は承太郎の星の白金(スタープラチナ)。レオンさんの細い足首を掴んでフルスイングし、水平線の向こうとまでは言わないが、無人島からかなり離れた海面へ投げ飛ばした。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「………大変な事になったねぇ〜」

 

「やっと起きたか葎崎」

 

 仮死状態を解いた礼神が立ち上がり、臨戦態勢の皆の元へ駆け寄る。

 

「………みんな…ジョースターさんを頼む」

 

「花京院……君はどうするつもりだ?」

 

「決まってるだろポルナレフ、ここで食い止める」

 

「食い止めるだと……1人では無茶だ‼︎」

 

 花京院の言葉をアヴドゥルが遮る。そんな彼の服の裾を礼神が掴み止める。

 

「アヴドゥルさん、夜はレオンさんの時間だよ………だから少なくとも、夜明けまで時間を稼がないとジョセフさんが……」

 

「たしかに…日が出れば俺たちでも抑えられるが、今は時間稼ぎが懸命か……だがレオンの標的はジョースターさんだ。俺たちを無視して先を急ぐかもしれないぜ?」

 

「承太郎、君の意見を聞こう」

 

「………………………」

 

 ここで話を振られた承太郎は、両手で何かを挟むジェスチャーをしながら口を開いた。

 

「『俺たちは追いながらレオンと闘う』………『ジジイは逃げながらレオンと闘う』………つまり、ハサミ撃ちの形になるな…」

 

「……今でるか、そのセリフ………」

 

 呆れた様子で礼神が呟くと、遠くから何かが近付いてくるのを皆は感じ取る。

 無論…それは膨大な殺気を纏っており、波紋を広げながら海面の上を優雅に歩いていた。

 

「………貴様らは奴の肩を持つのか?』

 

「まさか……殺させるつもりがねぇだけだぜ」

 

 半分ノイズの混じった声で問うレオンに、承太郎は睨みつけながら答える。

 

「殺しはしない。だから邪魔をするな」

 

「嫌だね」

 

「……まぁ…いいだろう」

 

 

ーーー ゾァッ‼︎ ーーー

 

 垂れ流しだった殺気の量は変わらないが、それは鋭利に尖り始める。ジョセフに向けていた怒りの矛先を、止むを得ず他に向けた証拠である。

 

 その時、彼らは思い出した。

 

 

 

 

 

奴は邪神の弟だと言うことを‼︎




証呂
「旧支配者のキャロルって知ってる?」

レオン
「…誰だ?」

礼神
「あぁ、クトゥルフ神話trpgとかのBGMに使われる奴だね。それがどうしたの?」

証呂
「今回の話である「夜の海面を歩く影LEON」を想像したら、このBGMが自然と脳内再生された」

レオン
「知るか」

シュトロハイム
「それよりも再登場だというのに、このシュトロハイムの扱いが酷すぎるんじゃあないか?」

パイロット
「別にいいじゃないですか。俺なんて最後は空気ですよ、空気」

イギー
「ガウバウッ!」
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